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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


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石川和男(TKFD研究員)
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最新記事
児童養護職員を増員 〜 30年ぶり見直しへ [2011年01月18日(Tue)]

 今朝の東京新聞によると、厚労省は「タイガーマスク」の主人公などを名乗る寄付が相次ぐ児童養護施設について、施設で働く児童指導員や保育士の人数基準を見直し、職員数を増やすとのこと。

<記事抜粋>
・職員配置基準見直しは30年ぶり。13年度「子ども・子育て新システム」に盛り込む。
・児童養護施設では20年前から虐待を受けた入所者が急増。子どもへのメンタルケアなどきめ細かい対応が求められるようになった。
・「児童福祉施設最低基準」は、入所者年齢に応じて職員1人が面倒をみる子ども数を規定。79年に定められた現行基準について、職員1人当たり子ども基準数を減、職員を増。
・特養と比べ3分の1以下となっている面積基準も見直す。

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 きっかけは何にせよ、時代の要請に応じた施策であることは間違いない。もっとも、『おとな支援』に注力することによって子どもへのとばっちりを減らす施策も本筋の一つではあることを忘れてはならない。

 被害者をケアすると同時に、加害者を出さないための政策も並行させるべきである。経済活性化が全てではなかろうが、経済活性化が多くを包み込むことは統計的にも感覚的にも言えること。

 たくさんの歴史書を見るに、日本の治安水準の高さは、国民性だけであるとは到底思えず、それよりも寧ろ経済情勢の好転によって社会の安寧秩序がもたらされたと見るのが妥当だ。美談に祀り上げられる『高い志』以外のものがあってこそ、全体の中長期的な底上げが図られる。
「「医療費、国際的には低水準」厚労省、財務省に反論」について [2009年11月28日(Sat)]

 今日の朝日新聞ネット記事によると、厚労省は医療予算圧縮を求める財務省見解への反論をHPで公表したとのこと。

【記事抜粋】
・日本の医療費水準は国際的に低いと主張。政権が目指す医療再生のため十分な予算確保を求めた。
・発端は、物価や給与水準が下がる中で「ドクターだけ高止まりでいいのか」と、診療報酬引下げを求め、財務省HPで方針表明。
・厚労省は日本の医療費が対GDP比でOECD30カ国中21位の低水準と指摘。
・診療報酬を医師給料に結びつけた財務省に対し、「診療報酬=医師の報酬ではない」。「公立病院の総費用のうち医師給料は1割」というデータで牽制、診療報酬配分見直しだけで財源をひねり出すのは不十分と。

 ↓

 予算折衝を巡るこうした政府内部のやり取りが公表されることそれ自体が、今回の事業仕分けの大きな成果の一つである。実際にはもっと激しい攻防も多々ある。内容の軽重はあれ、先ずは表に出すことが重要。メリハリある予算配分にも有用となる。

 国際比較はしばしば活用される手法だが、そこに効き目があるかどうかは舞台設定による。他の政策分野に係ることだが、予算額は世界最高水準なのに果実が乏しいものも少なくない。OECDで第何位であろうと、必要な医療費の公的負担はすべき。こうした思想は、他の政策分野でも同様のことだ。

 その優先順位を決めるのが政治の場である。ともすれば、全ての政策分野で我田引水になる。それが前政権で問題視されていた“族議員”というもの。専門的観点から予算の妥当性を主張するには、族議員の存在は必要。我田引水でない族議員の在り方を民主党が示すことができれば、“政治主導・脱官僚依存”はその部分で進むだろう。
 

註:財務省資料厚労省資料は、それぞれ参照されたい。
「失業者12カ月連続増」について [2009年11月22日(Sun)]

 今朝の東京新聞によると、完全失業者数がことし10月まで12カ月連続して前年同月に比べて増加する見通しとなったとのこと。

〔記事抜粋〕
・9月時点363万人。派遣村が出現した昨年暮れより90万人増加。
・リーマン破綻後の昨年10月、完全失業者数255万人。昨年11月以降ことし9月まで11カ月連続増加。
・昨年12月270万人、ことし3月225万人と、3年5カ月ぶり300万人突破。過去最悪03年4月385万人に迫る状況。
・雇用調整助成金には失業抑制効果があるが、助成金がなかった場合、失業者がさらに72万6千人増、5.3%だった9月完全失業率(季節調整値)は6.4%。
・政府は失業給付切れがことし6月から12月まで最大93万人と推計。解雇など会社都合で離職し給付終了後から2カ月以上再就職できない人は23万人。
・季節調整済み失業率はことし7月に5.7%と過去最悪。

 ↓
 
 IT不況の煽りで過去最悪の雇用情勢となった03年、非正規雇用の拡大による雇用確保策として実施された製造業派遣解禁。それがリーマンショック以降、最大の労政課題に上ったことは皮肉としか言いようがない。

 昨年の派遣村の頃から雇用対策は焦眉の急であり続けているが、「過去最大」の何かが顕わにならないと対策への意欲が政治サイドから湧いてこなかったのが大変痛い。臨時国会マターには雇用対策はない。国会審議事項にせずとも打てる対策は相当あるのだが、そこへの政治的関心は表面化していない。

 緊急性のない郵政凍結法案や、目的は良いが即効性のない返済猶予法案への審議時間は作るのに、雇用不安に対する新政策(従来施策の継続も含む)を審議する時間は作らないのが、今の臨時国会の運営方針のようだ。政治が小出しにする側だが、国民は小出しにされる側でしかない。

 ただ、「過去最大」の何かがある以上、何らかの対策は講じられるはず。
「子ども手当は見直しを OECDの政策提言」について [2009年11月18日(Wed)]

 今日の共同通信によると、OECDは日本の経済政策に関する提言を発表、子ども手当について「目的と対象を再検討すべきだ」と、大幅見直し必要との見解を明らかにしたとのこと。

【記事概略】
・OECDグリア事務総長は「巨額の財政赤字を抱える日本には、少子化対策と女性の社会進出を両立させる一挙両得の対策が必要」と、一律子ども手当支給より保育所待機児童対策などに重点を置くべきとの考え。
・所得制限を設けない子ども手当には、巨額財源が必要な一方で少子化対策効果がどれだけあるか疑問視する見方。
・OECD提言は「教育は将来の経済的繁栄への戦略的投資だ」と、幼児教育と保育サービスの一元化を促した。

 ↓  

 OECDの言うことに従うことにはならないだろうが、耳を傾けるに値する話であることは間違いない。OECDなど信頼できる国際機関からの提言や報告を活用して国内政策に影響を与えようとする手法は以前から多い。

 この提言が、もしも国内の信頼できる筋からの提言であれば、かなりの影響力を発揮するだろう。OECD報告書は、国内での政策アセスメントに直結すれば、その役割を果たしたことになる。所得制限も待機児童解消も幼保一元化も、選挙前から強く指摘されている。

 少なくとも所得制限については、公平性だけでなく財政の観点からも真剣に検討すべきである。一律支給は、貰う側は喜ぶが、そうでない人々には不公平なバラマキにしか見られないのではないか。待機児童解消策としては、例えば、親の動線上のインフラ整備が強く求められる。その際、保育施設設置基準の規制改革論は再び脚光を浴びることになる。
「懲戒歴職員含め厚労省非常勤に 分限免職回避へ検討」について [2009年11月13日(Fri)]

 今日の時事通信によると、長妻厚労相は懲戒処分歴のある職員を含め再就職先が決まっていない社保庁職員を、年末の同庁廃止後に厚労省非常勤職員として採用するとのこと。

<記事要旨>
・来月に非常勤職員一般公募を数百人規模で実施。
・処分歴のある職員にも応募を認め、面接試験を経て採用可否。
・国家公務員法などには公務員身分保障が規定、内閣に分限免職回避努力が義務付け。
・同庁には分限免職可能性がある職員は600人、うち350人が懲戒処分歴。 

 ↓

 子会社の組織改編に伴う余剰人員を親会社が引き取るという話。“非常勤採用”とは工夫の顕れだが、天下り斡旋の抜け道として別の場面で活用されることが多くなる手法と同じ。分限免職は分限免職であって、それを回避しても良いのは人材の有効活用のためだということを説明できる場合に限定すべき。

 そうでなくとも公務員の身分保障は、今の時勢では強烈な非難の的になり易い。年金機構の当初予定通りの発足にしても、現実的対応だということでマニフェスト逸脱であっても寧ろ積極的に許容されるが、それは年金政策の前進でない。消去法の結果に過ぎない。

 人事政策は人事政策として仕切るのは良いが、最も関心の高い年金政策それ自体に明るい兆しは全く見られない。そこが一番重要なところ。年金政策を見る限り、旧自民党政権は勿論のこと、現民主党政権にも希望は持てないままだ。年金改革は、緊急的な長期的施策であることに変わりない。
「保育所:基準緩和見直しを要望へ 日本保育学会」について [2009年11月04日(Wed)]
 
 今朝の毎日新聞によると、日本保育学会は認可保育所の設置基準を緩和する政府方針について「国の保育責任を放棄することになりかねない」と反対する緊急アピールを公表したとのこと。

<記事要旨>
・政府は、自治体が条例で設置基準を決められるよう法令改正方針。
・待機児童解消の狙い。
・学会は、現行の子ども1人あたり床面積や保育士配置数を「最低基準」と位置付け「財政負担も含めてすべて地方行政の責任になれば、保育水準の自治体間格差は拡大し、保育の質の低下に拍車がかかる」。

 ↓

 国政の役割か、地方自治の役割か ―― この価値論争は保育行政だけでなく、およそ殆どの地方分権ないし規制緩和の話で必ず表面化する。保育所設置基準に関する規制改革(この場合は地方主権化)を厚労相・厚労省が方針として表明したということは、待機児童解消など相応の理由があるからに決まっている。

 それが妥当かどうか、又は実行するかどうかは、今後のパブリックコメントなどのプロセスを経て決まっていくと思われる。待機児童解消策として、今回提案されている設置基準の地方主権化が、想定される他の主な手法よりも優越していることの理由付けは当然あるはず。

 財政負担の問題が多分にあると考えられるが、規制権限と財政負担責任を適切に分担していくルール作りも検討されるべき。国が財政負担するから規制も国が所管する、というのをいつまでも続けていると霞が関のスリム化はいつまで経っても覚束無い。勿論、同時に地方行財政のスリム化も並進されなければならない。
「社保庁職員の「解雇」回避へ厚労相が4原則 自助促す」について [2009年10月29日(Thu)]

 今朝の朝日新聞ネット記事によると、新組織移行に伴い、社保庁職員の処遇をめぐって長妻厚労相が「4原則」を定めていたとのこと。

<記事要旨>
・来年1月に日本年金機構が発足する際に、年金記録「のぞき見」などで過去に懲戒処分を受けた社保庁職員は採用しない方針が閣議決定。
・分限免職職員が大量に出るため、厚労省政務三役は分限免職を避ける「4原則」をまとめた。(1)閣議決定は変更しない(2)分限免職回避の努力は最大限行う(3)あっせんではなく、公募で応募するのは自由(4)懲戒処分者は、厚労省で年金記録関係の業務はさせない。
・(1)と(2)は、すでに厚労相が表明。(3)は、機構が保険料納付督促などを委託する企業、社会保険労務士会に委託している年金相談センター、非常勤含む厚労省欠員補充への応募を想定。
・今月現在で分限免職対象は587人、うち352人は懲戒処分歴。処分理由最多は「のぞき見」で261人。処分を受けていない職員のうち191人は機構へ就職希望していない。

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 昨日も社保庁職員の処遇問題に触れたが、最終的には閣議決定内容を変更するしかないだろう。懲戒処分されるような行為をした職員が悪いに決まっているのだが、(安倍政権初期で流行り、途中であっさり忘れ去られた言葉でもある)『再チャレンジ』をさせても良いでのはなかろうか。

 当該職員の知識・経験をフルに活用して、新たな望ましい公的年金業務に就かせることが人材の有効活用にもなる。役人の民間への転籍には、昨今の不況もあってそれ相応の難しさがある。余程の職員でなければ、『更生』を担保した上で再チャレンジを認めるべきと思料する。
 
「再就職先に地方自治体も 社保庁分限免職で厚労相」について [2009年10月28日(Wed)]

 昨夜の共同通信によると、長妻厚労相は来年1月に社保庁が日本年金機構に移行することに伴い、分限免職の可能性がある社保庁職員数百人の再就職先について、自治体に採用してもらうよう働き掛けるとのこと。

<記事要旨>
・分限免職処分期限は12月末、再就職が決まった職員は数十人。
・官民人材交流センターあっせんも難航。
・自治体は国以上に職員数削減が進んで、成果が上げられるかは微妙。
・社保庁は、職員による年金記録のぞき見など不祥事が相次いだため昨年7月、懲戒処分歴がある職員を機構に採用しないことを閣議決定。
・長妻氏も閣議決定を踏襲。

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 まさか地方分権時代だからとの理由ではないだろうが、社保庁から自治体への転籍斡旋という方法は、成否以前の問題として禍根を残す。分限免職とは普通のリストラとほぼ同義だが、本件は不祥事役人の再就職を大臣が面倒見ているとの大きな誤解を招く。

 その説明でまた時間を取られるのも愚かしい。有用な人材を活用する観点から、年金機構に全員再雇用するのが最善の修正軌道になるのではないか。“暫定措置”という理由付けが手っ取り早い。実際、役所の人事は“暫定措置”の連続である。年金機構の本務が円滑化すればそれで良い。

 年金不祥事問題の肝は、その早急な解決である。延べ何万人を動員して数年間で記録照合という路線は修正されるべき軌道ではなかろうか。本件を最終的に解決するには、『賠償』的手法しかない。穴だらけのバケツで水を汲んでも稼がれるのは浪費された時間だけとなる。
「後期医療の保険料、1割増と試算 10・11年度」について [2009年10月27日(Tue)]

 昨夜の朝日新聞ネット記事によると、厚労省は後期高齢者医療制度の来年度からの保険料が、09年度に比べて10.4%増えるとの試算を明らかにしたとのこと。

〔記事抜粋〕
・09年度保険料は全国平均で年額6万2千円。6448円増える計算。
・負担増を抑えるため保険料上昇分の国庫補助を検討、来年度要求では金額を入れない事項要求。
・都道府県ごとに設定される後期医療保険料率は2年ごと改定、来年4月に10・11両年度分が決まる。
・試算は、08・09両年度と比較すると1人当たり医療費が3.2%増、現在1割の後期高齢者負担割合が2.6%上昇。
・長妻厚労相は「財政当局との交渉で、出来る限り保険料負担の増加を軽くしていきたい」。

 ↓
 
 後期高齢者医療制度は、よくよく見ると、後期高齢者人口が増えると自動的に後期高齢者保険料が増えるシステム。小泉政権下で決められた医療費抑制策の集大成のようなものだが、他の妙案が見つかっていない。

 コストのかかる人手以外の何かを活用するなど、それを産業化していくような仕組みを考案し、任意の資金循環を起こしていくべき。同時に、『財源』も不可欠。“霞ヶ関埋蔵金”だけでは足りない。すぐに枯渇する。

 福祉とは無関係の場所から潤沢な資金を発掘していくことを考えたい。税金の使途が必要なものはたくさんある。
「住民税扶養控除に廃止論 総務省「増収6000億円、地方負担も軽減」について [2009年10月24日(Sat)]

 今朝の日経新聞によると、民主党がマニフェストに記した所得税扶養控除廃止を巡り、10年度税制改正で住民税扶養控除も廃止すべきだとの意見が政府内で浮上してきたとのこと。

【記事要約】
・扶養控除は扶養親族1人あたり所得税で38万円、住民税で33万円。
・民主党は子ども手当を創設する代わりに、所得税扶養控除廃止を公約。
・住民税扶養控除も廃止すれば、子ども1人あたり年3万3000円増税。
・成人扶養親族を抱える場合、子ども手当を受け取れないため負担増。
・住民税についてはマニフェスト記述なく、衆院選前に「廃止しない」と説明。
・総務省政務官が「地方税だけ控除を残すと実務上問題がある」。
・財務副大臣は、住民税控除廃止で地方収入増加6000億円を子ども手当財源に充てるよう主張。
・総務省は「(控除の廃止が)子ども手当の財源としてならば不本意。別に議論すべき」。
・「国が一律で決めたものにカネだけ出せというのは納得できない」(全国市長会会長)。
 
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 住民税の扶養控除を廃止する理由の一番地に、行政実務上の問題を据えるのは全く戴けない。あくまでも、地方税の在り方に係る政策理念を前面に押し出すべきだ。役所の事情による減税廃止であって、国民目線ではないと思われてしまう。

 子ども手当が創設されることはまず間違いないだろうが、マニフェストに掲げた総額5.3兆円(全員一律2万6千円の場合)に拘るのではなく、“事業仕分け”に掛らしめて歳出額を圧縮するための工夫をしてみるべきではないか。

 そうすれば、地方負担の有無ではなく、所得制限による支給総額低減など制度合理化が必然となろう。国だろうと地方だろうと、税金は税金である。
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