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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


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石川和男(TKFD研究員)
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最新記事
来年半ばに消費税案 〜 政府与党基本方針 [2010年12月12日(Sun)]

 昨日の東京新聞朝刊によると、政府与党は社会保障改革検討本部で消費税を含む税制抜本改革案を11年半ばまでにまとめる基本方針を決めたとのこと。

【記事抜粋】
・この方針を年内に閣議決定。
・基本方針は超党派協議機関設置を目指す。
・見直し税制導入時期は「国民的な合意を得た上で実現を図る」。
・税制改革目的は社会保障財源の安定的確保と財政健全化を同時達成。

 ↓

 非常に重要なテーマであるにもかかわらず、誰の耳目を集めていない官邸諮問機関の一つによる提言。詳細は政府資料を参照されたい。前政権での提言の焼き直しであるかどうかは内容を見ればすぐに判る。

 既にやることは決まっていた。あとは、いつやるかだけであった。それが政権交代でまた一から検討を開始したという形を取った。どの政党が政権を担当していても構わないので、早いうちのこの内容の制度を建立すべきだ。

 ただそれだけのことである。
会計検査院09年度報告 〜 税金無駄遣い1兆7904億円 [2010年11月07日(Sun)]

 一昨日の東京新聞ネット記事によると、会計検査院は09年度決算検査報告を提出したとのこと。

【記事概略】
・税金無駄遣い指摘は979件、総額1兆7904億円。前年度2364億円の7.5倍で過去最高。
・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に1兆2千億円の余剰金国庫返納を求めたことが増加の最大要因。
・整理回収機構に回収業務で得た1837億円を国庫納付するよう求めたり、畜産関連11公益法人の基金で404億円の余剰金を指摘。
・特会の検査では、08年度に一般会計から7特会繰入資金のうち1623億円分を過大と指摘。

 ↓

 予算編成より決算監視の方が重要になってきているという話。今の財政事情であれば当然のこと。事業仕分けとは異なる意味において、会計検査院の機能は今後最も強くしていくべきものの一つ。

 「無駄遣い」の概念は、会計検査院の指摘として従前から設定されているが、事業仕分けのそれとはかなり異なる。実務上、議員による仕分けは、官僚どうしの会計検査とは全然違うもの。

 政権交代によって事業仕分けが登場したが、会計検査機能の強化の議論は下火よりも小さい。国会・決算委員会の機能強化は更に見えない。事業仕分けと決算委の権能を同時拡大していく必要がある。
財務省、独自の財源案提示へ 〜 ナフサ免税見直しも [2010年10月23日(Sat)]

 昨夜の時事通信によると、財務省は11年度税制改正で最大の焦点となっている法人減税に関し、減税分を補う代替財源の独自案を政府税調に提示するとのこと。

<記事概略>
・財源案は繰越欠損金や減価償却の見直し、ナフサ免税措置(3兆7000億円)など。
・法人税は、経産省が40%実効税率を5%引き下げる要望。税調は「ペイ・アズ・ユー・ゴー原則」に基づき、同省に財源や政策効果を示すよう求めている。
・与党内には「(環境分野などに)ターゲットを絞った投資減税もあり得る」(玄葉政調会長)。
・地方税を含め「最大2兆4600億円」の財源探し。ナフサ免税は租特最大規模。

 ↓
  
 財務省が表立って堂々と持論を主張するようになるのは、大きな進歩である。財務省も、査定官庁から提案官庁に脱皮すべきである。予算・税制の中身は、国民生活や企業活動を政策目的に合致するかどうかは別だが、簡単に動かす。

 税制改正案を巡る政府内攻防の終盤戦で、財務・総務両省から国税・地方税の租特に係る“縮減提案”がなされる。これは水面下の話だが、水面上で縮減提案をするようになれば、毎年の税制改正案に関する国民的関心も徐々に高まるだろう。

 税制中立原則は、机上の計算でやろうと思えばできなくもない。実態とはかなり乖離がある。租特にまつわる最大の課題は、減税規模の積算の不透明性にある。要求する側も査定する側も、そこら辺りのことも清濁併せ呑むことになっている。

 全ての入りと出をきっちりとすることは事実上不可能であるからこそ、透明化が最重要となる。法人減税を環境投資減税で代替するというのは、法人減税要求規模に見合う環境投資減税規模を作ることと同じ。これは机上での積算項目の話。
法人税減税対象限定も 〜 国家戦略相 [2010年10月17日(Sun)]

 今日の読売新聞ネット記事によると、玄葉国家戦略相は法人税引下げについて、環境分野の設備投資など対象を限定した措置を検討すべきとの考えを示したとのこと。

【記事要約】
・「単純に(税率を)5%下げるやり方と、ターゲットを絞って大胆に投資減税をしたり、償却を大幅に認める減税もあり得る」。
・5%引下げによる税収減は1兆円以上。
・海江田経財相は「たくさんの租税特別措置があり、課税ベースが非常に小さい。もう少し多くの企業に法人税を払ってもらい、これまで払っていた企業は税率が下がる(形にしなければならない)」と、課税ベースを広げて税率を引き下げるべきとの考え。

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 租特法改正だけで間に合わせられるかもしれないという話。減税総額を机上で計算すれば、省エネ投資減税だけで十分にいける形を作ることは可能。法人税法本則改正よりも許容され易い。答弁大臣も違う。

 それだと結局、いつまで経っても我が国の法人税率は高いと言われ続けることになる。それは仕方ない。在外企業の誘致にも説得力はなくなる。省エネ設備を投資しながら参入する在外企業はいないだろう。

 課税ベースの拡大は本来的な姿にするという点で本当はいつでも挑まれるべきこと。租特が多いから課税ベースが低いとは思えない。そもそも課税されていないと解する方が自然ではなかろうか。“税制中立”を期待すると、凝った制度になってしまう。
UR検討委 〜 完全民営化など3案 [2010年10月05日(Tue)]

 今日の毎日新聞ネット記事によると、独立行政法人都市再生機構(UR)のあり方を議論してきた国交省検討委は、(1)完全民営化(2)政府100%出資の特殊会社(3)新タイプの公的法人−−の3案にまとめたとのこと。

〔記事概要〕
・14兆円負債返済に国費を使わない案は(2)か(3)。
・関連27社に332億円(09年度末)ある利益剰余金の返納を求めた。
・馬淵国交相は「独法は収益最大化の動機に欠ける。新公的法人、特殊会社の2案は一定の公的関与の下、効率的運営を目指しており、報告書をふまえながら検討」。
・報告書は▽UR賃貸住宅の管理をやめれば高齢者などの居住の場がなくなる▽賃貸住宅を処分しても債務完済は不可能−−と、機構の即時廃止は厳しいとした。

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 UR分割案は優先的に思考されなかったのだろうか。組織全体として民間企業並みの採算性が取れない官製法人を改革していこうとする場合、政策的哲学をどうするかを明確にしないと、個々の収益源の成長機会を逸してしまう。

 組織全体を完全民営化するには相当のリストラを実施しなければならないので、当面は不可能に近い。しかし、独立採算部門を分離して納税事業体に昇華させていくことは十分にあり得る話。

 債務返済原資は一定期間を以て完全民営化会社から調達するのは当然だが、官製法人版の更生法スキームを用意すべきである。何でもかんでもなくすのはどうかと思うが、何でもかんでも形を変えただけの存続では、もっといかがなものか。
発電施設の設置 〜 交付金の使途拡大 [2010年09月19日(Sun)]

 今朝の日経新聞によると、資源エネルギー庁は発電施設設置を受け入れた自治体に配る「電源立地地域対策交付金」の使途制限を緩めるとのこと。

【記事抜粋】
・交付金の使い勝手を高め、発電施設設置を受け入れる自治体を増やす狙い。10月から実施。
・同庁が通達変更。交付金で建設した施設用途を途中で変えたり、一般事務職員人件費も交付金で賄ったりできるようになる。
・原発などを受け入れる自治体は、国の交付金で公共施設を建設し、住民サービス向上や雇用創出。

 ↓

 ようやくそこまで来れたという話。以前ならば交付先も交付元も理由付けの説明が困難であるなどの理由から使途制限緩和については、困難な理由を挙げることに終始していた感が強い。

 民主党政権になって、逆に実現性には疑問符が付けられてしまっているいわゆる一括交付金化に相通ずる政策思想である。留意すべきは、法律事項ではなく通達事項だという点。

 税金の使途変更なのだから、建前上は法律改正など国会審議事項にすべき。こういう非常に重要な部分が国会審議事項になっていないことは、行政の効率性と評価される一方で、民主党政権が目指していた政治主導という舞台は必要とされない。

 それはそれとしても、政策目的の置き方一つで交付金の使途制限が緩和できるとしたら、他の補助金・交付金の類への波及も考えておかなければならない。電源立地交付金だけ例外的に許容するか、先進的事例を位置付けるか。もっとも、答えは決まっている。

年金保険料 〜 国税庁 強制徴収へ [2010年09月17日(Fri)]

 今朝の東京新聞によると、 厚労省は年金保険料悪質滞納者対策として強制徴収の一部を国税庁に委任するとのこと。

【記事抜粋】
・昨年度国民年金保険料納付率は過去最低59.98%。
・徴収業務は処理困難事案の滞納整理を担当する各国税局特別整理部門が行う。
・対象は最大で年間数百件。
・対象は、国民年金では「滞納期間が2年以上」で「本人か家族など連帯納付義務者の直近の年収が1千万円以上」の加入者個人、厚生年金では「滞納2年以上」「滞納額1億円以上」の事業所。

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 当初は相当苦労するだろうが、時間の経過とともにノウハウを共有するようになれば、組織改革法の意義もあるというもの。看板の掛け替えではない部分がようやく現出することになる。

 細かく見れば実質的な業務の種類は徴税と保険料徴収では全然違うようだが、国民から見れば誰におカネを取られるかの違い。組織改革は人事面でも新しい風が吹く可能性があるので、内部的には面倒がかかることもある。

 国税と地方税の納付先が異なるのだけでも納税者からすれば面倒。将来的に一つの手続で税や保険料など納付金を一本化されれば、納める側も徴収する側も、かなり合理化されるはず。
 
消費者庁 〜 発足1年 進まぬ縦割り解消 [2010年08月30日(Mon)]

 今日の毎日新聞ネット記事では、9月1日で発足から1年を迎える消費者庁について報じている。

〔記事要旨〕
・「死人も出ていないのになぜそんな調査をするのか」。トヨタ自動車リコール問題を受け、消費者委幹部がリコール制度を調査しようと国交省を訪れると、同省幹部は激しく抵抗。
・こんにゃくゼリー窒息事故を防ぐ法律や所管官庁は存在せず、消費者庁の役割の一つがそうした「すき間事案」への対応。消費者庁はゼリー形状などを規制しようと模索するが、厚労省が「規制をすることは難しい」。食安委が「我々に諮問すべきだ」。
・「消費者庁は全党一致で設置が決まったのに、発足した途端、政治に見放された気がする」(阿南久全国消費者団体連絡会事務局長)。
・消費者安全法は事故情報通知を義務付けており、22日までに各省庁や自治体から2141件の事故情報。これら情報を分析し、消費者庁が再発防止に向けて注意喚起ができたのは3件。同庁幹部は「事故情報の定義が厳格過ぎるため、有用な情報が集め切れていないことが一因」。
・ライター火遊びによる火災は毎年全国で2000件発生しているが、消費者庁には事故情報として通知されていない。
・乳児が車のパワーウインドーに挟まれて小指を切断した事故。総務省消防庁に報告したが、同庁は消費者事故扱いにせず消費者庁に通知しなかった。
・消費者安全法では、通知する消費者事故にあたるかどうかの判断は各省庁や自治体に任されている。

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 消費者庁発足以前からの懸念は全然払拭されていないという話。消費者行政の推進という消費者庁及び消費者委員会の発足趣旨は良いとしても、現行の権限・人事の配分のままでは、記事のような事態は今後も解消されないだろう。

 供給者(企業など)目線か、需要者(消費者など)目線か、などと論じ合われながら発足した消費者庁及び消費者委員会。その問題設定そのものが行政機関の新設や権限の集約とは何の関係もないということは、設置法成立までの過程では思い切り無視された。

 ただ設置されれば良く、それが特定の人々を自己満足させたに過ぎないと思われても仕方がない。隙間事案だけに政策資源を集中させるべき。各省庁で従来から行われていることに口出ししても、結局はこの記事のようなことが更に増えるだけだろう。

 その意味においても、余分な権限は全て各省庁に返戻した方が全員のため。せっかく設置したのだから、畏怖と尊敬を集める行政機関に昇華されたい。
他省庁事業への交付金転用容認 〜 自治体判断で [2010年08月20日(Fri)]
 
 今朝の共同通信によると、国交省は本年度創設した自治体向け社会資本整備総合交付金(予算額2兆2千億円)の使い道を来年度から国交省所管事業に限定せず自治体の判断で他省庁事業に転用することを認めるとのこと。

【記事要約】
・対象は駅前再開発に合わせた厚労省所管の保育所整備などを想定。
・自治体の自由度を高め事業を効率的に進めるのが目的で、予算編成までに関係省庁と転用範囲などを詰める。
・新たな交付金の仕組みは、国交省が配分を決める枠組みは残しながら、国交省事業と一体性があり自治体計画に位置付けられていれば、他省庁所管事業でも使えるように交付金の運用基準を定める。

 ↓

 運用基準がより開放的なものになれば大変結構な話。国交省が他省と自治体から陳情・感謝される機会が飛躍的に増える。国交省がこうした“予算開放”を始めるとなれば、他省にとっては同じことをしない理由付けの方が難しくなる。

 国交省にしてみれば、他省への開放によって予算減額圧力が減る可能性もある。他省でも、同様の措置を講ずるとなれば、やはり同様。役所間の貸し借り関係が複雑多岐になろうが、自治体の予算執行面で少しでも合理化の効果が発揮されれば良い。

 運用基準を徒に詳細に決めるのは得策ではない。理想的には、こうした動きが各省で出てくるようになると、財務省主計局の機能は大枠の「集中と選択」に特化できることになるはず。
年金積立金取崩し 〜 国庫負担2.5兆円不足 [2010年08月05日(Thu)]
 
 今朝の東京新聞によると、11年度予算編成で基礎年金財源として約123兆円の年金積立金を取り崩す案が浮上とのこと。

〔記事概要〕
・09年度から基礎年金は給付費21兆円の2分の1を税負担。
・09、10年度は財政投融資特別会計「埋蔵金」でしのいだが、11年度は不足財源約2.5兆円をどう捻出するかめどが立っていない。
・政府は厚生年金と国民年金の積立金を最大2.5兆円取り崩し、国庫に貸す形を検討。
・同様のやりくりは過去にも行ったことがあるため、「理屈は通る」(厚労省幹部)。

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 年金積立金取崩しと消費増税の二者択一を迫っている政治メッセージなのだろうか。2.5兆円もの巨額財源は、短期間の事業仕分けでは到底捻出できない。増税か巨大基金の活用しかない。年金積立金はさすがに“埋蔵金”とは呼べない。

 子ども手当と高校無償化と高速道路無料化を中止すれば、2.5兆円には若干届かないものの、他の財源転用で賄い切れる程度の現実的な金額となる。年金給付を削減するか、他の民主党マニフェスト政策の財源を削減するか。

 答えは自明のはずだが、そこに踏み切る英断を今の与党ができるとも思えない。完全ねじれがどう機能するか、大きな試金石となる。民主党マニフェストの自縛作用に対して、民主党が自浄作用を発揮できるかどうかにかかっている。
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