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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


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石川和男(TKFD研究員)
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日弁連 〜 面談や報酬明示を義務化 債務整理で規制強化案 [2010年07月16日(金)]

 今朝の東京新聞ネット記事によると、過払金返還請求などめぐって依頼者との間でトラブルが続発しているとして、日弁連は努力目標としていた「依頼者との直接面談」や「広告での報酬などの明示」を義務化し、違反弁護士は懲戒処分とする規制強化に乗り出すとのこと。

〔記事抜粋〕
・既に一部弁護士から「事実上業務を束縛し、自由競争の機会を奪っている」と反発。
・テレビCMを通じて依頼者を積極勧誘し、面談せず電話受任する現状に「債務者の生活再建よりビジネス優先」と批判。
・日弁連は昨年、依頼者とは原則直接面談し、意向を尊重するよう求める指針を策定。
・今年3月から「直接面談」を「直接かつ個別の面談」、広告も「弁護士費用や受任の際の直接面談を表示するよう努める」。

 ↓

 自由競争の機会を奪うことを生業としている集団もいるのに、という話。業界として相対的矛盾子を内包しているのは弁護士業界だけではないが、本件即ち貸金業規制との絡みで考えると、その主張に大きな矛盾がある。

 理屈として変なのでみっともない。指針に効力を期待できないことは、策定当時から分かっていた。自主規制が機能しないために最終的に公的規制が登場することになるのは、貸金業界にはもろに当てはまったことだ。

 弁護士や司法書士がビジネス優先になることを批判してはいけない。サービス業である以上、利益追求は当然のことである。問題は、他人はダメだが自分たちに適用されることに自由競争の阻害を理由としている点。

 結局のところ、真っ当な弁護士や司法書士には甚だ迷惑な事態が訪れることとなろう。過ぎたるは猶及ばざるが如し、の典型例となる。過払金返還事務についての報酬規制は自業自得。
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コメント
電話やメールで頼めないなら地方の人は困るでしょ。
地方の弁護士過疎はまだまだ深刻なんですから。
消費者の選ぶ権利を奪う日弁連なんかなくなればいいのに。
Posted by:俊介  at 2010年07月20日(火) 23:01
ちなみに、金利上限規制により、相対的ハイリスクの借り主に資金が回らないという問題と、総量規制の結果、闇金に走るヒトがもっと多重債務に陥るという問題は別問題です。後者の闇金問題の解消は、きわめて簡単で、闇金との金銭消費貸借契約を、民法90条違反ですべからく無効とし、その立証事項を「貸主が無登録であること」に限定してしまえばよいのです。ちょっとした特例法を作って裁判官の背中を押してやる方が良いとは思いますが、立法がなくても解釈論でできます。五菱会事件の最高裁判例を踏まえれば、ほんの一歩先に解釈論を進めるだけでできます(大阪府の橋本知事が眼をつけているのもこの点ですね)。
前者の資金配分の問題は、合理的な上限金利水準をいかに「実証的」かつ「機動的」に設定できるかということと、一律ではなく、必要とする資金の取引条件について、規律の実効性を維持しつつ(ここが重要)多様性を確保できるかが問題で、行政的規制にはなじまない分野です(特に、事前の参入規制の課せられる業態では、難しいかと)。
Posted by:コンスタンチン  at 2010年07月19日(月) 11:56
今回の過払いバブルは、民間の経済取引過程における「悪貨」を駆逐する法的仕組みとしては、成功例であると思います。結果として、悪徳貸金業者を行政機関のコストを上げることなく市場から排斥することに成功している訳ですから。今回の過払いバブルに踊ったレベルの低い弁護士や司法書士は、さしずめ西部劇に出てくる悪徳賞金稼ぎのようなものです。毒をもって毒を制すということです。
Posted by:コンスタンチン  at 2010年07月19日(月) 11:46
これ、民事法律扶助制度(法テラスを通した業務)の義務化も含まれると思われます。指針でそうなっているからです。そうなると、債務整理はもはや不採算部門になり、債務整理は時間が余った弁護士がボランティア的にやるだけになるでしょう。広告で集客する単価のほうが法テラスの公定価格を上回ってしまうからです。

もちろんテレビ広告なんかもなくなるからほとんどの人は債務整理という言葉にもなじみがなくなり、どこに相談していいかもわからなくなる。要するに逆戻りです。

そうして、全国数百万の多重債務者は放置される。

結局漁夫の利を得るのは過払い返還請求が来なくなるサラ金というところが皮肉です。

士業もビジネス優先は当然だと思います。市場経済ですから。
市場がうまく機能してこそ良いサービスも提供されるのです。
規制をすればサービスが提供されなくなり困るのは消費者側ですよ。

士業が許可制になっているのは単に技術的理由です。
多くの業務は企業法務をはじめ営利目的でしょ。だからこそしっかりとした業務がなされるのだと思いますよ。
Posted by:さざ波  at 2010年07月18日(日) 18:40
石川さん 今晩は。

物事を単純かつ明快に極め付けること自体に、私には全く異論はありません。

引用【弁護士や司法書士がビジネス優先になることを批判してはいけない。サービス業である以上、利益追求は当然のことである。】
然しながら、この件りは、弁護士や司法書士などの士業は社会正義や社会秩序を宗として法律が特別の制限と権限を享受させている例外的な領域だと規定すると、一般事業では当然の目的であるビジネス優先(より直截には「利益優先」)を士業に当然のこととして当て嵌めるのには、強い違和感があります。

古来「恒産なければ恒心なし」と言います。社会正義や社会秩序の維持進昂という重い責務を担う以上、高い社会的尊敬と相応の金銭的豊かさは当然に購(あがなわ)われるべき対価だと断言します。従って、法曹界のルールがこれらを担保することには違和感はない(※注)。
しかし、このことは、法曹界に「ビジネス優先」や「利益追求は当然」を蔓延らせて良いとは全く相容れないことだと思います。

(※注)私の経験上、現実の士業の仕事内容には社会正義や社会秩序などの高邁なものではない極めて事務的処理で済んで仕舞うものも少なくはない。過払金返還請求などは真にこの部類に属する。法曹の報酬体系は、社会性の影響度によって体系が大きく分けらることが合理的だと。
また、法曹界全般が「高い社会的尊敬」を得るには、現代的な改革(21世紀的にとは言いませんが)を必要としていることも忘れられるべきではないでしょう。
Posted by:CrazyDog  at 2010年07月17日(土) 20:52