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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


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石川和男(TKFD研究員)
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過払い利息返還の問題点 〜 SankeiBiz・論風 [2010年04月15日(Thu)]

 今朝のSankeiBiz・論風に「過払い利息返還の問題点 金融・法曹とも規範ある市場を」というタイトルの拙稿が掲載されましたので、御参考まで(下記に全文)。

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 2006年1月の最高裁判決を機に、「過払い利息」の請求が激増した。消費者金融や信販など貸金業者が支払った過払い利息総額は、06年以降で2兆円に上る。過払い利息の請求を代行する弁護士や司法書士への巨額の報酬が生み出され、法曹人口の増加で過当競争化する法曹サービス市場を潤す。

◆“過払い報酬”規制の効果は?
 銀行も貸金業者も金融サービス業である以上、過剰与信は許されないが、通常の場合は信用リスクその他の諸コストを勘案した一定の収益確保を予定しなければ民間事業として持続的に実施できない。同様に、弁護士も司法書士も法曹サービス業である以上、人件費や手数料など諸コストを踏まえた一定の収益確保を見込まなければ、民間事業として円滑に実行できない。
 この場合、こうしたサービス業者が顧客との関係で、十分な理解と納得感を伴う顧客の承諾の上で契約を交わしているかどうかが非常に重要だ。それが不十分のままでは、後々大きな問題になる。実際、そうなっている。
 現行の出資法に基づく上限金利の範囲内で顧客が承諾して契約を結んだのならば、利息制限法を超える金利帯での利息であっても従前の貸金業規制法上の「みなし利息」について、一律に過払い利息という名の“不当に高い利益”とすることが妥当なのか。他方、弁護士らには報酬規制はないが、顧客が承諾した上で契約を結んだのであれば、比較的高いと思われる報酬額であっても、それを不当に高い利益ということができるのか。
 銀行や貸金業者には、利息制限法ないし出資法という報酬規制が以前から課せられている。よって、その範囲内であれば不当に高い利益という概念は本来、発生し得ない。
 一方、報酬規制のない弁護士らにおいてはそれぞれの弁護士ら、ひいては法曹サービス業界全体による相当の自重がなければ、不当に高い利益という概念が発生し得る。
 日本弁護士連合会や日本司法書士連合会が“過払いバブル”ともいわれる過払い利息の請求にかかる“特需”にまつわる一部同業者の高額報酬を問題視し始め、指針の策定に動き出しているのは明らかにその証左だ。
 過払い利息の請求において、それを代行する弁護士や司法書士が常識外れの高額報酬を得る事案が続発するならば、あたかも貸金業者への過払い利息のように、その報酬が弁護士らへの“過払い報酬”となる日がくるだろう。それぞれの弁護士ら、あるいは法曹サービス業界全体の自浄作用に任せるべきなのか、それとも報酬規制を導入すべきなのか。それが今、問われている。法的拘束力のない業界指針を順守する弁護士らがどれほどいるというのか。日弁連は先の指針を会則に格上げし、違反者を懲戒できるようにする方向で検討し始めたようだ。しかし、これも法的規制ではないため、その抑止力は甚だ疑わしい。

◆法的規制も必要に
 一部同業者やヤミ金融の不法行為のあおりを受け、近年の貸金業市場では健全な資金需要者とそのための資金供給を行えたはずの真っ当な貸金業者も屠(ほふ)られ続けている(貸金業者数は07年3月末の1万1800→09年12月末4500、貸付残高は07年3月末の43.7兆円→09年3月末37.8兆円)。同様に、一部同業者の脱税や常識外れの高額報酬などのモラル欠如が改まらなければ、良質な法曹サービスを提供している弁護士ら、なかんずく従前から多重債務者対策に心血を注ぐ弁護士らやその顧客が甚大な迷惑を被るだろう。
 金融、法曹両サービス業とも、顧客ニーズに適応した規範ある市場が再構築されなければならない。そのための法的規制の在り方を政治・行政レベルで改めて論じるべき時機にきている。身内に甘いと思われてはいけない。

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