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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


解読困難な法律案だという惨状はいつまで続くのか [2010年02月20日(Sat)]

 昨日閣議決定された国家公務員法等の一部を改正する法律案(法案骨子、要綱、法案本体、新旧対照表)は、下記添付ファイルの通り。


kossi.pdf

youkou.pdf

honbun.pdf

sinkyu.pdf
 

 解読困難ないし不可能な文面ばかりであるが、これが我が国の国会提出法案の実情である。こういった国民を見下したような政治・行政の慣行こそ、真っ先に事業仕分けの対象にされるべきだ。どんな専門家も、この法案を単体だけで理解することはできない。

 給与体系を改めずに次官・局長・部長を同格化するのは、責任と報酬が見合わないことを宣しているようなもの。非常に不可解な行政組織論である。今回の改正案は第一弾に過ぎず、給与法・労働基本権など残存懸案事項の改正を第二弾として次期通常国会に提出すると決意表明しているのは良いことだが、選挙前なので支持母体である官公労などの支持が得られないことを恐れていることを図らずも曝け出した形になってしまった。

 一瞬話題に上った次官存廃に係る条項は、附則第9条第1項として「政府は、この法律による幹部職員の任用に関する制度の創設の趣旨を踏まえつつ、議院内閣制の下、国家公務員がその役割をより適切に果たす体制を整備する観点から、事務次官その他の幹部職員の位置付け及び役割について検討するものとする。」とある。

 この条文の主語である「政府」とは行政府のことで、言わば霞ヶ関を指す。霞が関から猛反発を喰らっている次官存廃の検討を霞ヶ関に委ねること自体、そもそも大間違い。政治主導になる訳がない。主語を「国」としないといけない。そうすれば、少なくとも形式上だけでも、立法府(や司法府)も含まれるので政治主導(=国会議員主導)になり得る。

 ただ、附則に規定されているので、霞ヶ関の反発はあるだろうが、一応近い将来において検討対象になっていることが法律として規定されることになる。問題は、マニフェストで掲げた「国家公務員総人件費2割削減」である。給与法体系の見直しを強く決意しているのであれば、次官存廃論と同様に附則に規定すべきであったが、そうなっていない。国会で修正できるかどうか、民主党の本気度はそこでも問われることになる。野党にしても、そこを攻め所にできるかどうかが問われるだろう。
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コメント
石川さん 今晩は。

引用【支持母体である官公労などの支持が得られないことを恐れている・・】
自由主義下にある経済大国の政治が、官公労であれ連合であれ労働組合的発想に影響されていることが、私の非常に強い不安感を掻き立てています。

最近の主張を観ても、彼ら労組には国家が主軸とするべき「大きな国益」の視点が皆無である。現在の経済状況下でなら短期的かつ短視的な最低生活の補償などSafetyNet充実の政策は実施し易くなるので、其れは其れで意味を全否定する積りもない。
然しながら、政権と与党が彼らと与する限り、この国の長期戦略など展望が開けないのは明らかであり、時として愕然と身が竦(すく)む想いがする。

メディアが操作して造り上げる「歪んだ民意」といい、狭い発想しかない支持団体の「偏狭で歪んだ主張」といい、共通して「歪んだもの」に流される政権を、国民は如何にせん!!
未だにこの国の政治には、有るべき「志も覚悟もそれらを支える熱さ」もなく、小賢しい。
小沢さんの「政治家には選挙が全て」という現実主義が安直かつ過剰に出過ぎて、既存の支持団体に阿り、国民全般を蔑にしているのではなかろうか?
細部は兎も角として、大きな政治の構図は旧政権時代の構図に接近しつつあると観える。違いは、嘗ての「悪しき老練」と今の「未熟」だけか。
Posted by:CrazyDog  at 2010年02月20日(Sat) 20:02