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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


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石川和男(TKFD研究員)
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グレーゾーン金利廃止後 [2007年02月12日(Mon)]
 朝日新聞(07/2/12朝刊)「きょうの論点:グレーゾーン金利廃止後」では、グレーゾーン金利廃止後に従来の利用者はどうなるのか、新たな融資の仕組みは必要なのか等について、「政府系金融で安全網作れ」と題する筆者のインタビュー記事が掲載されているので、以下に引用しつつ補足説明を加えておく。

−−−無担保の消費者金融市場は20兆円規模と推計。その多くは利息制限法を超えるグレーゾーン金利で貸付け。

 消費者金融専業で11兆円、信販・クレジットのキャッシング部門で9兆円、合計20兆円という計算。

−−−政府は消費者金融5社以上から借りている200万人を「多重債務者」と位置づけているが、私は2社以上で多重債務と見なすべきだと考えていて、その場合は800万人。

 「5社以上」に限定することに合理性は見出せない。“多重”の意味を安全網措置という視点から考える時、「5社以上」ではなく「2社以上」でなければ納得性は高くないと考える。

−−−消費者金融は、給料日前など一時的に不足する資金を借りるには有用で、サラリーマンであれば利息制限法の範囲内の年18%(10万円から100万円)で借りられることも多い。

 利息制限法の範囲内のリスクでは受信できない人が相当多い。信用収縮の懸念はそこに起因している。現に新規・追加貸付の取止めと回収のみ対応の動きが急増しつつあるようだ。善し悪し両論あるが、信用収縮は確実に起こっているとの声が出始めている。その善し悪しは問われていない。どちらも非常に言い難いだろう。どちらも矛盾が直ちに露呈する。揚げ足を取るのではなく、所要の対策を打っていくことが最重要だ。時既に遅しなのである。

−−−問題は長年にわたって借り続ける「根雪ローン」の人たちで、多くがグレーゾーン金利を払い続けている。消費者金融にとって、返済が滞らなければ安定した利息収入が入るため、元本の返済を強くは求めてこなかったようだ。

 多重債務・過重債務問題は金利よりも元本に問題の本質があるだろう。ここに適切な倫理感を注入できる環境を作ることが第一義的な課題だと思う。

−−−グレーゾーンの廃止により、この根雪ローンの部分で返済が求められると、その総額は何兆円にも上る可能性がある。

 所要の情報が把握ないし開示されていないため、正確な数字は分からない。正確には分からなくとも可能性が極めて高いことが容易に想定できる状況下では、安全網はやはり必須である。

−−−返せない人は破産や民事再生などの債務整理をすればよい。破産を理由に解雇されることはない。しかし、日本人は破産を避けたがる傾向が強く、増えたといっても破産の申請は年間18万件程度で、多重債務者の一部に過ぎない。

 “破産”という言葉の響きに偏った感覚を持っている人が少なくないようだ。破産者数は多重債務者数よりも一桁小さい。そこに大きな問題がまた一つある。

−−−困った人は生活保護で救うことができるかもしれないが、一方で生活保護の給付を引き下げている時に消費者金融から借りられなくなった人に回せる資金は限られる。都道府県の社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度は低利だが、それは行政が税金で元本を出しているものなので、予算には限度がある。既存の制度では救いきれない人たちのための安全網が必要だ。

 既存の資金安全網は必要相当に巨大な規模に上っている。これを更に増額できるのであればそれに越したことはないのだろうが、実際はそうではない。そこに新たな“民間資金の流れ”を創出する必要性が歴然と存在している。

−−−そこで、グレーゾーン金利で借りられなくなった人のために、政府系金融機関を利用した新制度を準備しておくことを提案したい。

 「新制度の準備」に過ぎない。何も財政負担は生じない。緊急時対応とまではいかないが、仕組みを準備しておくことは迅速な対応を円滑にするはずだ。

−−−住宅金融公庫が住宅ローン債権を民間の銀行や信用金庫などから買い取る手法と同じように、政府系金融機関が新制度にもとづく民間の消費者ローン債権を買い取り、これを証券化して投資家に売る仕組みだ。

 信用補完措置を加えて記述されていれば更に分かり易かっただろう。これにより、民間資金の流れを創り出すことができる。その資金の中には、機関投資家のだけでなく一般投資家の資金が当然に含まれることを想定している。

−−−あくまでも民間金融機関などの通常の融資では借り入れができない人が対象で、利息制限法の範囲内の金利で、資金の使途もきちんと確認して貸し出す。返済計画を作り、それにもとづいて元本も返し、返済不能に陥らないことを目的とする。貸金業市場全体への信頼感と安心感が確立したころに制度を民間に譲渡する。税金投入はしない。

 肝は公的資金(税金)を投入しないということ。財政に余裕があって税金投入も比較的合意が得られ易い環境にあって、かつ、税金投入による方が合理的であると判断される場合には、それが政治的にも最適解となるだろう。しかし、現実はそうなっていない。となれば、そういう状況を直視しつつ、民間資金の流れを自然体として創り出すことが必要になる。税金投入の要求が通らない場合を想定しての最善の策を考案してみた。

−−−いざという時に機動的に対応できるよう、仕組みだけでも作っておけばよい。

 どんなに有用な仕組みでも、急に稼動できる訳ではない。予め世の中に周知しておくことは重要であり、スキーム関係者とともに仕組みが実際に機能するためのルール化をしておくべきとの趣旨。
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