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石川和男(TKFD研究員)
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2009/1/5 朝日新聞「厚労相、派遣法改正案の修正検討 製造業派遣の禁止も」について [2009年01月05日(月)]

http://www.asahi.com/politics/update/0105/TKY200901050108.html?ref=any より抜粋

〔記事要旨〕
@厚労相が、労働者派遣法改正案の修正に前向きな考え、製造業派遣を禁止したい意向も。
A政府は日雇い派遣の原則禁止を柱とした労働者派遣法改正案を提出。派遣労働者の約7割を占める登録型派遣の規制を見送ったことで労働者側から「不十分」と批判。「派遣切り」が社会問題化し、規制強化に踏み込まざるをえなくなった形。
B製造業派遣は04年に解禁され、大手製造業などで派遣労働者が急増、今回の景気後退に伴う急速な「派遣切り」を招いたと批判されている。昨年10月から今年3月までに8万5千人の非正社員が職を失う見込み。
C官房長官も、「派遣社員の受け入れがこの問題を惹起。企業の社会的責任の議論もある。内部留保をこういうときに活用し、有能な技術をもった人材確保をすることは、まさに経営者の姿勢の問題。生涯雇用の日本的経営の利点も考えながら、経営者側にも再考をお願いしたい」と。

 ↓

 国会提出済みだからと言って、提出時からの世情の変化を無視して当初案で成立させることは却って不合理。朝令暮改ならぬ臨機応変の姿勢で、提出法案の修正を審議前に言及することは何ら不思議ではない。

 政府が提出した労働者派遣法改正の修正に前向きな厚労相の姿勢は、柔軟性があるという点で評価すべきである。問題は中身だが、製造業派遣禁止に戻すことが製造業も含めた派遣労働市場を健全化に向かわせることになるかは、甚だ疑問。

 この類の規制強化は、派遣先企業による雇用受け皿の縮小に関する弁明材料を与えるに過ぎなくなる懸念が大きい。派遣禁止論者が信じたくないような結果を生じさせるだろう。

 今次の急激な景気後退が招いたのは、「派遣労働者切り」ではなく「労働者切り」だ。リストラの順番において、非正規→正規となっているケースが比較的多いという事象である。
 これを改めて認識しておけば、単なる派遣規制強化ではなく、正規・非正規全ての労働者について相応の負担(『負の所得税』を含む)に基づく生活保障と失業時安全網を準備しておく方が、労働者への安心付与など労働者保護機能が強まり、労働市場の流動性は確保され、そして失業者数の最小化に資すると確信できよう。

 企業の内部留保活用に関して官房長官が言及しているが、内部留保の使途をどのようにするかは、第一義的には企業の経営判断事項である。経済社会情勢がどうであろうと、企業経営の中身に政治が口を挟むかのような言い方はいかがなものか。
 公権力の立場で企業内資金を雇用維持に転用させようとするならば、法人税を引き上げてそれを雇用対策財源として振り向けるようにするのが本筋と思料する。

 予想外の緊急事態であればこそ、すべきこととそうでないことをしっかり見極めておく必要がある。いったん“前例”になってしまうと、それは良きにつけ悪しきにつけ、権力機構にとっては利用し易い手法としての価値が残存し続けることになる。
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