CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

<< 2017年09月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
『小さな巨人』が面白い [2017年05月27日(Sat)]
 TBSの日曜日夜9時から放映されてタイル『小さな巨人』という刑事ドラマが人気を博している。今期の連続ドラマは刑事ものが多いが、その中でも群を抜いて面白い。ストーリーも奇抜だし、悪役も含めて演技派の俳優が迫真の表情で演じている。過剰演技と思わせるような目線が気になるが、それもまたこのドラマには必要なのかもしれない。今期の連続ドラマの中では、総合人気度ランキングでは断トツの成績らしい。この日曜日のこの時間枠は、過去にも大ヒットをした半沢直樹や下町ロケットの実績もあるので、視聴率を取りやすいということもあるが、それにしてもこんなに人気があるのはすごいことだ。半沢直樹と下町ロケットに似た設定も人気の理由であろう。

 この『小さな巨人』というオリジナル脚本のドラマが、こんなにも多くの視聴者から指示されるのはどういう訳であろうか。それには深い理由がありそうだ。一つは勧善懲悪という筋書きが安心して見られるということもあるし、最後は正義が勝つという期待感が損なわれないというのが大きな理由であろう。さらには、巨悪に向かう小さな巨人と呼ぶに相応しく、大きくて巨大な権力を持つ組織に敢然と立ち向かう主人公の潔さに、自分が果たせない夢を託しているという側面もあると思われる。警察組織というのは、縦社会である。上司に逆らえば、例え優秀であり多大な功績をあげても、出世が出来ない。実力本位の社会ではないのである。上に逆らわず無難な言動をしていれば、安定した地位と評価を得られる組織でもある。

 ところが、この長谷川博己演じるエリート刑事は、警察のエリート官僚に立ち向かい、正義を押し通そうともがき苦しむ。我々が会社組織の中で感じている閉塞感を、見事に代弁してくれるヒーローなのである。感情移入しないほうが難しいだろう。警視庁捜査第一課長を演じる香川啓之の演技は、過剰な顔面演技で泥臭いという批判がある。確かに、もう沢山だと思わせるような顔面アップ映像には辟易する。しかし、演出家は敢えてあのような過剰演技をさせることで、主人公の清々しい表情と対比させて好感度をアップさせているのではあるまいか。だとしたら、我々視聴者はまんまとその策略に乗っていることになる。

 刑事ものや探偵ものが今期の連続ドラマに多いにも関わらず、軒並み刑事ドラマが安定した視聴率を稼いでいる。今までの刑事ものは、固定ファンがその人気を支えていると思われる。しかし、今までの刑事ドラマと、今回の『小さな巨人』の内容では大きく違っている点がある。巨大組織に対抗するというスタンスは今までも沢山あったが、一線を画す大きな相違部分があるように感じる。推理の仕方に特徴があるのだ。主人公が推理に行き詰った際に、必ず言う台詞がある。それは、犯人の気持ちになって考えてみようという言葉である。このような台詞を毎回主人公に言わせている刑事ドラマは極めて珍しい。実は、このオリジナル脚本を書いている共同執筆者の一人、八津弘幸氏は半沢直樹と下町ロケットの脚本も担当している。台詞そのものが面白いのは当然である。

 半沢直樹と下町ロケットがあんなにも支持を受けたのは、原作の面白さによるのもあったが、それ以上に人気を得たのは、ストーリーのテンポの良さと台詞のユニークさである。今回の『小さな巨人』で特徴的な台詞は、まさに犯人の気持ちになって考えるという視点である。犯人が次にどう動くか、どのような心理で犯罪を起こしたのかを知らないでは、正しい推理は成り立たないし逮捕は出来ない。主人公は、犯人の心理を巧妙に読んでその行動を予測する。犯人にトラップを仕掛けて、見事に的中して犯人を追い詰める。こんな小気味のよい刑事ドラマなのだから人気が出ない訳がない。日本の警察は優秀だと言われている。しかし、年々犯罪検挙率は低下していると言われている。様々な要因はあるものの、もしかすると犯人の心理になり切って推理する刑事が少なくなっていることが、犯罪検挙率の低下を招いているのではなかろうか。

 この『小さな巨人』では、犯人の心理を予想すると同時に、被害者の気持ちに寄り添う主人公が描かれている。ストーカー殺人事件が起きる度に、担当する警官が被害者の気持ちになり切り寄り添っていたなら、悲惨な結果を防げたに違いないと報道されている。近代教育の欠陥でもあるが、高等教育を受ければ受けるほど、人の気持ちを解ろうとしない身勝手で自己中心的な人間になる。警察官僚も含めて、高等教育を受けたエリートが警察官として採用されている。当然、被害者の気持ちを慮ろうとする警察官も少ないし、犯人の気持ちを類推できない警察官が多くなっている。これでは、犯罪を未然に防げないばかりか、犯人の検挙率だって低下するに違いない。『小さな巨人』の主人公のように、日本の警察官たちも被害者の気持ちに寄り添い、犯人の心理を巧妙に読めるようになってほしいものである。武士道でいうところの「惻隠の情」こそが、警察組織全体に必要なのであるまいか。
トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。

この記事へのトラックバックURL:
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
http://blog.canpan.info/tb/1274566
コメント
Happiersさん、日本のドラマは確かに結末が予想できますね。また、刑事ものはネタばれが多くて、犯人も予想できるものが多いです。さらに、水戸黄門などのドラマは結末が分かっていながら安心感から見られているのかもしれません。しかし、最近の日本のドラマも違っていて、世の中の不条理を描いていて、後味の悪い結末も多くなっているようにも感じます。それはそれで、面白いと思います。どちらも必要なのではないかと思います。すべてのドラマが勧善懲悪でハッピーエンドでは詰まらないですし、リアリティーがなくなってしまいます。

とは言いながら、世の中の大多数の人は、この世の中の不条理や理不尽さを何とかしたいと思っていて、せめてバーチャルの世界だけでも正義が貫かれて、自分がヒーローになったつもりになりたいと思っているのではないでしょうか。だから、ゲームの世界でヒーロー気取りになりたいのかと思っています。ドラマのヒーローに自分を投影して、ある意味満足しているのかもしれません。

世界の理不尽さや不条理を嘆くだけでは、世の中は変わりません。ドラマや映画は、それだけを描くだけが使命ではなくて、理不尽な世界というのが、自分の心の反映なのであり、自分たちがその世界を作っているのだということを自覚してもらう役割を担っているように感じています。その事実を私たちは受け入れることが必要でしょう。港かなえさんの小説や最近放映されている「リバース」というドラマは、まさに人間の隠された闇を描いています。このドラマを見ながら、自分の闇を気付いてほしいというのが、湊さんの願いであり、小説を書き続けるエネルギーになっているとか。

韓流ドラマ、特に歴史ドラマは面白いですね。ただ、私はひねくれているので、多くの女性が見ている視点とは違っているように思います。韓国の人々が、何故他人に対して批判的なのか、特に日本人に対する反発心が何故大きいのか、そして自分の損得のためにどうして人を平気で裏切るのかを洞察したいと思い鑑賞しています。権力志向故に、自分の身内でさえ毒殺したり謀殺したりするというのは、情けないことです。勿論、日本人の歴史にも同じことがあったでしょうが、韓国の王朝は多いみたいです。そんな歴史をひもときながら、韓国人の気質を読み解いています。

ドラマや映画を観るのは実に面白いですし、読書も楽しいですね。人間の多様性を学ぶには最高の教科書です。
Posted by:Natural  at 2017年05月28日(Sun) 05:52
途中送信してしまいました、申し訳ありません。
どこか納得がいかないドラマの終わり方も、それはそれで、印象に残るものですね。
日本人の感覚とはまた違って、理不尽さがそのまま置き去りにされている、そこがかえって面白いです。

奴隷のいた時代、逆転、逆転で、置かれている立場がいつどうなるか全く予想できない、意外な結末に結びついて、あっけにとられます。

日本のものは、最後がなんとなく予想できます、そうでないと視聴率があがらないからか?大多数に望まれている結果を最後に出してきます。そこが、ややつまらないです。

でも、今度「小さな巨人」を見てみたいと思います。
Posted by:Happiers  at 2017年05月27日(Sat) 21:39
刑事物のドラマですか〜
あまり見ることがないですが・・・
勧善懲悪で、現実の世界ではなかなか通らない正義が貫かれているようですね。

韓流ドラマ、それも時代物にややはまっていますが、日本のものと違って、必ずしも正義が勝つという筋書きではないものが沢山あります。それが結構面白いですね〜
でも、あの時代に生きた



Posted by:Happiers  at 2017年05月27日(Sat) 21:27
プロフィール

Naturalさんの画像
リンク集
http://blog.canpan.info/inakagurasi/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/inakagurasi/index2_0.xml