ヤブランの花 [2011年08月31日(Wed)]
裏山の植物園のあちこちで、今、ヤブラン(クサスギカズラ科)の花が咲いています。11月下旬には、緑黒色の種子が出来ます。万葉歌に、やますげ・やますが(原文は山菅・夜麻須我などと表記)と詠まれている植物に、ヤブランあるいはジャノヒゲ(ゆり科)を当てる説があります。 【歌】 咲く花は うつろふ時あり あしひきの 山菅の根し 長くはありけり (大伴家持 S-4484) 【口語訳】 咲く花は うつろい変わる時がある (あしひきの) 山菅の根こそ 長く切れないものなのだ この歌の前に、天平勝宝9年6月23日(改元されて天平宝字元年、757)、大監物三形王の邸宅で行われた宴における家持の次のような歌が載せられています。 【歌】 移り行く 時見るごとに 心痛く 昔の人し 思ほゆるかも (S-4483) 【口語訳】 移り行く 時の流れを見るたびに せつないほどに 昔の人のことが 思い出されることです この間の状況については、新編日本古典文学全集『万葉集』の頭注に詳しく解説がなされています。それによると、「移り行く時見るごとに」について、橘諸兄が亡くなった後、藤原仲麻呂は反対派の動きを封ずるような施策を次々に打ち出す。これに対し、橘奈良麻呂(諸兄の子)や安宿王・大伴古麻呂・大伴池主らが仲麻呂打倒の謀議を凝らし始める。家持は遠からず起るべき両勢力の衝突を予測してこの語を発したのであろう、とあります。「咲く花はうつろふ時あり」については、咲く花を一時の栄のたとえとする例は多いが、ここは、仲麻呂の朝政を私している現状を憎み、このような悪逆が長く続くはずがないと呪って言ったもの、とあります。 『続日本紀』によれば、その後相継いで仲麻呂の許に密告があり、7月3日には奈良麻呂をはじめ、大伴氏の一族の古慈悲・池主ら一味がことごとく捕えられ、尋問を受けて主だった者はみな獄死し、その他多くの者が重刑を課せられました。
なお、やますげ・やますがについては、やブラン・ジャノヒゲとは別に、山に生える菅(かやつりぐさ科のすげ属の総称)とする説もあります。
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at 16:11
オミナエシ(その2) [2011年08月28日(Sun)]
オミナエシの写真と万葉歌は7/9に載せていますが、今も咲いています。この写真は、裏山の植物園に咲いているのを写したものです。万葉歌には14首詠まれており、今日は次の歌を紹介します。 【歌】 我が里に 今咲く花の をみなへし 堪へぬ心に なほ恋ひにけり (I-2279) 【口語訳】 わたしの住む里に 今を盛りと咲いている おみなえしよ 恋すまいと思うのだが抑えきれずに やっぱり恋しく思ってしまうよ (『萬葉集全歌講義』より) オミナエシは秋の七草の一つ(山上憶良の歌G-1538)ですが、原文では、「ヲミナ」に「美人」、「佳人」、「娘子」、「娘」、「姫」等の文字が当てられており、オミナエシの名称に女性の意が連想されています。この歌では、年頃の美しいおとめの比喩で、『萬葉集全歌講義』では、「身近な所に咲いているおみなえしは、朝夕にその美しい姿が目に入らないではおられない。見るたびにそのやさしく艶なる姿に感動して恋心は抑えきれるものではない、という心である」と解説されています。
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katakago
at 08:17
ツユクサ(その2) [2011年08月26日(Fri)]
ツユクサの詠まれた万葉歌(原文は月草・鴨頭草と表記)は、6/23に紹介していますが、今でも畑のあちこちで花を咲かせています。日中は咲いて夕方には閉じる一日花です。ツユクサは全部で6首詠まれていますが、今日はその中から次の歌を取り上げました。 【歌】 朝咲き 夕は消ぬる 月草の 消ぬべき恋も 我はするかも (I-2291) 【口語訳】 朝咲いて 夕方しぼむ 月草のように 消え入らんばかりの恋を わたしはすることよ 上三句は、「消ぬ」を起こす序詞。「消ぬべき恋」は、死んでしまいたいほどに切ない恋、あるいは、死んでしまいそうな苦しい恋の意。類歌に次のような歌があります。 【歌】 夕置きて 朝は消ぬる 白露の 消ぬべき恋も 我はするかも (K-3039) 【口語訳】 夕方置いて 朝には消える 白露のように 消えんばかりの恋も わたしはすることよ
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katakago
at 09:24
インタビュー記事(尺八) [2011年08月25日(Thu)]
退職後自由な時間が持てるようになり、現在、カルチャーセンター・大学の生涯学習センター等に出かけています。これまでの『万葉集』や『日本書紀』等の講座に加え、2008年4月から、都山流尺八の教室(朝日カルチャーセンター芦屋)でレッスンを受けています。25日付朝日新聞夕刊の朝日カルチャーセンターPRページに、筆者のインタビュー記事(ACCと私)が掲載されました(写真)。 尺八は20代後半から習い始めたものの、仕事の関係で十分な練習時間がとれなくなり、途中で長らく中断していました。ただ、何時かは再開する時があるかと当時使用していた楽譜は全て保存していました。芦屋教室では、星田一山先生から少人数でレベル別の丁寧な指導を頂いています。それぞれ15〜20分ほどですが、先輩方のレッスン内容も非常に参考になります。そのほか、全員での合奏練習も毎回あります。教室は毎週あるので、自宅での練習は最優先の日課にしています。季節によっては農作業に追われ偶に休むこともありますが、一週間も吹かないと音が出なくなったことがあり、それが怖くて出来るだけ毎日尺八を手にする時間をとるようにしています。11月には、演奏会があり教室の仲間と一緒に演奏することになっています。
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katakago
at 19:51
ケイトウの花(その2) [2011年08月24日(Wed)]
ケイトウは7/27に写真と歌を紹介していますが、今年蒔いたものが花を咲かせています(矮性の品種でした)。その花の汁は染料に用いられたので、万葉歌(韓藍として詠まれている)でも次の歌のように、「色に出づ」の比喩に用いられています。 【歌】 恋ふる日の 日長くしあれば 我が苑の 韓藍の花の 色に出でにけり (I-2278) 【口語訳】 恋しく思う 日数が積もったので 我が家の庭の 韓藍の花のように 色に出てしまいました この歌の「色に出づ」は、秘めた恋の思いがひとりでに顔や表情に表れることをいっています。
ケイトウを詠んだものに、山部赤人の次のような歌があります。 【歌】 我がやどに 韓藍蒔き生ほし 枯れぬとも 懲りずてまたも 蒔かむとそ思ふ (B-384) 【口語訳】 わたしの庭に けいとうを蒔いて育て 枯れたって 懲りずにまたも 蒔こうと思う この歌の解釈については、韓藍(けいとう)を美しい女性に譬えた寓意があるとする説(『萬葉集釈注』)と、舶来の美しい色の花として観賞に堪える等から、寓意なしで解しうるとする説(『萬葉集全注』ほか)があります。
今回蒔いたものには、黄色のものもありました。 次の写真は、昨年のこぼれ種が生えてきたものです
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katakago
at 10:41
ヒマワリの刈り取り [2011年08月22日(Mon)]
先週は裏山の手入れに集中しある程度目鼻がついたので、今週は畑仕事です。9月の初めに、「万葉の大和路を歩く会」主催の特別万葉旅行(筑波山・三毳山・赤城山・伊香保方面)に参加するので、それまでに済ませておく仕事がいろいろあります。今日は、咲き終わったヒマワリの刈り取りを行いました。次の写真は、刈り取り前後の様子です。9月には、ここを耕しまた種を蒔く予定です。 蓮池でコナギの花が開いているのを見つけました(コナギの詠まれた万葉歌については8/16に載せています)。朝5時頃は未だ閉じていますが、日中は開いています(但し夕方には閉じる一日花です)。
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at 10:12
樹木ウオッチングの方々 [2011年08月21日(Sun)]
今朝は雨模様の中、伊丹から「樹木ウオッチング」のグループの方々が見えられました。グループの代表の方が、6月に筆者がシニア自然大学校で行った講演を聴いておられ、メンバーの方々を誘っての来園となった次第です。例によって、自治会館でスライドによる説明を行った後、現場を見ていただきました。この時期、裏山の植物園では、見るべき花はオミナエシ、キキョウ、ヒオウギ位しかありませんが、下草を刈った後のすっきりした樹木類を見ていただけたものと思っています。また、畑の分園では、上記の植物の他、カワラナデシコ、ベニバナ(6月に播種したもの)、ムラサキ、ハマユウ、ハギ等の花の他、出穂したキビ・アワやナツメの実、それに今年最後のハスの花も見ていただけました。次の写真はそのハスの花です。この雨で花弁も散ってしまいそうです。
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at 14:48
ハギの花咲く [2011年08月20日(Sat)]
ハギの花が咲き始めました。ハギは万葉歌に最も多く詠まれている植物です(142首)。原文は、芽子・芽・波疑等と表記されています。 【歌】 さ雄鹿の 朝立つ野辺の 秋萩に 玉と見るまで 置ける白露 (大伴家持 G-1598) 【口語訳】 雄鹿が 朝たたずむ野辺の 秋萩に 玉と見まがうばかりに 置いている白露よ 左注によれば、この歌が詠まれたのは天平15年秋8月で、家持は26歳(久爾京で内舎人)。雄鹿・秋萩・白露と、秋の景物が詠み込まれています。当時、萩と鹿については、次の歌にもあるように、萩を鹿の花妻にみたてる考えがあったようです。鹿と萩を詠み込んだ歌は、24首あります。 【歌】 我が岡に さ雄鹿来鳴く 初萩の 花妻問ひに 来鳴くさ雄鹿 (大伴旅人 G-1541) 【口語訳】 わが岡に 雄鹿が来て鳴いている 初萩の 花を妻問おうとして 来鳴く雄鹿よ 萩の花が咲き乱れるころ鹿は発情期にはいっていて、雄鹿は雌鹿を求めて鳴く。鹿は萩の花を好みその花のもと近くに来ることが多いので、萩を鹿の妻とする発想が生まれたようです(『萬葉集全歌講義』より)。
ところで、2008年8月に、京都府木津川市馬場南遺跡(8世紀半ば〜後半)から出土した木簡に、万葉歌と同じ歌(萩が詠まれている)が記されている(11文字のみ残る)事が見出されました。歌は、 【歌】 秋萩の 下葉もみちぬ あらたまの 月の経ぬれば 風を疾みかも (I-2205) 【口語訳】 秋萩の 下葉が色づいた (あらたまの) 月が改まったので 風が荒いからだろうか この遺跡からは、「神雄(尾)寺」(歴史書には載っていない)と書かれた土器片や、大量の灯明皿が出土しています。木簡の写真を次に示します。 この木簡の用途として、仏前唱歌のために用いられたとする説も展開されています(2009年8月向日市開催のシンポジウム)。その根拠として、『万葉集』の次の歌が上げられています。題詞に仏前の唱歌一首とあり、その左注には、皇后宮での維摩講で、さまざまな国の音楽を演奏して供養し、その時この歌(次に示す)が琴の伴奏で歌われた(歌い手は十数人)と記されています。 【歌】 しぐれの雨 間なくな降りそ 紅に にほへる山の 散らまく惜しも (G-1594) 【口語訳】 しぐれの雨よ 間なく降らないでくれ 紅に 色づいた山の紅葉の 散るのが惜しいから
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katakago
at 17:13
ヒマワリの種 [2011年08月19日(Fri)]
ヒマワリの最初の開花は、7/12に掲載しましたが、いま種をびっしりと付けています。来週にも採種をと考えています。 来月には、その他のヒマワリも刈り取って、もう一度種を蒔く予定です。11月下旬ごろの開花を狙っています。
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at 19:53
サネカズラの花 [2011年08月17日(Wed)]
サネカズラ(もくれん科)の花が咲いていました。万葉歌では、さなかづら(原文は狭根葛・核葛等と表記)として詠まれています。十一月頃に液果が紅色に熟します。古名のさなかづらは、滑り葛の意味で、枝の皮の粘液を水に浸出して整髪に用いたので美男葛の一名があります。
裏山の斜面の草刈りも3分の1程が終わりました(12日には、帰省した息子夫婦も少し手伝ってくれました)。終わった所はかなりすっきりしています。 毎日暑い日が続いていますが、アキノタムラソウ(しそ科)の花が咲き始めました。
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katakago
at 07:29
ヒオウギの刮ハ [2011年08月13日(Sat)]
ヒオウギの花はほぼ咲き終わり、写真のような刮ハが形成されています。秋にはこれがはじけて中の球形の黒い種子が見られます。万葉歌に詠まれる「ぬばたま」はこの黒い種子であるとみられています。
今日はお盆の入りですが、ハスの花がこの時期まで咲いてくれました。ヒマワリをバックに蓮池に咲いています。 6月にあらためてベニバナの種(園芸品種)を蒔いたところ、8月になって開花しました。 ハマユウの写真は、8/3に掲載していますが、その他の株も白い花を咲かせています。 ユリの仲間では、一番遅れて咲くタカサゴユリが咲き出しました。
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at 06:47
乞巧奠(きっこうてん) [2011年08月11日(Thu)]
今日は、冷泉家に古くから伝わる、陰暦七月七日の星祭(乞巧奠)の行事を見る機会を得ました。今回は、京都府民ホールでの公開で、知人から入場券を頂き参加できました。牽牛・織女の二星に、種々のお供えをし、蹴鞠、雅楽、和歌などを手向けて、技が巧みになるようにと祈る七夕の儀式(公演パンフレットより)だそうです。写真は、舞台に設えられた「星の座」と称される祭壇で、開演前に撮影したものです。中央には四脚の机の周囲に九本の灯台をめぐらし、後ろに二本のササを立て、ササの間には梶の葉と糸をつるした緒が張られています。机上には、二星に貸すため(二星のデートのバックグラウンドミュージックのために)、琴・琵琶等の楽器が置かれ、二組の食物(海の幸、山の幸)が供えられます。このお供えの種類や配列を覚えるために、冷泉家では、次のような和歌が伝えられているそうです。 瓜なすび 桃梨空の 杯に ささげ蘭花豆 蒸し鮑鯛 舞台右には、五色の布・糸や、水を張り梶の葉を一葉浮かべた角盥が置かれ(この水に二星を映して見るそうです)、秋の七草も手向けられます(二枚目の写真)。 舞台では、蹴鞠、雅楽の演奏に続き、「披講」、「流れの座」へと進行してゆきます。「披講」は、あらかじめ出題された兼題(今回は七夕灯)について、読師(どくじ)の指揮のもと、講師(こうじ)が歌をよみ上げ、発声の先導により、講頌(こうしょう)が独特の節回しで朗詠します(今回は7首が詠まれました)。 「流れの座」では、男女の組(今回は5組)が参加した歌会が行われます。歌の題は組題(くみだい)で、「七夕」が頭につく各人別々の題を、その場で各々が取りに行きます。重硯や紙が回され準備が整うと、男女の間に、天の川に見立てた白布が敷かれ、牽牛と織女に擬された男女は、自作の歌を筆で紙に書き、それを扇に載せて互いに贈答しあいます。今回は時間の制約から1回でしたが、実際は、翌朝鶏の声を聞くまで歌会が行われるようです。 冷泉家住宅(京都御苑の北)は現存する最古の公家住宅で、昭和57年に重要文化財に指定されています。写真は表門付近です。冷泉家は、その遠祖に平安時代末期の歌人藤原俊成とその子定家がおり、後の和歌に大きな影響を与えてきた家柄です。
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at 19:49
裏山の下草刈り [2011年08月10日(Wed)]
ここしばらくの間、畑や畔の草刈りなどに追われて、裏山の植物園の手入れが滞っていました。今朝から斜面の草刈りに取り組んでいます。防虫ネットをかぶり、腰には蚊取り線香をぶら下げての作業です。暑い時期ですので、作業は朝夕の1〜2時間程にしています。全てを刈り終えるのに一週間ぐらいかかるかなと思っています。夏の花もほぼ終わりましたので、下草を刈っておくとこれから咲く花と秋の山の風情を楽しめるものと思っています。 草刈り作業では、下草の中で残して置きたいものとそうでないものを選り分けながら鎌で刈り取っています。その作業中に、キツネノカミソリ(ひがんばな科)が咲いているのを見つけました。 花壇に植えているユリ類では、今カノコユリが咲いています(黄金色のものは、7/21に咲いていました)。そのほか、タカサゴユリ(タイワンユリ、大正時代に日本に渡来)がこれから咲き始めます。 この時期朝食前の日課は、畑で野菜の収穫と果樹園の巡回です。今朝、ナツメの木でクマゼミを見つけました。
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at 19:38
アワの穂が出ました [2011年08月08日(Mon)]
キビに続き(7/28)、アワの穂が出てきました。万葉歌には、キビは、きみ(原文は寸三と表記)、アワは、あは(原文は粟と表記)として詠まれています。このキビとアワに加えて計6種類の植物を詠み込んだ歌があります。 【歌】 梨棗 黍に粟次ぎ 延ふ葛の 後も逢はむと 葵花咲く (O-3834) 【口語訳】 梨(離)棗(早) 黍(君)に粟(逢)と続いて (延ふ葛の) いずれは逢おうと 葵(逢う日)の花が咲く この歌は、梨、棗、黍、粟(以上4種は食用になるもので、この順に成熟する)、葛、葵という6種類の植物をまとめて一首に仕立て上げられています。当時の知識人たちに広く愛読されていた中国の小説『遊仙窟』の中の表現を踏まえて詠まれた、一種の言葉遊びの歌です。新編日本古典文学全集『万葉集』の頭注には、次のような解説がなされています。梨と棗との取り合わせは、『遊仙窟』の中で、棗は「早」と、梨は「離」と、それぞれ類音であることを踏まえて、五嫂(ごそう)と十娘(じゅうじょう)の二人の女性が、「相知ること棗に在らず(早く知り合いにならなかったのが残念)」と言い、「忍びずして分梨す(辛いけれどわざと離れている)」と言ったのによる。今は離れているが早く、の意を込めるとあり、「黍に粟次ぎ」は、「君」に続けて「逢はむ」の意。「延ふ葛の」は、「後逢う」の枕詞で、「葵」は、あおい科の植物で、「逢う日」をかけています。 キビとナツメの写真を載せておきます。次の写真は、キビの穂です。 次の写真は、ナツメの実です。少し色づいてきました。
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at 16:20
お盆前の寺掃除 [2011年08月07日(Sun)]
8月の第一日曜日には、檀家でお寺の掃除をすることになっています。朝8時から地元の檀家(約20名)が分担して、境内と周辺の道路の清掃を行いました。 寺名は瀧門寺(菩提山)で宗派は浄土宗です。徳川末期に火災に遭い、古文書・記録なども焼失したため、歴史や沿革は明らかではありません。寺宝は、本尊の阿弥陀如来座像、十一面千手聖観音立像の他、雨宝童子石仏(地蔵)などがあります。このお地蔵さんをまつる地蔵堂(境内山門傍)では、毎年8月23日に地蔵盆の行事が行われています。このお寺は、摂州多田荘巡礼33所の29番となっており、その御詠歌に、 梓弓 矢問の山に 詣で来て 頼む仏の 御手に引かれん と詠われています。 7年前に3年間、檀家総代を務めましたが、当時から本堂の老朽化が問題になっており、次に総代の順番が回って来るまでには、目処がついていて欲しいものです。
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at 14:33
オニビシの花 [2011年08月06日(Sat)]
今朝、オニビシ(普通のヒシに比べ大型)の白い花が咲いていました。ヒシは池に生えるひし科の一年草で、泥中から長い茎を出して水面に達し、光沢のある菱形の葉を多く浮かべ、夏に白い花を咲かせます(花は一日で閉じる)。実には棘があり食用になります。万葉歌には、二首詠まれています(原文は菱と表記)。 【歌】 君がため 浮沼の池の 菱摘むと 我が染めし袖 濡れにけるかも (柿本人麻呂歌集 F-1249) 【口語訳】 あなたのために 浮沼の池の 菱を摘んでいるうちに 自分で染めた袖は 濡れてしまいました 羈旅にして作る歌90首のうちの一首。「我が染めし袖」の「我」は、女性である作者で、ヒシの実を摘んで男をもてなす女の立場の歌とみられています(『萬葉集全注』)。集中のもう一首は、 【歌】 豊国の 企救の池なる 菱の末を 摘むとや妹が み袖濡れけむ (O-3876) 【口語訳】 豊国の 企救の池にある 菱の実を 摘もうとしておまえは 袖を濡らしたのか この歌は、豊国(豊前・豊後の総称)の海人の歌と題されており、『萬葉集全注』によれば、「今の女の歌(F-1249筆者注)を男の立場から歌い替えたようなところがある。この二首のもとは水辺生活者の間で歌われていた謡いものであったろう」とあります。
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at 09:46
ヒマワリ一斉に開花(第三群) [2011年08月05日(Fri)]
ヒマワリは8/1にも紹介していますが、その時蕾だった第三群が一斉に開花しました(東を向いて咲いています)。これらの花が終わった後、9月にもう一度ヒマワリの種を蒔いてみようと考えています。11月下旬頃に花が楽しめるものと思っています。
蓮池では、今年はもう終わりかと思っていたハスの開花がみられました。 同じ蓮池の水辺で、水田雑草の一つのコナギ(万葉歌にも詠まれています)が3株生えているのを見つけ嬉しくなりました。かって水田であったっところですが、もう何年も畑地状態でしたのでまさか生えてくるとは思っていませんでした。そのうち青紫色の可愛い花が咲くはずです。 次の写真は、通販で購入したオニビシで、蓮池に植えました。ヒシも万葉歌に詠まれています。花が咲くのが待たれます。 裏山の植物園では、ケヤキの木で鳴いているアブラゼミを見つけました。
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at 07:40
ソーメン流しを愉しむ [2011年08月02日(Tue)]
今日の午後、地元の長寿会が中心に企画され、自治会と子供会の共催で、「子供たちのお楽しみ会」が開催されました。7/17に伐り出し準備された孟宗竹を使ってソーメンが流されると、待ち構えていた子供たちが一斉に箸を差し出して掬い取っていました。珍しい行事に子供たちも大変喜んでいました。準備と実施にあたられた長寿会のメンバーも、沢山の参加者(60名以上の子供たち)があり準備のし甲斐があったようです。このほか、室内では、ミニボーリングゲーム、ボールすくい等も愉しんでいました。
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at 14:50
ヒマワリ開花(第二群) [2011年08月01日(Mon)]
畑の遊休地に、景観保全用にヒマワリを植えていますが、7/12に続き播種時期をずらせた第二群が開花中です。更にその第三群の蕾も膨らみ間もなく一斉に開花しそうです。こちらは今年購入の種を蒔いたためか、生育がそろっています。
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at 07:38