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スモモの花 [2012年04月11日(Wed)]
果樹園に植えているスモモ(ばら科)の花が咲き始めました。今日の雨に来週の現地見学会まで花が持つか心配です。
スモモは万葉歌に次の一首が詠まれています。 【歌】 我が苑の 李の花か 庭に散る はだれのいまだ 残りたるかも (大伴家持 R-4140) 【口語訳】 わが園の 李の花が 庭に散っているのだろうか それとも薄雪がまだ 残っているのであろうか この歌は先に紹介した「桃の花」の歌(3/23の記事)と二首並べて越中で詠まれたものです(天平勝宝二年三月一日の夕方、太陽暦では4月15日にあたる)。「李花と雪」について、『萬葉集全注巻第十九』(青木生子著)では、「夕暮れの庭園にほの白く浮かびあがって見えるもの、それは李の花の実景には違いないものの、春の残雪ではないかと迷わせる心は、前歌同様家持の幻想が生んだもののごとくである。そこには、北国の遅い春のなかにあって、春たけなわの都への思いがひそめられていることも否めないであろう」と述べられています。
ところで、この歌の原文は、以下のように書かれています 吾園之 李花可 庭尓落 波太礼能未 遺在可母 三句目の「庭尓落」を、口語訳に採った『新編日本古典文学全集 萬葉集』では、「ニハニチル」と読んで、三句切れ説ですが、上に引用した『萬葉集全注』では、「ニハニフル」と読み二句切れ説で、口語訳も次のようになっています。 【口語訳】 わが園の、あれは李の花であろうか。 それとも、庭にはらはらと降ったはだれの雪が、まだ消え残っているのだろうか。
父旅人の歌に梅花の宴での次の歌があります(3/7の記事)。 【歌】 我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも(D-822) 『新編日本古典文学全集 萬葉集』には、この歌にヒントを得たかとあります。
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Posted by
katakago
at 09:16
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