セリ [2011年07月02日(Sat)]
ビオトープ池の周囲で、セリが白い花を咲かせています。万葉歌では、せり(原文は世理・芹子と表記)と詠まれています。 【歌】 あかねさす 昼は田賜びて ぬばたまの 夜の暇に 摘める芹これ (葛城王 S-4455) 【口語訳】 (あかねさす) 昼は班田に追われ (ぬばたまの) 夜の寸暇に 摘んだ芹ですよこれは 題詞には、天平元年(729)、葛城王(後の橘諸兄)が班田司となって 山城国に行った時(『続日本紀』には、天平元年十一月に京および畿内の班田司を任命する、とある)、薩妙観命婦(さつのみょうかんみょうぶ)らに 芹の包に添えて贈った歌とあります。新編日本古典文学全集『万葉集』の頭注によれば、「班田事務は10月1日から翌年2月末までと期限が定められており、測量、田籍図作製、受給戸口の把握など繁忙を極めた」とあります。薩妙観命婦が返し贈った歌は、 【歌】 ますらをと 思へるものを 大刀佩きて 可爾波の田居に 芹そ摘みける (S-4456) 【口語訳】 ますらおと 思っておりましたのに 大刀(たち)を佩いて 綺田(かばた)の田んぼで 芹なぞお摘みになって 万葉歌にセリが詠まれたのはこれらの歌二首のみです。なお、セリは春の七草として、昔から食用に供されてきました。 |
Posted by
katakago
at 10:21