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「春琴抄」― 菊原琴治(筝曲)と谷崎潤一郎(小説) [2014年03月08日(Sat)]
 芦屋の朝日カルチャー尺八教室で、「春琴抄」を練習しています。作曲(筝・三絃)は菊原琴治(1878−1944)で作詩は佐藤春夫です。写真は尺八楽譜「春琴抄」の1ページ目と小説『春琴抄』のカバーです。
IMG_3271m.jpg

佐藤春夫作詩の歌の部分は次の通りです。
 丘に来て 朗らかになくや うぐひす
 在りし日の 谷間の雪に まじゑたる
 凍る 涙は 知る人ぞ知る

『春琴抄』は谷崎潤一郎(1886−1965)が昭和八年(1933)に、大阪の道修町を舞台に、薬種問屋の娘で盲目の音曲師春琴と、彼女に献身的に尽くす弟子の佐助との関係を描いた作品です。今回文庫本を手に入れて読むとともに、谷崎潤一郎記念館(芦屋市)や舞台になった道修町も訪ねてみました。

 菊原琴治(盲人の地歌箏曲家)と谷崎潤一郎との関係については、三島佑一氏(四天王寺国際仏教大学教授)によると、娘の菊原初子に手を引かれて岡本梅ケ谷の谷崎邸に三味線の出稽古に通ったとのことです(その父娘のことが作品に生かされているという)。芦屋の記念館には愛用の京三味線が展示されていました。
 「春琴抄」の作曲は小説が発表されて二年後の昭和十年秋です(筝曲楽譜より。三絃楽譜では昭和九年十二月になっています)。佐藤春夫作詩の歌には、”うぐひす”が詠まれていますが、小説の中では主人公春琴が鶯を飼いその鳴き声を楽しむ場面があります。
 余談ですが、昭和五年(1930)に谷崎は奥さんの千代と離婚し、佐藤春夫はその千代と結婚しています(妻譲渡事件として当時の新聞記事になっている)。 
 
 大阪市中央区道修町にある少彦名神社(御祭神は少彦名命、日本の薬祖神)の社務所ビル3階には「くすりの道修町資料館」があり、くすりの町、道修町の歴史がわかる展示がされています。テーマ展示の一角に、道修町を舞台にした谷崎潤一郎の小説『春琴抄』のコーナーがあり、その複製原稿や岡本の自宅で三味線を弾く(昭和3〜4年ころ)写真も展示されていました。
 このビルわきの少彦名神社参道入り口に、「春琴抄の碑」がありました(次の写真)
 春琴抄の碑(道修町資料保存会が平成十二年十月に建立)
IMG_5694m.jpg

 揮毫は菊原初子(地歌箏曲の人間国宝、当時百一歳)で、碑面左には『春琴抄』の原稿(複製)の一枚目が載せられています(三島佑一氏の解説文がある)。
Posted by katakago at 12:14
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