マクワウリ [2011年06月19日(Sun)]
マクワウリは、山上憶良の子供らを思う歌に詠まれています(原文は宇利と表記)。長歌と反歌を示します。まず瓜と栗が詠まれている長歌は、 【歌】 瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものそ まなかひに もとなかかりて 安眠しなさぬ (D-802) 【口語訳】 瓜を食べると 子供らが思い出される 栗を食べると なおさら偲ばれる 何の因果で 生まれて来たのか 眼前に むやみにちらついて ねむらせないのは 次に有名な反歌は、 【歌】 銀も 金も玉も なにせむに 優れる宝 子に及かめやも (D-803) 【口語訳】 銀も 金も珠玉も どうして 優れた宝といえよう 子にまさろうか 憶良が筑前守であった時の作で(当時69歳)、実在の子を手元に置いて詠んだのではなく、人の親の心になって、「子供を持つ親の心はこうだ」というその気持ち(子供の思いに四六時中悩まされ続ける親の苦しみ)を詠んでいるとみられています。井村哲夫氏は、『萬葉集全注』の中で、「この作品一読後の印象は、子を愛する喜びではなく、愛の苦しみをこそ述べている、というもの」と書かれています。『万葉集』には、母が子への愛を歌った例は多いが、父親が子を思う歌は少ないようです。 次の写真は、クリの雌花穂です(6/19撮影)。クリの収穫時期は9月から10月にかけてです。 |
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katakago
at 15:34