タチバナ [2011年05月24日(Tue)]
万葉歌で詠まれているたちばな(原文は、橘・多知波奈などと表記)は、古代のミカンの総称です。写真のタチバナは、種苗会社より取り寄せて植えているものですが、実は小さく、酸っぱくて生食には向きません。橘の歌68首のうち、その多くは花橘(初夏の花)として詠まれています。 次の歌は左注によれば、天平8年(736)、葛城王(橘諸兄)、佐為王(橘佐為)たちが臣下に降下し、「橘宿禰」の姓を賜った時の、聖武天皇の歌です。 【歌】 橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝に霜置けど いや常葉の木 (E-1009) 【口語訳】 橘は 実まで花まで その葉まで 枝に霜が置いても いよいよ栄える木であるぞ 『萬葉集釈注』によれば、「常緑樹で霊木とされた橘の木を讃えることで、橘氏の繁栄を予祝した歌」とあります。 『日本書紀』垂仁天皇条に、橘が外来のものであるという、田道間守伝説がのっています。天皇の命を受けて、田道間守は、非時香菓(ときじくのかくのみ、橘のこと)を求めて常世国へ行き、未知の海を渡り島を訪ね、十年の歳月を費やしてこの果物を持ち帰ったという。 |
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katakago
at 21:18