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葛城氏とヤマト政権 [2012年03月06日(Tue)]
「5世紀史の謎を探る − 葛城氏とヤマト政権 −」と題して、朝日カルチャーセンター芦屋教室で講演会があり参加しました(3/5)。

 日本書紀の受講者有志で、気候が良くなったら「葛城古道」を歩く計画があり、また、『万葉集』に、葛城襲津彦の名を詠み込んだ歌もあることより、今回の講演は興味がありました。

 その万葉歌は、巻十一の次のような、弓に寄せる恋の歌三首の一つです。
【歌】葛城の 襲津彦真弓 荒木にも 頼めや君が 我が名告りけむ (J-2639)
【口語訳】葛城襲津彦の使う真弓の 強い新しい木のように 私を妻として頼りにしてくださるので わたしの名をお洩らしになったのでしょうか (『万葉集全注』による)
 『新編日本古典文学全集』では、「恋人の名を他人に打ち明けるのは禁忌なのに、それを破った相手の男に、自分をそれほど頼もしく思ってのことか、と詰問するような語調がある」と解説されています。この歌で、強弓の使い手として名があげられている葛城襲津彦は、『古事記』や『日本書紀』によれば、建内宿禰の子で、仁徳天皇の皇后磐姫の父とされています。

 今回の講演会では、文献史学の立場から塚口義信氏(堺女子短期大学名誉学長)が、考古学の立場から白石太一郎氏(大阪府立近つ飛鳥博物館館長)が話されました。

 まず塚口氏の講演では、『記紀』による系図では、葛城襲津彦の子は、磐媛のほか葦田宿禰(→黒媛(履中天皇の皇后)、→蟻臣)の系統と、玉田宿禰(→円大臣→韓媛(雄略天皇の皇后))の系統の二つが知られる。玉田宿禰や円(つぶら)大臣の名は地名に由来すると考えられ、御所市玉手(小字の一つを「たまんだ」と称した)と、御所市柏原の「ツブラ」の地名より、このあたりを本拠とした可能性を指摘された。付近には、葛城地方最大の前方後円墳として知られる室宮山古墳や掖上鑵子塚古墳などがある。一方、葦田宿禰系の葛城氏については、上牧町に「葦田」の地名が残り、王寺町に「芦田池」があり、この地域は東西を馬見丘陵と片岡山に挟まれた場所で、葦田宿禰の名は、この地名に基づくと考えられた。同様に、蟻(あり)臣についても、大和高田市に「有井」があり(本来の地名は「有」か)、この地名に由来すると考えられ、この系統の葛城氏は、現在の北葛城郡、香芝市、大和高田市に相当する地域と関係があったと推定された。文献資料からは、少なくとも二つの系統の葛城氏の存在を指摘されました。

 白石氏の講演では、葛城の地域には北から馬見古墳群の北群、中央群、南群、新庄古墳群、室・国見山古墳群などに見られる、4世紀後半から5世紀後半までの古墳群について解説されました。次の図は、当日配布された白石氏の資料の一部です。出土した円筒埴輪により編年されています。

katsuragim.jpg
 葛城地域における大型古墳の編年(白石太一郎氏の資料より)

 この図により、大王墓に準ずる巨大古墳(墳丘長200m級)は、葛城各地の古墳群に分かれて営まれ、造営時期も少しずつずれていることが指摘されました。これらの巨大古墳(一小地域の首長墓とは考えられない)からは、葛城各地の有力首長たちは、地域的政治連合(葛城連合)を形成し、その連合の盟首には、構成する各有力集団の首長たちが持ち回りでその地位に就いていた、との見解です。
 葛城氏がヤマト王権(畿内政権)に影響力を持つようになったのは4世紀後半以降で、当時の東アジア情勢(高句麗の南下、倭国も百済と同盟を結んで朝鮮半島に出兵)と関係しているとの見方です。この時期、大和の勢力(宗教・呪術的性格の強い)に代わって、大阪湾岸の河内・和泉の勢力(以前から王権内部で外交・交易を担当)が王権を掌握することになり、その際葛城氏の勢力が河内政権の最も有力な協力者としての役割を担った、とのお考えでした。

 室宮山古墳からは、朝鮮半島南部の伽耶の船形陶質土器が出土し(近年、台風による倒木があり、その根元から)、葛城氏と朝鮮半島の結びつきが指摘されています。『日本書紀』神功皇后摂政五年の条には、新羅を攻撃した葛城襲津彦は、そこから多くの俘人(とりこ)を連れ帰り、この時の俘人が、桑原・佐糜・高宮・忍海の四つの邑に住んでいる漢人(あやひと)の始祖である、と伝えられています(これらの地名は全て葛城氏の勢力圏の中心部に集中)。
 なお、お二人とも、室宮山古墳の被葬者は葛城襲津彦と考えられるとのことでした。
 

 



Posted by katakago at 10:03
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