タブノキ [2011年05月16日(Mon)]
タブノキの若葉です(2年前に植えたもので未だ小さな木ですが)。万葉歌ではつまま(原文には都万麻と表記)として詠まれています。 【歌】 磯の上の つままを見れば 根を延へて 年深からし 神さびにけり(大伴家持R-4159) 【口語訳】磯の上の つままを見ると 根を張って 年を久しく経たらしい 神々しくなっている この歌の題詞には、家持が越中赴任中の晩春三月に、出挙(すいこ)の実情視察のため、旧江(ふるえ)の村に行く途中、風景を眺めて詠んだ歌と記されています。出挙とは、春に公の稲を農民に貸し付け、秋の収穫後に利息をつけて返済させる制度です。『萬葉集全注』には、「渋谿の崎(富山県高岡市渋谿の海岸)を通り過ぎる時に、巌の上の樹(つまま)を見て、この地方で神聖な木として尊崇されている”つまま”という特殊な木に興味をいだき、老樹を賛嘆して詠んだ歌」とあります。つままが詠まれた歌はこの一首のみです。 なお、家持ゆかりの高岡市には、万葉歌碑が多数建立されていますが、この歌の歌碑が、高岡市大田の雨晴海岸そばの「つまま小公園」に建てられています。安政五年(1858年)の建立です。13年前に訪れたことがあります。 |
Posted by
katakago
at 19:45