たまに、京都新聞2015年12月22日の社説そのまま [2015年12月27日(Sun)]
虐待児童聴取 子の負担軽減に連携を
虐待を受けた子どもから被害事実を聞き取る際、専門の訓練を受けた児童相談所(児相)の職員が担当しているのは、児相を設置している47都道府県、22政令市・中核市のうち、約7割超の33都道府県18市に上ることが共同通信の調査でわかった。子どもの心理的な負担を軽減しながら支援を行うために必要な対応だろう。さらに実施する自治体を拡大したい。 聞き取った内容を捜査機関に提供、共有している自治体も20都道県と14市あったが、虐待事件などの立件には警察や検察関係者が複数回聴取を行うことが通常で、子どもの負担軽減になっていないのが実情という。子どもたちにつらい体験を何度も語らせないための取り組みは急務だ。 その対策として専門家が有効性を指摘するのは欧米を中心に導入されている「司法面接」制度だ。児童への聴取は訓練を受けた児童福祉、医療の専門家や警察官、検察官のうち1人が代表して行い、回数も原則1回のみ。他の関係者は別室のモニターやマジックミラー越しに様子を確認し、ビデオなどで録音・録画するという。 質問の手法は、子どもの回答を誘導しないことが原則で、聴取内容は刑事事件の証拠として扱われる。厚生労働省は10月、都道府県などに対し、児相と警察、検察の代表者1人が児童に聴取して、情報を共有するよう求める通知を出したが、制度導入に向けた省庁の協議はまだ始まっていない。子どもたちを守るため、早急に検討を始めるべきだ。 専門家の養成も急がれる。人手不足や費用面などで「負担が大きい」とする児相からの声があり、研修の場も十分とはいえない。財政的な支援を含め、国が積極的に関与する必要がある。 厚労省によると、児童虐待件数は2014年度8万8931件で過去最多。警察庁がまとめた児童虐待事件の摘発件数は14年698件で、15年上半期は前年同期を59件上回る376件で過去最多だ。 国は児童虐待防止の具体策を年末にまとめる。厚労省の専門委員会は、児相が担う保護などの「介入」と親に対する「支援」の機能を分離し、支援を市町村に移して児相の負担軽減を目指す政策や、虐待を受けた児童の自立支援のため児童養護施設の対象年齢を引き上げることなどを検討している。 こうした政策を有機的に組み合わせ、関係者の連携をより強化して、虐待を受けた子どもたちや家庭への支援を深めたい。 以上です【KB】 |
Posted by
大阪手をつなぐ育成会
at 00:42