「私たち弁護士夫夫です」実体験から同性婚の法律問題を著書に　大阪の弁護士

　同性婚が認められない日本の法制度の壁や、法律が規定する結婚や家族とは何か。大阪弁護士会所属の南和行弁護士（３８）が、同性愛者としての実体験からその本質に迫る「同性婚−私たち弁護士夫夫です」を出版し、反響を呼んでいる。
　法律で保護されていない同性カップルが、日常生活で突き当たる相続や保険などの契約に関する法律問題を分かりやすく紹介。法の下の平等や個人の幸福追求権を定めた憲法の観点から同性婚が許容される可能性にも触れ、多様な性の在り方が認められる社会への展望を論じた。
　出版のきっかけは、昨今のＬＧＢＴ（性的少数者）ブームでにわかに高まる同性パートナーシップの議論。「ブームだけで終わらせず、将来の法制化に向けて議論を深めたい」と、男女間での婚姻を前提として明治時代から続く民法の規定も今後の課題に挙げる。
　「同性婚の実現には婚姻の本質に関する議論が不可欠。そもそも結婚とは何かを考える良い機会になる」と話している。
　出版元の祥伝社（東京）によると、届いた多くの感想は「同性婚は無理だとあきらめていたが、少しずつ制度が整備されれば」「職場でも取り組みをしたい」など期待の高まりや認知度の浸透がうかがえる内容という。
　南さんは、２０１１年に学生時代から交際するパートナーで弁護士の吉田昌史さん（３７）と結婚式を挙げ、１３年に“夫夫”で法律事務所を開設。無戸籍問題や離婚などのさまざまな家事事件に携わってきた。
　同性愛者を公言し、ＬＧＢＴのイベントやメディアに引っ張りだこの存在だが、同性愛に悩んで隠し続けた過去や、母との葛藤も赤裸々につづった。問い合わせは、なんもり法律事務所、電話０６（６８８２）２５０１。

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