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新書 99.996%はスルー 進化と脳の情報学 [2015年04月05日(Sun)]
竹内 薫 (著), 丸山 篤史 (著)
「99.996%はスルー 進化と脳の情報学」 ブルーバックス 新書
860円(税抜き)、

インターネットやスマホの普及によって流通する情報量は飛躍的に増加した。われわれのまわりを飛び交う全情報量の0.004%しか受け止めていないとしたら、この情報化社会の中で生き残ることができるのか? 進化の過程で膨大な数の遺伝子を取捨選択し、脳を大きくしながら記憶を捨て去ってきた人類が次にすべきことは? 生命科学と脳科学からそのヒントを探る。

「現代は情報爆発の時代といわれています。でも、実際の数字はどうなのでしょう? 本当に情報は爆発しているのでしょうか?(ええと、してます…) しているとしたら、その膨大な情報は、どれくらいスルーされているのでしょうか?(ええと、99.996%がスルーされてます…) この本には、うまく情報をスルーしつつ、自分はスルーされないための『基本情報』が詰まっています。是非、手にとってみてください。」(竹内 薫)

無意識にスルーしている情報がわれわれを形作っている

はじめに

人生はスルーの連続。

自分が他人や商品をスルーするときは別段意識もしない。でも、自分が、他人や商品からスルーされると急にたとえようのない悔しさで一杯になってしまう。

うん?どういうこと?

若いとき、意中の人に告白して「ごめんなさい」と断られた経験はありませんか?(初恋の人と相思相愛で結婚するなんて、一種のおとぎ話なんですね〜。でも若いときは気づかない)。この「ごめんなさい」は、そもそもあなたが彼女(彼)から「スルーされていた」から起きた悲劇なのだ。相手はあなたを特別な存在として意識していなかった。だから、告白されるなんて微塵も考えていなかった。いきなりの告白にびっくり仰天して、とっさに出てきた言葉。それが「ごめんなさい」。

スルーしていた側は驚いて、それから友だちにこう打ち明ける。「さっき、××くんから告白されちゃった〜」。その後の会話はこんなふうにして進む。

「え〜?信じられない〜。そんでなんて返事したの?」

「だって××くんのことなんでほとんど知らないし、ごめんなさいって断ったわよ」

「キヤハハ、そうよねぇ!××くん、クラスでもほとんど目立たないもんね。きっと付き合っても楽しくないよ」

「あーあ、××くんじゃなくて○○くんから告白されないかな〜」

「え〜?あの野球部主将で甲子園に出場する○○くん?狙ってるの?みんな狙ってるからめちゃめちゃ競争厳しいわよ」

いや、想像の会話が長くなりすぎました。でも、このような悲劇は日本で一日のうちに何万件も起きている。この会話のあとも、目立たない男子を振った女子は、野球部の主将に告白して「ごめんな、オレ今、野球のことしか考えられないんだ」と断られるのであろうし、その野球部の主将も自分のエラーで甲子園での優勝を逃したうえにプロの球団のドラフトからはスルーされてしまう。悔しい、悔しい、めちゃめちゃ悔しい!いったいなんでこうなった?

人生からこのような「スルーして、スルーされる」状況がなくなったら、どんなに幸せだろう。でも、現実の人生はスルーの連続。スルーこそが人生の基本。まずは、そのことを認めなくてはいけない。

人生劇場ばかりがスルーの舞台じゃない。大々的に立ち上げた新製品のキャンペーンが失敗して、顧客からスルーされることなんて当たり前。商品の売り上げランキングでも、爆発的に売れるのは「1番だけ」と相場が決まっている。ランキングの2番以下は、1番を目立たせて、さらに売れるようにするための応援団。大半の客はランキング1位のみを意識にインプットし、その商品に群らがる。前評判がいいと、1ヵ月前に予約していても、発売日には手に入らなくなったりもする。すると、供給不足によって、その商品の希少価値はいやがうえにも高まり、さらに販売に拍車をかける。いわゆる「勝者が全てをさらってゆく」法則だ。

恋愛にせよ新発売の商品にせよ、スルーされたらそれでおしまい。そして、スルーされないためには勝者、すなわち「1番」にならなければいけない。かつて某国会議員が「なぜ1番じゃないといけないんですか?2香じゃダメなんですか?」という迷言を発して騒ぎになったが、これほど答えが明白な質問も珍しい。人間社会には、なんらかの理由があって、1番以外はことごとくスルーされる、という法則がはたらいているのだから。スルーされないためには1番じゃないと、ダメなのだ。くだんの国会議員だって、選挙で2番、すなわち次点でもかまわないのであろうか。無論、そんなことはないはずだ。

ところで、この国会議員の発言、別の観点からも興味深い。自分はスルーされたくないが、他者はスルーしてもいい。そう、この矛盾とも思われる心理がスルー現象の一因なのだ。自分が1番であることは棚上げして、他者を2番に貶めようとする。自分はスルーされたくないが、他者はスルーされて当然。そんな心理が見え隠れする。

スルーするにも理由がある。スルー現象は、動物やヒトの進化、特に脳の発達と結びついているらしい。われわれの脳ミソには、増殖する一方の情報に圧倒されず、取捨選択するための機能が備わっているのだ。注目すべきは「無意識」の存在だ。無意識にスルーしている情報こそが、じつは自分を形作っているのかもしれない。だとしたら、日頃スルーした「つもり」でいた情報の中にキラリと光る宝があるのかも……。

とにかく人聞社会はスルーの連続。自分がスルーされたくないなら、まずは自分の胸に手をあてて、過去に自分が他人や商品をスルーしたときの状況を必死になって思い出し(そもそもスルーしているから簡単に思い出すこともできないわけだが……)、徹底的に分析して、スルーする理由を明確にすることから始めなくてはならない。

まずは、読者の皆さんに、自分の感覚が、いかに「事実をスルーしているのか」を自覚していただくことから始めてみよう。

(ここで認知に関する例題が紹介されますが、省略させていただきました)

もう一問、チャレンジしてもらおう。これも自分の感覚が「物理的事実」をスルーしてしまっていることが、よく分かる事例である。

(ここでも認知に関する例題が紹介されていますが、省略します)

いかがだったろうか。この本は単なるハウツー本ではない。自然界や人間界に蔓延る「スルーの法則」を科学目線で分析し、最終的に「スルーされないためにはどうすればいいのか」を考えたい。

え?そんな分析結果、どこまで信用できるのかわからないじゃないか?いやいやいや、この本の分析が正しいかどうかは、すでに判明しているのだ。あなたがこの本を手にとって、読む気になっている点で、すでにこの書物はスルーされていないのだから。

今からでも遅くはない。この本の著者たちと一緒に、さあ、あなたも、スルーされない人生を始めようではありませんか!

著者竹内 薫(たけうち・かおる)
サイエンス作家。一九六〇年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同理学部物理学科卒。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。「ひるおあび!」(TBS系)、「サイエンスZERO」(NHKEテレ)など、テレビでの科学コミュニケーションでもお馴染み。主な著書に『99.9%は仮説』(光文社新書)、『熱とはなんだろう』『超ひも理論とはなにか』『不完全性定理とはなにか』(いずれもブルーバックス)など多数。

著者丸山篤史(まるやま・あつし)
一九七一年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科単位満了退学。医学博士。生命科学(生理学、神経科学、医用工学)専攻。理化学研究所、長岡技術科学大学を経て、基礎生物学研究所在籍。特別協力研究員。

不思議と面白い本です【KB】
Posted by 大阪手をつなぐ育成会 at 00:33
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