2010年9月8日(水)。
空知農業改良普及センター北空知支所の「水稲品種比較展示ほ」を見学させていただきました。
農業改良普及センターとは「農業改良助長法」に基づいて、広域における農業・農村の発展のための指導を行う組織です。国と都道府県が協同して、普及事業を展開しており、北海道には14の農業改良普及センターがあります。
この日は空知農業改良普及センター北空知支所沼田分室・地域第4係・専門普及指導員 藤原昭博さんと佐竹浩二さんが、稲の籾の数や収量を調べるための準備作業をされていました。
空知農業改良普及センター北空知支所
藤原昭博さん(左)、佐竹浩二さん(右)水稲設置場所である農場は、北竜町三谷(瑞穂)の高田秋光さんの水田です。供試品種は「
きらら397」「
ななつぼし」「
ゆめぴりか」の3品種。
毎月1日と15日に草丈、葉数、茎数を調べるとともに、幼穂形成期、出穂期、成熟期など生育の節目となる日が、いつもの年より進んでいるか遅れているかや、稲の大きさ(籾の数)や収量・品質などを調べます。
稲の大きさは、平均的な穂の数の株を2つ採取して、1穂づつ、ついている全部の籾の数と、そのうち実っていない籾がいくつあるかも調べ、1uの中にどれだけあるかを算出するそうです。
収量は各区60株(約1坪)のサンプル刈りで行われます。刈り取った稲は「はさ」にかけて乾燥後、脱穀と籾すりをしてお米の重量や品質のほか、蛋白などの成分も調査するそうです。
高田秋光さんの水田ではこの他に、良食味として期待される新品種「ゆめぴかり」の肥料のやり方について、普及センターが昨年から試験を実施し、高品質米生産への取り組みが進められています。
藤原さんから、稲について教えていただきました。
稲の生育期間は、
(1)体をつくる時期=分げつ期
(2)穂の基が作られ育つ時期=幼形期(幼穂形成期)〜止葉期
(3)穂が出て開花受精した籾にデンプンが蓄積されお米に成熟するまでの時期=登熟期
の三つに分けられます。
(注)
「分げつ期」は、茎の数が増え、茎の根元から新しい茎が分かれて出てくる時期。
「幼形期(幼穂形成期)」は、分げつ後、稲の種のもとになる幼穂が茎の根本に出来る時期。
稲の生育は、気温、日照時間等に大きく影響されます。今年は、田植えから6月頃まで、低温が続き強風が多かったため、茎数が少ないようです。
また、お米の美味しさを左右するものは、お米を構成するたんぱく質とアミロース含有量。たんぱく質、アミロースともに、その含有量は低いほうが粘りのある美味しいお米とされています。
美味しいお米の目安として北海道では、たんぱく質含有量6.8%以下のお米を「低蛋白米=高品質米」として区分。
たんぱく質含有量は、窒素肥料や気温による影響が大きく、窒素肥料が多すぎたり、肥料が適正でも実った籾の数が少ないと高くなります。タンパク含有量が7%前後になる最適気温は、出穂後40日間の平均気温でおよそ22〜23℃。
また、お米の主成分であるデンプンは、アミロース(直鎖状)とアミロペクチン(樹枝状)の成分で成り立っています。
お米(うるち米)には、アミロースが17%〜23%含まれていて、アミロース含有率が低いほど粘りが強いとされています。このアミロース含有量は、登熟期間(出穂〜刈り取り)の気温に影響。気温が高いとアミロース含有量は低くなります。
こうして、おいしいお米とは、炊いたごはんの白さ、つや(視覚)、香り(臭覚)、甘み(味覚)、粘り、口当たり、舌触り(触覚)等で判断されます。五感のうち聴覚を除いた四感を統合した感覚で味わいます。
JAきたそらち北竜支所・生産情報公表農産物JAS規格を取得した北竜町の美味しいお米は、生産者の皆さんのきめ細かな管理に加え、農業改良普及センターの方々の日々の指導・調査研究の積み重ねによって生みだされています(参照:
ロットNo.F64022の生産物情報)。
水稲品質向上を計り、良質な美味しいお米の生産増加に向けての惜しみない努力は続けられているのです。
農作物に対する深い想いをもって、一歩一歩地道に取り組まれ努力されていることに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
農業に携わるたくさんの人々の努力と行動力によって、
美味しいお米を食し、いのちが育まれることに
大いなる愛と感謝と尊敬をこめて。。。
水稲品種比較展示ほ@高田秋光農場◇ いくこ&のぼる