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視察旅行(5)2日目のワークショップ [2012年03月31日(Sat)]
今回の視察旅行は2月12日・13日の2日間の予定で実施しました。1日目はかばたツアーたかしま生きもの田んぼ高島市新旭水鳥観察センター上原酒造を見学した後、ワークショップを兼ねた夕食を摂りました。今回の記事では、視察旅行2日目に実施した、ワークショップの様子を報告します。

2日目は、今回のワークショップのテーマである「内なる生物多様性」について、愛媛大学の日鷹一雅准教授が説明を行いました。この「内なる生物多様性」とは、日鷹准教授と農研機構 農村工学研究所の嶺田拓也氏らが3月17日に、日本生態学会全国大会の自由集会「Biodiversity in ours  −外からの生物多様性と内なる生物多様性−」と企画集会『序:なぜ今、里山の在来知?暮らしの中に潜む「内なる生物多様性」』で発表するテーマです。日鷹准教授はこの「内なる生物多様性」について、「生物多様性えひめ戦略(案)の概要について」の中で、『人の暮らしの中には、多様な生物と結びつく知恵や技能が内包されています。

例えば、里山に暮らす夫人が五感を活用し600種にも及ぶ植物を分類し、それを食物やクスリとして生活に利用するとともに、その手法を後世に伝承するなど生物と暮らしを結ぶ知恵。このような、ありふれた暮らしの中に生物多様性の構造や機能が潜んでいることがあります。それらを総称し「内なる生物多様性」と呼ぶこととします』と説明しています。生物学者らがこの生物多様性の維持について訴えるようになる前から、地域資源を活用して暮らしてきた地域の生活の中には、こうした「内なる生物多様性」が取り込まれ、受け継がれてきたのです。

日鷹准教授は、この「生物多様性えひめ戦略」を通じて「内なる生物多様性」を地域戦略に盛り込んだ事例を紹介しました。
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日鷹准教授による「内なる生物多様性」についての説明の後は、静岡県農林技術研究所の稲垣栄洋氏による「静岡県民の内なる生物多様性の評価」、琵琶湖博物館の中井克樹氏による「外から内への生物多様性」など、他の参加者による取組みや課題の紹介がありました。

稲垣氏は静岡県が全国一のの農作物品目数167品目を誇る「ものづくり県」であることを踏まえ、こうした静岡県の農業が地域の自然風土や生物多様性に依存するものであり、特に農業生産の現場である農村には必ず希少種が存在する、生物多様性の豊かな地域であると説明しました。一方、地域住民は希少種よりも、ホタルやドジョウといった身近とされてきた生き物が分布することを喜びます。こうした農村の生物多様性を評価するには、研究者による外部評価ではない、「内なる生物多様性」の評価が必要になります。内なる生物多様性の評価の為には、地域らしさや思い入れ、利用方法を、地域から地域外へと発信することの必要性を、稲垣氏は説明しました。

中井氏は、生物多様性を内と外の2つに分け、「農業の現場における既存の価値観の多様性」を農学における「内」と説明しました。長い時間をかけて地域の気候風土や歴史により育まれたものであり、その生物多様性を伝えて守っていくことの大切さを説明しました。



盛んな意見交換が行われた2日目ですが、この日の昼食でも、初日同様に、琵琶湖の魚や味噌汁を参加者で頂きました。食を通じた生物多様性は、味わって学ぶことが出来て、一石二鳥です。
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視察旅行2日目を終え、いきものマイスターは帰路につきます。今回の視察旅行は、奥能登と滋賀県高島市の間をマイクロバスで片道約6時間かけて往復した、ちょっとした強行軍でした。私達の活動する能登でも、「内なる生物多様性」を利用して生活する人たちが大勢います。漁師は、同じ魚でも成長段階や季節(旬)によって、異なる資源として利用します。春先には能登のあちこちで山菜摘みが行われますが、これも内なる生物多様性の1つと言えるでしょう。私たちいきものマイスターは、生物多様性に根差した能登の暮らしが「内なる生物多様性」に支えられたものであることを理解して、伝えていく必要があるでしょう。


*現在、いきものマイスターは2012年度の受講生(3期生)の募集を行っています。詳しくは、こちらの募集概要をご覧下さい。
視察旅行(4)プレワークショップ夕食 [2012年03月17日(Sat)]
かばたツアー、たかしま生きもの田んぼ、高島市新旭水鳥センター、上原酒造の見学コースを終え、ワークショップの会場である針江生水の郷体験処へと移動です。ここからは夕食を兼ねたワークショップの開始です。
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このプレワークショップは、日本生態学会により3月17日(金)から21日(水)にかけて龍谷大学瀬田キャンパス(大津市)で開催される、第59回日本生態学会大津大会において、愛媛大学農学部の日鷹一雅准教授らが企画する自由集会「Biodiversity in ours ―外からの生物多様性と内なる生物多様性」(3月17日)、企画集会「里山における在来知と生物多様性管理」(3月20日)の開催に先駆けて、関係者が集まって今回のテーマ「内なる生物多様性」についての議論を行うものです。


こう書くと堅苦しくなってしまいますが、この日のワークショップは夕食を交えて始まりました。この日の夕食では、ビワマス、イワトコナマズ、琵琶湖原産のコイ(トンボ、と呼ばれる)、ハス、アユの稚魚(氷魚と呼ばれる)、ホンモロコ、ニゴロブナなど琵琶湖特産の魚料理やセタシジミの味噌汁などが多数並び、更にいきものマイスターの参加者の1人が持ち込んだ甘エビが加わりました。これら夕食の魚を通じて、琵琶湖の生物多様性を題材に今回のテーマである「内なる生物多様性」についての意見交換を行おうというものです。
この日並んだ琵琶湖特産の料理には、地元でも知る人ぞ知る魚が多く含まれていました。この料理の1つ1つについて解説を受け、地域の生物多様性を学びながらの夕食となりました。

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コイ(琵琶湖特産):現在の日本国内に分布するコイの中でも本当に在来種と呼べるコイは琵琶湖水系のコイのみと言われており、滅多に採れない珍種とされています。竹生島周辺で越冬します。琵琶湖北部ではトンボ、南部ではゴンボと呼んでいます。煮付けで頂きました。

イワトコナマズ(環境省準絶滅危惧・滋賀県絶滅危惧U類):琵琶湖と瀬田川の一部、余呉湖にのみ分布。マナマズ、ビワコオオナマズが藻場や泥底に棲むのに対し、岩礁地帯に棲む琵琶湖水系固有のナマズです。日本産ナマズでは最も美味とされ、琵琶湖周辺では消費されていますが、多くは漁師らの自家消費に回る為、食卓に上がるのは大変貴重です。煮付けで頂きました。

ビワマス(環境省準絶滅危惧・滋賀県情報不足):琵琶湖固有亜種、現在はヤマメの亜種とされています。近縁種のアマゴが琵琶湖に放流されった為の交雑への危惧や、オオクチバス(ブラックバス)などの外来種の侵入により保全状態が危ぶまれましたが、中層から深層を利用する生態を持つ為に打撃を受けることなく今でも多く生き残っています。この日は塩焼きなどで頂きました。

ニゴロブナ(環境省絶滅危惧TB・滋賀県準絶滅危惧):琵琶湖固有亜種。琵琶湖および流入河川や用水路に棲息します。鮒寿司の原材料として水産上では重要な魚ですが、産卵場所の減少や、ブラックバス、ブルーギルなどの外来魚による影響で、数を減らしています。

ハス(環境省絶滅危惧U類・滋賀県準絶滅危惧):自然分布は琵琶湖・淀川水系、三方五湖のみですが、現在の分布は全国各地に広がっています。完全な魚食性の魚です。夏に沢山採れます。

他にゴリ(ヨシノボリの子供)、ホンモロコ、豆エビ、アユの子供(氷魚)、更にはいきものマイスターの受講生が持ち込んだ甘海老などが食卓にあがりました。
今回食卓に上がった琵琶湖の特産種には、絶滅危惧種などとして扱われる希少種が多く含まれました。元からの希少種に加え、近年数を減らした為に保護策が打ち出されている種もあります。


この後は、今回のプレワークショップ及び見学の案内人を務めて下さっている、アミタ持続可能経済研究所の主任研究員である本多清氏による「湖国の農家・漁師に学ぶ生物多様性」と題した発表がありました。現在、生態系サービスの基礎である生物多様性の維持は国レベル、更には世界レベルの大きな課題となっていますが、地域の自然に根差した食生活ほど、地域の生物多様性の意味を伝えてくれるものはないでしょう。この日の夕食と発表では、専門家らが「生物多様性」という言葉を提唱してその大切さを訴える前に、地域の農家や漁師らは地域資源という形で土地の生物多様性を肌身を持って実感し、利用してきたことを学びました。

初日のワークショップはこれで終わりですが、終了後も参加者らによる意見交換は深夜まで続きました。いきものマイスターにとって、各方面の専門家と膝を交えて話が出来る機会は、大変貴重なものです。プレワークショップは2日目の昼過ぎまで続く予定ですが、話は尽きず、誰もがつい時間を忘れてしまったひと時を過ごしたようでした。
(次回に、続きます)

*現在、いきものマイスターは2012年度の受講生(3期生)の募集を行っています。詳しくは、こちらの募集概要をご覧下さい。
視察旅行(3)水鳥観察センター、上原酒造 [2012年03月15日(Thu)]
3月12日(月)の見学コースの後半は、琵琶湖湖畔にある高島市新旭水鳥観察センター上原酒造です。

高島市新旭水鳥観察センターは琵琶湖湖畔で水鳥を観察する為の施設です。水鳥センターにはカフェが設けられています。カフェの窓の下には琵琶湖湖畔のヨシ原が広がり、水鳥が集まっています。ここでは、カフェに取り付けられた双眼鏡でバードウォッチングをしながらコーヒーなどを楽しむことが出来ます。この日はチュウダイサギなどが見られました。
施設内には、雛を拾わないで!!キャンペーンのポスターが貼られていた他、フェアトレードのチョコレート、地域の野草による写真ハガキなどが販売されていました。

他にも水鳥センターは、カヌーを使った自然観察ツアー、木登りツアー ツリーカフェ(木登りをして、樹上でじっくり過ごすツアー)、カヌー製作教室など様々な自然体験の取り組みを行っているようです。

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水鳥観察センターの次は、この日の見学コースの最後にあたる、上原酒造へ行きました。
上原酒造は、新旭町にある老舗の蔵元です。この上原酒造の山廃仕込みは酵母の仕込を一切行わず、天然酵母が自然に入るのを待つという、手間をかけたこだわりの酒造りを行っています。通常の山廃仕込みより時間がかかり、更に温度管理も大変だといいます。
この拘りの酒造りに加え、かばたツアー見学でも触れたように、良質な水が豊富な琵琶湖湖畔の環境が、この上原酒造の強みでもあります。見学者らには試飲用の酒が回され、見学者一同は拘りの酒を堪能しました。その場でお土産にお酒を買う見学者も少なくありませんでした。

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この日の見学コースを終え、ワークショップの会場である針江生水の郷体験処へと移動です。この後は夕食を兼ねたワークショップが始まりました。


(次回に続きます)
*現在、いきものマイスターは2012年度の受講生(3期生)の募集を行っています。詳しくは、こちらの募集概要をご覧下さい。
いきものマイスター視察旅行(2)たかしま生きもの田んぼ米 [2012年03月14日(Wed)]
針江地区のかばたツアー体験の次には、「たかしま有機農法研究会」の水田を見学しました。


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高島市は琵琶湖北西部の5町1村が合併して出来た経緯から、地域により景観と気候が大きく異なります。この多様なタイプの水田を耕作する地域の農家らにより結成された「たかしま有機農法研究会」は無農薬・減農薬・中干し延期などの環境配慮型農業による自然との共生を目指すと共に、独自のブランド米「たかしま生きもの田んぼ米」の販売を行い、その取り組みは多くの注目を集めています。

現在、各地で環境配慮や生物多様性、景観を付加価値としたブランド米の生産が行われています。特に兵庫県豊岡市の「コウノトリ育むお米」、新潟県佐渡市の「コウノトリと暮らす郷」は、地域の生物多様性を付加価値としたブランド米として非常に有名です。こうした生物多様性を付加価値としたブランド米の多くは、訴求力を持つ希少生物をブランド名に据えていますが、一方の「たかしま生きもの田んぼ米」は目玉となる生き物を特に設定していません。先述したように高島市の地形や気候は多様であり生物相も水田ごとに異なることから、単一の生き物を据えることは容易ではありません。しかし、たかしま有機栽培研究会では特定の生き物に頼らず、各農家がお気に入りの生き物を挙げることにしました。取り上げる生き物はナマズ、トノサマガエル、ナゴヤダルマガエル、ガムシ、チョウトンボ、ニゴロブナなど様々です。研究会はその他にも、これらの生き物を紹介する為のものしりカードというものや、農業のアイデアをまとめたアイデア手帳を作成して、研究会の取り組みと魅力を伝える試みを行っています。特定のスター的な生き物がおらずとも工夫次第で、その地域の普通の生き物でも付加価値と成り得ることを、研究会は示しました。

その他に、私達は水田周辺に設けられた、生き物への配慮の工夫について見学をしました。水田の水路にとりつけられた魚道やスロープはカエル、メダカ、フナ、カメなどそれぞれの生き物の都合を考慮したものです。水田周辺に穴を掘ってビオトープを設置したところ、カスミサンショウウオ(環境省絶滅危惧U類・滋賀県準絶滅危惧)が棲みつくようになり、水田の生き物として大切にされていました。他にもこの研究会は、田んぼの生きもの調査実施、現在では栽培方法の事情により生産量が減少したササニシキの生産、高島屋との共同による農業体験ツアーなど、様々な取り組みを行っています。
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能登は全国的にも希少種を含む多様な里山生物が分布していますが、多くはゲンゴロウやトンボ、カエルのような小動物であり、トキやコウノトリのような訴求力の強い生き物はいません。しかし、こうした小動物の棲める田んぼすら少なくなる今日では、身近で当たり前とされてきた生き物の棲める田んぼこそ、大事なのではないでしょうか?
(次回以降に続きます。)
いきものマイスター視察旅行(1)かばたツアー [2012年03月14日(Wed)]
2012年3月12日(月)、13日(火)に、いきものマイスターの視察旅行を行いました。今回訪問した滋賀県高島市の新旭町では、「かばたツアー」を行う針江生水の郷委員会、「たかしま有機農法研究会」など地域資源を活用した取り組みの見学を行いました。更に、愛媛大学の日鷹一雅准教授らのチームが実施に合流し、生態学会自由集会・企画集会のプレワークショップに参加しました。視察旅行とプレワークショップについて、報告を行います。

3月12日(月)
・高島市針江集落「かばたツアー」
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高島市新旭町(旧・新旭町)の針江という地区には生水(しょうず)と呼ばれる、安曇川水系の伏流水による湧水が豊富です。この生水を利用した水路と生水を利用するシステムを川端(かばた)と呼びます。かばたは壺池(つぼいけ)と呼ばれる箇所から湧き上がっては周囲の端池(はたいけ)に注ぎこみます。壺池は各家庭にも設けられており、生活用水として利用されています。生水はおよそ200年の歳月をかけて地下24mから湧き上がり、その水量は1日に3500トン(大型タンクローリー200台以上)と言われています。水温は年間を通じて13℃から14℃に保たれており、夏には冷涼な水として、冬には温かい水として利用出来ます。水質は良好とされ、水質調査の結果を壺池に張り出す家庭もありました。この良好な水は環境省が選ぶ「平成の名水百選」にも選出されています。
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かばたでは地区の住民が案内するエコツアー「かばたツアー」が実施されており、多くの観光客が訪れています。今回、プレワークショップ参加者らと私達いきものマイスターもこのかばたツアーに参加しました。かばたにはバイカモやナガエミクリなど、希少な水生植物が多く見られました。この水生植物が増えすぎると水かさが高くなりすぎるので年4回は藻刈りという作業を行うそうですが、刈られる水生植物は年に200トンにも及ぶそうです。藻刈りによって刈られた水生植物は田んぼの土づくりにより利用されるそうです。
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多くの端池では、コイが飼育されていました。使用した食器や野菜屑などを沈めておくと、このコイが綺麗にしてくれるそうです。春から秋にかけてこのコイは端池の掃除役を務め、冬には食用となっていたそうですが、最近では冬もそのまま飼い続ける家庭が増えたそうです。とある家庭の端池ではカレーの鍋も掃除してくれますが、他の端池のコイは食べなかったそうです。家庭の端池ごとに、コイの食べ物の好みまで異なるそうです。コイ以外にも、このかばたにはウグイ、カワムツ、サワガニなど様々な生き物が遡上しています。家庭にいながら琵琶湖水系の生態系を観察することも可能です。

弥生時代前後には既に存在したと言われ長い伝統を持つかばたですが、近年では殆ど使われておらず、地区内の水路にもゴミが散乱していたといいます。そのかばたが世界的に注目されるきっかけとなったのが、里山写真家として有名な今森光彦氏による指揮の元で作成され2004年に放映されたNHKのドキュメンタリー番組『〈NHKスペシャル〉映像詩 里山〜命めぐる水辺〜』です。この番組は日本国内は勿論のこと、数々の国際コンクールを受賞して針江地区のかばたを世界的に有名なものにしました。有名になった針江地区には多くの観光客が来訪するようになりましたが、元々1集落にすぎない針江地区の人々は予期せぬ観光客が集落内を歩き回ることに戸惑い、不安を覚えたといいます。また、壺池や端池の多くが個人宅の敷地内にあることも問題でした。
こうした問題を解決する為に地域住民らは針江生水の郷委員会を結成しました。これにより、エコツアーという形で地域住民が観光客を案内して回ることが始まりました。こうした取り組みにより、荒れていたかばたは綺麗に整備されるようになり、地域住民らにもかばたの重要さが再認識されることになりました。
現在、針江地区は隣接する霜降地区と共に国の重要文化的景観に指定されており、かばたツアーは第7回エコツーリズム大賞」にて「優秀賞」を受賞するに至りましたが、元は増えすぎた観光客と地域のトラブルを避ける知恵から始まり、その結果として地域の文化と景観を見直すきっかけになりました。


地域資源の見直しと活用、というのは多くの地域にとって重要な課題です。観光客の管理と地域活性化を同時に行う、かばたツアーのような取り組みは、環境問題や地域問題への取り組みにとっても、いきものマイスターにとっても優れた見本となることでしょう。

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次回以降のブログでは、「たかしま生きもの田んぼ米」など見学コースの後半について、更に12日から13日にかけて行われたプレワークショップについて報告します。
能登いきものマイスター養成講座2012年度の受講生募集 [2012年03月09日(Fri)]
2010年に始まった能登いきものマイスター養成講座も、間もなく2期生の修了を迎えます。観光体験指導者、里山歩きの企画を主催するデザイナー、漁師に嫁ぎ持続可能な漁業を考える主婦、環境配慮型農業学習者、里山保全プロジェクト参加者など、個性豊かな受講生に集まって貰えたことを、スタッフ一同、実に嬉しく感じています。

2012年度のいきものマイスター受講生(3期生)を5名募集します。3期生は、4月からの受講となります。詳細は、以下の募集概要をご覧下さい。尚、いきものマイスターは2012年度が最終年度となりますのでご了承下さい。

【能登いきものマイスター養成講座とは?】
金沢大学は2006年から「能登半島・里山里海自然学校」、2007年から「能登里山マイスター養成プログラム」、2008年から「NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海」を設立し、各種育成プログラムを実施することで、里山里海の保全事業や持続可能な地域産業創出のノウハウを蓄積してきました。更に私たちが目指すものは、里山里海の生業と自然との関わりを伝える案内人「能登いきものマイスター」の育成です。
「能登いきものマイスター事業」は能登の里山里海に精通した案内人であり、同時に地域の担い手たる「いきものマイスター」の育成を目的とする事業です。

【講座紹介】
能登いきものマイスター事業の教材は、豊かな自然溢れる能登半島です。豊かな里山里海に恵まれた能登半島の自然と、そこに住まう先人の知恵から、自然と共生する持続可能な地域社会の創出を目指すものです。
更に、各分野より優れた業績を持つ専門家を講師として招聘することにより、各分野の最先端の知見を学ぶ質の高い講義を実践します。

【募集概要】
募集人数:5名
受講資格:石川県在住で、環境教育に関心のある方。年齢制限なし。
受講料:無料。
講習期間:1年間。月1回(土曜日もしくは土日の2日間)、全20講義。
他、先進地視察(旅費支給)と修了課題の作成を予定しております。
1年間継続して受講出来る方を募集します。

応募方法:
写真つきの履歴書、及び志望動機「生物多様性と私」を「金沢大学能登学舎」まで郵送して下さい。「生物多様性と私」は400字詰め原稿用紙2枚から4枚程度で作成して下さい。ワードでも結構です。

募集締切:4月7日(必着)

問い合わせ先:金沢大学能登学舎
〒927-1462石川県珠洲市三崎町小泊33-7
電話/FAX:0768-88-2528(担当:野村進也、赤石大輔)
mail:akaishid@staff.kanazawa-u.ac.jp


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里山のいきもの写真展2012」を開催しました [2012年03月06日(Tue)]
2012年3月4日(日)、珠洲市飯田町にあるラポルトすずで、いきものマイスターの写真展「里山のいきもの写真展2012」を開催しました。写真展は、能登の里山を伝えることを目的とし、いきものマイスター受講生とスタッフらが撮り貯めた写真を展示するものです。尚、今回は2回目の開催となります。

今年度の受講生(2期生)は、珠洲市や能登町など奥能登とされる地域、羽咋市や志賀町など口能登(能登の南部)とされる地域、更には能登ではありませんが石川県南部の白山市から来ています。また、2011年に愛媛大学大学院の院生(当時)として水生昆虫研究の為に能登に滞在し、現在は岡山県真庭市にある、津黒いきものふれあいの里のスタッフとして活動する渡部晃平氏にも来て貰いました。渡部氏は昨年度の写真展にも参加してくれた他、いきものマイスターが2011年度に作成した教材「能登のいきもの大図鑑1:水辺の甲虫・カメムシ編」の作成者でもあります。
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環境配慮型農業に興味を持つ受講生は、地域の田畑で見られたカエルを愛情豊かに撮影しました。白山市で自然紹介などを行う珠洲市出身の受講生は、キイトトンボやアオイトトンボなど珠洲市の里山で見られる生物の写真を熱心に撮影しました。白山で保全活動や地域活性化に参加する受講生は、白山の里山と地域の暮らしを撮影しました。白山の雪山、白山の田畑に大挙して押し寄せるニホンザルの群れなどは迫力溢れる写真に、農作業の風景や地域のおばあちゃん達は暖かみのある写真になりました。能登町から来ている受講生は、身近に見られる鳥が漁港や冬の田畑で生活している様子を撮影しました。珠洲市在住の受講生は、野山や海を背景に家族を撮影し、自然豊かな能登の生活のほのぼのとした様子を見せてくれました。
今回は、2期生のみならず修了生も写真を提供してくれました。伝統漁法「たこすかし」による体験観光の案内をする大瀧氏は能登の海で遊ぶ楽しさを伝える写真を、家で猟師をしている修了生は自家採集した甘エビの写真などを美味しそうに、三井町に住むデザイナーは野山で見られた生き物をデザイナーらしくちょっとお洒落に、Iターン移住者は地域で評判となっている案山子の写真を提供してくれました。

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津黒いきものふれあいの里から来た渡部氏は、オシドリやハヤブサなど鳥の写真に加え、オオサンショウウオ(特別天然記念物)の貴重な写真まで提供してくれました。オオサンショウウオの写真を撮るには夜間に川を歩いて撮影ポイントへ行くことや、何時間も待たなくてはならない上、空振りになることも多かったことなどを渡部氏は話してくれました。図鑑やネットで何気なく見かける生き物の写真ですが、撮影に至るまでを撮影者自身から聞けるというのは、実に貴重です。渡部氏が撮影した写真ハガキを会場に持ち込みましたが、これも好評でした。
今回は更に、大型のプラズマテレビを設置して、里山の生き物写真のスライドショーを流しました。いずれも、その受講生が何に関心を持ち、どんな活動をして、何を伝えようとしているのかが一目でわかる写真ばかりです。

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会場では、NPOおらっちゃのスタッフと受講生がチャイやビスコッティ、フェアトレードのチョコレートなどを用意してくれました。会場内に用意した座席で寛ぎながら写真を見て貰うことも可能です。写真展当日には、大勢の地域の方に来場して頂きました。昨年もお越し頂いた方から「とても綺麗」とのお言葉も頂きました。こうした取り組みが能登の里山への理解に繋がれば、と願ってやみません。


尚、前年度の写真展については、こちらをご覧下さい。
(2011年度いきものマイスター写真展:3月27日)
http://blog.canpan.info/ikimono/archive/32
冬山「里山祭」山笑い見学 [2012年03月05日(Mon)]
2012年2月18日・19日、白山市木滑で行われた冬山「里山祭」山笑いを見学してきました。
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木滑集落は金沢市の中心部から車で約1時間、白山の麓の山間部に囲まれた20軒ほどの小さな集落です。この木滑の魅力を伝える為の「木滑里山保全プロジェクト」が催す「山笑い」は2011年度冬から始まり、夏や秋に実施したものを含めると今回で5回目となります。尚、夏山「里山祭」山笑い(2011年8月27日・28日)の初日には、講義としていきものマイスターで訪問しています。

私達が訪問したのは山笑い前日の2月18日(土)です。この日は地元民、ボランティアなどを含めた約30名が準備に大忙しの様子です。会場の一部である木滑神社の周りには、雪遊びが出来るように、かまくらなどが作られていました。私達もかまくら作りをお手伝いしました。
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今回の山笑いでは「里山ホームステイ」という企画により、希望者5組が木滑の民家にお泊りをします。受付終了予定の17時までにホームステイ参加者が集まりました。この後、地元の研修・交流施設「白山里」の日帰り温泉に浸かった後、各滞在家庭を訪問です。
気さくな地元の方の人柄に触れながら家庭料理を頂くホームステイは最高でした。今度はお土産を持ってお礼に伺いたいと思います。

19日当日は、雪も収まり晴天に恵まれました。この日に行われた企画は、かんじきで雪山を歩く「里山ウォーク」、地元のおじいちゃん達からわら細工や手遊びを習う「里山の手あそび」、里山のご馳走が並ぶ「木滑神社市」、ほんこさん(報恩講)など大事な集まりで使う為の貴重な御膳で頂く「冬の里山料理店」などです。

「かんじきウォーク」では、かんじきを履いて冬の雪山歩きを体験します。案内して下さるのは地元の猟師の方です。生き物の足跡を見つけては、それがニホンザルやウサギの足跡であると解説してくれました。木滑には他に、カモシカ、テン、キツネ、リス、キジ、ツキノワグマ、イノシシなどがいるそうです。更には遠方にニホンザルの群れを見つけて、参加者らに双眼鏡で群れを見せてくれました。かんじきウォークは午前と午後の2回が行われましたが、両方に参加した元気な児童もいたようです。

案内してくれた猟師の方は、里山の食べ物が豊富な年のイノシシやクマは脂肪が多くて肉も美味しいといいます。また、自分達が子供の頃にはまだイノシシがいなかったことを話してくれました。里山の変化に一番敏感なのは、こうした山の生活をしている人達です。冬山に入る生活が失われつつある今日でも、この木滑では冬山の生活が今も根付いていることが実感出来る催しでした。
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「木滑神社市」は、里山の美味しいもので一杯です。焼きおにぎり、山菜おこわ、大根の漬物や山菜のお惣菜、なめこ汁、甘酒など、目移りしてしまいそうなものばかりです。市では餅つき大会が行われ、訪問客に振舞われました。つきたてのお餅の味は格別です。更には、木滑の環境配慮型水田で作られたお米「山笑米」が売れていきます。
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「冬の里山料理店」では、ほんこさんで使用されてきた輪島塗りの御膳に載せて、里山の料理が振舞われました。尚、今回の為に用意された御膳と器は、昭和44年頃からずっと蔵にしまわれたままのものでした。かつての木滑では、地域の冠婚葬祭は各家庭で行われていましたが、今では専用の施設など外部で行うようになった為に、自宅で御膳を使う機会がなくなってしまったそうです。「冬の里山料理店」が、こうした地域の伝統と暮らしを見直すきっかけになればいいですね。

「里山の手あそび」ではわらじの1種「あしなか」などの編み方を、地元の達人から習います。参加者の1人は、地元のおじいちゃん・おばあちゃん達の技術に舌を巻いていました。地域の伝統技術をこのように地域内外の人に親しんで貰うことは、伝統技術の保存と伝達にも大切なことです。地域のおじいちゃん・おばあちゃん達も、自分達の技術や文化の大切さを実感出来たのではないでしょうか?

雪遊びの会場では、子供達がそりで滑って、更にはかまくらに入って遊んでいます。大人まで、そりで楽しそうに滑っています。踏み固めた場所以外の雪は柔らかく、子供がすっぽり入ってしまえば危険です。スタッフは子供達を楽しませつつ、危険な場所に踏み込まないようにしっかりと見張っています。安全の確保も、イベントにとっては大切です。

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今回の「山笑い」では親子連れが多かった他、スタッフによればリピーターも多かったそうです。「山笑い」が回数を重ねることで確実に知名度を上げ、地域活性化の為の効果が現れ始めているのかもしれません。この「山笑い」をどうか長く続けることで地域の連帯感を強め、内外に木滑の自然と里山の暮らしの大切さを伝えると共に、地域の活性化成功に繋がることを、参加者の1人として願ってやみません。