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1月21日の講義:生物多様性について、など [2012年01月24日(Tue)]
1月21日(土)に、2012年最初の講義を行いました。今回の講義は、以下の通りです。

1. いきものマイスターが地域の生物多様性を理解し、それを伝える意義と、その方法
2. 「能登のいきもの大図鑑」を使った実習
3. いきものマイスター写真展についてのディスカッション
4. 修了課題指導

1. いきものマイスターが地域の生物多様性を理解し、それを伝える意義と、その方法
最初の講義では、生物多様性についての説明を行い、その上で生物多様性の活用方法とその実例、生物多様性の調査とそのフィードバックについての説明を行いました。
1) 生物多様性とは?
生物多様性とは多種多様な生き物がそこにいることを示す言葉ですが、一口に「多種多様な生き物」といっても、その意味は様々です。この講義の始めにまず、生物多様性国家戦略で挙げられる「種の多様性」「生態系の多様性」「遺伝子の多様性」についての説明を行いました。
2) 生物多様性を巡る現状
今日、生物多様性は大きな危機を迎えています。現在知られているだけでも過去5億年ほどの間に5回の大きな大量絶滅が起きたことが知られていますが、現在起きている絶滅は過去の絶滅を上回るペースで進行しており、現在では1年に約4万種が地球上で絶滅しているとも言われています。過去の絶滅は自然現象に起因するものですが、現在進行している絶滅は人間活動に起因するものと考えられています(鷲谷 2010)。
こうした生物多様性への危機は、新・生物多様性国家戦略により「日本における生物多様性3つの危機」として、「人間活動や開発による危機」「人間活動の縮小による危機」(里山の荒廃など)「人間により持ち込まれたものによる危機」(外来種など)の3つに纏められています。一方、私達の生活は生態系サービス(生態系や生物多様性に由来する、人類の利益となる機能)に支えられています。この生物多様性を保全する動きは世界的には「生物の多様性に関する条約」として、日本国内では「生物多様性国家戦略」「生物多様性基本法」、地域的には「生物多様性地域戦略」として纏められています。
3) 地域における生物多様性と、保全や活用の取り組み
「生物多様性地域戦略」では各地方自治体による保全への取り組みが言及されています。また、各地では市民や自治体による地域の生物多様性調査や保全、環境教育、農産物ブランド化の為の生物多様性利用の取り組みが行われています。こうした流れを説明した上で、いきものマイスターが地域の生物多様性を理解してそれを伝える意味を説明しました。
4) 生物多様性を調べる方法
地域の生物多様性を伝えるには、まずそれを調べる必要があります。この項目では、生き物の調べ方(何を目的に、いつ、どのような方法で、どの生き物を対象にするか?)について触れた上で、どのような資料をどう使うかを説明しました。
5) 調べた結果からわかること
先の項目で述べた生き物の調べ方から判明した情報をいかに活用するかについて、説明を行いました。2011年11月に日本自然保護協会の高川氏を招いた講義でもあったように、この過程では「知る(保全状態の確認、データ蓄積)」「アクション(結果から保全計画を立て、実施)」「体制作り」「根本原因への対応」という流れを説明しました。
6) まとめ
1)では3段階の生物多様性についての説明を行いました。2)では「3つの危機」を元に今日の生物多様性が抱える危機と保全の為の動きを説明しました。3)では市民が生物多様性を保全してそれを地域の為に活用する方法について触れました。4)では地域の生き物の調べ方を説明しました。5)ではその調査結果を地域にフィードバックする方法を説明し、6)でまとめを行いました。

2. 「能登のいきもの大図鑑」を使った実習
最初の講義では、いきものマイスターが生物多様性を理解して伝えることの意義と、その為にも生き物の見分けをして説明することの必要性を説明しました。この講義ではそれを踏まえた上で、能登いきものマイスター養成事業が今年度に作成した「能登のいきもの大図鑑2カエル編」の使用方法についての講義を行いました。
季節的には実物のカエルを準備出来ませんので、代わりに受講生にはカエルの写真を見て貰いながら、実際に「能登のいきもの大図鑑」を見て種類を判別して貰いました。更に、昨年度に作成したゲンゴロウ編も使って、ゲンゴロウの判別をして貰いました。こちらは自然学校で飼育中のゲンゴロウを使っての講義です。初めてゲンゴロウを見る受講生もいて、その大きさや姿に驚きの様子でした。

3. いきものマイスター写真展についてのディスカッション
いきものマイスターは昨年の3月に、能登の自然を伝えることをテーマに写真展を実施しました。今年度も同様の写真展を3月に予定しています。今回は事前に、受講生が今までに撮り貯めてきた写真の中から写真展に使ってみたい写真を準備して貰いました。また、写真選出の参考にする為に、昨年度の写真展で使用した写真の一部を見て貰いました。
受講生の1人は主に近所で見つけた生き物の写真や風景の写真を用意しました。特に身近な小鳥が多く、ご本人の自然に対する視線が伝わってきます。
もう1人の受講生は、ご自身が強く興味を持っている農業に関する写真を用意しました。特に羽咋市で見られる自然栽培という環境配慮型農業を行っている水田と、その水田周辺で見られた生き物の写真を選んでいました。生き物の写真としては、水田で見られたカエル類、トンボ類、クモ類、ササキリの仲間などがありました。中には、水田で偶然撮影した病気の稲など、農業の大変さを伝える写真も混じっていました。こうした写真の価値は、本人だけではなく、何人かで見て色んな意見が出て初めてわかるものです。



4. 修了課題指導
いきものマイスターは、各自が作成した修了課題論文を提出し、それを発表会で発表して修了となります。受講生の1人は漆器に見る生物多様性をテーマにしています。もう1人の受講生は羽咋で実施される環境配慮型農業「自然栽培」水田の生物多様性を一般人が調べて伝える課題について相談をしました。

今後はいきものマイスターの写真展、更に年度末には修了課題提出と報告会があります。今年度のいきものマイスターも残り僅かとなりましたが、最後まで気を抜かずに頑張りましょう。
成果物報告:能登のいきもの大図鑑2(能登のカエル) [2012年01月05日(Thu)]
新年あけましておめでとうございます。2012年も、能登いきものマイスター養成事業を宜しくお願いします。本年度も残り僅か、「いきものマイスター」の修了課題完成に向けて頑張りましょう。

能登いきものマイスター養成事業は、能登の里山生物を紹介する為の資料として、「能登のいきもの大図鑑」という下敷きを作成しています。昨年度能登の水生昆虫(水生甲虫・水生カメムシ類)の見分け資料を、そして今年度は能登のカエル類の見分け資料を作成しました。この資料は、いきものマイスターが地域内外の人達に生物多様性を通じて能登の自然を紹介することを目的としています。




地域の生物多様性というのは、その地域固有の自然の歴史や現状を大きく反映するものです。例えば、河川があまり発達しない地域では溜め池が発達し、溜め池に依存する水生昆虫が多く見られますが、同じ奥能登でも河川沿いに成立した里山では溜め池に依存する水生昆虫は少なくなります。このように、そこにいる生き物の種類を見分け、どんな生き物がどんな場所に棲んでいたかを伝えることは、能登の里山を伝える上でも非常に大切です。
その一方、生き物の見分けというのは簡単ではありません。見た目が酷似する種、見分けに専門知識を必要とする種、更には専門家でも見分けの困難な種も多く、生き物の見分けは細心の注意を必要とします。また、図鑑などの資料は一般的に国内全域を対象としています。その為に特定の地域に対応した資料が少ないことも、生き物の見分けという作業を更に困難なものにしています。

そこで、私達は能登という地域に特化した、誰にでも簡単に使用出来る生き物の見分け用教材を作成することにしました。昨年度はゲンゴロウやアメンボ、オオコオイムシなどの能登の水生昆虫類、そして今年度は能登のカエル類です。

表側では、カエルの棲み場所を水田、溜め池、河川、森林の4つに分けました。更に卵の形状や産卵方法、繁殖時期や非繁殖時期の過ごし方などカエルの棲み場所利用について説明を行いました。例えば、産卵の為に水田を利用するヤマアカガエルや、産卵の為に水田や沼地を利用するアズマヒキガエルは、産卵時期以外は森林など水場を離れて生活します。

裏側では、カエルの見分けの説明を行いました。昨年度の水生昆虫類の見分けには簡単な検索表(背中が硬い・柔らかいなど、明瞭な特徴によりアミダくじ風に先を辿ることで見分けを行う表)を用意しました。そして、今回作成した教材では、能登に棲むカエル類11種を「指先に吸盤を持つ」「背面に2本の明瞭な線を持つ」「吸盤も2本の線も持たない」という3つのタイプに分けました。これにより見分けたいカエルを大まかに分けた後は、更にそれぞれのタイプ別項目の説明に従ってカエルの種類を見分けられるようになっています。
例えば、指先に吸盤を持つカエルを見つけたとします。この時点でこのカエルは「指先に吸盤を持つカエル」の項目にある、ニホンアマガエル・カジカガエル・シュレーゲルアオガエル・モリアオガエルの4種のどれかに絞り込むことが出来ます。もしこのカエルの鼻筋に黒い線があればニホンアマガエルです。鼻筋に模様はなく、瞳が赤褐色であれば、それはモリアオガエルだと判明します。吸盤も背中の線も持たないカエルであれば、「吸盤も背中の線も持たない」項目の中のツチガエル、アズマヒキガエル、トノサマガエル、ウシガエルの4種に絞り込むことが出来ます。その先は更に細かな特徴に従い、背中に線状のイボ状突起が目立つのであればツチガエル、目の横に大きな円形の鼓膜があればウシガエル、などと種を絞り込むことが出来ます。

今回の教材はこのように、能登のカエル類だけを対象としたことで対象を絞り込みやすく、更に特徴に従って簡単にカエル類の見分けが出来ることに拘りました。

更に書籍の資料と異なり、この「能登のいきもの大図鑑」はプラスチック製の下敷きです。水や泥などの汚れを気にすることなく、野外で使うことが出来ます。いきものマイスターの皆さんも是非、「能登のいきもの大図鑑」を使って能登の自然案内をしてみましょう。


次回、1月21日(土)に予定しているいきものマイスターの講義の1つとして、この「能登のいきもの大図鑑」を使用した講義を予定しています。この資料の使用方法と使用目的を通じて、能登の里山と生物多様性についての理解を深めて頂きたいと考えています。
Posted by 野村進也 at 13:43 | 成果物 | この記事のURL | コメント(6) | トラックバック(0)