CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2010年12月 | Main | 2011年02月»
<< 2011年01月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
カテゴリアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
最新コメント
2011年1月の、いきものマイスター講義 [2011年01月26日(Wed)]
2011年最初の講義は、1月22日(土)に行われました。

1.「能登のいきもの大図鑑」の使い方について
講義の冒頭では、前回のブログでも紹介した、能登の水生昆虫の見分け方を説明した下敷き「能登のいきもの大図鑑」を用いた講義を行いました。講義では実際の下敷きと資料に加え、自然学校の水槽から生きたゲンゴロウとクロゲンゴロウを用意しました。これを使って、下敷きを使った生き物の見分け方の実習開始です。
ゲンゴロウについて漠然としか知らなかった受講生らも、ゲンゴロウの見分け方を実感する為に、実際に手触りを確かめる人もいました。生き物を見分ける上で、五感をフル活用することはとても大切です。「能登のいきもの大図鑑」を、是非野外で実際の生き物に触れながら学ぶ為に活用して貰いたいものです。尚、下敷きによる生き物の見分け方については、前回のブログ記事を御覧下さい。

成果物報告:水生昆虫の下敷きについて


地域の自然を地域の人達に伝えることは、私達いきものマイスターの大切な役目です。その為には地域の生物多様性を知る必要がありますが、生き物の見分けは決して容易ではありません。その為にも、この「能登のいきもの大図鑑」を活用して生き物の見分け方を知って貰う必要があります。「能登いきもの大図鑑」は持ち運びも野外での使用も容易です。いきものマイスターの皆さんにも、自然観察の場で実際の生き物に触れながら、今まで知らなかった生き物の多様さ、生き物を見分ける楽しさと大切さを、伝えて貰いたいと思います。




2.修了論文の書き方について
2011年5月の修了課題報告会に向け、論文の書き方についてのレクチャーを行いました。講義では、論文のタイプとして「人文系研究」「実験研究」の2つのタイプを紹介しました。講義では、受講生の研究経過や、論文の作例を見せて、論文の見本を紹介しました。
尚、いきものマイスターの修了論文は「人文系研究」「実験研究」のどちらの論文でも可です。皆さんが良い修了発表を出来るように、私達もしっかり準備を進めて行きたいと思います。


3.写真展について
前回(12月)の講義でも写真展についての話をしましたが、前回の欠席者にも改めて写真展の話をしました。各受講生には自分の写真について説明して貰い、写真選定とテーマについての再確認をして貰いました。



4.先進地視察について
午後の講義では、先進地視察についての話し合いを行いました。「生物多様性」「地域と自然」「自然紹介に取り組む人達の話を聞く」「伝える技術」について学んで貰うのが、この先進地視察の目的です。
今回は、視察プログラムの都合上からスタッフで選んだ視察候補地と選定目的を説明した上で、スケジュールについての話し合いを行いました。

今回挙げた候補地は、関西の2施設です。

(1)JT生命誌研究館(大阪府高槻市)
(2)滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)

JT生命誌研究館は、大阪府高槻市にあります。昨年、金沢市で開催されたシンポジウム、「いしかわの里山里海 生物多様性シンポジウム」の基調講演、「いきものはつながりの中に」でお話をされた中村桂子先生が館長を務める施設でもあります。生命誌研究館は、遺伝子・化石・熱帯雨林・昆虫・進化史など多方面の研究から、生命誕生以来約38億年に及ぶ生命同士のつながりを紹介してくれます。「つながり」というキーワードから、人と生き物、更に人と人とのつながりまで伝えようという施設の姿勢が見えてきます。


一方の琵琶湖博物館は琵琶湖という地域の自然に基づいたテーマを持つ博物館です。世界有数の古代湖(約400万年前の誕生と言われ、バイカル湖やタンガニーカ湖に次ぐ古代湖とされています)として様々な固有種を含めた独自の生態系を持つ琵琶湖の歴史は、地域固有の生物多様性の持つ意味を学ぶには良い題材です。同時に、長い歴史の中で続いてきた琵琶湖と人との関わりは、私達いきものマイスターが能登で実現しようとしている地域の自然の活用を考える上でも、大いに学ぶべきでしょう。

能登という土地の事情もあり遠方への視察スケジュールは大変ですが、能登の自然の面白さを実感して貰う為にも、能登以外の自然について学ぶことはきっと役に立つことでしょう。皆さんからも先進地視察について意見があれば、是非お寄せ下さい。

成果物報告:水生昆虫の下敷きについて [2011年01月15日(Sat)]
日本海側では大荒れの空模様が続き、ここ奥能登も例外ではありません。一層寒さの厳しい毎日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?
2011年も、能登いきものマイスター養成事業を宜しくお願い致します。


昨年末の12月に金沢で、国際生物多様性年のクロージングイベントと同時開催された、地球いきもの広場に参加したことについては、前回のブログで報告しました。会場では活動紹介のポスター展示、収穫したばかりのクワイ配布、更に生きたゲンゴロウの水槽展示を行いました。今回は重要な成果物として、その際に好評だった配布物の下敷きについて触れたいと思います。



奥能登には現在、20種類以上のゲンゴロウ類を含めた豊富な水生昆虫類が生息しています。その多くは溜め池や水田などの、身近な里山の水環境に棲んでいます。一方で里山の荒廃により、こうしたゲンゴロウ類を始めとした多くの里山生物が減少してしまいました。
保全活動の一環としてビオトープで希少水生昆虫類の保全に取り組む私達ですが、自然から遠のき、ゲンゴロウを見たことのない人も増えてしまった今日では、こうした自然の大切さをわかりやすく伝えるのは容易ではありません。
そこで、こんな下敷きを作成してみました。




これは、奥能登で見られる代表的な水生昆虫を掲載した下敷きです。実際にはA4サイズですが、ここに掲載した水生昆虫は全て実物大です。これを見て「こんな大きなゲンゴロウがいるなんて知らなかった」と驚く人も少なくありません。実物のゲンゴロウを見たことのない人が増えている今、こうして驚いて貰えれば成功です。中には体長2〜3mmという微小種も含まれていて見辛いかもしれませんが、漠然としたイメージしかなかったゲンゴロウの多様性を伝えるには、また欠かせない存在です。
貴重な自然を知って貰うには生で見て、触れて貰うのが一番ですが、こうしたガイドがあれば楽しさも倍増することでしょう。


一方、この下敷きに掲載しているオオミズスマシとミズスマシ、ヒメガムシとゴマフガムシとヤマトゴマフガムシなど、慣れない人が見分けるには難しい種も少なくありません。
そこで、見分けのポイントを裏に用意しました。



これは検索図といって、専門的な図鑑で利用されているものです。見分けたい生き物の特徴に従って、あみだくじのように先を辿ると、その種類に辿り着くように作成されています。
まずはその水生昆虫の背中(前翅)が硬いか、柔らかいかでスタートします。背中が硬く、かじる為の口を持ち、写真のように前翅が中央で閉じられているのは全て甲虫、つまりカブトムシの仲間です。ここにはゲンゴロウ、ミズスマシ、ガムシなどの仲間が含まれます。
背中が柔らかく、ストロー状の口を持ち、写真のように前翅が交互に畳まれているのはカメムシの仲間です。ここにはタイコウチ、ミズカマキリ、コオイムシ、マツモムシ、アメンボなどの仲間が含まれます(タガメも含まれますが、石川では現在見つかっていません。)。ミズカマキリやタイコウチ、アメンボなどの仲間が全てカメムシだと知って驚く方もいるかもしれませんね(笑)。
調べたいのが甲虫で、水面をクルクル回るのであれば、スタートよりすぐ左下へ行きます。背中の回りに黄色い縁があればオオミズスマシ、特になければミズスマシ、という具合です。
水を泳ぐ甲虫で、後足に沢山の毛が生えていればゲンゴロウです。20mm以上だとすれば、そのまま下を辿り、背中が真っ黒ならクロゲンゴロウ、背中の周りに黄色い縁がありお腹が黄色ならゲンゴロウです。カメムシの場合も、同様に辿れるようになっています。




実は生き物の見分けというのはとても難しいものです。
同じトンボでも、いわゆる赤とんぼの仲間にはナツアカネ、アキアカネ、マユタテアカネ、マイコアカネ、ヒメアカネ、ミヤマアカネ、ネキトンボ、ノシメトンボ、コノシメトンボ…などなど沢山の種類がいて、体長や体の模様、顔の特徴などで見分けるのですが、慣れないとどれも同じに見えてしまいます。また、種類の多い仲間や小さな虫になるほど見分けはややこしいものです。しかし、一度その違いを知ると、今まで同じに見えて来た環境も途端に新発見の連続となります。全ての生き物を見分ける必要はありませんが、これをきっかけに生物多様性の奥深さを少しでも知り、それを伝えて貰えれば幸いです。



尚、この下敷きは、水生昆虫の研究の為に能登に滞在してくれた愛媛大学の大学院生、渡部晃平君に作成して貰いました。使用した標本写真は1つ1つをパソコン上の手作業で切り取って作成したものです。1つの標本写真を仕上げるのに数日をかけ、ここまで仕上げてくれた彼には、頭の下がる思いです。渡部君、本当にありがとう!


Posted by 野村進也 at 09:19 | 成果物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)