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いきものマイスター第3回 [2010年09月20日(Mon)]
9月18日に、いきものマイスター養成講座(第3回目)をおこないました。
今回は能登町の鉢伏山を講義会場として、エコツーリズムを実践している、(株)グルーヴィの山崎さんに講師をお願いしました。

能登町の鉢伏山は、標高543.6メートル。奥能登で2番目に高い山です。
 今回の講義場所は、柳田村の時代に買い取った村有林(現町有林)です。山の持ち主2人が立ち木がチップ(紙の原料)として売る契約をしたことを、当時の村長が知り、「村が買いましょう。自然100選に選ばれるほどの価値のある林なのだから。いま見過ごして村からブナ林が消えたら、子孫に申し訳ない」と山の持ち主と何度も話し合い、議会に相談し金を借りるために県庁に何度も県庁に足を運び、村が買い取ることになりました。


目の前に広がる林の樹木の名前、陽樹と陰樹、森林の成り立ちの基本を学びます。


ブナの木肌のパッチワーク、地衣類が作る模様です。

「これは何か分かりますか?」

カシノナガキクイムシの侵入した穴から、木屑がでている写真です。
カシノナガキクイムシはナラ菌を媒介して、主にミズナラを枯れさせます。
近年、鉢伏山でもナラ枯れの被害がみられ、夏場は特に目立ちます。


昼食後、さらに山を下り、先人の生活跡を学びました。

写真の右下にあるのは、炭窯の跡です。
燃料革命が起きる以前、柳田村は炭の生産が石川県でもトップクラスで、随所に炭窯の跡があります。
 沢に降り、水辺を少し歩き、登りになりました。登り口は、傾斜がきついので縄梯子が掛けてあり、1人ずつ登りました。みんな梯子を登り切り、町野川の水源へと行き、流れ出る水で一息つきました。水源の近くにも炭窯の跡があり、炭の破片が点在しているのが見てとれました。
 水源を後に、しばらく登っていくと、再びブナ林があらわれました。稜線を歩いていると、片方がスギの人工林、もう片方がブナ林に分かれているところがありました。もうしばらく登っていくと、稜線を挟んで、若い雑木林と古い雑木林が一緒に見られる場所もあり、1本の道を登って行くだけで、様々な風景が見られます。
 山を登りきり、ブナ林の中で各々が好きな場所を見つけ、目を閉じしばしの休息。その後、ブナ林のスポンジの様な保水性を確認し、駐車場へと向かいました。
林道の脇にも、キノコが目立つようになってきていました。

グルーヴィ能登事務所に戻り、みんなで振り返りをおこないました。


歩行距離が約3.4km、高低差約100mの行程でした。
いきものマイスター第2回講義「田んぼのいきもの、生物多様性、まなざしについて」 [2010年09月20日(Mon)]
「田んぼのいきもの、生物多様性、まなざしについて」
 能登の里山を語るには、田んぼの生物多様性保全は欠かすことのできないテーマです。いきものマイスター養成講座では、能登の里山里海を理解し伝える人材の養成を行う為に、講座第2回(8月21日)は田んぼの生き物についての講義をしました。遅くなりましたが、ここで講義について触れてみます。
 折しも昨日20日には、羽咋ではCOP10パートナーシップ事業、農林水産業と生物多様性に関するシンポジウムin 北陸が開催され、生物多様性保全に関する取り組みなどが紹介されました。その中で、田んぼの生き物調査が紹介され、田んぼの生き物へのまなざしが重要という話が出ていました。
 今回の、いきものマイスター講義では、午前中に野外実習として田んぼのいきものの紹介からはじまり、稲作における病害の講義を聞き、午後は受講者とスタッフで農林水産業における生物多様性の課題、生きものへのまなざしとは何か?田んぼの生物多様性を保全する意義などについて、議論を交わしました。

 午後の議論では、まず農業の現状についてレビューし、能登の田んぼで見られる害虫と、農薬の使用、とくに斑点米カメムシの防除の意義、防除の影響により水田の多くの生き物が死んでいることを資料を使って説明しました。その後、これら防除の必要性や田んぼの生き物に対する配慮、そこから生き物へのまなざしとは何か。能登の農業の現状を踏まえ議論しました。
 以下は、講義後の議論で受講者の皆さんから出た意見をまとめたものです。


テーマ:田んぼのいきもの、生物多様性、まなざしについて

Bさん
・神戸から能登へ来て、自然の豊かさに気付かされた。
しかし、地元の60代以上の方々の話を聞けば、米を食うにも困っていた時代。だから米を作っている農家の苦労を知るべき。農家は生き物へのまなざしとか言っている場合じゃないと感じているかもでも次世代へ、持続可能な未来を目指すには必要なことだと思う。
・まなざしという言葉は興味深く感じられた。
・(水田見学をしていて)かつてはどこでも元気に足を運んでいたのに、一度体を壊してしまうと、それまで平気だった田畑周辺が険しく感じられる。
・役場がカメムシの一斉防除を呼び掛ける放送をすることに驚いた。自分の判断で指導と異なる農業をすることが困難に思えた。

Hさん
社会は問題に対して、何か一つのものに責任を押し付けて逃げている。悪者づくりは良くないと思う。一方で都会人、消費者はとてもわがまま。
・農薬散布現場を始め、米作りの過程が消費者に知らされていない。斑点米を作る過程で使用される農薬量についても、同様。消費者に対して綺麗な米、綺麗なところしか見せないのは間違いではないか?
・(極論だが)ご飯に使用量に相当する農薬を、目の前でかけて見せてはどうか?
・米には、農薬表示がない。

Oさん
子供の頃は農作業を手伝い、とても大変だった。しかしその時は田んぼの生き物がたくさんいて、ゲンゴロウ・フナ・タガメなど普通にいて遊んでいた。
田んぼのいきものに対するまなざしは失われていると思うが、その前にいきもの自体が少なくなってしまった。
地元の農家は、先祖から財産として次いでいる田んぼを、何とか維持しようと必死。ちょっと前までは収入にもなり、作る喜びがあったが今では収入にもならない。買ったほうが安い。モチベーションが低いから、田んぼへの愛情、まなざしがなくなっている。いきものに対するまなざしどころではない。
・農薬散布を始め、右に倣え的な農業。
・いっそ農協が無農薬ブランド米地区を設定して実験的に取り組んではどうか?

Kさん
生物多様性自体、理解できていない。農薬の影響もまだ把握していない。生物多様性が劣化することでどういう影響が起るのか知りたいが、現状では明らかになっていない。予防原則としてできるだけ環境保全をしていくべきだとは思う。自分も農作業をやっているが、作業の中で生き物を殺してしまう。かわいそうだなと思うこともあるが、そういう体験をしない人が多くなっているのではないか?
・農薬に対する生理的不快感はあるが、デジタルな生活をしている人(都会人など)は、農薬散布に対する生理的不快感より、斑点米に対する生理的不快感が上回るのでは?

Yさん
自分も、家庭で食べる分には無農薬がいいと思う。でもJAで働いていたことがあるので知っているが、農薬の使用等は義務化されていて、それに外れることをすると買い取ってもらえない。農家の意思でどうにかなるレベルではない。


自然農法で育まれた米、そして生き物いっぱいの田んぼは実に魅力的ですが、何の為にそれを守るのか?それが農家、そして地域の人々に何を還元してくれるのか?生物多様性という言葉が注目され始めたのはつい最近ですが、その意義については識者の間でも議論が分かれており、決して一筋縄ではいきません。
いきものマイスターとして、生物多様性の意義をしっかり見定め、伝えていく為には今後も暗中模索の日々が続くことでしょう。このことについて、皆様からの更なる意見をお聞き出来ればと思います。

山羊が来た [2010年09月02日(Thu)]
NPO法人おらっちゃの里山里海が保全活動を行う、味噌池ビオトープというビオトープがあります。元は放棄水田でしたが2005年よりビオトープとして活用されており、今では大小含めた40以上のビオトープ水田が広がっています。今ではカエルやトンボなど様々な里山生物が見られる、いいビオトープに成長しました。


ビオトープの拡大と成長は嬉しいことですが、大変なのがビオトープの管理です。
最奥部の溜め池から水を引いているのですが、夏の炎天下では浅い場所や水の巡りの悪い場所はすぐカラカラに干上がってしまいます。
特に大変なのが、雑草の管理です。元が水田だったせいか、あっという間に水田雑草でいっぱいになってしまいました。


3月頃に丸裸だったビオトープ水田も、夏にはこの賑わいようです。

こうした植物はそこに棲む生き物にとっての貴重な棲み場所であり、隠れ場所であり、産卵場所であり、餌資源でもあります。多様な生物相を支える上で豊富な植物相はとても重要ですが、増えすぎればビオトープの景観を損ねるばかりか、その植物遺体は堆積物となってビオトープを埋め、過剰な富栄養化を促進してしまいます。増えすぎた植物に覆われたビオトープは光も差さず、植物に埋もれかねません。せっかくの多様な植生も、最後はガマなど強い植物だけが残ります。
管理が滞れば荒廃してしまうのは、ビオトープも水田や雑木林と同じですね。


そこで動物たちの出番です。

まず最初に2頭の牛をビオトープ内に放牧しました。ゆっくり畦を歩いて草を食べてくれます。元が水田だけに、身重な牛にとって畦は決して歩きやすいとはいえませんが、ビオトープ内の端近くまで草を食べ歩いてくれます。2頭共に出産の為に一度ビオトープを離れますが、猛暑の中お役目御苦労様、と労いたいものです。


牛の代役を務めるのが、先日来たばかりの山羊2頭です。

ビオトープの細い畦も、山羊なら難なく歩けるでしょう。連れて来たその日から旺盛な食欲を見せ、僅か1日で自分の周りの草を食べ尽くしてしまいました。頼もしい限りです。
山羊を用いた草管理の試みは現在、広く行われているようですね。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100518-OYT1T00729.htm
http://wiredvision.jp/news/200811/2008112821.html


水田もビオトープも、除草剤を撒いてしまえば楽でしょう、しかしそれでは本末転倒です。自然農法が持て囃される今日ですが、「言うは易く行なうは難し」とはまさにこのことです。
ビオトープは里山管理の大変さを知って貰うには格好の材料です。自然の力を最大限に利用しながら管理を効率よく行おうというのですから、私達のビオトープの試みはとても欲張りなものかもしれませんが、これが上手くいけば新たなビオトープそして里山管理のモデルを示せるでしょう。だから、もっともっと欲張りますよ(笑)。

さて、せっかく来てくれた山羊達です。
草刈りだけではなく、ビオトープの顔になって貰いたいですね。
皆さんも奥能登に立ち寄りの際は、是非このビオトープの新しい顔に会いに来て下さい。