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害虫管理に関する講義 [2010年08月19日(Thu)]
先月末、7月31日に里山マイスターで害虫・雑草防除の講義がありました。いきものマイスター受講生の皆様にとっても有用な講義でしたので、ここで講義の概要を紹介したいと思います。

【講義項目】
・水田害虫・雑草の概要:小路晋作(里山マイスター)
・水稲雑草の生態・見分け方:伊藤浩二(里山マイスター)
・顕微鏡による水田害虫の観察とスケッチ

今回は、害虫と水田雑草についての概要を述べたいと思います。


水田害虫と一口に言っても様々です。
分類群もバッタ、セミ・カメムシ、チョウ・ガ、甲虫類など多様な種を含んでいます。その生活史も水田移住種・水田近隣移住種・周辺域移住種・長距離移住種と水田の利用方法は種により異なります。 生活スタイルも異なれば、当然ながら稲作に及ぼす被害も異なります。米の病気をもたらす害虫、収量減少をもたらす害虫、米を変色させる害虫など、被害の様相も様々です。


害虫事情自体も時代により変わってきます。かつてイネの害虫として猛威を奮ったサンカメイガ・ニカメイガがBHCという殺虫剤による防除に加え、更には箱施用剤の普及や農業の機械化(コンバインによる幼虫の圧死)などに伴い激減しました。農業形態の変化が害虫事情を変えた一例です。
一方、米余りから米の品質重視への方針転換に伴い、斑点米カメムシという新たな害虫の概念が生じました。斑点米カメムシとは、吸汁跡を変色させて着色米にしてしまうカメムシの仲間の総称です。本来ならばあまり収量に影響しなかったこれらのカメムシは、「一等米は着色米混入率0.1%以下、二等米は0.3%以下」という厳しい品質重視の観点から害虫とみなされるようになりました。害虫認定の基準が社会情勢の変化にすら左右される一例です。
これら斑点米カメムシの傾向にも変化が起きています。斑点米カメムシについては、現在では狭食性の大型カメムシから小型で広食性の種に推移しています。これはイネ単一ではなく広い食性を持つ斑点米カメムシが水田周囲の耕作放棄地で増えた後に、水田に侵入してイネを食害するようになったからです。里山管理の問題が害虫事情まで変えてしまう一例です。


害虫の判断基準については、以上のように時代や農法、社会の状況変化が大きく関係しています。当然、対策をする上でも生態や被害内容について知っておく必要があります。

これは雑草でも同様です。稲の成長を阻害する雑草が、稲と取り合うのも空間であったり、光であったり、土壌栄養分であったりと、実に様々です。対策も、化学的防除や耕作方法のどちらが適しているかは、その雑草の種類により異なります。機械的障害による死滅(コンバインなどの撹乱により雑草が死滅するかどうか)の多い種であれば、耕作方法により防除出来るかもしれません。またはイネの生育より発生が遅く生育の初期段階を薬で効果的に駆除出来る雑草もあるでしょう。

水田というのはかつて日本列島に広がっていた自然の湿地帯を人の生活に作り合わせた環境です。人為的な水管理が自然下で起こる攪乱を代行することにより、水田は湿地性の生き物にとっての代替湿地となりましたが、農業事情の変化と共に水田生物の多様性は失われつつあります。今日、環境意識の高まりと共に生き物いっぱいの水田がもてはやされていますが、害虫や雑草の発生は農業にとって大きな課題です。何が益虫で何が害虫か?そして何がただの虫か?いきものマイスターを目指す受講生の皆さんには、地域の案内人となる為にも是非身につけて貰いたい知識です。