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2012年度先進地視察(1)ピッキオの自然体験:野鳥の森観察 [2012年11月27日(Tue)]
11月24日(土)・25日(日)の1泊2日の行程で、いきものマイスターは先進地視察の為に、長野県軽井沢町でエコツアー事業などを行う団体、ピッキオを訪問しましたので、報告します。
尚、2011年度の先進地視察については、こちらをご覧下さい。

ピッキオは、「森本来の姿を経済的な価値として高く評価できれば、未来に森を残していける」という理念の元、軽井沢を拠点にエコツアー事業、エコツーリズムサポート事業、野生動物保護管理事業、環境教育事業の4つの事業を行う団体です。ピッキオが軽井沢で実施する各種のネイチャーツアーは、専門のインタープリター(自然と人との仲介を行い、その自然の裏側にある意味や関係を伝える人)が行う質の高い案内により、評価されています。更に、軽井沢で問題となっている野生のツキノワグマ対策を実施しているのも、ピッキオです。ゴミ集積場のゴミを荒らされない為の野生動物対策ゴミ箱や、クマに人への警戒心を学習させた上での追い払い、巡回などは、時々テレビなどで紹介されることもあり、どこかで話を聞いたことがある方も少なくないでしょう。
私達いきものマイスターは、地域資源を伝える手法と、それによる地域の自然の保全を実施する先進事例を学ぶ為、ピッキオを訪問することにしました。初日はピッキオが一般客を対象に提供しているネイチャーツアーの中から、「野鳥の森ネイチャーウォッチング」「空飛ぶムササビウォッチング」の2つのプログラムに参加させて頂きました。2日目は、ピッキオの桑田慎也代表に、ピッキオの取り組みについて紹介して頂いた上で、意見交換の場を設けさせて頂きました。

早朝に能登を出発した私達いきものマイスターは、昼頃に軽井沢に到着しました。連休中ということもあり、交通量は非常に多く、主要道路である国道18号線、特に中軽井沢駅周辺の道路は混雑し、レストランなどの商業施設も忙しそうでした。

最初のプログラム「野鳥の森ネイチャーウォッチング」では、ピッキオビジターセンターに隣接する国設の「軽井沢野鳥の森」を歩き、インタープリターの案内の元、野鳥をメインとした生き物と森の観察をします。野鳥の森には、クリやカラマツが茂り、年間約80種の野鳥、更にはニホンカモシカやツキノワグマなどの野生動物が生息しています。
受付を済み、定刻である13時30分にプログラムが開始されました。特に事前予約は不要です。いきものマイスター受講生を含め、参加者は12名でした。参加者には野鳥の森の散策コースを示した簡単な地図や見所となる野鳥の巣を作品に見立てた案内書、更には野鳥観察時に使用する野鳥図鑑(貸出)が配布されました。希望者には双眼鏡もレンタルされ、双眼鏡の使用方法についての説明がありました。普段双眼鏡を使い慣れていない多くの参加者にとっては、観察方法や道具使用についての丁寧な説明は非常にありがたいものです。
大塚さんA.JPG


野鳥の森観察では、軽井沢で野鳥観察や保護に尽力した中西悟堂(野鳥研究家・歌人・日本野鳥の会初代会長)の話、各ポイントで見られたホオジロやオオルリ、クロツグミなどの野鳥の巣、キツツキの1種であるアカゲラによるものと思われる木の穴、樹木に残された熊の爪痕などについて、案内を務める大塚さんにご説明頂きました。コース内を優占するカラマツは国内の松としては唯一落葉する種であり、紅葉も終わりほぼ完全に落葉したカラマツ林は見通しもよく、野鳥観察には適した季節とのことです。

メジロの巣A.JPG

こちらは、ホオジロの巣です。茂みの中で巣作りをする為、落葉したこの時期以降でないと見られないそうです。春から夏にかけて5〜6個の卵を産みヒナは2週間程度で育ちます。毎年、新しい巣を作る為、こうした古巣は鳥に影響を与えることなく観察が可能です。

熊の手.JPG

こちらは、本物の熊の手です。軽井沢はかつて街中へのツキノワグマの出没が問題となりました。ピッキオによる調査と対策によりツキノワグマの出没は減少しましたが、軽井沢とその周辺の森には今もツキノワグマが生息し、あちこちに熊が木を登ったりして出来た爪痕など、その痕跡を見つけることが出来ます。

ムササビA.JPG

ムササビモニター1.JPG

こちらは、ムササビの巣箱と、その中をモニターでチェックする様子です。周辺には合計12個の巣箱が設置され、更に巣箱の中はモニターに繋がっています。日没後に実施されるムササビウォッチングの為に、このモニターによる情報が活用されているようです。

ニホンザルA.JPG

コースの終わり頃には、ニホンザルの群れにも遭遇しました。少し私達を警戒しているので距離は保たれていますが、案内の大塚さんからは無用に近づかないように注意がありました。今はピッキオなど地域の取り組みにより人とサルとの距離が保たれていますが、かつては町中に出没して問題となっていたようです。

この日は、ニホンザルの他にエナガという野鳥が見られた他、コガラやゴジュウカラと思われる野鳥の鳴き声を聞くことが出来ました。毎日、そして季節ごとに見られるものは異なり、毎日異なる体験が出来ることにより、この野鳥の森観察は多様な体験を提供していることがわかりました。反面、自然の豊かな能登でも同様に多様な自然体験を提供出来るのではないか、との意見も参加者から挙がりました。
同時に、案内を務めるスタッフの方については、参加者の誰もが行き届いたサービスと気配りに感激していました。自然を案内する為の知識は勿論のこと、スタッフ間にはサービス提供に対する意識が徹底されていること、よく伝わってきます。地域の自然の案内人を目指す私達いきものマイスターも、身に着けたいスキルです。

この日の日没後に参加した、「空飛ぶムササビウォッチング」については翌日の記事で紹介します。


*写真に掲載した鳥の巣をメジロの巣としていましたが、正しくはホオジロの巣でしたので訂正致します。ピッキオの柳原様、お知らせ頂きありがとうございました。
(2012年12月2日22時)
宝立小学校の遠足 [2012年10月25日(Thu)]
10月24日(水)には、宝立小学校の5、6年生の児童22名が遠足に来てくれました。宝立小学校の児童は自転車で自然学校まで来てくれました。宝立小学校から自然学校までは、自転車でおよそ14kmちょっと、約1時間以上の時間がかかりますが、宝立小学校の児童は頑張りました。自然学校へ来る前にも、上戸町の倒さスギなどを見てから自然学校へ来たというので1時間以上かけて自転車に乗ってきたことになりますが、到着した児童達はとても元気です。少しの休憩の後、午前のプログラムである保全林の見学に向かいました。午前の案内をするのは、前日同様に元いきものマイスタースタッフの佐野氏です。

午後には、ビオトープで生き物の観察を行いました。ビオトープまでは、車に気を付けながら10分程歩いて移動します。ビオトープでは、児童に網と容器を持って貰い、ビオトープ内のあちこちで生き物を掬って貰いました。ビオトープではメダカ、ドジョウ、タニシ、マツモムシ、オオコオイムシ、クロスジギンヤンマ幼虫、ショウジョウトンボ幼虫、ヒメガムシ、コガシラミズムシ、ヒメゲンゴロウ、クロゲンゴロウ、コガムシなどが採集されました。クロゲンゴロウは体長2センチにも及ぶ大型のゲンゴロウです。全国各地で減少した大型ゲンゴロウであり、クロゲンゴロウも石川県では絶滅危惧U類とされていますが、自然学校周辺やこのビオトープではまだまだ沢山見られます。普段見たことのない、大型のゲンゴロウの迫力には児童も驚いた様子で、児童は先を争ってクロゲンゴロウを探していましたが、大きさが近いオオコオイムシという水生昆虫をゲンゴロウと思ってしまった児童も多かったようです。
尚、コガムシは全国的には比較的普通ですが、石川県では舳倉島という輪島市の離島以外に殆ど記録がなく、県の絶滅危惧T類とされてきた希少種でしたが、この2〜3年では珠洲市の各地で時折見つかるようになりました。しかし、何故今まで殆ど見つからなかったのか、そして近年見つかるようになったのか、その理由はよくわかっていません。
DSC04905_01.JPG
DSC04909_01.JPG


採集を終えて貰った後は、集めた生き物について説明を行いました。更に「能登のいきもの大図鑑1 水辺の甲虫・カメムシ編」のコピー(下敷きは殆ど残っていない為、今回は配布出来ませんでした)を使って、水生昆虫の見分けもして貰いました。
みんなが混同してしまったクロゲンゴロウとオオコオイムシについても、見分け方法を説明しました。特にオオコオイムシがカメムシに共通のストロー状の刺す口を持っていることからカメムシの仲間だと説明したところ驚きの声が上がりました。もっとも、カメムシの仲間といってもオオコオイムシを臭がる人は。あまりいないようです。


これで遠足のプログラム全てを終え、宝立小学校の遠足は終了です。宝立小学校の児童は、事故に遭わないように気を付けながら、約14キロを1時間以上かけて自転車で帰ります。


2日間のうちに2つの小学校が、遠足の為に自然学校を利用してくれました。これからも、地域の児童達には楽しみながら地域の里山と人との関係について学んで貰えるように、沢山のお手伝いをしたいですね。
三崎小学校の遠足 [2012年10月25日(Thu)]
先日、珠洲市内の小学校が遠足にやってきてくれました。10月23日には三崎小学校、24日には宝立小学校でした。遠足の午後に実施した、珠洲の里山の生き物紹介について、ブログ担当の筆者案内をさせて頂きましたので、ブログで報告したいと思います。

10月23日(火)には、飯田小学校の5、6年生39名の児童が遠足に来てくれました。午前中には自然学校が管理する保全林、午後には味噌池ビオトープを案内する予定でしたが、この日は残念ながら1日中雨でした。小雨程度であれば外に出たかったのですが、当初の日程を変更し、屋内のプログラムを実施しました。
午前には赤石研究員が自然学校の活動、地域の里山の自然と人の暮らしとの関わりについて説明を行い、更に自然学校内を案内して、自然学校の活動を紹介しました。次に元いきものマイスタースタッフである佐野氏であり、現在も自然学校のお手伝いなどをしてくれている佐野さんが、樹木の種類当てクイズや薪割り体験の案内をしました。

午後からは、筆者である私、野村が能登の溜め池や水田に棲む生き物と人との関わりについてお話をさせて頂きました。まず、自然学校1階の資料室に案内します。今回来てくれた児童は施設見学という授業で自然学校に来てくれたことがあるので、今回はおさらいを兼ねてお話をしました。燃料革命や流通、産業の発達により里山が利用されなくなったことで里山が荒れてしまい、里山の雑木林が老木で一杯になりキノコも生えにくくなったこと、里山に棲んでいた身近な生き物が棲み場を失ってしまったことを説明しました。それを踏まえ、もう一度里山を整備して里山資源を利用すると共に、里山の生き物をもう一度呼び戻すことの大切さについてお話をしました。

最後に、予め周辺の溜め池でツチガエルというカエルを採集して、いきものマイスターで作成した「能登のいきもの大図鑑2 カエル編」を使用して、カエルの種類当てに挑戦して貰いました。これも班ごとに分かれて、考えて貰います。カエルが苦手な子もいましたが、頑張って全ての班が正解を出してくれました。
misaki2.JPG


雨の為に全て屋内でのプログラムとなりましたが、児童には奥能登の里山と人、生き物と人との関わりについて楽しみながら学んで貰えたと思います。
次のブログでは、翌日の10月24日に来た宝立小学校の遠足について報告します。
大野製炭工場の見学 [2012年10月16日(Tue)]
2012年10月13日(金)、いきものマイスターは講義として、珠洲市東山中にある、大野製炭工場を見学しましたので報告します。

大野製炭工場を経営する大野長一郎氏は、4基の窯を持ち炭焼きを専業(県内唯一)とする若手の炭焼き職人です。今では数少ない専業の製炭業者でもあります。
現在、燃料革命によって炭の需要が減少し単価も低い今日でも、付加価値の高いお茶炭用の生産に力を入れており、更にお茶炭用のクヌギ確保の為、休耕地でのクヌギ植林の活動を行っています。最初は個人で始めた植林活動ですが、今ではこの植林活動をNPOおらっちゃと共同で実施し、毎年多くのボランティアが参加して地域を巻き込んだ「おらっちゃのお茶炭の森づくり運動」というイベントに発展しました。
大野氏の炭焼き業、および植林活動は地域の伝統的な生業の継承と産業創出、休耕地の活用による里山の保全に繋がるものでもあり、いきものマイスターにとっても貴重な学習対象です。

AAA.JPG
まず、大野氏に大野製炭工場の概要と取り組みについて説明して頂きました。大野氏は、説明用に用意した写真のパネルを見せながら、大野製炭の業務を説明して下さいました。大野氏は、まずは雑木を伐採してコナラが優占出来るように管理しています。木を伐る時期は通常は木の活動が休止する直前の、紅葉が始まる頃とされています。伐採した木は葉を残したまま乾燥させます。葉を残すことで葉からの蒸散により、乾燥がよく進むからです。伐採した木をサイズや樹種で分け、更にものによっては規格を揃える為に切り揃えます。木の水分を抜いた後、いよいよ窯に入れます。窯の中では、温度調節や本焚きなどの過程を経て焼いた後、1週間の冷却期間を含むおよそ16〜7日の工程を経て、炭にします。
本来は農閑期の作業とされてきた製炭業であり、本来は先述したように秋に伐採を行っていますが、専業の炭焼き職人である大野製炭では、大野氏の父である先代の頃から夏も伐採を行っています。先代が大野製炭を開いた頃には既に燃料革命により炭の値は下がり、薄利多売により多くの炭を売る必要があった為ですが、同時に過去と異なり化石燃料を使用することで、作業効率も上がったという背景もあります。
大野氏は炭の高付加価値化を図る為、クヌギによる茶道用の炭の生産し、更にそのクヌギを自分で植林することを考えました。植林にかかる費用と労力は大きいものですが、現在では大野氏はNPOおらっちゃと共同により、この植林活動をイベントにしました。これにより、個人では困難な規模の植林活動も可能となり、大野氏の製炭業と、地域の里山活用や保全が実施されるようになりました。更に植林・植樹を支援する東京のNPO法人グリーンウェーブの支援を受け、今に至っています。
大野氏による取り組み紹介を終えて、大野氏には質疑応答に応じて頂きました。受講生からは熱心な質問が相次ぎました。


次に、大野氏の案内による工場内の見学をしました。工場内では、改築中の窯2基の中や裏側を見ることが出来ました。改築中でなければ、これはなかなか見ることが出来ません。
BB.JPG

大野氏のお話でもお聞きした、お茶炭用の炭も見せて頂きました。形は真円に近く、放射線状に割れ目が走っています。お茶炭用の炭の基準は、こうした条件を厳しく求められるそうで、若く皮付きの良いものでなくてはならないそうです。
茶道で使われる炭は決して主役ではありませんが、茶道を支える大事な裏方であり、大野氏は世界に誇れる文化ではないかと、熱く語って下さいました。
他にも、工場内には薪割り用に改造したフォークリフト、出荷待ちの炭などがありました。

工場見学の後には、大野氏の案内の元で、コナラ2次林を見学しました。珪藻土の痩せた土地であるこの地域に生えるのはコナラやマツ程度ですが、こうした樹種は伐ってもすぐに再生します。大野氏は自身の私有地、または地域の地主から許可を得た林で、コナラを伐っています。こうした伐採地は大野製炭の周辺に、何ヶ所か存在しています。


次に見せて頂いたのが、「おらっちゃのお茶炭の森づくり運動」で植林活動を行っている現場です。元は栗の果樹園だったそうですが、既に放棄されていた場所を大野氏が栗の木を伐り、残った根も重機で抜根して整備したとのことです。
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こちらでは毎年150〜200人程のボランティアの手により植林活動が実施されており、今年度も11月11日(日)に実施が予定されています。苗を植える場所には予め重機で穴を掘り、そこに苗を植え、元肥などを入れて埋め戻した後に、根元を足で踏み固めます。初回の植林活動では穴掘りも体験して貰ったそうですが非常に大変だったことから、以後は予め重機で穴掘りをしておくことになったそうです。

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こちらは、植林活動の際に東京から来たスタッフが持ち帰ったドングリから育った、六本木育ちのクヌギの苗です。


最後に、植林して既に5年以上が経過したクヌギ林を見せて頂きました。こちらでは既にクヌギの若木が立派に成長しており、林内のあちこちにもドングリが落ちています。自分が植林したクヌギ林のドングリは、自分にとっては孫みたいな存在だと、大野氏も感慨深く語って下さいました。随分若いおじいちゃんです(笑)。受講生も大野氏も、ついついドングリ拾いに精を出してしまいました。
尚、ここは2010年に「おやこの自然学校」でいきものマイスタースタッフが昆虫採集体験を案内したクヌギ林です。他にも、いきものマイスタースタッフや大野氏がスタッフとして企画に参加した農家民宿ツアー「奥能登山菜ざんまい」の一部でも、このクヌギ林を利用しています。

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ドングリ拾いについ夢中になってしまいましたが、この日の講義はこれで終了です。最後に大野氏は2011年3月11日の東日本大震災の件に触れ、被害がなかった能登の炭の需要も高まりつつあることから、大野氏は炭作りについて強い責任感を持っていると語って下さいました。
能登の里山資源を有効活用した大野氏の取り組みは、能登の生物多様性と地域資源の価値を地域に伝える私達いきものマイスターにとって、貴重な学習の場となったのではないでしょうか。
農家自身が伝える、田んぼの生き物と地域の農業の繋がり [2012年10月09日(Tue)]
2012年10月7日(日)に、輪島市三井町市ノ坂の里山での里山歩き「まるやま組」が開催されました。いきものマイスターの受講生である新井寛さんが、いきものマイスターの課題として今回のまるやま組で、水田の生き物の観察会を実施しましたので、報告させて頂きます。

まるやま組は、いきものマイスター1期生である萩野由紀さんご家族が中心になって、輪島市三井町市ノ坂の里山、通称「円山」で月1回実施されている里山歩きです。円山は1991年から殆どの圃場が放棄されていましたが、2009年には環境モニタリングサイト1000の一般サイトとして、地域住民と植物の専門家である金沢大学の伊藤浩二氏による植物調査が開始されました。更に、新井さんはこの年に輪島市に移住して就農して稲作を始めています。2010年からはまるやま組が始まり、先述の植物調査もまるやま組に合わせて実施されるようになりました。
尚、いきものマイスターは過去にもまるやま組で講義をしていますので、こちらこちらをご覧下さい。

新井さんはまるやまで、無農薬・無施肥・不耕起による環境配慮、食の安全を重視した拘りの米作りを実施して、消費者からの評判を呼んでいます。新井さんは環境配慮や食の安全を消費者に伝える為に、自身のホームページ「無農薬玄米輪島エコ自然農園」とブログにおいて、自身の水田とそこに棲む生き物のことを発信するようになり、自分の水田の紹介の為に生き物のことをもっとしっかりと知って発信する為に、今年度のいきものマイスターを受講して下さることになりました。
新井さんは今回、農家の立場から田んぼの生き物と地域の農業との繋がりを伝える為に、いきものマイスターの課題として田んぼの生き物の観察会を実施しました。


参加者同士の簡単な自己紹介の後、最初には毎回実施されている伊藤浩二氏の案内によるまるやまの植物観察が実施されました。植物観察会では参加者が1人5種を目標として、まるやまのコース内の植物(花・種・実があるものに限定)を集めます。集められた植物は並べられて、伊藤氏が名前と生態について説明して下さいます。この日は20種ほどの植物が集まりました。伊藤氏は、秋らしい植物が集まったこと、11月以降は今回の半分くらいに植物の種数も減少するだろうと説明して下さいました。
まるやま組2012年10月_20121007_75.JPG

尚、この時説明して頂いた植物としては、アケビ、オヤマボクチ、ツリガネニンジン、シロバナイヌタデ、アキノキリンソウ、ヒヨドリバナ、オトコエシなどでした。

植物観察が終わり、いよいよ新井さんの案内による水田の生き物観察会開始です。稲刈りの為に水田の水は殆ど抜かれていますが、水田周辺の水路には水が残り、水田の生き物が多数集まっています。参加者は、今回の為に用意されたたも網や容器を持って、生き物を掬い採ります。ドジョウ、メダカなどの魚、ヒメゲンゴロウ、マツモムシ、オオコオイムシなどの水田に棲む水生昆虫が多数集まりました。更には、全国は勿論のこと、能登でも最近は少なくなったゲンゴロウガムシのような大型の水生昆虫も見つかりました。体長が4センチにも及ぶゲンゴロウは特に迫力満点です。

まるやま組2012年10月_20121007_159.JPG

集められた水田の生き物については、今回の為に用意した資料を元に新井さんが説明を行いました。新井さんは生き物が入った容器を見やすく並べて、資料の写真を見せながら、1種1種丁寧に説明をして下さいました。自分の田んぼで採れた生き物を伝えたいという熱意が籠った説明に対して、参加者からの熱心な質問や意見が相次ぎました。特に今回の観察会で顕著だったのは、生き物への関心は勿論ですが、それ以上に「消費者へのアピールには、何をしていますか?」「水田を始めたことで、生き物は増えましたか?」「米作りと水田の関係について知りたい」「生き物に対する、水田や水路の役割について知りたい」などの、新井さんの田んぼについての質問や意見が非常に多かったことです。これは従来行われてきたような、生き物の専門家による観察会では実現出来ないでしょう。今回の観察会では、課題の為にアンケートも実施しました。アンケートでも、やはり新井さんの田んぼに対する関心の高さや、新井さんの真摯な説明に対する感想が多く寄せられました。
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今回の観察会は、今まで実施されてきたどんな観察会よりも、田んぼに対して関心を持って貰えたことと思います。

尚、この日に見られた生き物はゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウ、コツブゲンゴロウ、ガムシ、ヒメガムシ、オオコオイムシ、マツモムシ、コミズムシ類、オニヤンマ幼虫、アカハライモリ、ドジョウ、メダカなどでした。

観察会の後は、みんなが楽しみにしていた食事です。この日の食事は、コンロや机を持ち込んで、野外でとりました。食卓には、まるやま組で栽培したエンドウ豆、「ごじる」という郷土料理、更にはビールまで振舞われました。

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食事の後には、この日に参加して下さった金沢大学の鈴木克徳教授に、ご自身が専門とされているESDについて講義をして頂きました。ESDとはEducation for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)のことを指し、各国の政府や国連、更に日本では民間による取り組みが進められています。聞き慣れない言葉でちょっと難しそうですが、鈴木先生はESDについて身近な例を挙げて説明して下さいました。特に、私達の子供達の為に、持続可能で公正な社会を作ることの大切さを例に、(1)子供達に、身の回りの文化や自然を伝える、(2)知識の詰め込みではなく、自分で考える力をつける、(3)実践力を見につける、というごく当たり前で分かりやすい具体的な目的を挙げて下さいました。
更に、地域の人達がその価値に気付かず暮らしている能登は、東京から見れば地域同士、地域と環境との繋がりが今も生き続けている、実に贅沢な地域であると話して下さいました。
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あっという間の1日でしたが、子供にとっても大人にとっても、良く遊び良く学んだ1日になりました。水田が身近な生き物の棲み場所であることを知り、味わって地の食材の美味しさを知り、最後には大学の先生による出張授業までと、至れり尽くせりの実に贅沢な1日です。地元の農家、公務員、研究者など層を問わず多様な人が集まるまるやま組らしい、実に多彩なプログラムです。
皆様も、機会があれば是非まるやま組に参加してみて下さい。
飯田小学校の親子会 [2012年10月06日(Sat)]
2012年10月6日(土)、珠洲市の飯田小学校3年生の親子が、親子会の為に、いきものマイスターの拠点である里山里海自然学校へ来てくれました。いきものマイスタースタッフの赤石と、筆者である野村が、親子会の案内を務めさせて頂きました。

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参加してくれた親子は、全部で40人です。キノコ採り班と虫採り班の2班に分かれて、自然学校が管理する保全林を散策して貰います。キノコ班は赤石が、虫採り班は筆者が担当しました。キノコ班の赤石は、受講生の1人に作って貰ったばかりのキノコ帽子をかぶって登場しました。キノコ博士ということで、博士らしい帽子までついているという、懲りようです。尚、この帽子は正式にはモルタルボードというそうです。


虫採り班、キノコ班共に自然学校を出発し、保全林まで約10分ほどかけて歩きます。勿論、面白そうなものを見つけたら立ち止まって、みんなで観察です。
虫採り班は、保全林に隣接する溜め池で水の生き物探しをしました。自然学校周辺には大小様々な溜め池や沼地が多く、保全林への途上にも4つの小さな池がありましたが、今年の雨不足の為に水位が大変低く、そのうち1つは干上がる寸前でした。農家の人達は水の確保に敏感な為、今年の夏頃からよく水が少ないと心配そうに話していましたが、普通に生活していると、やはり雨不足を実感する機会は少ないらしく、池の水の少なさに子供達は驚いているようでした。

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目的地の溜め池も水が減少して浅瀬が露出してしまいましたが、何とか網で掬って生き物を探すことは出来そうです。しかし浅瀬は水が引いたものの泥深く、油断して入ると足を取られてしまいます。虫採り班の親子には注意して貰いながら、みんなで溜め池と、溜め池周りの水路やためますをたも網で掬ってみると、ツチカエルやメダカ、ヒメゲンゴロウ、ヒメガムシなどの生き物が沢山網に入りました。メダカは現在、日本全国で減少していますが、奥能登では溜め池や河川などでしばしば見られます。この溜め池には普通に棲んでいるようでした。
水生昆虫としては、溜め池や水田に多いヒメゲンゴロウやヒメガムシなどが多く見られました。ヒメゲンゴロウやヒメガムシは体長10〜12mm程度の水生昆虫です。カブトムシと同じコウチュウ目に属していて、背中は硬い甲羅状の翅(はね)で覆われています。夏には水田で多く見られますが、水田に水がない秋以降は、溜め池に集まっているようです。非常に多く見られました。
このヒメゲンゴロウやヒメガムシを手に乗せて暫く眺めていると、翅を開いて飛んで行きます。水生昆虫の多くはこうして、水田や溜め池などの水域間を飛んで行き来しているのです。水の生き物が飛べることを知らない児童も多く、子供達は自分も飛ばせてみたいと興味津々の様子でした。

虫採りを終えた児童からは、時期によって見られる生き物の違いなど、水の生き物について色々と質問がありました。子供達には、とても楽しんで貰えたようです。

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キノコ班は、保全林で沢山のキノコを持ち帰りました。殆どは食べられないキノコだったようですが、持ち帰ったキノコのうち食用になるオオクロニガイグチ、ヌメリイグチ、ヤマドリタケモドキ、セイタカイグチの4種は参加者で食べてみました。お昼には、お母さん達が腕を奮ってくれた昼食をみんなで美味しく頂き、解散です。参加してくれた児童には、今日見たカエルについておさらいして貰う為に、いきものマイスターが制作した「能登のいきもの大図鑑2 能登のカエル編」を持ち帰って貰いました。

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最後に、お母さん達が腕を奮った昼食を美味しく頂いて、解散です。3時間程度の短いスケジュールでしたが、親子で一緒に自然に親しんで貰うことで、能登の里山に棲む身近な生き物と里山との関わりを実感して貰えたのではないでしょうか。飯田小学校の児童達には、また遊びに来て貰いたいと思います。
9月29日たこすかし体験 [2012年10月03日(Wed)]
2012年9月29日(土)、いきものマイスターの講義として、能登の伝統漁法「たこすかし」体験を行いました。「すかす」とは能登の方言で騙すことを意味します。竿の先につけた疑似餌で誘い出したタコを鉤爪で引っ掻けて採る方法にちなんで、「たこすかし」と呼ばれています。能登ではタコが産卵や餌採りの為に海岸近くに出現するようになる、9月から10月にかけて行われており、それに合わせていきものマイスターでもたこすかし体験を行ってきました。今年度で3回目になります。尚、過去の講義についてはこちらこちらをご覧下さい。

今回の講義を案内して下さったのは、いきものマイスター1期生の大瀧信男さんです。大瀧さんは幼い頃に地元で能登の伝統漁法である「タコすかし」による体験観光を通じて、能登の海についてもっと伝えたいと考え、平成5年からこの体験案内を開始しました。その後たこすかしは、漫画「釣りキチ三平」で取り上げられ、またテレビでも紹介されるようになり、現在では県外からも多くの観光客がたこすかしを楽しむようになりました。

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大瀧さんは最初にたこすかしの概要を説明し、更に大瀧さんがいきものマイスターの課題として取り組んだ、能登半島で実施されているたこすかしについての調査結果を紹介して下さいました。
大瀧さんの調査によると、同様のタコ漁は奥能登を中心に広く行われていますが、珠洲市では「タコとり」、輪島市東部では「タコさすり」、輪島市西部や志賀町では「タコさそり」などと、その呼び名は地域によって微妙に異なっていました。岩場が多くマダコが棲む珠洲市、能登町、輪島市、志賀町では呼び名や疑似餌など微妙な違いがあるものの、これらの地域ではたこすかしと同様に疑似餌と鉤爪でタコを採る漁法が行われています。一方で砂浜が多い能登町や七尾市ではイイダコが多く、疑似餌と釣り糸でイイダコを狙う漁法が実施されていることがわかりました。他には、使用する竿の本数や疑似餌の種類(赤い布、カニの形をした疑似餌、よもぎ、ホオズキ、笹の葉、タコの内臓、イカゲソなど)が地域によって異なることも、大瀧さんの調査で判明しました。こうした地域ごとに違いについては、意外に知られていないものです。
他、大瀧さんがNHKのニュース番組に出演した映像を拝見させて貰いました。

講義を終わり、いよいよ実習に入ります。受講生、スタッフ共に胴長を履き、タコ採り道具の竿2本(疑似餌用と、鉤爪用)を持って、自然学校そばの海岸でたこすかしを体験します。
写真は、タコが疑似餌に食い付いた時のことを大瀧さんが説明して下さっている場面です。タコが餌に食い付く力は非常に強く、油断すると竿を取られてしまいそうです。
自然学校そばの海岸は岩場になっています。タコは朝と夕方に、餌を求めてこうした海岸の岩場に現れます。たこすかし体験者は大瀧さんの指導を受けながら、疑似餌を使ってタコを探します。タコは狭く僅かな岩場の隙間に潜むこともあります。こうした隙間や海藻など、タコが潜みそうな場所を疑似餌でなぞるようにして、タコを誘い出すのです。

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残念ながらこの日は条件が良くなかった為か、成果は大瀧さんが採った1頭のみでした。過去の実習のようにはいきませんでしたがタコが全く採れないこともあるそうで、自然相手の難しさとも言えるでしょう。


代わりに、私達の講義を見ていた地元のおばあちゃんにタコ、更にサザエ、アワビまで頂いてしまいました。サザエは地元のおばあちゃんのお勧めに沿って、その場で殻を割って、生で食べてみました。新鮮なサザエだからこそ可能な食べ方です。おばあちゃんには、大変感謝です。

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この日に頂いたタコは、自然学校の厨房で捌きます。タコの内臓を取り、塩揉みして吸盤に付着した異物を取り除き、その場で茹でます。茹でる際には、茶葉や緑茶のティーバックを使用します。これは、臭みを取り除く為です。
茹でたタコは切り身にして、受講生とスタッフみんなで頂きました。更にこの日は大瀧さんが、能登の郷土料理である芋ダコを持参して下さいました。


大瀧さんはたこすかし体験を通じて能登の海の現状について伝え、更に体験観光として能登に多くの観光客を呼び込みたいと考えています。大瀧さんが始めた頃に比べ、能登の海は少しずつ変化しているそうです。以前に比べて海水の濁りが増え、更に岩にはコケなどの付着物が増えてしまいました。これは大瀧さんがたこすかし案内に取り組んできたから、わかったことです。大瀧さんに見せて頂いた過去のニュース映像と比較すると、尚その事実がわかります。
受講生の皆さんには体験観光を通じて、楽しんで貰いながら能登の自然を伝える方法を学んで頂けたのではないでしょうか。
いしかわ環境フェア2012/いしかわの里山里海展2012 [2012年08月28日(Tue)]
2012年8月25日、26日の2日間、石川県産業展示館(金沢市)で「いしかわ環境フェア2012」「いしかわの里山里海展2012」が開催されました。いきものマイスター受講生には講義として視察して頂いた他、いきものマイスターの母体の1つであるNPO法人能登半島おらっちゃの里山里海(以下、「NPOおらっちゃ」と呼称)は昨年に引き続き、「いしかわの里山里海展2012」にブース展示をしましたので、このイベントの様子を報告します。
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この「いしかわ環境フェア」「いしかわの里山里海展」は(社)いしかわ環境パートナーシップ県民会議、いしかわ里山づくり推進協議会、石川県などにより開催されています。このイベントは既に約20回実施されており、2日間の開催期間に約2万人以上が来場する大きなイベントとなっています。2012年度も「エコなくらしトキが舞うふるさとへ」をテーマに8月25日(土)、26日(日)の2日間の開催が予定されており、多くの企業や団体による省エネやエコ住宅、地球温暖化対策、保全活動などが紹介されました。更に、同時開催される「いしかわの里山里海展」では世界農業遺産に認定された能登の里山里海、里山里海のいきもの、国立公園指定50周年を迎える白山の自然環境や生物多様性、津幡町にある県森林公園で実施されているMISIAの森プロジェクトなどが紹介されました。

能登いきものマイスター養成事業では今回、本イベントにおける体験や展示を通じて、石川県内において自治体、企業や団体などにより実施されている環境保全の取り組み、能登の里山里海や白山の自然環境や生物多様性について学び、同時にいきものマイスターとして地域の生物多様性を地域に伝える方法を学ぶことを目的としました。


「いしかわ環境フェア2012」では各企業や団体による環境活動の紹介の他、省エネや節電についての展示が多く見られました。会場入り口には、2011―2012年カーオブザイヤーを受賞し、CO2排出ゼロを実現した日産の電気自動車リーフが展示されました。環境保護と同時に、2011年の東日本大震災以来以降注目されている、原子力発電に依存しない生活を目指す為の、省エネへの関心が県民および企業の間に高まっていることが伺えました。ある企業はフィルム1つを窓ガラスに貼るだけで可能な防犯加工と、フィルムの断熱効果による省エネ効果についてを展示していました。今や、省エネや環境保護というテーマは様々な業界のテーマでもあるようです。
自衛隊は2011年の東日本大震災での救援活動の様子をパネルで説明し、救援に使用した野外炊事車を展示していました。昨年度の環境フェアと同様に、東日本大震災による影響は今回の展示のあちこちに見られました。

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「いしかわの里山里海展」には、石川県各地で活動する環境保全などの団体が集結しました。自治体としては石川県環境部や農林水産部の各部門による展示を行い、津幡町にあるミーシャの森の紹介、
更に能登からは珠洲市、輪島市、羽咋市、能登町など能登地域の各自治体が展示を行いました。
里山里海の生き物を紹介するコーナーではいしかわ動物園、のと海洋ふれあいセンター(能登町)、ふれあい昆虫館(白山市)、石川県立津幡高校(津幡町)による、石川県の里山里海のいきものの展示がありました。このコーナーでは、里山の生き物としてタイコウチやミズカマキリ、カワニナなどの水生昆虫のコーナー、外来種として地域の生き物に影響を与えるアメリカザリガニ、石川県各地で見られる生きた昆虫や標本の展示、白山麓の鳥獣の剥製などが展示されていました。特に、津幡高校による水生昆虫の展示とアメリカザリガニは、直接手で触れることが出来ることから、親子連れを中心に大変な賑わいでした。

他、自然体験や保全活動を行う団体としては、加賀方面から夕日寺自然体験実行委員会(金沢市)、白山いぬわし自然楽校(白山市)、NPO法人 奥能登日置らい(珠洲市)などが展示を行いました。

NPOおらっちゃでは、2010年に水生昆虫の研究の為に能登に滞在してくれた愛媛大学大学院(当時)の渡部晃平君が能登で撮影した生き物を題材にした写真集「里山に生きる仲間たち─人間と生きものが共生する奥能登─」(能登印刷出版部)を7月に発刊しました。この写真集は、2011年に世界農業遺産に認定された能登の里山里海の生き物同士の繋がりを伝えることを目的に作成されたものです。今回は著者である渡部君にも会場に来て貰い、渡部晃平君が撮影した写真をブースに飾り、写真集の紹介、そして販売と共に能登の里山里海に棲む生き物についての説明をして貰いました。
更には水槽を持ち込んで、能登の里山に棲む水生昆虫(ゲンゴロウ、クロゲンゴロウ、ガムシ)の展示を行いました。実物の、生きたゲンゴロウを見た時の感想は見学者によって様々です。60代以上の年配者の多くは「昔は、周りに沢山いた」と言って、懐かしがるように、またかつて身近であった筈のゲンゴロウが今では殆ど見られなくなった今日の里山の現状を、改めて実感されているようでした。
高齢者を除く見学者の殆どは生きたゲンゴロウを見たことがなかったようで、実物のゲンゴロウの大きさ(4センチ前後)に驚いていたようです。初めて見るゲンゴロウに目を輝かせ、触ってみたいという児童も少なくありませんでした。虫に親しむ児童が減ったと言われていますが、昆虫少年はまだ健在のようです。足を止めて下さった親子には、いきものマイスターが2011年度に作成した「能登のいきもの大図鑑2 能登のカエル編」を配布しました。これを使って、カエルを通じて身近な自然の面白さを実感して貰えたらと思います。
ゲンゴロウは里山を代表する昆虫の1つとして知名度は高い反面、現在では開発、農薬、圃場整備、外来種、耕作地放棄など様々な原因によって、全国で減少しています。東京都では2010年にゲンゴロウは絶滅したと判定され、現在では各地の里山で細々と生き残っている状態です。年配者が「昔はゲンゴロウなんてどこにでも沢山いた」と話していた過去とは比べるべくもありません。

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いしかわ自然学校、ふるさとの匠などによる紙漉き、ネイチャークラフト、蜜蝋による蝋燭作りのような体験・工作コーナー、津幡高校によるクイズを交えた里山の生き物紹介コーナー、津幡高校や夕日寺自然体験実行委員会・里山発見隊によるザリガニ釣りコーナーなどの、体験コーナーは親子で賑わっていました。会場では親子連れも多く、特に児童にはこうした体験コーナーが人気であったようです。今回の体験コーナーを通じて、児童達には自然に親しむ気持ちを、親御様方には石川県の里山里海を次の世代に伝えることの意味を、少しでもお伝え出来たのではないでしょうか。

参加団体が多い為に各ブースのスペースが限定されてしまうこと、展示内容の重複が一部で見られたこと、非常に盛況であった為に1つのブースに足を止めて話を伺うことが少々難しかったことなど、幾つかの課題も見受けられましたが、いしかわ環境フェアは毎年の恒例的なイベントとして開催されることにより、多くの県民に各企業や保全団体による環境問題への取り組みを伝えると共に、県民と保全団体や企業、または団体同士による交流の場となったのではないかと思います。私達のブースでも、昨年度に参加した時に配布した「能登のいきもの大図鑑1 水辺の甲虫・カメムシ編」を受け取ったことを憶えていて下さった方がいました。約20回に及ぶ継続的なイベント実施が、企業や団体による取り組みに対する県民の更なる関心と理解に繋がるのではないでしょうか。

今回の展示に参加した1人としては、いしかわ環境フェア/いしかわの里山里海展2012の展示を通じて、県民の皆様にも能登に棲む生き物と里山里海との繋がりを少しでも実感して頂ければ、と思います。
夏山「里山祭り」山笑いの見学(2) [2012年08月23日(Thu)]
前回に引き続き、8月19日(日)に白山市木滑で開催された夏山「里山祭り」山笑い見学の様子を報告します。前回の記事では午前中の様子を、今回の記事では午後の様子を報告します。

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午後には、受講生全員で「森あるき」に参加しました。森あるきでは、白山自然保護センターのスタッフ案内により、テレメトリーによる受信機探しをしながら、目的地である白山自然保護センターまでの道のりを歩きます。
テレメトリーによる受信器探しをしながら、白山自然保護センタースタッフからは、かつては餌付けされて観光や自然教育の対象として人気を集めたニホンザルが、昭和60年頃からは農作物に被害をもたらすようになったこと、近年は雪が少なくなったことにより冬期におけるニホンザルの生存率が上がったこと、薪炭林として利用されなくなり茂った山林がニホンザルなどの隠れ場所として利用されていること、などにより今尚ニホンザルによる農業被害は深刻であることを聞かされました。釜の上に作られた田畑なども、多くは獣害対策の為、電気柵で囲まれています。
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こちらは、コース途中で見られた、柿の木に残された熊の爪痕です。本来は昼行性とされるツキノワグマですが、こうした人里近くでは人目を避けて夜間に食べ物を探すそうです。

白山自然保護センターでは、ニホンザルやツキノワグマなど、白山近辺に出現する大型動物の調査をする為に、捕獲した個体(ニホンザル10頭ほど、クマ4頭に発信器)に発信器を取りつけてのテレメトリー調査により、その生態解明の為の調査や研究を行っています。テレメトリーによる受信機探しの体験は、大型動物と人との付き合い方や、それを調べる為の苦労を知る貴重なプログラムでした。


森あるき体験を終えた頃には、山笑いの全過程の殆どが終了していました。ここで私達も解散しましたが、会場の1つである吉野谷ふれあいセンター前の広場では、スタッフは別の準備に大忙しです。スタッフの1人は、「まだまだ、これから」とまで言っています。
広場にはスピーカーが設置され、木滑地区の伝統的な踊り「あさんがえし」が始まりました。この「あさんがえし」はお盆と秋祭りで行われる踊りです。長らく途絶えていましたが、2010年には木滑地区の3集落合同により、あさんがえしが踊られたそうです。近年では、金沢から若い人を呼んで一緒に踊って貰う為に踊りやすい工夫をしており、伝統を守りつつ新しさを取り込む試みが行われているようです。
受講生の1人は、解散後も「絶対参加したい」と言って踊りの輪に飛び込み、地元の方達に完全に溶け込んで踊りを満喫していました。
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現在、全国の農村で過疎高齢化が進行しており、ここ木滑でも例外ではありません。しかし山笑いの取り組みにより現在では、地域内外の若者らが大勢、木滑を訪問するようになりました。この日の山笑いでも、スタッフ、訪問者共に多くの若者が見られ、地域の高齢者達との交流を楽しんでいたようです。
今回参加させて頂いた森あるき体験では、ゲームという形で大型獣調査の擬似的な体験をしながら、更に木滑周辺での獣害問題に触れることが出来ました。午前に参加させて頂いた畑づくり体験では、田畑の周りが電気柵で囲まれており、畑づくり体験の指導をして下さった地域の方からも、ニホンザルによる農業被害についてお話を伺うことが出来ました。

近年では奥能登でも猪の目撃例が増加しており、猪の北上が疑われていますが、奥能登には猪はまだ稀であり、猿や熊も分布しておらず、他の地域に比べて獣害が少ない地域ですが、こうして奥能登を出て他の地域の里山を見て、能登と他の地域の里山の地域を実感することが出来ました。


今回の山笑い見学は、能登から3時間以上かけての参加となりました。受講生の皆さん、炎天下での見学、大変お疲れ様です。そして、お忙しい中、私達をご案内して下さったスタッフの皆様、大変ありがとうございました。

次回の講義は、8月25日(土)、26日(日)に金沢市で開催される、「いしかわ環境フェア」、および「いしかわの里山里海展2012」の見学です。こちらでは、いきものマイスターの母体の1つであるNPO法人おらっちゃの里山里海もブース展示をする予定になっています。受講生、修了生の皆様、こちらのブログをご覧の皆様も、是非お越し下さい。
夏山「里山祭り」山笑いの見学(1) [2012年08月22日(Wed)]
2012年8月19日(日)、白山市木滑地区で「山笑い」というイベントが開催されました。いきものマイスターは、講義として山笑いを見学してきました。

白山市木滑地区は白山麓に位置し、石川県内に7つ存在する先駆的里山保全地区の1つに選定されたが、保全などの具体的な取り組みは2010年まで行われておらず、過疎高齢化および耕作地放棄が進行していました。そこで、イベント会社と広告代理店が共同で石川県の緊急雇用事業に里山保全の企画案を提出し、2010年秋から木滑里山保全プロジェクトが発足しました。木滑里山保全プロジェクトにより現在の木滑地区では、定住人口および若者のIターンやUターンなどの交流人口の増加を図り、若手スタッフによるイベント「山笑い」、耕作地放棄地の再生、景観の整備、環境配慮型農業、伝統文化の聞き取り調査などが実施されています。
山笑いには、いきものマイスター修了生達2名がスタッフとして参加しており、いきものマイスターの活動事例を知ることに加え、地域の為のプログラム作りと活性化の為の現場を見学する貴重な機会でもあります。

山笑いは2010年2月以来、春夏秋冬の各季節に実施されており、今回は7回目を迎えます。
午前は受講生それぞれが、思い思いのプログラムに参加しました。受講生のうち、2名の女性は藍染め体験に参加しました。参加者の多くは女性だったそうです。やはり、藍染めは女性に人気のようです。
他の受講生達は、今回のメイン会場である釜の上へと移動しました。釜の上は、急斜面を登った先に広がる、台地上の野原です。釜の上は約40年程の間は放棄されていましたが、現在は無農薬の畑や水田の他、牛の放牧による耕作放棄地の草管理などにより、再び利用されるようになりました。
釜の上は、木滑地区のあちこちで見られる石積みの畔作りを体験出来る「石積み体験」の他、「畑作り体験」「畑をつくろう」「竹水鉄砲づくり」の会場、「森あるき」の集合地点でもあります。受講生のOさんは、子供へのお土産の為にと竹水鉄砲づくりをしていました。筆者は、「畑をつくろう」体験に誘われて、慣れない畑仕事に悪戦苦闘しました。肥料を撒いて、耕して、畝を作って、種播きをするだけの簡単な作業でしたが、慣れない耕運機は右往左往し、畝は曲がりくねって、種播きの間隔はバラバラ、と散々なものでしたが、ちょっとした充実感を味わいました。受講生のOさんも作業に参加してくれましたが、筆者よりも耕運機の使い方が上手でした。
Oさんは、山笑い開催の経緯や成果などについて、スタッフから熱心に話を聞いていました。きっちり体験して、きっちり学ぶべきを学ぶ姿勢は、いきものマイスターの鑑のようです。

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参加者の食事の為に開かれた「釜の上市」では、イワナ、地元の山菜や野菜を使った料理が振舞われ、大いに賑わっています。午前のプログラムが1段落した頃、会場に設置された舞台で「山の上音楽会」が始まりました。私達は昼食を食べ、三線と唄による沖縄民謡を鑑賞しました。

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昼食後には一服して、午後のプログラム「森あるき」体験に受講生揃っての参加です。山笑い後半の様子については、次回の記事で報告します。