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2012年度修了課題発表会(2) [2013年03月27日(Wed)]
前回の記事に引き続き、3月23日(土)に実施した、いきものマイスターの2012年度修了課題発表会の、後半について報告します。


【発表5】地域住民がイノシシ被害と向き合うために必要なこと

かつてイノシシはいないと考えられていた奥能登ですが、平成21年に珠洲におけるイノシシ目撃情報が寄せられて以来、イノシシの目撃情報は増え、農業被害も見過ごせないものになりつつあります。しかし対策は今も進んでいないのが現状です。発表者は農業改良普及員という業務の上で、更に地域住民として、イノシシとどう向き合うかを考察しました。

江戸時代には駆除した猪を供養する為に建てられた猪塚が津幡町に残されているように、かつては石川県にもイノシシが分布していたことがわかっていますが、近年の石川県内におけるイノシシ被害は、平成11年に旧山中町で水稲被害が確認されたのが始まりです。更に平成18年度には500万円、平成24年には3500万円に被害が増加しました。奥能登における被害は平成22年度から始まり、旧山中町から11年をかけて石川県を北上してきたことになります。
近年では鳥獣害専門員の育成の試みも始まっています。宇都宮大学では2010年から里山野生鳥獣管理技術者養成プログラムを開始して、地域鳥獣管理プランナー(大学生、大学院生)、地域鳥獣管理委員(一般人)を育成しています。長崎県は2006年から2009年までの期間にイノシシ大学というプログラムを実施しました。

次に、発表者は地域住民としての立場から、獣害対策について説明しました。発表者が住む地域は数年前までは耕作放棄地が多く広がっていましたが、近縁ではIターン移住者による農業や自然観察の活動などの活発な活動が行われるようになっています。しかし、そこにイノシシが入ってしまえば、活気づこうとしている地域を台無しにしてしまう、そんな懸念もあると言います。
そこで発表者は、農家個人の知識向上、集落環境の整備、長期的な視点を持った計画により地域ぐるみで対策に取り組む白山市の対策を参考例として挙げました。そして発表者は、イノシシ対策は地域住民が自分達の問題だという自覚を持って、地域ぐるみで対策をすることが必要だと結論付けました。餌となるものを残さない、草刈りなどをしてイノシシが侵入しにくい環境を作る、個人および自治体などによる柵の設置など、イノシシを近づけないことがより大切であり、発表者は、駆除はあくまで最後の手段と位置づけました。
最後に、イノシシという共通の問題を契機に、集落が再び結束して活性化する活動に発展させることを検討してみたいと発表者は説明しました。

プロジェクトリーダーである中村浩二教授からは、里山マイスターにも獣害対策を課題にした修了生がいるので、里山マイスター修了生や大学など多様な関係者による混生チームを作って一緒に獣害対策に取り組むのも良いだろうとの意見がありました。他に、全国でも猟師が減少していること、特に石川県は沖縄に次いで猟師が少ないこと、白山では猿害が問題になっていること、などのコメントが委員から寄せられました。


【発表6】里山の生物多様性を伝える為のハナバチ類の同定資料作り

種子植物の70~90%が受粉媒介動物に依存している(Ollerton et al. 2011)とされ、訪花昆虫(蜜や花粉を求めて花に来る昆虫)は植物の多様性を支える役割を持っています。ハナバチ類は代表的な訪花昆虫であり、花の形状やサイズに応じて口器の形や行動、植物との関係などを進化させてきました。ハナバチ類の多様性を調べることは植物の多様性を通じた地域の生物多様性の評価に繋がります。一方で種の同定は専門知識を必要とし、容易ではありません。そこで発表者は、誰にでも簡単にハナバチ類の同定を行うことで生物多様性の評価が可能な一般向けの同定資料の作成方法を検討しました。

発表者は聞き取り調査と文献調査を行いました。
聞き取り調査では石川県内の博物館などを訪問して、石川県内におけるハナバチ類の既存の同定可能な資料の有無、研究事例、展示や観察会などの現状、ハナバチ類の資料の需要の有無などを調べました。結果としては、既存の同定可能な資料はなく、展示は少なく、観察会は行われていないことがわかりました。一方、資料があれば観察会などで使用したい、との意見を聞くことが出来、資料への需要が存在することがわかりました。研究事例としては、金沢城公園での研究事例がありました。
文献調査では、資料への掲載種と対象地域を決定する為、先述の事例の論文、および金沢大学や石川県の文献から、石川県内のハナバチ類の種組成について調べました。石川県には7科194種のハナバチ類が分布し、20〜30%に相当する40〜60種が里山を利用し、120種ほどの植物を訪問することがわかりました。これらの種は頭幅から大型・中型・小型に分けられることから(根来 1999)、同定が比較的容易な大型種を中心に、更に個体数や訪問植物数が多い種20種を掲載種として選出しました。体長地域は、植物との関係についてまで調査されている金沢城公園を対象としました。
資料は野外での持ち運びに便利な、コンパクトな小冊子としました。誰にでも同定出来る簡便な検索表を掲載し、検索表ではハチと混同されやすいハナアブ類などのハエ目との見分け、更に他のハチ類とハナバチ類との見分け方法を示すことにしました。掲載種と植物との関係も説明します。この資料により、花に来る虫の多様性、種ごとに訪問する花の違いなど、生き物と生き物の繋がり触れることが可能となります。発表者は最後に、県内で実施されている親善観察会などで資料を利用して頂くこと、自ら企画する観察会などを行うこと、更に広く県内のデータを集めることで、県内のより広範囲で活用出来る資料の作成も検討したいと説明しました。

委員からは、観察会の場所や方法など具体的な計画があると良い、継続的に時間をかけて資料を完成させると良い、との意見が挙がりました。


【発表7】地域活性化に必要な若者の力と支援の在り方を考える

発表者は白山市木滑集落の地域活性化の取り組みである、木滑里山保全プロジェクトのスタッフを務めてきました。この活動を元に、地域住民と外部との関係、地域住民への影響、支援策などを検討し、持続的な地域づくりのありかた、および発表者自身が地域活性化に貢献する方法を探りました。

対象となるのは白山市木滑地区という、白山麓の過疎化が進んだ集落です。白山は1980年にユネスコのMAB(エコパーク)に認定されましたが認定後の活動実績はなく、エコパーク登録抹消への危惧もあるといいます。
そこで民間企業が平成22年に木滑での里山保全と地域活性化のプロジェクトを開始し、県の緊急雇用事業や農水省の「食と地域の交流促進事業」などを活用して地域外の若者や地域住民を雇用して、里山体験イベント「山笑い」、耕作放棄地の利用や環境配慮型農業による米作りと販売などを実施してきました。これにより地域住民も積極的に活動に参加するようになり、活動の主体は地域に移りつつあると発表者は説明します。一方で緊急雇用事業などにより期間雇用されていた外部の若者らが活動を継続することが難しくなっています。
発表者は、今後は木滑に移住して就農を目指すと共に、環境省の生物田世末井保全推進支援事業、県の白山自然保護センター、石川県ふれあい昆虫館、旧石川県林業試験場、金沢大学の地域連携推進センターなどと連携して、木滑集落を中心とした白山麓の保全活動を提案し、地域活性化の活動の継続を目指すと結論付けました。


委員からは、白山麓の集落の現状を知ることが出来たこと、現状は厳しいが地道でも具体的な活動を継続して欲しい、との意見が挙がりました。


発表終了後の委員会による審査により修了生7名の修了が決定しました。修了生各自には、今回の為の修了証書が手渡されました。更に、この日の発表を聴講しに来てくれたいきものマイスターOB・OG達と修了生達が、私達スタッフへのプレゼントを用意してくれていました。嬉しいサプライズです。最後に、修了生と委員、スタッフ全員で集合写真を撮影です。

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これで、いきものマイスターの全講義を終了しました。今年度を以て、この事業は終了です。この3年間の事業で、併せて18名のいきものマイスターを送り出すことが出来たのも、適切なアドバイスを下さった委員の方々、講師の方々、そして忙しい仕事の合間を縫って講義と課題に懸命に取り組んでくれた受講生の皆様のお蔭です。本当にありがとうございました。
事業としてのいきものマイスターはこれで終了しますが、いきものマイスターとなった皆様の活動はこれからです。
2012年度修了課題発表会(1) [2013年03月26日(Tue)]
2013年3月23日(土)、いきものマイスター2012年度の修了課題発表会を実施しました。今回は、7名の修了生が修了課題発表を行いました。今年度はいきものマイスターの事業としての最終年度ということもあり、いきものマイスター最後の修了課題発表会でもあります。


【発表1】農家が伝える能登の田んぼの生物多様性

発表者は、食の安心と安全への関心都会から能登に移り住んだ就農者です。現在、輪島市で19筆の水田で米作りを行っています。今回の発表では、発表者が耕作する水田の生物多様性を紹介して食の安全や環境配慮を伝え、農業への関心を持って貰う方法を探る為に、農家自身が田んぼの生物多様性を伝える方法と効果について研究しました。

発表者は、農家自身が田んぼの生物多様性を伝える手段として、農家自身が案内する田んぼの生き物観察会を実施しました。観察会の為の事前準備として、生き物を見分けて説明する練習を行いました。観察会当日はアンケートを実施して参加者からの反応を確認しました。アンケートでは、当日に見られたゲンゴロウを始め、様々な生き物に対する興味が見られたことから、生き物を見分けて説明する意味があることがわかりました。一方、参加者からは生き物以上に田んぼや農法に対する質問が多く寄せられました。これは、案内者が農家だからこその結果と思われました。
今回実施した観察会を通じて、今後も田んぼと生物多様性を通じて、農家としての米作りへの想いを伝えたいと語りました。

専門家には出来ない、一番田んぼに近い視点が活かされた結果と言えるでしょう。委員からは、「観察会だけではなく、アンケートの実施など今後のことも考えたやり方がとても良い」「農作業は忙しくて大変だが、普通では気付かないことにも気付くことが出来る。長い目で色々やってみて欲しい」との意見がありました。

【発表2】能登らしい染め物と染色エコツアーの提案

発表者は、能登の染物でだからこそ可能なエコツアーをテーマにしました。発表者によると、かつては各家庭で染物が行われていたそうですが、化学染料に代わってしまったことにより、かつて地域で使用されていた染料のデータもなくなってしまったといいます。
まず発表者は、染物の題材として能登で採集される材料を使用した貝染め、キノコ染めについて調べました。発表者は能登で採れるアカニシ貝が持つパープル腺による木綿染を検討した末で、魚屋と連携してアカニシ貝を確保出来れば、エコツアーの可能性に繋がると結論付けました。
次に、染色による里山保全の可能性として、外来種であるオオハンゴンソウを使った草木染のワークショップ、更に各地で増えすぎて問題になるクズを使った草木染のワークショップを実施し、駆除と染物を同時に行う方法を示しました。他に、エコツアーについての調査結果を発表しました。


委員からは、特定の種を集めるのは大変だから、キノコ狩りで集めたいらないキノコ、複数の種の貝類をまとめて使ってはどうかという意見もありましたが、キノコの場合は色が濃く出るものでないと使いにくい、貝の場合はパープル腺を持っている種が限られる、とのことでした。他に、「オオハンゴンソウ使用は外来種駆除と啓発活動になる、他の外来植物でもやって欲しい」「エコツアーについてもっと聞きたい」との意見がありました。


【発表3】食べものを通したコミュニケーションの方法を探る
〜世界とつながる「能登」で生きる私たちにとって大切なものを考えるため〜

発表者は首都圏からの移住者です。発表者は自ら得意とする料理を自己表現、人や地域とのコミュニケーションの手段であると語り、食を通じて地域間の交流や課題を考え、食を仕事としながら、食に関するイベントなどの活動を行っています。発表者は自分の活動の目的について、『みんなで食べる幸せを」(2011年「世界食料デー」世界の食料問題に取り組む団体ハンガーフリーワールドより)考えてみませんか、という投げかけの意味を込めている、と説明します。今回の発表では、自らの更なる活動の為に、様々なコミュニケーションの手法を探りました。

その方法として、発表者は「開発教育」と「ファシリテーション(ファシリテーター)」について学びました。開発教育とは地球社会をよくする為の教育活動です。ファシリテーションは、人々の話題に対して集団による相互作用を促進し、学びの場を促進させることです。ここに開発教育的な視点を持ち込むことで、ファシリテーター自身も「学びに参加する立場」ともなります。他に、発表者が今までに参加した研修、または自身が企画や主催として関わったワークショップなどの活動に触れた上で振り返りの結果として自己評価を行いました。
これまで学んだことや参加した企画から、発表者は自分が今後の活動の為に目指す姿に近いのは地域ファシリテーター(開発教育の視点を持ち、地域における学習をとおして社会変革のプロセスを促進する役割(開発教育協会機関誌『開発教育』No.59より)であり、今後は開発教育やファシリテーターとしての技術などを高め、食を通した学びの場となる活動を続けたい、と結論付けました。

発表者は既に能登で様々な活動を行っている実績と経験があり、その活動を高める為の手法を必要としているようです。委員からは、「能登ならではの開発教育を追求すべき」「開発教育という言葉の説明には時間がかかるだろう」との意見が挙がりました。


【発表4】能登の水田生態系における江の役割と江に対する地域住民の意識の地域間比較

近年では環境意識の高まりにより、水田に生息する生き物に配慮する為に「江」(水田脇に掘られた溝や深み。地域によって呼び名は様々。本来は山水の貯水、そのままでは冷たい水を温めたりする為に使用されるが、中干しなどの落水時に田んぼの生き物の避難場所にもなる。)や水田ビオトープの設置などが行われていますが、設置や維持管理の労力やコストも小さくありません。そこで、奥能登における江の設置状況、利用方法、呼び名などを調べ、江を使った生物多様性の保全手法の基礎資料としました。

1)発表者は江が持つ保全の効果を調べる為、外浦、内浦地域それぞれに江が存在する地域を1箇所ずつ選び、水田内と江における生き物の調査を行ったところ、江ではより多くの生き物が見られました、また既に落水されていた9月にも生き物が見られました。これにより、江が生き物の生息場所となっていることがわかりました。一方、周囲の環境により見られる生き物は異なること、必ずしも希少種の保全に繋がるとは限らないこと、天候などの条件により必ずしも安定した棲み場にはならないこと、江を設置するには目的や地域の状況をしっかり確認する必要がある、とのことでした。

2)江の設置状況、設置場所、呼び名、生息する生き物を調べる為にアンケートを行った結果、奥能登には多くの江が既に存在しており、新たな江を設置せずとも利用が可能であるとわかりました。呼び名は様々であり地域性の影響も強いものが含まれる為、農家への江のPRを行う為には、地域に対する考慮が必要であるとわかりました。

田んぼの生物多様性などの観点から話題に挙がる江についての現状と効果、用法についてしっかりと冷静に調べたことへの評価などが挙がりました。

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残り3名の発表については、次回の記事で報告する予定です。
インタープリテーションについての講義(2) [2013年02月19日(Tue)]
昨日の記事に引き続き、2月16日(土)に実施したインタープリテーションについての講義の様子について、お伝えします。

講義の前半では、ガイダンス、インストラクション、インタープリテーション、ファシリテーションそれぞれの違いについてを、体験を通じて比較しながら学習しました。インタープリテーションが何であるかを学んだところで、いよいよインタープリテーションにより具体的にテーマを伝える方法について学びます。
次のプログラムはテーマを伝えることの大変さと楽しさを、人間ファックスというユニークなゲームで学びました。

人間ファックス

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受講生を2つのグループに分けて、各グループの代表が伝達者となって、1枚の絵の内容をグループ内の他の受講生に伝えます。受講生は絵を見ることは出来ず、代表者の言葉による情報のみをヒントに、絵を完成させます。絵の内容を伝える代表者を送信、情報を受け取って絵を再現する受講生を受信に見立てたことから、「人間ファックス」というプログラム名がついているようです。
題材となった絵は雪だるまなど、至ってシンプルな絵ばかりですが、それを口頭のみで伝えるのは簡単ではありません。同じ絵を再現している筈なのに、送信者と受信者の個性がくっきり分かれ、完成する絵はどれも細部が微妙に異なってしまいます。私達は、見て伝えることの難しさと面白さを楽しみながら体験しました。
このプログラムについて木谷氏は、「聞いたことは忘れる、でも見たことは思い出す、体験したことは理解する、発見したことは身につく」と説明して下さいました。私達が伝えたいことと、実際に相手に伝わる内容は異なります。それを伝える為に、体験が必要、ということを、体験を通じて非常に深く理解出来たのではないかと思います。
この後、少しの休憩を挟んだ後、更にインタープリテーションについて体験をしました。


プログラム体験:

休憩終了後、ドングリ体操をしました。腕の動かし方の説明がドングリから樹木に育つまでの流れに模したものとなっていて、椅子に座ったままで背筋を伸ばしながら、樹木のことを学習出来る体操になっているようです。児童相手に森林のことを説明するには、言葉で説明するよりもこうした体を動かつつの体験はとても伝わりやすいでしょう。児童を対象にしたプログラム経験の豊富な木谷氏が得意とする分野のようです。

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劇・ごちそうはどこだ:

今回の講義の為にご一緒して下さった、奥様の木谷あけみ氏と一緒に、簡単な劇を見せて下さいました。リスと樹木との掛け合いによって、リスと森の関係についてわかりやすく伝えます。冬に備えてリスは秋にドングリを集めて貯めますが、同時にリスがドングリを運ぶことにより、リスはドングリの分散を助けます。リスが食べきれなかったドングリは芽吹いて、新たな木に育つ、というわけです。
尚、この劇は季節に応じた何通りかのパターンがあるようです。今回見せて頂いた冬バージョンは、新作だったそうです。

この劇を見て、今度は私達がリスになったつもりでドングリ隠しをしました。2つのチームに分かれ、2つの部屋を使いドングリを隠し、互いに相手チームのドングリの隠し場所を探し合いました。これが、大の大人でも隠すこと、更に相手チームのドングリを見つけ出すことに夢中になってしまいます。最終的に隠し合いをした全てのドングリが見つかりましたが、もしリスが全部のドングリを回収してしまうと、芽吹いて新しく育つ木がなくなってしまうだろうということを木谷氏が説明して下さいました。
こうして、木とリスとの共生関係を、体験を通じて楽しみながら学習することが出来ました。

私は誰でしょう:

代表者1人が動物役となり前に出ます。しかし、動物役は自分が何の動物であるかを知らされません。そこで、他の参加者に質問をして、自分が何という動物であるかを当てるというクイズです。尚、質問への答えは、はい、いいえのみです。限られた質問方法で正解を探り当てることにより、その動物のことを体験を通じてより深く理解出来る、というのがこのプログラムの狙いです。

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ふりかえり

他にこの日は、伸びる絵本、暦クイズ、おまけのクラフト体験などを実施しました。楽しみながら多くのプログラムを体験しましたが、更に何を学んだかを再確認(ふりかえり)して、それを参加者で共有(分かち合い)することにより、インタープリテーションの目的を果たすことが出来ます。受講生からは、様々な感想が挙がりました。

・それぞれのプログラムは楽しみつつも、しっかりとした目的がそこにあった。明確な目的なしでは、ただのガイドに終わってしまうことを実感した。
・(いきものマイスターは能登の里山の生物多様性を伝えることを目的とするが)自分は伝えるだけではなく、自分自身もプレイヤーの1人でありたい。しかし、同時に話題の提供もしていきたい。
・自分が楽しむことと、相手を楽しませること、両方が大事だと感じた。
・この日のインタープリテーション体験では、写真、絵、劇、絵本、暦の知識など、色々な技術が用いられていた。今回のように多彩なプログラムを実行する為にも、色んな技術を身につけたい。他に、良いと思えるものは真似て自分のものにしていきたい。

木谷氏はいしかわ自然学校のインストラクター養成課程では、良いものは何でも真似た方が良いとお話されています。木谷氏がこの日に見せて下さったプログラムも、今まで自分が見たプログラムの良い所をアレンジして自分なりに作り替えたものだそうです。
最後に、この日の講義のまとめ及び、木谷氏への質問時間を取って、この日の講義を終了しました。お忙しい中、この日の講義の為に金沢から珠洲までお越し頂いた木谷氏に、この場で改めてお礼させて頂きたいと思います。
インタープリテーションについての講義(1) [2013年02月19日(Tue)]
2013年2月16日(土)、いしかわ自然学校でインストラクターを務められる木谷一人氏をお招きして、インタープリテーションについての講義を実施しました。

いきものマイスターでは先進地視察として2012年11月24日・25日に長野県軽井沢町でエコツアー事業などを行うピッキオという団体を訪問し、ネイチャーツアーを体験し、スタッフによるインタープリテーションを体験しました。少々訊き慣れない言葉ですが、このインタープリテーションとは、自然・文化・歴史などをわかりやす人々に伝えると共に、その知識だけではなくその裏側にあるメッセージを伝える行為や技能を差します。今回の講義では、そのインタープリテーションを自分達で体験して学習します。

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講師としてお招きした木谷一人氏は、いしかわ自然学校(石川県内における自然体験プログラムの実施・提供を行う団体)インストラクターを務められる他、いしかわ自然学校が人材育成の為に実施するインタープリターセミナー及びインストラクター養成課程の講師、金沢市夕日寺で森のようちえんの活動「森の子育てサロン」の案内、ネイチャーゲームの案内などの活動をされています。

今回の講義では、「インタープリテーションとは何かを知る。インタープリテーションの手法を体験する。自分のスタイルについて考える機会とする。」という目標が設定されました。講義についての概要説明と共に、受講生には講義のレジュメが配布されます。レジュメには記入欄が設けられており、受講生は「本日の講座で得たいもの、持ってかえりたいもの」という項目に各自の目標を書き込みます。

インタープリテーション概要:

概要説明の後に、体験を通じたインタープリテーションについての学習をしました。ここでは、混同されやすいガイダンス、インストラクション、インタープリテーション、ファシリテーションそれぞれを比較して体験します。

ガイダンス、インストラクション:

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まず、木谷氏は「ふゆめがっしょうだん」という絵本を題材に、まるで動物の顔のようなユーモラスな冬芽を紹介して下さいました。絵本の中では、動物に見立てた冬芽の気持ちになったような言葉が綴られています。
冬芽を動物の顔に見立てる準備が出来たところで、次に用意された数枚の冬芽の写真を使い、受講生それぞれが冬芽の気持ちになったつもりで台詞を考えました。他の受講生は、その台詞がどの写真を示すのかを当てていきます。ある冬芽は山羊の顔に見立ててメエ〜という山羊の鳴き声がつけられました。人の顔・枝を人が手を振る様子に見立てられた写真には、「こっちだよ」と呼び掛けるような台詞がつけられました。
受講生各自によるユニークな台詞はどれも個性的ながら、写真の内容を上手に伝えるものでした。このように、見た目そのままを伝えることが、ガイダンス、インストラクションに相当します。では、インタープリテーションやファシリテーションは、どう違うのでしょうか?次の体験で学習します。

インタープリテーション:

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新たに用意された写真を見て、受講生各自が思い出について語ります。花火の写真については夏の思い出、和太鼓の舞台についてはかつて自身で太鼓を叩いた思い出など、各自が写真だけでは伝わらない思いを語ります。冒頭で「自然・文化・歴史などをわかりやす人々に伝えると共に、その知識だけではなくその裏側にあるメッセージを伝える行為や技能」との説明をしたように、インタープリテーションとは、見たままだけではなく、その背景を伝えることが重要となります。私達が能登の自然を伝える時も、その自然の背景にある意義を伝えることがより重要となるでしょう。

ファシリテーション:

ファシリテーションとは、「会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させる手法・技術・行為の総称。」と説明されています。
受講生はグループに分かれ、新たに用意された写真について語り合いました。ここでは、先に触れたガイダンス・インストラクションやインタープリテーションに加え、互いに意見を出し合うことにより、写真について抱いた感想や考えについての共有を行いました。このように、異なる意見同士を調整し合い参加者同士での協働活動という形でファシリテーションを体験するのが、ここでの狙いです。

ここまでのプログラムでは体験を通じて、ガイダンス、インストラクション、インタープリテーション、ファシリテーションについてを学びました。ここから先は、具体的にテーマを伝える方法について学習しました。ここから先の講義では、体験を通じたインタープリテーションにより具体的にテーマを伝える方法、および、この日の講義のふりかえりとまとめを行いました。今回の講義の続きについては、次回の記事で紹介させて頂きます。
猪鹿庁への先進地視察(2) [2013年01月31日(Thu)]
前回に引き続き、1月28日・29日の「猪鹿庁」(岐阜県郡上市)への先進地視察について報告します。

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初日の体験ツアーを終えた私達は、この日の宿に到着しました。宿泊先の農家ペンション「リトルパイン」は地元の農家によるペンションです。アマゴやニジマスなどの川魚の養殖、米、唐辛子、夏野菜や冬野菜、地鶏、たまり醤油なども自家製造しています。
この日の夕食でも、猪鹿肉によるすき焼きの他、アマゴ料理など、地域や自家製の食材による料理が並びました。宿のおかみさんが、それらを1つ1つ丁寧に説明して下さりました。
夕食には猪鹿庁の豊田氏、永吉氏も同席して下さりました。この日の体験ツアーの感想から、団体としての背景や質問に至るまで、話は尽きませんでした。他に、リトルパインさんと猪鹿庁による児童を対象にした稲作体験や水田アートの話、有名な郡上八幡のお祭りの魅力、地域のお祭り、集落のことなど、色々なお話を聞かせて頂きました。

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2日目には、「ジビエ料理教室」と、猪鹿庁の活動についての講演をして頂きました。ジビエ料理教室では、ジビエ課の辻本実由季氏に指導して頂きました。
ジビエとは、食材として捕獲された野生の鳥獣を示す、フランス料理などの用語です。猪鹿庁では、狩猟によって捕獲された鹿や猪の肉を使用して、このジビエ料理教室を開いています。この日のジビエ料理では、鹿肉のハーブリエットという料理を作りました。微塵切りにした玉葱と細かく切った肉にハーブなどを加えて鍋で炒めてペースト状にしたものを、クラッカーやパンなどに乗せて頂いたところ、受講生には大変好評でした。この時期の鹿肉は厳しい冬の生活に応じて脂がなく赤身ですが、最も美味しいとされる9月には脂が乗って白身が多いそうです。均一的に生産される家畜の肉と異なり、季節の変化を実感出来るのも、ジビエ料理の魅力だと思います。
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ジビエ教室が一段落した頃に、広報課の豊田氏により、「若者猟師発!新しい里山づくりへ―中山間地域で山とどう付き合っていくか―」という講演をして頂きました。
猪鹿庁の事業背景には、中山間地における鳥獣害の現状と、猟師の高齢化・減少などの事情があるといいます。こうした問題は全国で起きており、郡上市でも例外ではありません。特に山間部でありながら人口が多く、また面積が広い郡上市では岐阜県内の農林業に対する鳥獣害の多くを占める結果となっているようです。肉の価格や生産性においても家畜に比べて非効率的であること、かつては解体技術が未発達で良い肉が出回らなかった為に年配者ほど良いイメージがないこと、などにより、猪や鹿の肉は商売として成立しにくいという背景もあり、猟師の高齢化と担い手減少は現在も進んでいます。猪鹿庁が実施する「猟師の6次産業化による里山保全」(第1次産業:若手猟師の育成、第2次産業:獣肉の販路構築、第3次産業:ジビエ商品開発・ジビエ料理教室、猟師エコツアー)には、こうした背景があるといいます。
猪鹿庁のスタッフの殆どは、県外からの若い移住者です。猟師の経験もなく、また狩猟について学ぶ方法も少なかったそうですが、スタッフ自らが猟銃や罠の資格を取得して猟師となり、狩猟から解体、獣肉の料理や商品開発、猟師エコツアーなどを実施してきた結果、今では狩猟に興味を持つ人からの問い合わせや取材を受けるまでになったそうです。
いきものマイスターの受講生からは、若いスタッフが一般人と同じ目線で里山保全と狩猟について手探りで、尚且つユニークに面白おかしく発信しているからこそ猟師と一般人との間の敷居もなく、好感が持てるとの意見も挙がりました。

様々な質問に最後まで丁寧に答えて頂き、今回の先進地視察は終了です。最後には、鹿肉のリエットのお土産まで頂いてしまいました。若くてユニークな猪鹿庁のパワーを能登に持ち帰りたいと思います。猪鹿庁スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
猪鹿庁への先進地視察(1) [2013年01月30日(Wed)]
1月28日、29日に猪鹿庁(岐阜県郡上市)へ、いきものマイスターの先進地視察を実施しましたので報告します。

いきものマイスターは今年度の先進地視察として2012年11月24日・25日の日程で、長野県軽井沢町を拠点にエコツアー事業などに取り組む団体「ピッキオ」を訪問しましたが、前回の先進地視察に参加出来なかった受講生を対象に、2013年1月28日・29日の日程で、再度の先進地視察を実施しました。今回の訪問先は、岐阜県郡上市の里山保全団体「猪鹿庁」です。
猟師不足などによる農林業への獣害増加は全国各地で問題になっています。猪鹿庁は、郡上市でキャンプなどの自然体験案内を行うNPO団体「メタセコイアの森の仲間たち」の事業の1つとして、「猟師の6次産業化」(第1次産業:若手猟師の育成、第2次産業:獣肉の販路構築、第3次産業:ジビエ商品開発、ジビエ料理教室、猟師エコツアー)などを掲げ、若者猟師による里山保全を目指す機関です。警視庁をイメージしたという「猪鹿庁」という名前の元、各部門についても活動内容に応じて「捜査一課」「衛生管理課」「山育課」「ジビエ課」などの名がついており、里山保全を楽しく伝えようという遊び心が伺えます。
尚、奥能登はかつてはキツネなどを除く大型野生哺乳類が殆ど分布しないことから獣害の少ない地域でしたが、近年では猪の北上による獣害の増加が危惧されています。今後の奥能登の獣害問題を考える上でも、非常に興味深い団体です。

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まず、いきものマイスターの視察者と猪鹿庁スタッフの方と互いに自己紹介を行った上で、猪鹿庁の活動についての簡単な説明を受けました。対応して下さったのは、猪鹿庁捜査一課の永吉剛氏です。
簡単な説明を受けた後は、早速この日の体験ツアーです。この日は「若者猟師と山歩き&猪鹿肉ランチ」と解体施設の見学です。御昼時の時間に合わせ、まずは猪鹿肉ランチを頂きました。猪鹿肉ランチでは、後述する解体施設を所有する地元猟師宅をお借りして、猪肉や鹿肉の鍋、鹿肉のソーセージ、猪肉とラーメンの鍋などを頂きました。
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猪鹿肉ランチを頂いた後は、永吉氏にご案内頂き、「若者猟師と山歩き」です。かんじきを履いて、雪山を歩きます。かんじきなしでは足がすっぽり雪に嵌まってしまう程の雪に覆われ、大変な雪の量です。奥能登も冬は積雪しますが、郡上は更に雪深いようです。しかし写真ではとてもそうは見えないのですが、実はこの雪山は道路です。雪の下からは時折ガードレールが見えます。
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雪山では、獣の足跡が時折見つかります。ここで見られる獣はニホンザル、イノシシ、シカ、タヌキ、テンなどです。獣の足跡からは種類や移動方向が判明する他、ベテランともなると何日前の足跡かも判別出来るそうです。冬山の猟においては、この足跡から獣の位置を読み取ることが非常に重要とのことでした。
その他、永吉氏は、猪などを獲る為の罠も見せて下さいました。通りかかった獣の足を挟んで絡めて獲る罠になります。永吉氏は現在、約30個の罠を仕掛けており、こまめにチェックしているそうです。

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山歩きを終え、猪鹿肉ランチを頂いた猟師宅に戻り、一服した後にこの日最後のプログラムとして、解体教室を見学しました。ここは地域で猟師の方が個人で整えた解体所です。専用の解体所での作業が法的に定められている家畜と異なり野生獣の解体作業については法的な整備があまり進んでいませんが、ここは衛生管理者を配置した、食肉加工施設としての認可を受けた専用の解体所となっています。野生獣解体を猟師の重要な事業として位置付ける猪鹿庁の意識の高さが伝わる施設でもあります。
この日はたまたま3頭の鹿が確保出来た為、解体作業を見ることが出来ました。持ち主の猟師の方、永吉氏に加え、スタッフの豊田氏が、慣れた手つきで解体作業を披露して下さいました。予め血抜きされ内臓を処理された鹿の毛皮を剥ぎ、見る見るうちに解体されていきます。機械化された家畜の解体作業と異なり、ここでの作業は全て手作業です。私達も、実際に包丁を持って簡単な作業を体験させて頂きました。
野生獣がタイミング良く揃わない限り、この解体作業を体験することは出来ません。ちょっと残酷な光景かもしれませんが、私達が食べる食肉を作る為に行われている作業を見て、触れて、命を頂くことの意味を考える意味でも、非常に貴重な機会になりました。
血が苦手な人には大変な作業で、グループ参加者の中にはどうしても無理、という人もいるようですが、いきものマイスター受講生は殆ど抵抗もなく積極的に作業に参加し、猪鹿庁のスタッフへの質問をしていました。いきものマイスターの場合、好奇心が打ち勝ったようです(笑)。

初日の体験プログラムを終え、猪鹿庁の豊田氏に案内して頂き、この日の宿「リトルパイン」に到着しました。宿でも猪鹿庁スタッフに御同席頂き談笑しながら、猪鹿肉を使った料理を頂きました。いきものマイスタースタッフからは、団体の結成背景、活動の現状とコツなど、色々なことを教えて頂き、大満足の1日でした。

次回以降の記事では、リトルパインさんでの宿泊の様子と、2日目に体験させて頂いた「ジビエ料理教室」、猪鹿庁の活動についての講演(猪鹿庁の活動背景、目的と成果など)などを紹介させて頂きます。
修了課題の進捗状況についての中間報告会 [2012年12月05日(Wed)]
12月2日(日)、いきものマイスターの課題についての中間報告会を実施しました。
いきものマイスターでは受講生各自が1年のカリキュラムを通じて1つの課題に取り組み、毎年度の終わりに課題発表を行うことで修了となります。尚、過去の課題発表会については以下の記事をご覧ください。

2010年度(1期生)課題発表会の様子

2011年度(2期生)課題発表会の様子1

2011年度(2期生)課題発表会の様子2


今回、出席した受講生5名は、以下のようなテーマで課題を進めています(2012年12月5日現在)。

・奥能登地域の水田における「江」の生物多様性への寄与について(仮題)
圃場内に設置される江(山水を受け止めて溜めて使ったり、冷たい山水を温めてから水田に流す為の溝。「江」とは佐渡での呼び名であり、今回の課題やこのブログでは便宜上、「江」という呼び名を使用しています)という溝が、中干し時の水田における水田の生き物の避難場所として機能することで保全に役立っている可能性について調べています。他、江についての能登各地での呼び名についても調査を進めていきます。

・能登地域における獣害の現状と今後について

この数年程の間に能登への侵入が進んでいると見られるイノシシ、および猪による農作物への被害、対策についてテーマとしています。中村教授からは、猪害対策の先進事例の研究や、専門家に話を伺うことについてのアドバイスがありました。

・自然栽培 自然農法で営農 米作りをしている能登の里山に生息する生き物を知り全国に正確に種類を伝え 生態を伝える(仮題)
受講生が耕作する水田の生き物の見分け方を覚え、それを農家の立場で伝えていくことをテーマにしています。今年の10月にはいきものマイスタースタッフの指導の下、観察会を実施しています。

・能登らしい染め物の確立と染色エコツアーの可能性について(仮)
草木染による能登でのエコツアー実施を目指すのがテーマです。エコツアー実施場所の探索の為の宝立山(珠洲市と輪島市町野町との境界にある山)の下見、草木染のワークショップ実施、草木染以外のキノコや貝などによる染色について、調査を勧めています。

・石川県の里山地域における植物群落構成と訪花昆虫相との関係・里山がつくる種多様性の可能性
石川県の里山における訪花昆虫と花との関係を紹介する資料作成の為に、現在の石川県において
どんな調査が不足しているかを明らかにして、資料を作る方法を探っていきます。


課題について受講生各自の関心や得意分野に応じて、いきものマイスターの目的に沿った内容を受講生とスタッフとの間で相談して、作り上げていきます。受講生はそれぞれ、課題の目的と現在までに実施した調査、今後必要な調査などについて報告書を作成して、発表を行いました。今回は、プロジェクトリーダーである中村浩二教授も参加し、受講生の課題についてスタッフと受講生との間で盛んな意見交換が行われました。


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尚、今年度は年度末の2013年3月に修了課題発表会を予定しています。
いきものマイスターも残り4ヶ月を切りましたが、良い結果を残せるように努力していきたいと考えております。
2012年度先進地視察(3)ピッキオ代表との意見交換 [2012年11月30日(Fri)]
前々回前回に引き続き、2012年度の先進地視察(ピッキオ訪問)について報告しています。
今回は最終日の11月25日(日)についてです。この日はピッキオの桑田慎也代表に、ピッキオ設立と理念、ピッキオの事業、取り組みについて紹介して頂いた上で、意見交換をさせて頂きました。


ピッキオの背景

ピッキオとは、イタリア語でキツツキのことを指します。
かつて江戸時代には宿場町として栄えた過去もありますが、軽井沢は米作りにも不向きな寒冷地でした。そんな軽井沢が避暑地として栄えたのはカナダ生まれの宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが避暑地として紹介したことが始まりです。その軽井沢でリゾート事業などを行う星野リゾートの1部門としてピッキオは約20年前に誕生しました。その後の約10年前に独立して現在に至ります。

ピッキオのホームページの冒頭には、「森本来の姿を経済的な価値として高く評価できれば、未来に森を残していける」というピッキオの理念が紹介されています。桑田代表はこの理念について、「もし地域の自然を経済的価値に昇華させれば、誰もゴルフ場にしたりすることはない」と例えました。この理念に基づき、ピッキオはインタープリターが案内するエコツアー事業、ツキノワグマなどの対策を通じて地域における野生動物との軋轢を減らす為の野生動物保護管理事業、エコツーリズム研修の為の講師派遣や企画開発の為のエコツーリズムサポート事業、学校向けに実施する環境教育事業、の4つの事業を展開しています。

フィールドについて

エコツアー事業の為、ピッキオが観察の場として利用している野鳥の森は、約100ヘクタールに及ぶ国有林です。野鳥の森は、誰でも自由に散策出来るように開放されています。管理は環境省によって行われていますが、全国には活用されていない国設エリアも少なくないそうです。
この野鳥の森は、そのまま歩いても「綺麗だけど何もない森」で終わってしまうと、桑田氏は仰います。今回の体験でも、生き物が豊富な奥能登の自然を見慣れている為に、同様の印象を受けたいきものマイスター受講生は少なくありませんでした。
そこで、インタープリターが見せ場を引き出すのだそうです。初日に体験させて頂いた「野鳥の森ネイチャーウォッチング」でも、私達が素通りしてしまいそうな場所にホオジロ、メジロ、オオルリなどの野鳥の巣、猪と思われる獣の通り道、熊の爪痕などがありました。
どんなに魅力的な自然であっても、その自然の持つ意味を知らなければ、どこに何があり、何が魅力であるのかを伝えることは出来ないでしょう。

野生動物保護管理事業

エコツアー実施団体として有名なピッキオですが、ピッキオはクマ対策でもよく知られています。
浅間山の麓に開けた軽井沢はツキノワグマの生息域でもあります。農作物被害、更には人身事故も懸念されます。また、別荘地の多くは森の中にあり、クマ対策が必要となります。
多くの地域ではクマの殺害による処分を行ってきましたが、ピッキオはなるべく殺害処分に頼らない、根本原因からの対策を取りました。ピッキオはツキノワグマの食性パターンや行動パターンを調査した上で、問題行動を起こす一部のクマを特定し対策を行いました。更に、捕獲したクマ(問題を起こさず、偶発的に人里を横切るだけの個体)に対する追い払い(爆竹や犬による吠えたてにより、人と距離を置くことを学習させる)を実施しました。この他にもピッキオは、クマ対策の為にベアドッグという専用の犬の導入、クマに荒らされない為の専用のゴミ箱開発、地域を対象にしたクマ対策の普及活動などを実施しています。桑田氏は、人と野生動物が共存する為の対策を事業として実施していることについて、お話して下さいました。


桑田氏によるピッキオの取り組み紹介が終了した後に、桑田氏といきものマイスター受講生らによる意見交換の場を設けて頂きました。初日に参加したピッキオの自然体験への質問も含め、受講生からは多くの質問が挙がりました。その一部について触れてみます。


・客層について:
高級リゾート地のイメージも強い軽井沢ですが、東京からのアクセスも良く、実際の軽井沢への客層は幅広いそうです。自然体験プログラムを実施するには、幅広い客層からターゲットを絞り込むことが必要となります。ピッキオではターゲットを決定した上でプログラムを作り込むということを、桑田氏は話して下さいました。
ピッキオには教育熱心な人、知的好奇心が強い人、先生的立場の人が多くお客様として訪れるそうです。

・地域との関係について:
地域でエコツアーや保全などの取り組みを行うには、地域の理解が欠かせません。ピッキオは地域に取り組みを伝え、理解して貰うようにしているとのことでした。新聞にも、よく載せて頂いているとのことです。自然体験は地域あってのものであり、私達いきものマイスターも地域との連携が求められることでしょう。

・能登でエコツアーを実施することへの意見:
能登は交通の便が悪く、気軽に訪問することは容易ではありません。しかし、遠隔地のエコツアーにも多くの成功例があります。その1つとして桑田氏は小笠原で実施されているエコツアーを例にあげ、世界でもその地域でしか提供出来ないものを提供すること、明確なターゲットを定めること、客数で勝負せずに済む取り組みが必要でないかとの意見を下さいました。
その為にも私達は能登の自然の長所に加え、他の地域の自然との違いもよく知っておく必要があるでしょう。

・団体を運営し、活動を続ける上での工夫:
今日では様々な理念の元、多くの人が自然体験や保全活動に関わっていますが、その為にも桑田氏は、まずは団体や事業を継続させるという目的を重視していると話して下さいました。
事業継続という明確な目的を持つことで、必要なプログラムや活動を絞ることが出来る、ということです。私達も、能登で継続的に活動を続ける工夫が必要となるでしょう。

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1泊2日に及ぶ軽井沢への先進地視察はこれで終了です。お忙しい中、私達の為にお時間を割いて下さりどんな質問にも丁寧にお答え下さった桑田氏、体験プログラムの案内をして下さったスタッフの方達には、この場を借りて感謝を述べたいと思います。大変ありがとうございました。
2012年度先進地視察(2)ピッキオの自然体験:空飛ぶムササビウォッチング [2012年11月27日(Tue)]
前日の記事に引き続き、先進地視察の初日に体験したプログラムについて報告します。今回は、初日の後半に体験した「空飛ぶムササビウォッチング」について報告します。

「空飛ぶムササビウォッチング」は日没間際から直後の時間に実施されました。日没後の軽井沢の冷え込みは能登以上の厳しさです。軽井沢の気候についてはホームページでも紹介されており、当日の受付でもニット帽や手袋の貸し出しがありました。特に軽井沢の寒さに慣れていない他の地域からの観光客などにとっては、とても嬉しい気配りです。

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今回の案内を務めて下さった柳原さんから、参加者に実物大のぬいぐるみを使ったムササビの簡単な説明を受けた参加者は、送迎車によって観察場所まで移動します。観察場所は意外にも、道路沿いにある駐車場でした。駐車場には、野鳥の森でも見かけたような巣箱が設置されています。双眼鏡を使うと、ムササビが巣箱から顔を出したり引っ込めたりしている様子がわかります。やがて巣箱を出たムササビは猛スピードで木を駆け上りました。スタッフの説明により、ここからは参加者は双眼鏡を止めて肉眼でムササビを観察します。双眼鏡ではムササビのスピードについていくのは難しく、参加者がムササビの滑空を見逃してしまわない為の気遣いです。高いところに駆け上ったムササビは木から木へと短い滑空を2〜3回繰り返した後、駐車場の後方へと飛び去りました。この日の滑空コースは、ムササビの滑空が最も見やすい方向だったそうです。参加者からも歓声が上がり、大満足の様子でした。
明るすぎれば外敵に狙われやすく、遅すぎれば活動時間を狭めてしまう為、日没直後の活動効率が良い時間を選び、ムササビは巣箱を出て活動を開始するそうです。今回のウォッチングではムササビの行動パターンが秋から冬のパターンに移行した頃で少し読みが難しかったそうですが、ピッキオのスタッフはムササビの活動時間について綿密に把握しており、それにより各季節ごとに活動を開始する時間を正確に把握しています。ピッキオのホームページでは時期ごとにムササビウォッチングの詳細な時間が設定されているのも、その為であり、お蔭で2010年の目撃率は98.9%に及んでおり、読みの難しい野生動物の観察を高確率で成功させているのは、非常に驚きです。
観察終了後、参加者はビジターセンターへ戻り、柳原さんからムササビについてのお話を聞きました。ここでは、ムササビは滑空に適した1kgという非常に軽い体をしていること、更にその重さと構造を実感出来るように実物大のぬいぐるみやイラストを使用した説明、ムササビと混同されやすいモモンガとの違い(モモンガはムササビより更に小さい。尚、軽井沢では現在、モモンガの分布は確認されていない、とのこと)についての説明、ムササビの食性、などについてのお話をして頂きました。
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参加者全員がムササビの滑空を見ることが出来て、更にムササビについてほんの少しだけ詳しくなれた、実に有意義なプログラムになりました。
翌日は、ピッキオの取り組みについて桑田代表にお話しして頂く場を設けて頂きました。翌日の為、この日に参加したプログラムについて受講生各自で意見を出し合い、互いに良い点や疑問点などを確認して、この日の先進地視察は終了です。
次回の記事では、桑田代表のお話の様子について報告します。
2012年度先進地視察(1)ピッキオの自然体験:野鳥の森観察 [2012年11月27日(Tue)]
11月24日(土)・25日(日)の1泊2日の行程で、いきものマイスターは先進地視察の為に、長野県軽井沢町でエコツアー事業などを行う団体、ピッキオを訪問しましたので、報告します。
尚、2011年度の先進地視察については、こちらをご覧下さい。

ピッキオは、「森本来の姿を経済的な価値として高く評価できれば、未来に森を残していける」という理念の元、軽井沢を拠点にエコツアー事業、エコツーリズムサポート事業、野生動物保護管理事業、環境教育事業の4つの事業を行う団体です。ピッキオが軽井沢で実施する各種のネイチャーツアーは、専門のインタープリター(自然と人との仲介を行い、その自然の裏側にある意味や関係を伝える人)が行う質の高い案内により、評価されています。更に、軽井沢で問題となっている野生のツキノワグマ対策を実施しているのも、ピッキオです。ゴミ集積場のゴミを荒らされない為の野生動物対策ゴミ箱や、クマに人への警戒心を学習させた上での追い払い、巡回などは、時々テレビなどで紹介されることもあり、どこかで話を聞いたことがある方も少なくないでしょう。
私達いきものマイスターは、地域資源を伝える手法と、それによる地域の自然の保全を実施する先進事例を学ぶ為、ピッキオを訪問することにしました。初日はピッキオが一般客を対象に提供しているネイチャーツアーの中から、「野鳥の森ネイチャーウォッチング」「空飛ぶムササビウォッチング」の2つのプログラムに参加させて頂きました。2日目は、ピッキオの桑田慎也代表に、ピッキオの取り組みについて紹介して頂いた上で、意見交換の場を設けさせて頂きました。

早朝に能登を出発した私達いきものマイスターは、昼頃に軽井沢に到着しました。連休中ということもあり、交通量は非常に多く、主要道路である国道18号線、特に中軽井沢駅周辺の道路は混雑し、レストランなどの商業施設も忙しそうでした。

最初のプログラム「野鳥の森ネイチャーウォッチング」では、ピッキオビジターセンターに隣接する国設の「軽井沢野鳥の森」を歩き、インタープリターの案内の元、野鳥をメインとした生き物と森の観察をします。野鳥の森には、クリやカラマツが茂り、年間約80種の野鳥、更にはニホンカモシカやツキノワグマなどの野生動物が生息しています。
受付を済み、定刻である13時30分にプログラムが開始されました。特に事前予約は不要です。いきものマイスター受講生を含め、参加者は12名でした。参加者には野鳥の森の散策コースを示した簡単な地図や見所となる野鳥の巣を作品に見立てた案内書、更には野鳥観察時に使用する野鳥図鑑(貸出)が配布されました。希望者には双眼鏡もレンタルされ、双眼鏡の使用方法についての説明がありました。普段双眼鏡を使い慣れていない多くの参加者にとっては、観察方法や道具使用についての丁寧な説明は非常にありがたいものです。
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野鳥の森観察では、軽井沢で野鳥観察や保護に尽力した中西悟堂(野鳥研究家・歌人・日本野鳥の会初代会長)の話、各ポイントで見られたホオジロやオオルリ、クロツグミなどの野鳥の巣、キツツキの1種であるアカゲラによるものと思われる木の穴、樹木に残された熊の爪痕などについて、案内を務める大塚さんにご説明頂きました。コース内を優占するカラマツは国内の松としては唯一落葉する種であり、紅葉も終わりほぼ完全に落葉したカラマツ林は見通しもよく、野鳥観察には適した季節とのことです。

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こちらは、ホオジロの巣です。茂みの中で巣作りをする為、落葉したこの時期以降でないと見られないそうです。春から夏にかけて5〜6個の卵を産みヒナは2週間程度で育ちます。毎年、新しい巣を作る為、こうした古巣は鳥に影響を与えることなく観察が可能です。

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こちらは、本物の熊の手です。軽井沢はかつて街中へのツキノワグマの出没が問題となりました。ピッキオによる調査と対策によりツキノワグマの出没は減少しましたが、軽井沢とその周辺の森には今もツキノワグマが生息し、あちこちに熊が木を登ったりして出来た爪痕など、その痕跡を見つけることが出来ます。

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こちらは、ムササビの巣箱と、その中をモニターでチェックする様子です。周辺には合計12個の巣箱が設置され、更に巣箱の中はモニターに繋がっています。日没後に実施されるムササビウォッチングの為に、このモニターによる情報が活用されているようです。

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コースの終わり頃には、ニホンザルの群れにも遭遇しました。少し私達を警戒しているので距離は保たれていますが、案内の大塚さんからは無用に近づかないように注意がありました。今はピッキオなど地域の取り組みにより人とサルとの距離が保たれていますが、かつては町中に出没して問題となっていたようです。

この日は、ニホンザルの他にエナガという野鳥が見られた他、コガラやゴジュウカラと思われる野鳥の鳴き声を聞くことが出来ました。毎日、そして季節ごとに見られるものは異なり、毎日異なる体験が出来ることにより、この野鳥の森観察は多様な体験を提供していることがわかりました。反面、自然の豊かな能登でも同様に多様な自然体験を提供出来るのではないか、との意見も参加者から挙がりました。
同時に、案内を務めるスタッフの方については、参加者の誰もが行き届いたサービスと気配りに感激していました。自然を案内する為の知識は勿論のこと、スタッフ間にはサービス提供に対する意識が徹底されていること、よく伝わってきます。地域の自然の案内人を目指す私達いきものマイスターも、身に着けたいスキルです。

この日の日没後に参加した、「空飛ぶムササビウォッチング」については翌日の記事で紹介します。


*写真に掲載した鳥の巣をメジロの巣としていましたが、正しくはホオジロの巣でしたので訂正致します。ピッキオの柳原様、お知らせ頂きありがとうございました。
(2012年12月2日22時)
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