インタープリテーションについての講義(2) [2013年02月19日(Tue)]
昨日の記事に引き続き、2月16日(土)に実施したインタープリテーションについての講義の様子について、お伝えします。
講義の前半では、ガイダンス、インストラクション、インタープリテーション、ファシリテーションそれぞれの違いについてを、体験を通じて比較しながら学習しました。インタープリテーションが何であるかを学んだところで、いよいよインタープリテーションにより具体的にテーマを伝える方法について学びます。 次のプログラムはテーマを伝えることの大変さと楽しさを、人間ファックスというユニークなゲームで学びました。 人間ファックス 受講生を2つのグループに分けて、各グループの代表が伝達者となって、1枚の絵の内容をグループ内の他の受講生に伝えます。受講生は絵を見ることは出来ず、代表者の言葉による情報のみをヒントに、絵を完成させます。絵の内容を伝える代表者を送信、情報を受け取って絵を再現する受講生を受信に見立てたことから、「人間ファックス」というプログラム名がついているようです。 題材となった絵は雪だるまなど、至ってシンプルな絵ばかりですが、それを口頭のみで伝えるのは簡単ではありません。同じ絵を再現している筈なのに、送信者と受信者の個性がくっきり分かれ、完成する絵はどれも細部が微妙に異なってしまいます。私達は、見て伝えることの難しさと面白さを楽しみながら体験しました。 このプログラムについて木谷氏は、「聞いたことは忘れる、でも見たことは思い出す、体験したことは理解する、発見したことは身につく」と説明して下さいました。私達が伝えたいことと、実際に相手に伝わる内容は異なります。それを伝える為に、体験が必要、ということを、体験を通じて非常に深く理解出来たのではないかと思います。 この後、少しの休憩を挟んだ後、更にインタープリテーションについて体験をしました。 プログラム体験: 休憩終了後、ドングリ体操をしました。腕の動かし方の説明がドングリから樹木に育つまでの流れに模したものとなっていて、椅子に座ったままで背筋を伸ばしながら、樹木のことを学習出来る体操になっているようです。児童相手に森林のことを説明するには、言葉で説明するよりもこうした体を動かつつの体験はとても伝わりやすいでしょう。児童を対象にしたプログラム経験の豊富な木谷氏が得意とする分野のようです。 劇・ごちそうはどこだ: 今回の講義の為にご一緒して下さった、奥様の木谷あけみ氏と一緒に、簡単な劇を見せて下さいました。リスと樹木との掛け合いによって、リスと森の関係についてわかりやすく伝えます。冬に備えてリスは秋にドングリを集めて貯めますが、同時にリスがドングリを運ぶことにより、リスはドングリの分散を助けます。リスが食べきれなかったドングリは芽吹いて、新たな木に育つ、というわけです。 尚、この劇は季節に応じた何通りかのパターンがあるようです。今回見せて頂いた冬バージョンは、新作だったそうです。 この劇を見て、今度は私達がリスになったつもりでドングリ隠しをしました。2つのチームに分かれ、2つの部屋を使いドングリを隠し、互いに相手チームのドングリの隠し場所を探し合いました。これが、大の大人でも隠すこと、更に相手チームのドングリを見つけ出すことに夢中になってしまいます。最終的に隠し合いをした全てのドングリが見つかりましたが、もしリスが全部のドングリを回収してしまうと、芽吹いて新しく育つ木がなくなってしまうだろうということを木谷氏が説明して下さいました。 こうして、木とリスとの共生関係を、体験を通じて楽しみながら学習することが出来ました。 私は誰でしょう: 代表者1人が動物役となり前に出ます。しかし、動物役は自分が何の動物であるかを知らされません。そこで、他の参加者に質問をして、自分が何という動物であるかを当てるというクイズです。尚、質問への答えは、はい、いいえのみです。限られた質問方法で正解を探り当てることにより、その動物のことを体験を通じてより深く理解出来る、というのがこのプログラムの狙いです。 ふりかえり 他にこの日は、伸びる絵本、暦クイズ、おまけのクラフト体験などを実施しました。楽しみながら多くのプログラムを体験しましたが、更に何を学んだかを再確認(ふりかえり)して、それを参加者で共有(分かち合い)することにより、インタープリテーションの目的を果たすことが出来ます。受講生からは、様々な感想が挙がりました。 ・それぞれのプログラムは楽しみつつも、しっかりとした目的がそこにあった。明確な目的なしでは、ただのガイドに終わってしまうことを実感した。 ・(いきものマイスターは能登の里山の生物多様性を伝えることを目的とするが)自分は伝えるだけではなく、自分自身もプレイヤーの1人でありたい。しかし、同時に話題の提供もしていきたい。 ・自分が楽しむことと、相手を楽しませること、両方が大事だと感じた。 ・この日のインタープリテーション体験では、写真、絵、劇、絵本、暦の知識など、色々な技術が用いられていた。今回のように多彩なプログラムを実行する為にも、色んな技術を身につけたい。他に、良いと思えるものは真似て自分のものにしていきたい。 木谷氏はいしかわ自然学校のインストラクター養成課程では、良いものは何でも真似た方が良いとお話されています。木谷氏がこの日に見せて下さったプログラムも、今まで自分が見たプログラムの良い所をアレンジして自分なりに作り替えたものだそうです。 最後に、この日の講義のまとめ及び、木谷氏への質問時間を取って、この日の講義を終了しました。お忙しい中、この日の講義の為に金沢から珠洲までお越し頂いた木谷氏に、この場で改めてお礼させて頂きたいと思います。 |