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2012年度先進地視察(1)ピッキオの自然体験:野鳥の森観察 [2012年11月27日(Tue)]
11月24日(土)・25日(日)の1泊2日の行程で、いきものマイスターは先進地視察の為に、長野県軽井沢町でエコツアー事業などを行う団体、ピッキオを訪問しましたので、報告します。
尚、2011年度の先進地視察については、こちらをご覧下さい。

ピッキオは、「森本来の姿を経済的な価値として高く評価できれば、未来に森を残していける」という理念の元、軽井沢を拠点にエコツアー事業、エコツーリズムサポート事業、野生動物保護管理事業、環境教育事業の4つの事業を行う団体です。ピッキオが軽井沢で実施する各種のネイチャーツアーは、専門のインタープリター(自然と人との仲介を行い、その自然の裏側にある意味や関係を伝える人)が行う質の高い案内により、評価されています。更に、軽井沢で問題となっている野生のツキノワグマ対策を実施しているのも、ピッキオです。ゴミ集積場のゴミを荒らされない為の野生動物対策ゴミ箱や、クマに人への警戒心を学習させた上での追い払い、巡回などは、時々テレビなどで紹介されることもあり、どこかで話を聞いたことがある方も少なくないでしょう。
私達いきものマイスターは、地域資源を伝える手法と、それによる地域の自然の保全を実施する先進事例を学ぶ為、ピッキオを訪問することにしました。初日はピッキオが一般客を対象に提供しているネイチャーツアーの中から、「野鳥の森ネイチャーウォッチング」「空飛ぶムササビウォッチング」の2つのプログラムに参加させて頂きました。2日目は、ピッキオの桑田慎也代表に、ピッキオの取り組みについて紹介して頂いた上で、意見交換の場を設けさせて頂きました。

早朝に能登を出発した私達いきものマイスターは、昼頃に軽井沢に到着しました。連休中ということもあり、交通量は非常に多く、主要道路である国道18号線、特に中軽井沢駅周辺の道路は混雑し、レストランなどの商業施設も忙しそうでした。

最初のプログラム「野鳥の森ネイチャーウォッチング」では、ピッキオビジターセンターに隣接する国設の「軽井沢野鳥の森」を歩き、インタープリターの案内の元、野鳥をメインとした生き物と森の観察をします。野鳥の森には、クリやカラマツが茂り、年間約80種の野鳥、更にはニホンカモシカやツキノワグマなどの野生動物が生息しています。
受付を済み、定刻である13時30分にプログラムが開始されました。特に事前予約は不要です。いきものマイスター受講生を含め、参加者は12名でした。参加者には野鳥の森の散策コースを示した簡単な地図や見所となる野鳥の巣を作品に見立てた案内書、更には野鳥観察時に使用する野鳥図鑑(貸出)が配布されました。希望者には双眼鏡もレンタルされ、双眼鏡の使用方法についての説明がありました。普段双眼鏡を使い慣れていない多くの参加者にとっては、観察方法や道具使用についての丁寧な説明は非常にありがたいものです。
大塚さんA.JPG


野鳥の森観察では、軽井沢で野鳥観察や保護に尽力した中西悟堂(野鳥研究家・歌人・日本野鳥の会初代会長)の話、各ポイントで見られたホオジロやオオルリ、クロツグミなどの野鳥の巣、キツツキの1種であるアカゲラによるものと思われる木の穴、樹木に残された熊の爪痕などについて、案内を務める大塚さんにご説明頂きました。コース内を優占するカラマツは国内の松としては唯一落葉する種であり、紅葉も終わりほぼ完全に落葉したカラマツ林は見通しもよく、野鳥観察には適した季節とのことです。

メジロの巣A.JPG

こちらは、ホオジロの巣です。茂みの中で巣作りをする為、落葉したこの時期以降でないと見られないそうです。春から夏にかけて5〜6個の卵を産みヒナは2週間程度で育ちます。毎年、新しい巣を作る為、こうした古巣は鳥に影響を与えることなく観察が可能です。

熊の手.JPG

こちらは、本物の熊の手です。軽井沢はかつて街中へのツキノワグマの出没が問題となりました。ピッキオによる調査と対策によりツキノワグマの出没は減少しましたが、軽井沢とその周辺の森には今もツキノワグマが生息し、あちこちに熊が木を登ったりして出来た爪痕など、その痕跡を見つけることが出来ます。

ムササビA.JPG

ムササビモニター1.JPG

こちらは、ムササビの巣箱と、その中をモニターでチェックする様子です。周辺には合計12個の巣箱が設置され、更に巣箱の中はモニターに繋がっています。日没後に実施されるムササビウォッチングの為に、このモニターによる情報が活用されているようです。

ニホンザルA.JPG

コースの終わり頃には、ニホンザルの群れにも遭遇しました。少し私達を警戒しているので距離は保たれていますが、案内の大塚さんからは無用に近づかないように注意がありました。今はピッキオなど地域の取り組みにより人とサルとの距離が保たれていますが、かつては町中に出没して問題となっていたようです。

この日は、ニホンザルの他にエナガという野鳥が見られた他、コガラやゴジュウカラと思われる野鳥の鳴き声を聞くことが出来ました。毎日、そして季節ごとに見られるものは異なり、毎日異なる体験が出来ることにより、この野鳥の森観察は多様な体験を提供していることがわかりました。反面、自然の豊かな能登でも同様に多様な自然体験を提供出来るのではないか、との意見も参加者から挙がりました。
同時に、案内を務めるスタッフの方については、参加者の誰もが行き届いたサービスと気配りに感激していました。自然を案内する為の知識は勿論のこと、スタッフ間にはサービス提供に対する意識が徹底されていること、よく伝わってきます。地域の自然の案内人を目指す私達いきものマイスターも、身に着けたいスキルです。

この日の日没後に参加した、「空飛ぶムササビウォッチング」については翌日の記事で紹介します。


*写真に掲載した鳥の巣をメジロの巣としていましたが、正しくはホオジロの巣でしたので訂正致します。ピッキオの柳原様、お知らせ頂きありがとうございました。
(2012年12月2日22時)
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