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河川の生き物調査体験 [2011年10月14日(Fri)]
10月11日(火)、珠洲市立上戸小学校の自然体験授業の講師をしました。

今回の体験授業は、環境省と国土交通省が発行する「川のいきものを調べよう」という資料に基づき、川で採集された生き物から川の水質を調べ、川の水質を調べる体験です。この資料及び調査方法は、環境省及び国土交通省のホームページでも公開されており、この方法によって全国の小学校などによる河川の調査が行われています。


同じ河川でも、環境が異なればそこに棲む生き物も異なります。流れの速さや水温、深さや周囲からの流入物によって環境は変わり、水質も影響を受けるでしょう。水が滞っていたり、汚染物質が流れ込む川では水の汚れに敏感な生き物は棲めず、汚染に強い生き物だけが棲むようになります。そこで、河川に棲む生き物を水質の指標にしようというのが、この「川の生きものを調べよう」の趣旨というわけです。

ちなみにこの「川の生きものを調べよう」で指標とされているのは、カワゲラ幼虫、カゲロウ幼虫、サワガニ、エビ類、タニシなどの水生昆虫や節足動物、巻貝などです。魚のような動きが早く捕まえるのが難しい生き物ではなく、石の下や川底から簡単に採れる生き物を指標にしているので、小学校の授業にも適しています。
生きものの見分けには、こちらの下敷きを使います。下敷きには「きれいな水」「少しきたない水」「きたない水」「大変きたない水」の4つのグループがあり、そこに各種の生き物が振り分けられています。たとえば、水の汚れに敏感な為に「きれいな水」にグループ分けされたサワガニやヘビトンボ幼虫が採れれば、その川の水質は良いということになります。水の汚れに強い子為に「大変きたない水」にグループ分けされたアメリカザリガニやサカマキガイなどが採れれば、その川の水質は悪い、ということになります。

今回参加してくれたのは、上戸小学校の5・6年生27人と先生4人です。上戸小学校は珠洲市の中心街である飯田に隣接する上戸町の、海沿いの住宅地の中にあります。海岸沿いは住宅地と市街地に占められていますが、町はずれには田園地帯が広がります。


竹中川は3km程の小さな川です。調査ポイントは、河口から少し登った林道の脇の流域を設定しました。早速、川に降りてみんなで生き物を探します。
探す場所によって、採れる生き物も違います。石の下からはカゲロウ幼虫やカワゲラ幼虫、砂の中や草の根元からはトンボ幼虫などが採集されました。


これは、コオニヤンマ幼虫です。判別用の下敷きでは「すこしきたない水」に分類されています。砂の中や石の下によく潜り込んでいます。オニヤンマと混同されやすいのですが、実はサナエトンボ科といって、オニヤンマとは別の仲間のトンボです。
成虫はオニヤンマを1回り小さくしたくらいのトンボですが、体調のわりに顔が小さめです。



これはヒラタカゲロウ類の幼虫です。判別用の下敷きでは「きれいな水」に分類されています。この仲間は似た種類が多く、判別はちょっと難しいです。



一通り採集を行った後は、生きもの判別用の下敷きを使い、採集された生き物を照合してみます。「きれいな水」の指標種として、カワゲラ幼虫、ヘビトンボ幼虫などが採集された他、「少しきたない水」の指標種であるカワニナ、コオニヤンマ幼虫などが採集されました。尚、今回の調査地点というのは河口から2km程度の地点です。通常の河川であれば下流域であることが多いのですが、珠洲は高い山が存在しないことに加え、すぐに海に到達します。その為に珠洲の河川は他の地域に比べて小規模な河川が多く、河口付近であっても通常の河川の中流や上流のように流れが速い清流が多く見られます。更にこの日には、校長先生がウグイとヤマメを釣り上げて、見せてくれました。
他にも、今回の調査体験では資料には掲載されていないコヤマトンボ幼虫、オニヤンマ幼虫、コシボソヤンマ幼虫、シマアメンボ、オナガミズスマシが見られた他、本来なら水田や溜め池で見られるオオコオイムシ、オオヒメゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウなどが見られました。オオコオイムシは川の淀みで、ヒメゲンゴロウとオオヒメゲンゴロウは川の脇に水路に溜まった水から採集されました。この時期は水田の水が抜かれることにより、水田で過ごした水生昆虫は周囲の水域に分散します。オオコオイムシは、落水した水田から別の水域を求めて移動した際に、川に迷い込んだのかもしれません。


今回の体験授業では主に、「きれいな水」と「少しきたない水」の指標となる生き物が採れました。これだけで川の水質を完全に判定することは出来ませんが、比較的市街地に近い河口付近でも、水の汚れに敏感な生き物が棲む河川が残されているというのは、地域にとって非常に良い結果です。最近では珠洲のような里山の豊富な地域の子供も野山で遊ばなくなり、生き物に触れることも少なくなったと言います。これを機に、もっと自然と触れ合い、能登の自然の豊かさに気付いて貰えれば、と思います。
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