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IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]

「地球上のすべての生命にとって調和的で民主的な発展のために」を設立目的に、「社会事業家のマネジメント支援」、「ビジネスと市民生活を通じた環境問題・社会的課題の解決」、「2020年の地球への行動計画立案」に取り組むNPOです。


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【報告】「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」を読む(第1回) [2015年12月28日(Mon)]
2008年に世界の経済・市場・社会に大きな影響を与えた
「リーマン・ショック」。昨今の経緯を冷静に見つめると、
それを上回る影響を及ぼす事態が起きるのも、不可避であると
考えざるを得ません。

その事態に、どう備えるのか。
備えの第一歩は、これまでの経緯を、今後の見通しを、可能な限り
包括的かつ正確に捉えることから始まると考えます。
そんな中、政府の税制調査会が「経済社会の構造変化を踏まえた
税制のあり方に関する論点整理」
と題した、重要かつ興味深い
報告書を発表されました。
その第2部である「我が国経済社会の『実像』について」を読む会
(全2回)を、年末年始に連続開催することにしました。

第1回は、第2部の概要を読み進めながら、過去・現在から未来への
経過と課題をじっくり探り出しました。
年の瀬の週末にもかかわらず、24名の方々がご参加くださいました。
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第2部「我が国経済社会の『実像』について」の構成
I.我が国経済社会の構造変化の「実像」の特徴
1.若年層を中心とする低所得化と少子化、家族モデルの変容
2.会社・家族のセーフティネット機能の低下と新たな課題 ~生活基盤が脆弱化するリスク
3.生産年齢人口の減少と人的資本形成の阻害 ~成長基盤が損なわれるおそれ
II.今後への視点 ~今後の税制等の諸制度のあり方を考えるための視座
1.希望すれば誰もが結婚し子どもを産み育てられる生活基盤の確保
2.就労を通じた社会とのつながりの回復
3.経済力を踏まえた再分配機能の再構築

〈参考〉
1.人口構造の変化
(1)少子化の進展とその要因 ~未婚化、晩婚化、晩産化
(2)総人口・生産年齢人口の減少 ~「人口減少社会」に突入
(3)生産年齢人口割合の低下と高齢者率上昇 ~「超高齢」「人口オーナス」
(4)経済循環構造の変化 ~稼ぎ手が減少する中で
2.経済・産業構造の変化
(1)グローバル化・ICT化の加速・深化
(2)グローバル化に伴う競争の激化と経済のサービス化の進展
3.家族の変化
(1)家族類型の多様化・小規模化 ~1人世帯の主流化
(2)共働き世帯の増加と女性を取り巻く状況 ~就労の拡大、非正規雇用
4.働き方の変化
(1)就業構造の変化 ~女性・高齢者による就労の拡大と「雇用者化」の進展
(2)「雇用者」の就労形態の変化 ~非正規雇用の増加・雇用の流動化
(3)自営業主像の変容 ~伝統的自営業減少 「雇用的自営」の存在感高まり
5.家計・再分配の変化
(1)若年層と高齢者の会計 ~低所得化進む若年層、ばらつきある高齢者
(2)ジニ係数と相対的貧困率 ~ジニ係数は若い世代微増、高齢世代低下
(3)再分配の課題 ~従来の再分配は現役から高齢世代への所得移転中心



もはや「世界一・世界第2位」ノスタルジーに
酔い続ける場合ではない


まず、「人口構造の変化」から。
生産年齢人口は、1995年から今年までの過去20年間で11%減り、
2035年までの今後20年間では17%も減り、6342万人にまで減少します。
その間、高齢者は増え続けますが、本当に問題なのは、
85歳以上の人口が1,000万人に達すること。
要介護度を見ると、70歳代までに介護が必要な人はごく少数ですが、
85歳を超えると4人に1人は要介護3以上になります。
第2幕を迎えた高齢化に向き合うために、残された時間はわずか20年
しかありません。

一方、全国各地からの人口流出は、「東名阪三極集中」から
「東京一極集中」へと移り変わりましたが、
国全体のGDPは増えていません。
日本が「世界第2位の経済大国」だったのは、もはや5年も前。
次の東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年には、
世界全体のGDPに占める日本のシェアは、前回の東京オリンピックが
開かれた1964年の水準にまで下がってしまいます。

経済を牽引するはずの東京は、第三次産業の集積地。
全国の各産業の生産性は、第二次産業で着実に、第一次産業でもわずかに
改善しているのに、全国から東京へと若者を集めた第三次産業の生産性は、
上がっていないどころか、逆に下がっています。

東京が進学や最初の就職先など、修行や育成の場として多くの若者を
引き付け、世界で戦える人材や、のちに地域で仕事を担える人材を
育てているならまだしも、そういった人材を育てられていない
深刻な状況であることわかります。

しかも、将来を担うべき若年層は、かつてのように「製造業で
正規雇用」されているわけではないため、働き続けることによって
技能=市場価値の向上が期待できません。

さらに、所得の低下は、共働きの増加を加速し、配偶者のいる
世帯の6割に達しました。結果としてM字カーブは改善し、
25歳から39歳までの女性の7割以上が働いています。
30歳代の女性の労働力率が1割以上向上したことは、その年齢層で
働く女性が200万人近く増えたということ。
第1子や第2子を生み育てながら働く人も少なくないはずなのに、
託児や保育の基盤が整備されなければ、困る女性たちが増えるのは
当然とも言えます。
しかも、多くの女性は、自ら望む働き方で価値を発揮できている
わけではなく、前述の通り、生産性が上がらないままの職場で
働かざるを得ない、というのが現状です。
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所得と貯蓄の格差も、拡大しています。若年層の所得も貯蓄も
減っているのに、高齢者世帯の貯蓄は増え続けています。
これまでの「現役世代から高齢者へ」という再分配を、
「所得の多い層から少ない層へ」と改める必要に迫られている
ことを、政府税調も指摘しています。

この資料を読み、他の資料と併せて読み解いた川北の結論は、

「東京は、世界で戦える力も、
地域を支える人材も、育てていない。


東京は、これだけの若者を集めながら、
若者が稼ぐ力も、生産性の向上も、
もちろん、地域のくらしを支える力を育てることも、できていない。

若者が、地域のくらしを支えるために
『あと100万円稼ぐ』力と
世界で戦い続けられるために
『あと300万円生み出す』力を!」
というものでした。
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(写真ご提供:土谷和之さん)

何か課題か、今すぐに変えなければならないことは何か

経過と見通しについて認識を深めた後、3・4人ずつの班ごとに、
「2020年代に向けて取り組むべき課題」と
「2020年までに急いで取り組むべき課題」について、
話し合っていただきました。
保育や介護の在り方、地域や海外で稼ぐ力の育成、
働く世代や保護者の「勘違い」の是正や、選挙制度の改革まで、
様々な意見が出されました。

次回は、今回の課題認識をもとに、どのように取り組みを進めるべきかを考えます。
第1回にご参加いただけなかった方も、ぜひご参加ください。
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