29 税の使い方と公益性 [2011年03月01日(Tue)]
「NPOの新しいうごきを議論する−みえNPO検討会」第12回最終回を、 2月18日夜7時から9時まで、みえ市民活動ボランティアセンターにて開催しました。
テーマは、「どこにお金を使うのか 市民参加型予算決定システム1%支援制度」 講師は、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会コミュニケーションディレクターの 鈴木歩さん でした。
● トップダウン型から、参加し議論する型へ
「多くの人たちが集まって、少人数の講師の話を聞く」という、いままでの情報提供型には、もう行く気がしなくなるほど、「質問や意見を述べ合う形でテーマを深める」対話型の進行が、とても楽しめた半年余でした。
地域で中間支援に取り組む人と、比較的全県下を対象として特定分野で活動する人など、合わせて15名の、みえNPO検討会の委員の方たちはその進行意図を直に理解し、多様な意見を述べてもらえました。感謝です。結論をまとめないということで、委員の方々のお人柄と日頃の立ち位置がうかがえるおもしろい意見・考えを、聞かせてもらえました。そこに人がいるというあたりまえのことを、常に感じさせる空間になっていました。
● 市民活動団体に資金がながれる道をつくること
第12回では、「市民活動団体に資金のながれをつくること」が、どのような意味を持ち、社会に影響を与えるのかについて、意見交換しました。具体的に資金や資源の流れを変えることが、人のうごきを変え社会を変えることですから、ゆっくりとした雰囲気の意見交換の中に、未来づくりへの確かな検討が行われました。多くの方々が参加しているこういう場所と時間に立ち会えたことは、私自身にとってもたいへん実り多いことでした。
● 3月13日の津でのフォーラムでは
第1回から第12回までの括りは、以下のキーセンテンスで結びました。どんなことになるか、楽しみです。(注:このフォーラムはIT発信はありませんのでご注意くださいね)
「NPOで社会の未来を創り出す」 第7回 「社会創造の価値の巾をひろげる」 第1回 「社会創造の主体を増やす」 第2回 「新しい資金・資源のながれをつくる」 第9,12回 「NPOへの市民からの資金の流れをつくる」 第3,5,6回 「NPOでつながる、未来を生み出す」 第4,8,10,11回
● さて、存分に、楽しんでいただけましたでしょうか?
というのが、正直な気持ちです。触れていただいたおひとりおひとりが、いろいろなことを考えていただければ、大成功だと思っていますし、おもしろかったと言っていただければ、これもまたプロデューサーとしてはたいへんうれしく思います。 この事業を応援し支えていただいた多くの皆様に、心より感謝します。ありがとうございました。
<今回のテーマについて、服部が個人的に感じたこと>
● 鈴木 歩 さんのお話
・「一定の条件を満たした市民が、自身が応援したい市民活動団体を選択して届け出ることができ、その選択結果に基づき団体に支援金が交付される制度」 ・納税者意識を高める、市民の市政への関心を高める、市民の地域課題への関心を高める
<参加のしくみ> ・市民活動に接点・関心がない人も無理矢理巻き込み、地域・社会を巻き込めちゃう制度 ・市民が直接、意思表明をする。税金の使い道を自ら選ぶ。 ・自らの住む地域のまちづくりに市民参加の意識を高めてもらう ・NPOは地元にアピールしないと票が貰えない。アピールすれば票が貰える。 ・助成金とか補助金を貰ったことがなかった団体というのが貰える道筋ができた
<姿勢への関心、地域課題への関心を高める> ・地域課題や、課題解決を熱心にやるNPOを、地域の人に知ってもらう機会 ・首長の強いリーダーシップの基にやった、マニフェストに反映させた。 ・納税意識を高める
・公益性の判断は、ある程度団体要件はチェックするが、市民が公益性を決める ・地域ポイント制のところは、小学生でも参画してポイントは貰える ・「補助率」「投票先数」「1票あたりの支援額」「投票率」などで特徴がでる。 ・「課題と問題点」基金をどう活用するか、公益性をどう判断するか。投票率をどうアップさせるか、制度をどうPRするか。継続の発展性をどう求めるか。
●さまざまな意見から、服部が個人的に受け取り感じたことのいくつか
この市民税の1%支援税制を行うことと、納税意識が高まることとは、今の日本では、あまり結びつかないように思う。行政自身が信用を高めること、いつでも他のまち引っ越しもできる状況で、このまちで生きていく価値を実感できるときなど、納税意識を高める方法は他にあるようです。「寄付の文化」が身近でないことも、納税の意義や公益への無関心へとつながっているように思います。情報公開も市民参画も、一皮むけば、官に口を出すなという姿勢が相変わらずということがあるのかもしれません。
『1%市民活動支援方式』の他に、『住民税10%をご自由にお使いください方式』や、『認定NPO法人方式』など、補助金・委託費の他にも、税を市民活動の財源とする方式は、いくつかあるようです。行政への事業提案に税で予算をつけることなどもあるのでしょう。やり方はさまざまにしても、いまのところ税金の再分配に活動資金のかなり多くを依存している日本のNPOとすれば、再分配のパイを大きくすることの意味を確認する作業が必要なのだと思います。公益性にこだわるのは、この「税財源への依存過多」の裏腹のようにさえ思えてきます。
その市民活動団体が公益性を持つかどうかの判断を市民にゆだねる1%支援では、その判断材料を市民活動団体が提示する訳で、行政からの信用の裏付けから離れるという点で意義があるようにも見えます。多くの方たちの支持で地域での必要性を裏付けするのは、認定NPO法人の絶対要件(3000円寄付してくれる人が100人)の考え方でもありますね。
ところで、市民活動に公益性は必要なのか?ちょっと考えてしまいます。
公金の無駄遣いをする「穀潰し」などと言われたり、安上がりな「買票代金」などと言われたり、やたらに善意を強調する「たちの悪いたかり」などと言われたり、変わり者の「道楽」などと言われたり…市民が社会に参加するという側面とは裏腹に、「公益性」を語るたびに、なんだか「騙り者」のように忌み嫌われ扱われてきた古い時代を思い出します。
他者に認められることを拒否するつもりはありませんが、「公益性」ではなく、具体的な何か誰かのためにプロボノでいる方が、「大人の趣味」としては通りがよいとも思います。「自らを語り、他者に認められ、社会に参加すること」と、「公益性」とは、離しておきたいと思ってしまう私です。
「行政と公益性の癒着」を背景に、「行政の信用という虚像」を常に崩し続けてきた市民活動の先達諸兄姉には、良くも悪しくも「公益性」がターゲットなのかもしれません。「新しい公共」が、多様な人たちのそれぞれの公共であるにしても、それに付随する「税財源」と「公益性」には、なんとなく触れたくないなぁという気もしています。
1%支援制度では、市民は行政の財布を強く意識することになるかもしれません。生活に身近な自治体の財布から使うお金であれば、あれではなくこれに使いたい、使ってほしいという視点が入ってきます。あれも公益、これも公益、だけど財源はこれだけ。だから優先順位をつけて税金を使い、後は自分たちの知恵と工夫で…となるのでしょうが、そこに隠された無駄・非効率、不合理はないかなど、納税意識ではなく、行政の財布に対する市民の意識が高くなるように思います。この制度を発展させる方向としては、行政の財布自体に市民の参加がどうできてくるのかということかと思いました。
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30 私たち自身の未来創造力 [2011年03月01日(Tue)]
お疲れ様でした。12回、おわりましたね。ということで、 「未来社会フォーラム 私たち自身の未来創造力」 みえNPO検討会のご案内です
■ 主旨目的
「NPOの新しいうごきを議論する」と題して12回にわたって開催してきた「みえNPO検討会」ですが、その全体の内容を整理してふりかえり、まとめの機会としてこのフォーラムを開催します。
この地域の未来社会で市民の活動が果たす役割やそのあるべき姿、これからの三重での市民の活動の方向性のひとつでも見いだすことができれば幸いです。
併せて、本事業にかかわり支えていただきました多くの皆様方にご発言いただく機会を設け、ご縁づくりが進めばと考えています。皆様方のご参加をお待ちしています。
■ 日時・場所 日時:2011年3月13日(日)午後1:30から4:30 場所:みえ市民活動ボランティアセンター(アスト津3階フロアー)
■ 当日のスケジュール 1:30− 開会 1:45− みえNPO検討会で検討されたこと 2:00− 未来社会フォーラム パネルディスカッション 「NPOが社会の未来を創造するためには」 松井真理子 さん(四日市大学総合政策学部教授) 浅野 聡 さん(三重大学大学院工学研究科准教授) 進行:服部則仁(特定非営利活動法人 みえNPOセンター理事)
3:00− 参加者全員による交流懇談会(+1分間スピーチ)
4:00− 検討委員1分間スピーチ −4:30 閉会
■ 主催・問い合わせ先 特定非営利活動法人 みえNPOセンター 〒514−0009 三重県津市羽所町700番 アスト津3階 TEL.080−2619−9342 FAX.059−222−5971 メール:mienpoken-office@miraiwork.jp HP: http://www.mienpocenter.org/
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31 さて、種明かしは [2011年03月07日(Mon)]
13日のフォーラムでは、種明かしをしますね。 100人もの方々にかかわっていただいたこの「事業の構成」を語ります。
インターネットラジオ放送はしませんし、ツィッターでは断片しかわからないでしょうし、議事録ではこの部分をカットしてしまうつもりですので、ご来場いただいた方だけへのお礼です。
また、12のテーマの相関と全体像についても語ります。これはフォーラムのチラシの中面を見てもらうとおおむね伝わるかもしれませんが、それぞれのテーマを体系化して、私が思う全体像をお話しますね。今の日本のNPOのうごきを戦略として理解していただけると、勝手に思っています。その上でのパネルディスカッションです。
●ちなみに、パネルディスカッションでは、3つのことを考えるつもりです。
今回の「NPOの新しいうごき」は、中央・全国区の「うごき」であることから、 私たちは、「地方のNPOとして、地域の未来をどうつくっていくか」がメインテーマです。
1.地域の人たちとの信頼感・つながりをどうつくっていくか。 2.実際に市民活動を、持続的に機能させていくには。 3.社会の構造をどう創っていくか、どう変えていくか。
これらについて、12回の検討会で話し合ってきたことをふまえて行います。
●その後、懇親立ち飲みパーティ…といってもお茶とコーヒーです。 お菓子がないので立食パーティと言わないだけですが、いろいろな人たちと話してみてくださいね。名刺交換もOKです。一分間スピーチができるスタンドマイク付きです。
はい、こんなことしますので、ひまをつくって私の顔でも見に来てみてくださいね。 最後の参加の機会、ひょっとしたら一分間スピーチで、思いを語ることができるかもしれません。
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32 3/13中止になりました [2011年03月13日(Sun)]
「11日に発生しました東北地方太平洋沖地震の影響が多大であるということで、 三重県の主催の事業はすべて中止にします」ということになり、
平成23年3月13日(日)に、みえ市民活動ボランティアセンターで開催を予定して おりました 「未来社会フォーラム 私たち自身の未来創造力」みえNPO検討会 につきましては、開催を中止させていただきます。
ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
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33 お詫びのご報告 [2011年03月15日(Tue)]
お詫び プロデューサー 服部則仁
平成22年8月から平成23年2月まで、12回の個別のテーマについての検討会を行いました。3月13日に予定した最後にまとめの「未来社会フォーラム−私たち自身の未来創造力」は、前々日に起きました東日本大地震の震災に対し「影響が多大であるということで、三重県の主催の事業はすべて中止にします」との三重県の要請で中止としました。 これまで積み上げてきた検討内容を整理してまとめる機会と、この事業を支えていただいた多くの関係者やNPOの皆様と共にこれからを語り合い、次のうごきに向けての気運を盛り上げる機会とを失ったことは、この「みえNPO検討会」事業にとって極めて大きな痛手でした。せめて画竜に片目だけでも入れようと、検討してきた内容をまとめる懇談を録音し議事録に起こして報告書に入れることが、3月末の事業期間に間に合うせいいっぱいのことでした。もうひとつの目を描き込むことができず隻眼の画竜のまま画餅としてしまったことは痛恨の極みです。100名を越えるご支援いただいた皆様方にたいへん申し訳なく、深くお詫び申し上げます。
「みえNPO検討会」事業は、全国的に活躍している12名の著名な講師に三重に来ていただき、新しいNPOのうごきについて12のテーマで議論の材料を提供してもらい、三重県内の各地域で中間支援をしている若手・キーマンたちがさまざまな見方・視点を示し、毎回最後に、三重でしっかりとNPOとして活躍してこられた方々にラストコメントをいただくことで、地域の中間支援のNPOとしての多様な姿をそれぞれに模索するという事業でした。15名の検討委員の構成も、三重県各地域を網羅する形で地域で中間支援を行っている10名の方々、視点を広げる意味で個別の分野で全県下で活躍している方々3名、全体をまとめて伝わる言葉に置き換えていただくための学識者の方々2名に入っていただきました。 その中で、ツィッターとインターネットラジオによる音声との同時中継を行ったり、ホームページに逐語の議事録を掲載したり、プロデューサーの個人ブログや全国のNPO関係者へのメーリングリストで案内と感想を配信したりと、インターネットメディアをさまざまに使って、全国の多くの方々に「みえNPO検討会」での議論の様子を伝えることはできました。 12名の講師、15名の検討委員、20名のラストコメンテーター、約200名のツィッターに注目していただいた全国の皆様、その発信やデータ整理を支えていただいた方々のご参加で、この事業が成立しました。また、三重県社会福祉協議会、影響力の大きい5つの愛知・岐阜・三重のNPOセンター、6つの中部と三重を代表する経済団体、10の県内各地の公設の市民活動センターの皆様方よりのご後援で、この事業に信用と厚みと広がりを加えていただきました。
ざっくりとした試算で恐縮ですが、直接的にうごいていただいた部分だけでも、講師の皆様より50万円相当、検討委員の皆様より70万円相当、ラストコメンテーターの皆様より30万円相当、情報発信・データ整理ならびにみえNPOセンター、その他の皆様より50万円相当、合計約200万円相当の実質的なご寄付とご参加があって、この事業が成立しました。また、ご後援いただいた皆様からの信用付与や二次発信の情報提供などについては、全国で同様の応援をしていただいた皆様の行動と合わせ、金額に置き換えることの出来ない貴重なご支援とご参加をいただいたと思っています。ちなみに三重県の男女共同参画・NPO室より「緊急雇用対策NPO支援機能強化事業」の委託費として420万円をいただいており(内訳は200万円の事業費と220万円の新規雇用関連人件費)、これらを合わせて本事業は直接的な経費だけで620万円相当を持ち寄って行った事業と言うことができます。
『全国的な規模でのNPOの大きな新しいうごき VS 三重県全域からの参加による地域の中間支援のNPO』という構図で全国に向けて展開した「みえNPO検討会」事業により、地域で活動する個々の三重の中間支援組織全体について、全国的にそれなりのご評価をいただいたと思っています。ただ、提案書に掲げた所期の「平成22年度の3つの成果」「2つの今後の展開」については、充分に達成したと言うことはできません。
【成果1.中間支援NPOのキーマンたちが、新たなうごきを認識し、新しい時代へトータルに対応するベースをつくる】については、ご参加いただいた皆様個々人の中に蓄積していただきベースはできたかもしれませんが、体系化した内容はこの報告書に記載してあるだけなので、トータルにできたと言うには弱いと考えます。【成果2.地域で活動する多様なNPOへの、新しい中間支援のイメージをつくる】についても、個々の内容はともかく、全体的なイメージはこの報告書に記載してあるだけなので、イメージが伝わったと言うには弱いと考えます。【成果3.若い世代の新たな中間支援NPOのネットワークのベースをつくる】についても、「誰が未来社会をつくるのか」という政策提言について、報告書に記載してあるだけであり、ベースが整ったと言うには弱いと考えます。 そして、【展開1.若い世代の新たな中間支援NPOの連絡会を立ち上げ、新しいうごきに三重というボリュームで対応できる態勢を確立したい】については、地域で市民活動支援を行う団体による協議会の準備会をつくることはできましたが、そのうごきを三重県全体で盛り上げていくところまではいけませんでした。【展開2.何とか助成金・スポンサーを探し、新たにNPOの世界に関わってくれる人材の発掘のため、彼ら若い世代が講師となって講座を開催し、それぞれの地域のNPOに新たな人的資源の提供をしたい】については、「NPOの地域人材育成事業」を三重県が行うことになりました。にもかかわらず、【展開1、2】のいずれについても、私の力量不足で、それぞれの展開を確かなものにする財源・資源を手元に引き寄せることができませんでした。
「信用+620万円相当+アルファー+大応援」という大きな資源を、個人・NPO・行政・企業・その他の皆様方からお寄せいただきながら、最後のところで充分な【成果】・【展開】につなげられなかったことに、深く責任を感じています。応援いただいた皆様方にはご容赦くださいますよう、重ねてお詫び申し上げます。
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34 せっかくですので第1回のまとめを [2011年03月20日(Sun)]
第1回
「三重のNPOの未来に向けて 一現場のNPOのリーダーとしてのメッセージ」 基調講演 伊井野雄二さん(みえNPO研究会)
NPOに取り組む人の心根
・真っ先にNPOに関わる人ってどんな人、人の悲しさを自分と共有できる人。 ・こういうことをなんとかしないといけないと思うのがNPOとしての真(まこと)。 ・これをなんとかしたい、いろいろな分野でなんとかしたいという、心の炎を燃やしてほしい ・自分はどのような意見や姿勢でのぞむのか、そういうところからNPOの資質が生まれ出る。
ソーシャルインクルージョン
・傷ついた人を排斥するんじゃなくて社会のなかで抱き寄せて皆で共に幸せになっていこうという気持ちがないと日本社会は成り立っていかないんじゃないか。 ・社会的包摂、そういうふうなことを真っ先にやるのが、NPO・ボランティアだ。 ・社会的な排斥の時代ではない、包み込む論理の中で形成する。 「想いを形に、かたちを仕組みに」という有名な言葉があります。 ・行政ができない、企業ができない、そういう狭間のささやかな公益をいかに自分で自発的に自律的にやっていくのか。私益を超えて実現しなければいけない公益があります。そういう人を「公夢員」と言います。おおやけの夢をもった人です。 ・わたしが死んでも、里山に自由に関わっていけるという仕組みがあれば、どんな素敵な山をつくるよりも本当は大切なのかも知れません。それが仕組み作りなのです。 ・今の時代、手弁当では、信用、信頼は得られません。どのようにして活動資金を集めるかが大切です。社会のニーズにあわせる。
NPOの原則の三つ
・輝くパートナーシップ。政治、信条はいろいろあっても、ミッションを共有しながら、新しい世の中を創っていくなかで自分がどうかかわっていくか。 ・情報の公開。収入や支出、ミッション 判断が瞬時に入手できる。そういう形の信用、信頼を創る基盤がNPOの原則の中にあれば私たちは手を結びやすい。 ・政策の提言。もっとも大切な原理、原則です。自分たちがどんな社会にしたいかが重要です。
これからの人に伝えたいことがあります。
・「アンテナを高く感度を研ぎ澄ます」「社会的なニーズに的確に応じる」というのがNPOのミッションなら「だれかれと分け隔てせず可能性というキーワードで一致せよ」「だれもが自分を生かされることを望んでる」というのが私のメッセージです。
■ 情報提供 「新しい公共」宣言 服部則仁(みえきた市民活動センター 理事長)
・「新しい公共」と言うときに《「新しい公共」を支える主体を増やしていく》と、《「新しい公共」を増やしていく》というふたつの考え方がいつも混在している。 ・『政府が公共を決めて、それをお金がないから民間の人支えてくださいね』ではなく、『政府が考える公共もあるかもしれないが、いろんな人たちが考える公共があって、その公共の範囲が広がったり、変わったりしている。その中でいろんな人たちが関わって支えていこう』と。
・市民公益税制プロジェクトチームが23年度の税制改革に向けて提言。所得税の税額控除制度の導入。認定NPO法人の認定基準の見直し、地域において活動するNPO法人等の支援、個人の住民税。今後の展開によってはかなりこれらが進展するものと思います。
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35 第2回 ISO-SR26000のまとめ [2011年03月22日(Tue)]
第2回
「社会的責任に関する国際規格ISO−SR260000」 新田英理子さん(日本NPOセンター 企画主任)
三つの問題提起
・ISO-SR26000で扱う社会的責任の規定はあらゆる組織。どう広がり、どう定着するか? ・マルチステークホルダープロセスによって、対等な関係性で議論し、それぞれのステークホルダーが、約束し、それぞれ責任を果たす。協働論を超え、持続可能に社会を発展させる。 ・社会的責任という動きに対し、推進派としてどういう立ち位置で推進していくか。 NPOってそもそも誰かが代表できるのか ・他のステークホルダーに対し、NPOを代表して意見を言う必要性はわかるが、その正当性はだれが担保するのか?どこまで背負って発言でき、その責任をどう取っていくのか。 NPOへの個人の参加 ・NPOに個人がどう参画するか、参加はNPOをどう活性化するか、社会に対し、NPOに参加する意義や参加される意義が理論構築されず、大切な個が抜けていく。寄付も参加の一つ。
■ 講師とのやりとりから ■
・NPOはいろいろな所に対して、あなた達の社会的責任はどうなんですかを問うていく立場なのかな。 ・あそこの行政はちゃんとやってるんか、この会社ちゃんとやってるんかって、文句いいのおばちゃんみたいになるのか。自分自身にむけてその活動はどうなのかとか。 ・NPOのセクターは、昔は企業とか行政に対し攻撃的だった。今は他のセクターへの働きかけをする。NPOセクターなり、自分の団体なりが、どの程度、社会の中で何をしていくのかが問われる。 ・NPO自身の社会的責任はあたりまえ、なぜあえて今こういう話がでてくるのかわからない。 ・個別のNPOがSRをやってるより、目の前の具体的課題解決に時間を使ったほうがOK。 ・人様から見て社会的にできているかそうでないかが社会的責任だとすると、そんな通信簿はいらない。 ・マネジメントが薄く、収入が非常に乏しい中で、NPOは社会的責任を果たしたくても果たせない。NPOの自己責任ではなく、NPOに対する社会的、構造的な責任を見直さなければならないし、コストのことを真剣に考えないと「公共」を担うNPO団体が安心感がもてない。 ・NPOの財政的な基盤がきちっとしてちゃんとできるところが、はじめてこのSRに対応できる。 ・社会の問題をもっとみんなで話し合わないともう解決しないという状況になっている ・マルチステークホルダーっていう手法で協働事業をやろうというのはあたりまえのこと。 ・実行委員会形式で、いろいろな方々でやってきたものと、どう違うのかが見えない。 ・地域にいけばいくほど、具体的に全部のステークホルダーがかかわらないと解決できない ・三重県あたりのNPOは非常に中小企業、小さいNPOには浸透はしにくい。 ・ISOって大きなNPOに非常に有利に働いていく。強いところがますます有利になる。 ・行政はここを選んでいる正当性を説明する、選別ための理由にISO26000を使うだろう、企業も。 ・必要なテーマを選べるか。参加したいテーマを選べば、必然的にマルチステークホルダーになる。 ・具体的な課題やテーマがある中でないと、皆さん集まってこない、集まれない。 ・企業も当然そのテーマによっては出てくるわけで、行政も出てくる部署は違ってくる。 ・議論に参加しないといつのまにか決められた基準に自分たちが飲み込まれる危機感がある。 ・もともとのミッションを果たすことから埋めないと、SRと言われても地に足がついてない。 ・SRの話に入るまえにCSRなどを伝えておかなければならない。 ・同時に届けていきたいのは一般の方々かなと思います。 ・市町村レベル、暮らして税金払っている範囲だとどう生かせるか、もうわけわからない ・NPOは多くの市民に本当に支えられているのかどうか見直すことが大事
■ 講師から ■
・認証規格ではなく、ガイダンス、あまで手引き。使うか使わないかは本当に自由。ISO-SR26000はひとつの道具。使い方を間違えるともろ刃の剣になるのと同じで、知っておくことが重要と思う。
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36 公益ポータルサイト [2011年03月24日(Thu)]
第3回
「NPOの説明責任とその保証 公益ポータルサイト・第三者認証」 山田泰久さん(財団法人日本財団 公益コミュニティサイトCANPAN 事務局)
公益ポータルサイト・第三者認証
・公益活動を行っている団体なら自主的に登録でき、団体の定款や事業報告書を掲載できる。 ・情報開示のレベルを5つ星で表示(決算とか事業報告書などの書類を載せると5つ星)。 ・全国14のNPO支援センターと連携し、地域のNPOで情報開示の視点で認証をつけてもらう。
NPOは法の精神を理解し、自ら情報公開を行っているか
・NPO全体として、情報発信・情報開示で、まず信頼を得ていかなければいけない。 ・簡単に情報発信、情報開示ができる時代。知らせるための発信、信頼度を高めるための開示、支援を受けたあとの説明。こういった情報を発信していないのは逆に怪しいと思われる。 ・これからのNPOは社会をどういう風に巻き込んでいくのかが重要になってきます。
CANPANが目指したいデータベース・情報公開のメリット
・市民、企業など支援する側が欲しいと思っている情報がここを見ればわかるような標準化。 ・寄付をしたいとか、ボランティア参加したいとか、好きな団体を選ぶことができる仕組みに。 ・NPOが積極的な情報開示を行うことで、地域の資源循環を生み出すことは大きな目的。 ・認証された信頼できる情報で、いろんな活動、定期的に更新された情報が掲載されている。 ・活動内容をアピールでき、団体や認証団体の信頼性も向上。かつ運営コストも削減できる。 ・地域にとって、NPO活動で地域の活性化、地域が活性化されている状態の「見える化」。 ・コンサル機能の強化につながり、行政、企業を含む多様な組織による協働へとも繋がる。 ・ブログのような日々のフロー情報と、データベースのストック情報との使い分けが有効。 ・情報開示の形か、組織の運営か、活動のよさかで、第三者認証の考え方が違ってくる。
■ 講師とのやりとりから ■
「第三者認証の良し悪し」の議論
・中間支援組織が評価したことで、ものすごく活動がやりにくくしてしまったととられるのが怖い。 ・この団体ならいいなということを、自分たちが選別している。そのルール作りが必要で、地域ルールみたいなものが出てくるのを促すのが中間支援団体に外から求められている部分なのでは。 ・誰かに認証され認められることで、やる気につながり、活動がまた展開できることもある。 ・評価する側の人達が知りたがっていることを学ぶ機会を、NPOの人が持てる。 ・第三者に自分を語られるのはちょっとごめんしてもらって、自分のことは自分の言葉で語りたい。 ・このNPOに業務を委託できるか、仕事が任せられるかなという、判断のランクになる。 ・何の権利でチェックを入れるのか。みんなが自由にやっていく内にまとまっていくだろう。 ・第三者認証に振り回されるのは、活動したり認証する側ではなく、認証を見る人、情報を使う人。 ・NPOが第三者から見られているという視点は、どう動かなあかんかで非常に大事だ。 ・「第三者から見る部分的推薦」というのはありかな。嫌な反響は流せばいい。
「NPOの説明責任」の議論
・不特定多数に向けた情報公開はそのNPOの信頼度を高め、企業等からの寄付が集めやすくなる。 ・他機関に委ねると、情報の信頼とか使いやすさはあるが、自分たちのエンパワーはなされない。 ・情報公開の部分よりも、その活動を地域で実際にやっている中で信頼を得られる印象が大きい。 ・情報開示・発信しているから信頼できるとは限らないし、実態を表しているかどうか分からない。 ・発信情報の中身のチェック、正確さ、古さ、生きてる情報かという、情報の扱いをどうするか。 ・出すことによってバッシングしてくる社会がある。このやり方が必ずしも合わない人もいる。 ・こういうツールを用いてNPOの情報発信力をもっと高めようよという取り組み。 ・情報発信をサポートしていくと考えれば、いろいろなやり方、見せ方ができるのではないか。 ・発信力が脆弱な団体が成長していく過程評価を組み込めればいい。 ・他人の仕切りがいやなら自分のホームページを作る。それを見にいく仕掛けがあると乗りやすい。 ・第2第3のCANPANができていい。複数のサイトが競争し、お互いに質が上げられればいい。
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37 NPOのネットワーク [2011年03月27日(Sun)]
第4回
「NPOのネットワークによる行政・社会への働きかけ」 実吉 威さん(特定非営利活動法人 市民活動センター神戸 理事・事務局長)
NPOが連携することでできることがある
・制度の内と外もバラバラ、制度の内も縦割りでバラバラ。行政に分かってもらいどう連携するか? ・行政の計画には「連携し」と書いてあり、非常に大事な地域資源なのに、全然実態を知らない。 ・ネットワークを組み、「ある種の代表制、全体像、協働性、皆でやってますよ」という存在感を見せて、アピールして、認めてもらい、支援も受ける。行政としては関係を作りやすいだろう。 ・今の時代、NPOの活動を必要としている、これを大きな背景として、実態としてちゃんと課題解決しようという団体があり、それを社会の中に位置づけていこうというのが、ネットワークの前提。 ・最終的には行政の制度内の事業とどう連携できるか、ある種の制度化みたいなのが大きなテーマ。 ・「価値観の共有とか具体的な目標の共有」と「基本的な信頼関係」とのふたつが連携のために必要。 ・目的達成したらネットワークはなくていい。大切なのは機能、パブリックも含めたアドボカシー。 ・ネットワーク活動って本当にお金にならない。先立つものも必要なので、財源面も大事かと。
ネットワークの質。進め方で気をつけてきたこと
・とにかく合って話しをする。そういう内部のコミュニケーションってめちゃくちゃ大事でしょ。 ・コミュニケーションを常にとりながら進める。ピラミッドになると参加性とか主体性が失われる。 ・現場の団体の皆さん、その利用者であり、活動の担い手たち。そういう人たちがまさに主役。 ・出来るだけ全メンバー平等に利益と負担とを、共益と公益を意識、メリットがあると思うと続く。 ・バリバリ自分たちで事業をやるとだんだん閉じていく。自分たちだけで忙しくなってしまう。 ・各団体が、「地域のボランティアや若い人、市民がどんどん参加する」、そこを大事にしようと。 ・お互い知恵を出し合う。それで相互の啓発とかノウハウの共有とかになり、経営の改善に繋がる。
■ 講師とのやりとり ■
・ネットワークは、実現してないものへの期待感、自分たちの経営改善、その手ごたえ感があれば。 ・ゆるい交流をやっているところでは、苗床になっていろんなものがそこから育っていくのでいい。 ・分野ごとのネットワークは、お互いの経営改善、キャンペーン・アドボカシーでも非常に有効。 ・個々では継続性も不安だし、孤立感もある。ノウハウを他からも学ぶなど、ネットワークは有効。 ・黒子の面もあるけど、白子もある。前に出て広告塔みたいなことや、審議会に入るとか。 ・増えるのは、NPOの仲間が普段ないし、孤立してるし、行政との接点を持てずにいるから。話を聞いてほしい、伝えたいというのがすごくあり、分野でまとまって全体像を示すことも大事。 ・中間支援の財源は、どこかで黒字を出しネットワークは赤字。どこかで充電しこっちで放電する。 ・年会費10万円、20団体なら多少はできる。それぐらいのメリットを感じる活動なら本当の成功。
■ 委員の視点 ■
・ネットワークがダウンした時のリスク、行政の評価が落ち、市民からの同様な視点を認めない。 ・魅力です、まちのブランド化。市民が思うところを行政も理解し、広報もブランド化も大事です。 ・調査報告書は数字で社会に全体像とニーズを現している。NPOがネットワークした質の成果。 ・行政の縦割りに対抗するNPOの合同体に意味がある。横の連携組織から審議会委員を推薦する。 ・ネットワークは個人のつながり。参加者の後にも多くの人がいてそこへも繋がれることを期待。 ・地域で少ないお金で生活できるネットワーク、お互いさまでやっていけるルールが出来ればいい。 ・各地域のNPOが現場でつくるネットワーク、そのサポートの仕方、財源も含めた事業のあり方。 ・結局は人とかカネとかっていう問題は常についてくるものやな、そこは一緒やなと思う ・ネットワークを支える財源はむずかしいが、自由度が大切。 ・ネットワークは大きな相手、大きな地域と対抗するための手段。異質な部分がどっかに必要。 ・施策に反映させた制度外をつくるとか、社会的弱者の立場で行政に声を届けるとか。 ・ネットワークをつくる目的という、原点をしっかりふまえることがネットワーク継続の鍵。 ・他セクターとのつながり、社会、企業はNPOを必要としているか?どう働きかけをしていくか。
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