「ひまつぶしいきます」[2006年02月18日(Sat)]
この話は、2004年の春にウチの会社のHPにUPしたものなのですが・・・。
冬のある雨の日、私は電動車椅子での出勤が無理なため、会社に電話をかけてスタッフに自宅まで迎えに来てもらいました。
そのときに自車で来てくれたスタッフKさんが、「もう消えちゃったかしらね。」と言いながらこんな話をしてくれました。
車内は、暖房で温められていました。
スタッフKさんは、Dさんを学校から学童に送るために、自車(軽自動車)を出しました。
学校に着くと、Dさんを後部座席に乗せ、Dさんの通う学童へ向かいます。
いつもと同じ、何一つ変わらない流れです。
その日は雪こそ降っていませんでしたが、本当に寒い日でした。
Dさんはその頃、学童に行くときによく渋っていました。
Kさんが、「Dちゃん、どこ行くのぉ?」と聞くと、「ひまつぶし。」と返ってきます。
「Dちゃんはこれからねぇ、学童に行くんだよぉ。」
「学童、行きません。ひまつぶし行きます。」
「Dちゃぁん、今日はひまつぶしには行かないよ。今度おいでねぇ。」
「えぇうぅ。」
そんな押し問答をしているうちに、学童に着いちゃいました。
なかなか学童に気持ちが向かないDさん。
到着してからもひともんちゃくあったようです。
Dさんの送迎を終え、ひまつぶしに戻ってきたときの事です。
車の荷物を整理しようと、後部座席に移りました。
すると・・・。
「ひまつぶしいきます」
たどたどしい文字で、くもりガラスに指で書いた字の跡があったのです。
Dさんが、学童へ送られる数分の間に書いていたのでしょう。
他にも、うっすらと「ひまつぶし」と書かれた跡があります。
そっちは今日書かれたものではなさそうでした。
「胸が痛くなったねぇ、ひまつぶしに連れて帰ってあげたいけどねぇ。」
スタッフKさんは、くわえタバコで前を見ながら言いました。
「あれから何日か経つけど、窓、拭いてないんだ。消せなくてね。まだあるかな?」
見ると、後部座席の右側の窓にうす〜く「ひまつぶし」の文字がありました。
子どもが指で描いた、たどたどしい「ひまつぶし」
もう消えそうなのに、何ともいえない味のある、丸みを帯びた「ひまつぶし」
今まで見た文字の中で、いちばん温かいと感じられる「ひまつぶし」
気づくと車は止まっていました。
いつにも増して「ひまつぶし」が近く感じました。
もう少し車に乗っていたい。
でもやっぱり僕も、車を降りました。
ひまつぶ氏むらかみ
冬のある雨の日、私は電動車椅子での出勤が無理なため、会社に電話をかけてスタッフに自宅まで迎えに来てもらいました。
そのときに自車で来てくれたスタッフKさんが、「もう消えちゃったかしらね。」と言いながらこんな話をしてくれました。
車内は、暖房で温められていました。
スタッフKさんは、Dさんを学校から学童に送るために、自車(軽自動車)を出しました。
学校に着くと、Dさんを後部座席に乗せ、Dさんの通う学童へ向かいます。
いつもと同じ、何一つ変わらない流れです。
その日は雪こそ降っていませんでしたが、本当に寒い日でした。
Dさんはその頃、学童に行くときによく渋っていました。
Kさんが、「Dちゃん、どこ行くのぉ?」と聞くと、「ひまつぶし。」と返ってきます。
「Dちゃんはこれからねぇ、学童に行くんだよぉ。」
「学童、行きません。ひまつぶし行きます。」
「Dちゃぁん、今日はひまつぶしには行かないよ。今度おいでねぇ。」
「えぇうぅ。」
そんな押し問答をしているうちに、学童に着いちゃいました。
なかなか学童に気持ちが向かないDさん。
到着してからもひともんちゃくあったようです。
Dさんの送迎を終え、ひまつぶしに戻ってきたときの事です。
車の荷物を整理しようと、後部座席に移りました。
すると・・・。
「ひまつぶしいきます」
たどたどしい文字で、くもりガラスに指で書いた字の跡があったのです。
Dさんが、学童へ送られる数分の間に書いていたのでしょう。
他にも、うっすらと「ひまつぶし」と書かれた跡があります。
そっちは今日書かれたものではなさそうでした。
「胸が痛くなったねぇ、ひまつぶしに連れて帰ってあげたいけどねぇ。」
スタッフKさんは、くわえタバコで前を見ながら言いました。
「あれから何日か経つけど、窓、拭いてないんだ。消せなくてね。まだあるかな?」
見ると、後部座席の右側の窓にうす〜く「ひまつぶし」の文字がありました。
子どもが指で描いた、たどたどしい「ひまつぶし」
もう消えそうなのに、何ともいえない味のある、丸みを帯びた「ひまつぶし」
今まで見た文字の中で、いちばん温かいと感じられる「ひまつぶし」
気づくと車は止まっていました。
いつにも増して「ひまつぶし」が近く感じました。
もう少し車に乗っていたい。
でもやっぱり僕も、車を降りました。
ひまつぶ氏むらかみ




あたたかいコメントありがとうございます。
本当にもったいないお言葉です。
ひまつぶしの出来事を記録として残してみようと始めたブログですが、エンジェリーさんのように応援してくださる人がいるととても励みになります。
届いているんだなぁって、嬉しくなります。
はい、主人公はみんなです。
いつも会員さんや同僚やアルバイトさんたちに笑わせてもらっていますから。
また更新できていない日々が続いてしまっていますが頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。