米国の大手助成財団による民間企業に対する投資拡大の動き [2011年12月08日(Thu)]
米国の大手助成財団では、自らのミッション達成のため、NPOではなく、民間企業に対する投資を拡大する傾向にあるようです。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)では、ワクチンの配布を行う新たな手段の開拓に向け、バイオテクノロジー企業のリクイディア・テクノロジーズ(Liquidia Technologies)に対して1,000万ドルを出資しました。この資金は、2009年に同財団が創設した基金の4億ドルから捻出されていますが、今では、こうした基金は、10億ドルにまで拡大しています。 このようなかたちで、財団が自らのミッションを達成するために営利企業へ投資する、P.R.I.(Program-Related Investments)と呼ばれる動きは、オミダイア・ネットワーク(Omidyar Network)、デビッド&ルシール・パッカード財団(David & Lucile Packard Foundation)をはじめ、他の大手財団でも進行しているようです。ちなみにゲイツ財団の場合、グローバルヘルス、世界規模の開発、米国内の教育など、多分野において、民間企業への投資を行っているとのこと。 こうした背景には、助成団体が、自らのミッション達成に向け、これまで以上に切実に取り組まなければならない状況にあることが容易に想像できます。当然ですが、こうした動きが加速するにつれ、企業とNPOの境目が曖昧になり、本来であればNPOに流れてくるはずの助成金が営利企業に投資されるという可能性が出てきます。つまり、もしスーパーマーケットが殆どないような地域に対する支援を行うとした場合、NPOに助成するよりも、チェーン展開を行うスーパーを支援した方が効果を見込めるということが起こりうるということです。 助成する側からすれば、NPOへの助成は、そのミッションや目的を達成する手段の1つでしかありません。もちろん、NPOセクターへの助成には他にもいろいろな意味を含んでいますが、純粋に目的を達成するという観点からすると、なにもNPOにお金を落とさなければならない必然性はありません。NPOにとっては、まさにその真価や存在意義を問われているということであり、成果を出せる組織体制を早急に確立する必要があります。 【2011/11/24 The New York Times記事参照】 Tweet マネジメントの記事一覧へ≫≫≫ NPO|ファンドレイジング|ボランティア|寄付|社会的起業|CSR|ソーシャル・マーケティング|マネジメント|パートナーシップ|教育|メディア|まちづくり|公共政策 |