ビッグブラザーズ・ビッグシスターズの広告戦略の転換 [2011年01月20日(Thu)]
1904年に設立され、既に100年以上の歴史を持つ米国老舗NPOの一つである、ビッグブラザーズ・ビッグシスターズ(Big Brothers Big Sisters)では、新たに広告キャンペーンを立ち上げました。同団体では、貧困、片親、両親の投獄などの危機的状況にある子供と、そのメンターとなる成人ボランティアとのマッチングを行っています。ボランティアは、子供のメンターとして、最低でも1年間のコミットメントを期待されています。ちなみに米国では、こういった状況にある子供たちが、1,000万人〜1,500万人存在するそうです。
ビッグブラザーズ・ビッグシスターズではこれまで、子供のメンターを務める成人ボランティアを獲得するための広告にフォーカスしてきましたが、この度、団体初となる金銭的な支援(寄付)の獲得を目的とした広告展開を開始しました。その背景には、不況により同団体のサービス需要が高まっているにもかかわらず、寄付金の減少によりメンターの数を減らさなければならないという状況があります。なんでも、1人の子供のメンタリングを行うのに、成人ボランティア1人当たりで約1,000ドルのコスト(大半が管理費)がかかるそうです。 新たな広告は、日本でいう公共広告機構(AC)にあたる米広告評議会(Advertising Council)の支援のもと、民間の広告会社の協力を得ながら、今年10周年となる全米メンタリング月間の一環として実施されます。 キャンペーン・タイトルは、“Start Something”と名付けられており、成人ボランティアが子供に対して与えうる影響力(効果)について訴求します。同時に、ボランティアの募集だけでなく、寄付獲得についても訴求が強化されています。 ちなみに、これらの広告キャンペーンの開始により、Arby's、Comcast、Niveaなどの企業パートナーからの寄付も増えているとのこと。個人寄付の拡大のみならず、法人からの寄付拡大にも繋がっているようです。 NPOセクターでは、そもそも宣伝広告費を予算化しているところは少ないですね。広く広報というかたちでパブリシティを中心としたコミュニケーション戦略を採用していることが多いですが、その効果の検証を踏まえ、訴求内容や出稿タイミング、クリエイティブ評価などを定期的に見直していく必要があります。 【2011/01/12 The New York Times記事参照】 ソーシャル・マーケティングの記事一覧へ≫≫≫ NPO|ファンドレイジング|ボランティア|寄付|社会的起業|CSR|ソーシャル・マーケティング|マネジメント|パートナーシップ|教育|メディア|まちづくり|公共政策 |