寄付や慈善行為に影響を与える心理的要因 [2009年03月15日(Sun)]
人が慈善行為や寄付を行う際には、その背景に様々な心理的要因が働いています。ある実験では、被験者を2つのグループに分けてその行動を分析しました。片方のグループは、「マラウイの食糧不足は300万人以上の子どもたちに影響を与えている」といった一般的な情報を与えられ、もう一方のグループには、Rokiaという7歳の女の子の写真とともに、彼女が貧困を極めていること、そして「あなたの寄付により彼女の生活が良い方向へと変わります」というメッセージが伝えられました。結果として、後者のほうが多く寄付をしたようです。つまりこの実験では、人は不特定多数の人よりも、具体性のある特定の1人を救いたがる傾向があるということです。
また、傍観者効果(bystander effect)というものもあります。これは、自分以外に人が大勢いる集団の中では積極的に行動しないという社会心理学における集団心理です。例えば、池に落ちた子どもを発見したとき、もしそれを見たのが自分1人だけなら、他に誰かいたときと比べると、行動を起こす可能性が高いということです。 こういう視点で世の中の社会問題を見渡すと、確かに思い当たることがありますね。環境問題であれ、飢餓・貧困であれ、教育問題であれ、人が慈善行為や寄付行為を行う際には、その時の状況や環境設定が行動に大きな影響を及ぼします。NPOとしては、こういった人間の心理というものをうまく理解しながら、いろいろな仕掛けを行っていかなければなりません。奥が深いですね。 【2009/02/28 Newsweek記事参照】 寄付の記事一覧へ≫≫≫ NPO|ファンドレイジング|ボランティア|寄付|社会的起業|CSR|ソーシャル・マーケティング|マネジメント|パートナーシップ|教育|メディア|まちづくり|公共政策 |