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飛耳長目:アメリカにみるNPO戦略のヒント

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田邊@NPOサポートセンター
匿名寄付の増加にみる米国の社会的背景 (06/13)
マサチューセッツ州におけるNPOの統合・合併の動き [2009年07月01日(水)]
マサチューセッツ州にある9つのNPOでは、運営費用の削減と運営維持のための手段として合併・統合を検討しているようです。

ここ数か月の間に、9つのNPOを含む4つの合併・提携が進んでいます。金融危機以前の2008年6月、ボストン財団(Boston Foundation)が実施した調査では、マサチューセッツ州における人口や助成の数は増えていないにもかかわらず、NPOの数は約2倍にまで膨れ上がっているという結果がありました。さらには、同州にある36,748のNPOのうち約40%は毎年お金を失っており、住民1人当たりに換算したNPO数は他の州に比べて多いとのこと。報告書では、「合併・統合を検討する必要がある」という提言がされていましたが、昨今の経済危機までは取り上げられることもなかったようです。

既にユナイテッド・ウェイ(United Way)では、マサチューセッツ州とニューハンプシャー州の支部が統合されました。これにより、ニューハンプシャー州の支部では、25万人の住人に対して、17人のスタッフで年間400万ドルかかっていた5つの事業をなくすことになりました。ボストンの支部では更に規模が大きく、130万人の住人に対して、110人のスタッフで年間4,200万ドルかかっていた仕事がなくなることになります。

この他にもマサチューセッツ州では、エイズ・アクション委員会(AIDS Action Committee)がジャスティス・リソース・インスティチュート(Justice Resource Institute)、ケンブリッジ・ケアズ・アバウト・エイズ(Cambridge Cares About AIDS)、セントロ・ラティーノ(Centro Latino Inc.)と合併する動きがあるようです。

上述のとおり、マサチューセッツ州では、こういったNPOの合併・統合は金融危機以前にも議論されていました。不景気によりNPOの提供するサービスや支援を必要とする人びとが増える一方、NPOではファンドレイジングが困難な状況におちいり、合併の動きが加速された結果になりました。こうした動きは同州ばかりでなく、今後他の州でも現れてくると思われます。

【2009/06/21 BostonHerald.com記事参照】

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米国の大手財団における人員削減と不況の余波 [2009年06月29日(月)]
金融危機による資産価値の減少により、米国における大手財団の中には人員削減を余儀なくされている団体もあるようです。

ロバート・ウッド・ジョンソン財団(Robert Wood Johnson Foundation)250人の正規職員のうち42%に対し、自主退職プランを提示しました。対象となったのは、年齢と勤続年数の合計が70歳を超えた職員です。何でも、同財団初めての人員削減だそうです。同財団では、ヘルスケア改革に長く関わってきていますが、現在、まさに重要な局面にあるため、これ以上資産を減らすことで、そちらへ影響が及ぶのは避けたいようです。ちなみに今年は4億5,000万ドルを、そして来年も同額の助成を予定しています。

また先月は、フォード財団(Ford Foundation)が550人の正規職のうち140人に対して同様のプランの提示をしています。既に4月、予算から2,200万ドルを削減しており、人員削減には踏み込まない予定でしたが、やむを得なかったようです。ベトナム、ロシアの事務所を閉鎖し500万ドルを削減することに決定しましたが、さらに1,400万ドルの削減捻出が必要だったようです。

この他にも、昨年12月には、カリフォルニア・エンダウメント(California Endowment)は44人の人員削減を、ケロッグ財団(W.K. Kellogg Foundation)もブラジル、南アフリカ、ミシシッピの事務所閉鎖に伴い人員削減を行っています。

これら財団では、人員削減の前に、採用凍結や福利厚生や旅費などの削減を既に実施しているとのこと。人員削減は苦渋の決断だったようですね。

【2009/06/20 The New York Times記事参照】

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『Giving USA 2009』にみる最新の寄付動向 [2009年06月26日(金)]
このほどギビングUSA財団(Giving USA Foundation)は、米国における寄付の年次報告書『Giving USA 2009』を発表しました。インフレーション調整後、2008年は前年比5.7%の減少となり、1956年に調査がはじまって以来最も大きな減少となりました。

米国では2008年、合計3,076億5千万ドルの寄付を行っています。個人からの寄付は2,292億8千万ドル(6.3%減少)、遺贈寄付は226億6千万ドル(6.4%減少)で、企業からの寄付は145億ドル(8%減少)となっています。ちなみに2008年の寄付総額のうち、遺贈寄付を含む個人からの寄付で全体の82%を、企業からの寄付で5%を占めています。

寄付の分野別にみると、最も寄付の減少が大きかったのは財団で22.2%の減少。ついで、社会サービス(15.9%)となっています。国際支援団体は3.1%の減少、環境、教育、文化、芸術、人道支援、ヘルス分野の団体はおおむね9〜10%の減少となっています。一方、宗教団体は、1.6%と小さいながらも唯一寄付が増加しています。

本調査はインディアナ大学フィランソロピー・センター(Center on Philanthropy at Indiana University)が調査・作成のうえ、ギビングUSA財団が発行しています。今年で54回目を数えますが、米国の寄付の実態を把握するうえで非常に権威のあるものとされています。日本でも昨今、寄付文化の創造に向けていろいろな動きが出始めていますが、そのベースとしてこういった調査が継続的に実施される必要がありますね。

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ファンドレイジングと寄付者訪問に伴う旅費の削減方法 [2009年06月24日(水)]
不況下では、組織運営に伴うあらゆるコストが削減の対象になります。人件費や広告費をはじめ、オフィス内で発生する光熱費や事務備品の購入費などもその対象。組織はあらゆる側面でコスト削減に奮闘します。

ファンドレイザーに目を向けてみると、寄付を募るために寄付者を訪問するわけですが、人件費のほかに旅費(交通費)が発生します。ジョンズホプキンス・インスティチューション(Johns Hopkins Institutions)では、今年、850以上の寄付者への訪問を予定していますが、同団体のファンドレイザーは、旅費の削減に向けて以下のような提案をしています。

■週の真ん中に出張すること
これまでは週末の宿泊を伴う飛行機代は安かったが、現在は、火曜日、水曜日、土曜日のフライトが最も安い。

■航空会社に直接予約すること
OrbitzExpediaなどの旅行サイトで最安値の飛行機代を探したあと、航空会社のWEBサイトに行き、直接チケットを購入すると安く手に入れられる。

■国内出張はサウスウェスト航空(Southwest Airlines)を利用すること
同社ではキャンセルの際にペナルティを支払う必要がなく、全額返金されるか、別のフライトにその料金を充当することができる。

ファンドレイジング1件当たりにかかる総費用という意味では、ファンドレイザーの人件費に加え、こういった旅費が含まれます。ファンドレイジングの費用対効果を正確に算出するためにも、旅費を考慮に入れなければならず、だからこそいかにその費用を抑えることができるかという視点でファンドレイジング活動全体を見直す必要があります。

それにしても、こういったレベルの情報がWEBで議論の対象になるとは、つくづく米国のNPOセクターの充実ぶりが伺えますね。

【2009/06/04 THE CHRONICLE OF PHILANTHROPY記事参照】

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人生における目的とボランティアによる長生きの因果関係 [2009年06月21日(日)]
シカゴにあるラッシュ大学医療センター(Rush University Medical Center)が実施した調査によると、目的を持って生きている人の方が、持っていない人に比べると長生きをする傾向にあるそうです。

同調査は、痴呆症になっていない1,238人の高齢者(平均78歳)を対象にしたもので、被験者は人生における目的について尋ねられ、その目的に対する姿勢について5段階で評価付けをしました。

調査結果によると、目的を持ち、その目的に向かって行動する人は、そうでない人に比べて長生きする傾向にあるようです。その目的が何であれ、そして、目的に野心的なゴールがあろうが控え目なものであろうが関係ありません。例えば、ある本のシリーズを読破するといったレベルから、ボランティア団体で何かを成し遂げるといったレベルまで何でも構わないのです。

さらにこの結果は、他の研究者による別の調査結果とも符合しています。65歳以上の人のうち、定年退職後にボランティアをした人の方が、しない人に比べると長生きをする傾向にあるそうです。

この2つの調査結果の繋がりは、目的を持って生きることで身体システムがより良く機能し、病気に対する保護機能が働くというもののようです。この因果関係については、まだまだ解明する余地があるようですが、感覚的には本当だという気がしますね。

【2009/06/16 HealthDay記事参照】

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NPOの人材管理と学生インターンの効果的な活用 [2009年06月19日(金)]
予算やスタッフが減少するなか、ボランティアやインターンなど、NPOではこれまで以上に効果的に人材管理を行う必要が生じています。これから夏休みを迎えるわけですが、とりわけ、NPOでインターンを行う学生が増えてくる時期でもあります。

過去に経験のあるインターンならともかく、経験不足のインターンの場合、NPO内でさまざまな問題が発生する可能性があります。この点を踏まえ、受け入れにあたっては、以下のような点に留意することで、学生にとっても受け入れNPOにとっても実りのある体験にすることができます。

学生側は、インターンを行うNPOの活動内容やミッションを事前に十分理解しておく必要があります。後々の混乱を避けるためにもこの点は非常に重要です。一方で、NPOのニーズが変化し、自分の役割が変わる可能性があることも考慮に入れておかなければなりません。

受け入れNPOの側でも、インターンの効果を最大限引き出すために、まず、何をインターンにしてもらいたいのかを明確にしておく必要があります。できればインターンとともに、明確なゴールを設定することが望ましいです。学生インターンとはいえ、オフィスに足を踏み入れたその瞬間から、そのNPOの重要なメンバーです。インターンを正規スタッフと同様に、団体内のあらゆる場面に参加させること。そして、しかるべき責任を与えることが重要です。そして定期的にミーティングを行い、インターンの疑問や質問を解消するする必要があります。

とはいえインターンは社会経験の少ない学生です。不適切な服装、くだけた文章、私用電話や私的なインターネットの閲覧やEメールなど、若者ならではの問題があります。このような状況を発見した場合には、速やかに会話をすることが重要です。そしてより説得力・実効力あるものにするためにも、受け入れNPO側のスタッフも模範となるような振る舞いが求められるのは言うまでもありませんね。

受け入れNPOにとっては、インターンは単なる労働力ではなく、将来のNPOを作り上げていく大事な“仲間”でもあります。NPOで働くことの意味や喜び、苦労をきちんと伝えるためにも、何よりNPO自身が身をただし、プロフェッショナルな振る舞いをとらなければなりませんね。

【2009/06/04 THE CHRONICLE OF PHILANTHROPY記事参照】

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ボランティア労働力を有効活用した雇用対策 [2009年06月17日(水)]
不況が続くなか、カリフォルニア・スティール・インダストリー(California Steel Industries)では、従業員の雇用を確保するために興味深い取り組みを行っています。

同社では、景気後退の影響を受け、ここのところ受注案件が減っている状況にありました。結果として、従業員は会社でする仕事がなくなるわけですが、その労働力を地元のNPOにボランティアとして派遣することに決めたのです。ボランティア活動をしている時間は給与を支払われるのですが、同社では、その支払い分の控除を年度末に申請する予定です。これまでのところ、100〜200人がボランティア・プログラムに参加しています。

実際にカリフォルニア・スティール・インダストリーからボランティア・サービスの提供を受けたのは、女性や子供向けの一時住宅を提供するパシフィック・ライフライン(Pacific Lifeline)というNPOです。同社からのボランティアを活用することで、ペンキ塗りや庭仕事などの支援をしてもらいました。

このような取り組みは、両者にとって初めてのことだそうです。企業にとっては、CSRの一環として地域コミュニティに貢献するとともに、従業員の会社に対する満足度も高まる可能性があります。また、行政からみてもボランティアが雇用の受け皿となることで失業対策にもつながり、NPOにとっても高いスキルを持った人材を確保できるという、三者が“win-win”の状態になることができます。

常日頃から、人と人、場と場、機会と機会を繋ぐのがNPOのビジネスモデルでもあり、社会的な役割だと考えています。大きな投資をすることなく、社会に散在しているそうした情報やリソースを時宜良くキャッチし、無理なく繋ぐというコミュニケーション能力がNPOには求められますね。

【2009/06/07 Redlands Daily Facts記事参照】

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NPOにおけるインターネット・マーケティング活用の障壁 [2009年06月16日(火)]
NPO向けにオンラインCRMソリューションを提供するConvioが、約60のNPOを対象に実施した調査『The Secret of Online Success: Why Structure Matters』によると、NPOでのインターネットの活用にはまだまだ大きな課題があるようです。

約90%のNPOは、団体の規模に関わらず、インターネットに携わるスタッフ不足が団体でのインターネット・マーケティング活用が進んでいない原因にあげています。予算不足(64%)、上層部の理解不足(48%)、インターネットに対する専門性不足といった障壁がこれに続いています。

スタッフ数をみると、収入の規模が年間2,000万ドル以下のNPOでは、インターネット専属のスタッフを1〜3 人抱えています。一方、1億ドル以上の収入を持つNPOでは、平均して7人の常勤スタッフを雇用しています。

また、インターネット担当のスタッフは、自分の時間のうち、平均すると28%の時間をサイトの管理業務に費やしています。このほか、クリエイティブ/デザイン(24%)、キャンペーン管理(15%)、ネット戦略企画立案(15%)、分析業務(11%)、ユーザビリティ(7%)といった結果となっています。

回答したNPO全体でみると、4分の1以上がインターネットを活用したマーケティング・プランを持っておらず、インターネットに携わるスタッフが複数の部門に分散されている団体ではよりこの傾向が強いようです(38%)。

調査のサンプル数が少ないため、結果の捉え方は難しいですが、日本のNPOも大なり小なり同じ状況にあるのではないでしょうか。いずれにせよ、インターネットの活用はNPOにとっては不可欠ですので、そのためのリソース獲得・確保に向けた明確なゴールと戦略が必要になりますね。

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NPO向けオークション・サイトを活用したファンドレイジング [2009年06月12日(金)]
cMarketが提供する、学校やNPO向けに特化したオークション・サイト『BiddingForGood.com』では、6,000件以上ものオンライン・オークションを手がけ、6,000万ドル以上ものお金を獲得しています。入札者も10万人を超えているようです。

取り扱われている製品・サービスも、チケット、旅行、食事、家電、おもちゃなど多岐にわたっています。同サイトの利用にあたっては、年間595ドルの契約で、無制限のオークションを行うことができます。現在参加している団体は、ユナイテッド・ウェイ(United Way)、ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アメリカ(Boys & Girls Clubs of America)などのNPO、小学校、美術館などです。

そもそもオークションの考え方は非常にシンプルで、“アイテム数、入札が多ければ多いほど、儲けも多い”というものです。同サイトでは、アイテム数を増加するために『cMarket's Place』という仕組みが提供されており、売るネタに困った団体は、各種ベンダーから寄付/委託された物品を自分のオークション・アイテムとして活用することができます。仮に買い手がつかなかったとしても、売り切り責任が発生しないという優れた仕組みです。

また、通常のオークション活動を行うだけでなく、同サイトのスポンサーとなることで、特別なロゴ・バナーの露出(クリック実績などのレポート・サービス有り)が可能となっており、ブランディング強化を図ることもできます。

日本でもファンドレイジング熱が日々高まりつつありますが、こういった仕組みまで伴えばさらにその勢いも加速すると思われます。それにしても米国では、こういったインターネットを活用した新しいサービスが次から次へと出てきますね。

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ホームレスに対する住宅支援と“Housing First” [2009年06月10日(水)]
メリーランド州ベセスダを拠点に活動するホームレスの生活支援NPO、モンゴメリー群ホームレス連合(Montgomery County Coalition for the Homeless)は、ホームレスの住宅提供にあたり新たなアプローチを行っています。

同団体は、モンゴメリー郡政府の低コスト・ローンを利用し、築44年で5階建てのオフィスビルを525万ドルで購入しました。地上階は小売店に賃貸されるのですが、その上4階分のフロアーは、所得の30%を支払えば借りることができる安価な居住スペースとして貸し出されています。

同プロジェクトは、近年注目を集めている“Housing First”というコンセプトに則ったもので、政府やNPOが、ホームレスに一時的な避難場所ではなく永住場所を提供することを目的としています。この施策により、ホームレスは住む場所について悩む必要がなくなり、仕事、交通手段、学校などを探すことに専念することができるようになるのです。

メリーランド州ベセスダは、私が米国から帰国する直前に仕事をしていたところです。偶然でしたが、昔を懐かしく思い出しました。

【2009/05/28 washingtonpost.com記事参照】

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