宇多津臨海公園の松[2009年01月10日(Sat)]
今朝の四国新聞を見てビックリ!!
丸亀市の東隣にある宇多津町の宇多津臨海公園のクロマツが無残に伐採された様子の写真が掲載されていました。
インターネットでその内容を見ることができます。
無残、結婚式場210本伐採/宇多津・臨海公園の松
経緯を整理すると、
結婚式場のセントカテリーナが公園の南側に結婚式場を新築するにあたり、公園の防風林のクロマツが遮蔽しているため式場から瀬戸内海が見えないので、伐採したいという協議を進めていたが、その結論を待たずにセントカテリーナ側が伐採してしまった。
その切り方があまりにも凄惨な状態で、町民が憤慨しており、この復旧について、町長は『行政側の指導力不足』とし修復責任は町が負い、セントカテリーナが協力する
という記事でした。
私もこういう業界にいる人間なので、早速現場を見て来ました。
現場は、瀬戸内海が目の前にある公園で、恋人の聖地として認定された場所でもあります。
そんな場所に洋風の結婚式場が立ち並んでいて、白砂青松といわれた瀬戸内の風景は面影もありません。
新聞報道のとおり、無残にも木が中切りされ、とてもクロマツとは思えない状態でした。
現実として、起きてしまったことを部外者の自分が言うべきことではないのですが、この凄惨な状況を目の当たりにすると憤りを感じます。
樹木が支障になるからといってこういう切り方をしたのでは、確かに海は見えるけれど、景観としては台無しだと思うのです。
現場のクロマツは確かに密植状態にあり、樹木と樹木の間隔が1〜2mととても接近して植えられていました。
今後、このクロマツを適正に大きくするのであれば、こういう事案が上がっている時にこそ、
間伐しながら残置させるべき樹木の良好な生育環境を作るべきではなかったのでしょうか?
そして、樹高を抑える必要があるのなら、新しい芯となるべき枝を残しつつ、透かし剪定をすれば、クロマツと青い海がほどよく見えるようにできたはずです。
実際に私も数年前に同じような現場に出会い、現場の業者さんとどの枝を切って、どの枝を残すのかを議論し、きちんとした成果を出した経験があるのです。
また、このクロマツ林の目的は防潮、防風のはずです。これでは、目的が達成されず、近接の建物に大きな影響は避けられません。
また、今回は結婚式場の新築工事なのだから、あらかじめ現場がクロマツで海が見えない条件なのだから、海を見せたいのなら事業者側で設計を配慮すべきであり、安易に樹木を切ればよいという事業者、設計者、施工者側にコンプライアンスという概念はあるのだろうかと思うのです。
そして、新聞記事だけからの判断ですが、この修復に町が負担することがとてもおかしいと思うのです。
協議が成立していない状況で、無断で伐採したこと自体、違法行為であるのにも関わらず、町民の税金で一事業者の失態をカバーすることは全く理解できません。
町には何かこの事業者に負い目でもあるのでしょうか?
樹木は『痛い!!』と言わないけれど、樹木にも大切な生命があります。
みんな樹木を蔑ろにし、軽視しているけれど、我々人間を始め生物が生きられる根源は、樹木を含めた植物の光合成によってもたらされるという認識がとても薄いように感じます。
とても、スピリチュアルな話だと笑われるかもしれませんが、今日のお昼過ぎに私がこの現場について、伐採されたクロマツ林の中を歩いていると、たくさんの樹木達の声が聞こえてきました。
『痛い!頼む!!たすけてくれ!!』
バカバカしいと思うかもしれませんが、私には樹木の痛みがすごく伝わってきます。
クロマツという樹木の特質を知っている者なら、こういう切り方をすると木がどうなるかは絶対に分かるはずです。
もしも、この仕事を造園業に携わる者が施工していたとしたら、造園をやる資格のない人間です。
また、生命を大切にしない結婚式場が本当に未来ある二人を幸せにする式場と言えるのでしょうか?
これ以上書くと、熱くなりすぎて収拾がつかなくなるので、起きてしまったことはこのくらいにしておきます。
もし、今回のことで関係者の方がこのブログをご覧になり、気分を害されるかもしれませんが、今後またこういうことが起こさないためにも、私が書き残しておかなければいけないと思っています。
ただ、宇多津町というとても身近な町でこういう事態が起きてしまって、香川県で緑化に取り組んでいる者として、私自身の力不足を感じています。
また、緑づくりアドバイザーという制度がありながら活かしきれて(活かしてもらえない)現状はとても辛いです。
もしも、この事案を町が私に相談してくれていたら、ここまで酷い状況にはならなかったと思います。
町は指導力不足が要因だとしていました。
確かに県内の自治体には緑化技術者が少ないのが実情です。
造園の専門職で採用されている人は、本当に数えるくらいしかいないのです。
だから、私も年に何回かは他の自治体の方から緑化についての質問や相談を受けることがあります。
私も、他の自治体のことだからといって、適当にお答えするような仕事はしていないつもりです。
別に自慢でもなく、そういう事案を経験して私自身もスキルアップするはずだから。
私に分からないことは、地元の大学に専門の研究室、つまり私の恩師に相談すれば、必ず何らかのアドバイスは頂けるはずです。
そして、この修復に関して何らかのアクションが起きるのであれば、微力ながら私も参画させて頂きます。
今日私が現地を歩いてみて、これから修復にむけてすべきことは次の4点だと考えています。
1.樹木の将来像の設定⇒それに向けてどのように管理するべきか
2.中切りした幹の傷口の保護
3.今後、枝が良好に伸長するような箇所での切り戻し剪定
4.回復の見込みがない樹木の伐採撤去
今回のことは、他人事ではありません。
私の業務上もこれに近い案件が毎年耐えません。
私自身が専門職としてやらなければいけないこと、嫌われても通さないといけないこともあります。
振り返ると、忙しさやお金がないことを理由に貫き通せないこともあります。
それが分かっているだけに辛いものがあります。
ただ、今日のクロマツから聞こえてきた声は、おそらく私にしか聞こえないでしょう。
「人のふり見て、我がふり直す」こと痛感しています。
中学時代の恩師から頂いた今年の年賀状を思い出しました。
『家庭は大切に!仕事は第一人者に!』
脚下照顧。謙虚に励みます。
丸亀市の東隣にある宇多津町の宇多津臨海公園のクロマツが無残に伐採された様子の写真が掲載されていました。
インターネットでその内容を見ることができます。
無残、結婚式場210本伐採/宇多津・臨海公園の松
経緯を整理すると、
結婚式場のセントカテリーナが公園の南側に結婚式場を新築するにあたり、公園の防風林のクロマツが遮蔽しているため式場から瀬戸内海が見えないので、伐採したいという協議を進めていたが、その結論を待たずにセントカテリーナ側が伐採してしまった。
その切り方があまりにも凄惨な状態で、町民が憤慨しており、この復旧について、町長は『行政側の指導力不足』とし修復責任は町が負い、セントカテリーナが協力する
という記事でした。
私もこういう業界にいる人間なので、早速現場を見て来ました。
現場は、瀬戸内海が目の前にある公園で、恋人の聖地として認定された場所でもあります。
そんな場所に洋風の結婚式場が立ち並んでいて、白砂青松といわれた瀬戸内の風景は面影もありません。
新聞報道のとおり、無残にも木が中切りされ、とてもクロマツとは思えない状態でした。
現実として、起きてしまったことを部外者の自分が言うべきことではないのですが、この凄惨な状況を目の当たりにすると憤りを感じます。
樹木が支障になるからといってこういう切り方をしたのでは、確かに海は見えるけれど、景観としては台無しだと思うのです。
現場のクロマツは確かに密植状態にあり、樹木と樹木の間隔が1〜2mととても接近して植えられていました。
今後、このクロマツを適正に大きくするのであれば、こういう事案が上がっている時にこそ、
間伐しながら残置させるべき樹木の良好な生育環境を作るべきではなかったのでしょうか?
そして、樹高を抑える必要があるのなら、新しい芯となるべき枝を残しつつ、透かし剪定をすれば、クロマツと青い海がほどよく見えるようにできたはずです。
実際に私も数年前に同じような現場に出会い、現場の業者さんとどの枝を切って、どの枝を残すのかを議論し、きちんとした成果を出した経験があるのです。
また、このクロマツ林の目的は防潮、防風のはずです。これでは、目的が達成されず、近接の建物に大きな影響は避けられません。
また、今回は結婚式場の新築工事なのだから、あらかじめ現場がクロマツで海が見えない条件なのだから、海を見せたいのなら事業者側で設計を配慮すべきであり、安易に樹木を切ればよいという事業者、設計者、施工者側にコンプライアンスという概念はあるのだろうかと思うのです。
そして、新聞記事だけからの判断ですが、この修復に町が負担することがとてもおかしいと思うのです。
協議が成立していない状況で、無断で伐採したこと自体、違法行為であるのにも関わらず、町民の税金で一事業者の失態をカバーすることは全く理解できません。
町には何かこの事業者に負い目でもあるのでしょうか?
樹木は『痛い!!』と言わないけれど、樹木にも大切な生命があります。
みんな樹木を蔑ろにし、軽視しているけれど、我々人間を始め生物が生きられる根源は、樹木を含めた植物の光合成によってもたらされるという認識がとても薄いように感じます。
とても、スピリチュアルな話だと笑われるかもしれませんが、今日のお昼過ぎに私がこの現場について、伐採されたクロマツ林の中を歩いていると、たくさんの樹木達の声が聞こえてきました。
『痛い!頼む!!たすけてくれ!!』
バカバカしいと思うかもしれませんが、私には樹木の痛みがすごく伝わってきます。
クロマツという樹木の特質を知っている者なら、こういう切り方をすると木がどうなるかは絶対に分かるはずです。
もしも、この仕事を造園業に携わる者が施工していたとしたら、造園をやる資格のない人間です。
また、生命を大切にしない結婚式場が本当に未来ある二人を幸せにする式場と言えるのでしょうか?
これ以上書くと、熱くなりすぎて収拾がつかなくなるので、起きてしまったことはこのくらいにしておきます。
もし、今回のことで関係者の方がこのブログをご覧になり、気分を害されるかもしれませんが、今後またこういうことが起こさないためにも、私が書き残しておかなければいけないと思っています。
ただ、宇多津町というとても身近な町でこういう事態が起きてしまって、香川県で緑化に取り組んでいる者として、私自身の力不足を感じています。
また、緑づくりアドバイザーという制度がありながら活かしきれて(活かしてもらえない)現状はとても辛いです。
もしも、この事案を町が私に相談してくれていたら、ここまで酷い状況にはならなかったと思います。
町は指導力不足が要因だとしていました。
確かに県内の自治体には緑化技術者が少ないのが実情です。
造園の専門職で採用されている人は、本当に数えるくらいしかいないのです。
だから、私も年に何回かは他の自治体の方から緑化についての質問や相談を受けることがあります。
私も、他の自治体のことだからといって、適当にお答えするような仕事はしていないつもりです。
別に自慢でもなく、そういう事案を経験して私自身もスキルアップするはずだから。
私に分からないことは、地元の大学に専門の研究室、つまり私の恩師に相談すれば、必ず何らかのアドバイスは頂けるはずです。
そして、この修復に関して何らかのアクションが起きるのであれば、微力ながら私も参画させて頂きます。
今日私が現地を歩いてみて、これから修復にむけてすべきことは次の4点だと考えています。
1.樹木の将来像の設定⇒それに向けてどのように管理するべきか
2.中切りした幹の傷口の保護
3.今後、枝が良好に伸長するような箇所での切り戻し剪定
4.回復の見込みがない樹木の伐採撤去
今回のことは、他人事ではありません。
私の業務上もこれに近い案件が毎年耐えません。
私自身が専門職としてやらなければいけないこと、嫌われても通さないといけないこともあります。
振り返ると、忙しさやお金がないことを理由に貫き通せないこともあります。
それが分かっているだけに辛いものがあります。
ただ、今日のクロマツから聞こえてきた声は、おそらく私にしか聞こえないでしょう。
「人のふり見て、我がふり直す」こと痛感しています。
中学時代の恩師から頂いた今年の年賀状を思い出しました。
『家庭は大切に!仕事は第一人者に!』
脚下照顧。謙虚に励みます。
Posted by へんこつ侍 at 21:14 | まちのみどりを考えよう! | この記事のURL | コメント(10) | トラックバック(0)