NHKが10月12日21時より『病の起源』で「読字障害」をとりあげます [2008年10月03日(Fri)]
NHK総合テレビは、日曜日の夜9時から、50分の番組『病の起源』を放映しています。10月12日(日)21時からの放映で、「読字障害」(ディスレクシア)を取り上げます。学習障害(LD)の典型例がディスレクシア(読字障害)です。どんな取り上げ方をしていただけるか、期待しつつ注目して見守りたいと思います。
ここから先は、メディア論ですが。 発達障害がメディアで取り上げられる時に、残念ながら不正確な場合があります。 テレビの場合、2001年にTBSテレビが、自閉症の原因を水銀とする番組を流したことがあります。日本自閉症協会がコメントを発表して批判し、TBSは翌週の番組でこれを紹介しました。仙台市泉区高森に拠点を置いて活動している五十嵐小児科の今公弥医師もご自分のサイトにコメントを発表していました。不正確な番組が流れてしまったことは残念ですが、専門職の人々と当事者団体が発言し、TBSが率直にこれを受けとめたことは、発達障害への理解を進めるうえで貴重な出来事だったと思います。 2006年にはフジテレビが、食事が偏るとADHDになるという趣旨の番組を流し、「えじそんくらぶ」が是正を求めたことがあります。フジテレビが誠実な対応をしなかったため、やむをえず「えじそんくらぶ」は放送から半年後に全経過を公表し、社会に訴えました。 印刷媒体の場合は、当事者団体が是正するための文書を配布するという対抗手段がありますが、放送の場合は電波の発信に許認可が伴うため、別の番組を流すようなことは不可能です。放送法が放送事業者に大きな社会的責任を明記しているのは、このためです。 印刷媒体によるものであっても、配布されたあと訂正してもゆきわたらないことが多いのが実情です。そこで、2005年4月から施行された発達障害者支援法では、発達障害に対する正確な理解を進めることを国民の責務としました。しかし、発行した文書に不正確な記述があることを指摘されても、その事実を認めようとしないケースがいまだにあります。 NHKには、公共放送事業者にふさわしく、科学的な研究の到達点を踏まえた番組を期待しています。 |