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障害者自立支援法「改正」案は廃案になりました。 [2010年06月16日(Wed)]

 きょう6月16日(水)は国会最終日でした。私たちが注目していた障害者自立支援法の「改正」案については、衆議院を通過し、参議院でも委員会で可決され、あとは本会議での採決を残すだけになっていました。
 衆議院に首相不信任案が提出されて否決になり、3時半過ぎから参議院で本会議の開催をめぐり議院運営委員会がもたれましたが、4時5分、本会議が開催されることなく、国会は終了しました。障害者自立支援法「改正」法案は廃案になりました。 
 参議院の委員会まで通過していた法案が、本会議での採決にかけられず、継続審議の手続きもとられなかったことは、例が少ないことです。この法案の内容とその提出された経過に、いかに問題が多かったを物語っています。

 障害者自立支援法の廃止は、民主党、共産党、社民党などの一致した公約です。政権交代で登場した民主党中心の政権は、障害者自立支援法を違憲と訴えていた原告団との和解合意で、廃止することを約束しました。
 閣僚の全員で障がい者制度改革推進本部をつくり、当事者の参加で新しい法制度を準備するために「障がい者制度改革推進会議」が設置され、論議が進められています。新しい障害者法制度も、それまでの経過措置も、ここから発議されていくことが予定されていました。
 ところが、障がい者制度改革推進会議が関与していない、自民党提案の障害者自立支援法「改正」案を、一部手直しして民主党が推進し始めました。一年前に自民党が提出して、「障害者自立支援法の枠組みを温存するものでしかない」という批判をあびて廃案に追い込まれたものとほぼ同じ内容です。障害者団体の多くが、手続きと内容に疑義をとなえて声を上げました。
 日本発達障害ネットワークは、発達障害が対象の障害として明記される点に着目して賛成する態度をとりました。しかし賛成したのは、障害者団体の中では残念ながら例外的でした。
 多くの障害者団体が、障害者が参加してつくられたものではないこと、廃止までの「つなぎ法」だといいながら時限立法にはなっていないこと、障害者自立支援法の廃止が約束させておらずその延命と固定化が危惧されることを指摘し、廃案を求める声が大きく広がりました。 法律を理解し、その可否を判断する際には、法理(法律のもとになっている考え方)をつかむことが大事です。また、似たような法案でも、政治状況に変化があった場合、その評価がまったく変わることも当然のことです。障害者団体の判断は、より大きな根拠をもつ判断に収斂していきました。
 障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会が、法案の提出にいたる経過を問題視する意見書をまとめた際に、日本発達障害ネットワークの委員もこれに賛成しました。総合福祉部会のすべての委員の発議で「障がい者制度改革推進会議」に意見書が提出され、同会議も意見を表明しました。政府が任命した審議会が、全員一致で政府与党の国会運営に疑義をとなえたことは、きわめて異例のことです。
  
 今回の改正案が廃案になったことで、五月以前の状態に戻り、障がい者制度改革推進会議のもとで、新しい法制度と自立支援法廃止までの間の経過措置が検討されることになります。発達障害のある人の支援を法律の条文の中に明記させる課題は、その中で位置づけられていくことになります。
 廃止までの経過措置の中では、政省令で発達障害のある人へのサービス提供を明記して不利益を受けないようにすることが求められます。また、発達障害のある児童生徒の実態調査やニーズの把握など、本格的支援を準備するための措置をとることを、しっかり要望し実現したいものです。
 
 障害者自立支援法の廃止を求める運動は、障害当事者の運動への参加、障害者団体の相互理解と結束を進め、日本の障害者運動の歴史に画期を築いたと指摘されています。
 そして障がい者制度改革推進会議とその部会がオンデマンドで公開され、各地の障害当事者と関係者の情報共有が進んでいることが、障害者施策に関する論議と運動のボトムアップをもたらしつつあるように見受けられます。
 今日も、国会周辺には全国各地の障害者団体から約500人が集まり、10時30分を皮切りに3次にわたって集会が開かれたとのことです。今回の「改正」案をめぐる論議と運動からは、日本の障害者運動がまた一歩階段を上ったような印象を覚えます。
 障害の種類、程度の違いにより、要求には異なる点もありますが、いま障害者団体の間には、障害者権利条約がめざす方向に日本社会を前進させたいという、共通の願いが広がりつつあります。発達障害に関わる私たちも、多くの障害者団体との連携を模索していくことになるように思われます。
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