CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« ぴっかりカフェ | Main | 難民問題»
<< 2017年12月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
中年のひきこもりの長期化が深刻。多世代交流プロジェクトからも取り残される独身の中年層〜ひきこもりは42歳が最も多く、期間は7年以上が最多〜 [2017年01月07日(Sat)]
きのうの読売新聞の論点スペシャル「大人のひきこもり」を読んで、先日亡くなった子ども時代の友人の事件を思い出した。

「ひきこもり」というと、一般的には10代20代の若者をイメージすると思う。しかし、30〜40代のひきこもりも少なくなく、彼らを支えている親も高齢化している。

[論点スペシャル]大人のひきこもり
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20170105-118-OYTPT50419/list_COMMENTARY


■ひきこもりの年長化と長期化

読売新聞の記事には、下記二つの調査結果が紹介されていた。

まずは、KHJ全国ひきこもり家族会連合会( http://www.khj-h.com/ )の2015年〜16年の調査

【ひきこもりの平均年齢】
・平均年齢は32.7歳
最も多い年齢は42歳


次に、昨年内閣府が発表した15〜39歳の「ひきこもり」の調査

【ひきこもり期間】
「7年以上」が34・7%でトップ
「3〜7年」も40・8%

【ひきこもりになった年齢】
35〜39歳が10・2%で前回調査から倍増

ひきこもりの長期化とひきこもりになった年齢が年長化している。

「引きこもり」推計54万人 長期化・高年齢化が顕著に 「7年以上」35% 30代後半が倍増 内閣府が全国調査
http://www.sankei.com/life/news/160907/lif1609070018-n1.html


■支援が手薄な中年のひきこもり

我が国において、若者とは「15〜39歳」と定義されているようだ。となると、ひきこもり状態の若者の就労支援をしている団体は、40歳以上のひきこもりは支援対象外となる。

ひとつの家庭に、高齢の介護が必要な両親と40代のひきこもりがいるという状況が今後増えてくるのだろう。

ヘルパーさんが、高齢者のご自宅を訪問したときに、ひきこもり状態の息子に気づいたとか。

ハローワークに、80代の両親が一度も働いたことがない40代の子どもを連れてくるとか。


そういう話は、今までも聞いたことがある。今は親の蓄えや年金で暮らしていけるけれど、親の死後はどうなるのか。本人が一番考えたくない問題なんだとおもうけれど、誰がどうやってサポートしていけばよいことなのだろうか。


■多世代交流プロジェクトからも取り残される中年

昨今、全国で様々な多世代交流プロジェクトがはじまっているが、「子ども」「高齢者」「子育てママ」などを中心にしたものはよく見かけるが、独身の中年を対象にしたものは「婚活」ぐらいだろうか。それだけ、巻き込むのがむつかしい世代ということであろう。

立川の地域活動「あたみ」にも、独身中年はひとりも来ていないのではないかと思う。
そして今月4日に、子ども時代の友人が父親からの無理心中で亡くなった。精神を病んだことから両親に家庭内暴力を日常的にしていたようだった。高齢の両親にはどうしたら良いのか、どこに相談したらよいのかわからなかったのではないだろうか。

暴力とは程遠い家だった。当時は珍しい水色の洋風のお家で、家の中は、おばさんの趣味のドライフラワーとレースの小物がたくさん飾ってあり、庭にはおじさんの好きな花がたくさん植えてあった。友人もおとなしく優しいお嬢様だった。彼女は私立の小学校に行ったので、その後疎遠になってしまったけれど、一度家の鍵がないと玄関前で泣いていたのを母が見つけてうちに来たことがあったらしいが(私は記憶にない)、それきりだと思う。

昨年から立川の地域活動「あたみ」を始めて、ご近所や町内会の人と交流が少しづつできてきたけれど、10メートル先の昔の友人の家で、このようなことが起きているとは思いもよらなかった。

ひきこもりの年長化・長期化は、このような事件が起きるリスクが潜んでいると思う。

bus.jpg
日本の子どもの性の商品化という問題。子どもたちを性的搾取から守るためにー人身取引被害者サポートセンターライトハウスとアフターケア相談所ゆずりはの事例から [2015年12月19日(Sat)]
今週は、ライトハウス主催のセミナー「一人ひとりが子どもに寄り添うスペシャリストに」に参加してきました。
内容は、日本の人身取引被害(性的搾取)の現状と、子どもたちを守るために市民ができることは何かという議論でした。

<講師>
・日本で唯一、人身取引被害者(JKビジネス、援助交際等)の救済を専門に行う、「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」代表の藤原志帆子さん。
・児童養護施設退所者が直面する孤立と困難をサポートする「アフターケア相談所ゆずりは」代表の高橋亜美さん。
・働きたいけど働けない若者を、500名強の市民ボランティアで伴走型支援をしている、NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡理事長の津富宏さん


■増加する人身取引被害者

ライトハウスが、2004年に団体を立ち上げたときは、被害者の多くは外国籍の方だったようですが、今は9割が日本人で、子どもの性的搾取被害は、年間5千件以上にも上るそうです。
また、12歳以下の児童ポルノの75%が、強制の手段で製造されています。(警視庁資料2014年版)児童ポルノは、2014年に被害児童数が1828人と過去最多

では、どのようにして、子どもたちは被害に遭うのでしょうか。

●児童ポルノに関しては、チャット型アプリが加害者との接点になったり、流通になったりしているケースも少なくないそうです。

●昔からある「アイドルになれる」という手口は今もあり、さらに巧妙化している。入口は、パーツモデルやジュニアアイドル募集、麻布の寮に住めるという誘い文句。


加害者は、断れない子を選別し、「恥ずかしくて被害を訴えにくい」「お金をもらっているということで、声を出せずにいる」のに乗じて、抵抗感を奪っていく。

恥ずかしい写真を撮られ、20歳の誕生日に呼び出される。写真と身分証明書を出され、AV出演の契約をしろと脅される。ある子は、契約を決心するまで軟禁されたり、何時間も抵抗したそうだが、最後は押し切られる。

泣く泣く出演した作品は大々的に販売され、知人や家族にも知られる。このような被害は訴え出ることで作品に注目されてしまうため、訴えることがむつかしい。

ライトハウスでは、被害者のケアをするだけでなく、「どう巻き込まれないように予防していくか」や、弁護士を立ててAV販売を差し止めたり「被害を最小限にする」という取り組みもされているそうです。しかし、相談件数は倍増しており、今年は昨年の2倍のペースで相談がきており、専門団体だけで解決することはむつかしい状況です。

※なぜ加害者は子どもや女性の性を売るのか
ローリスクハイリターン、絶え間ない需要、参入が容易、資本が不要、特別な知識が不要、etc…
目的はビジネスの人もいれば、猥褻目的の人もいて、それが混在しているところが、問題を複雑にさせている。


P1290350.JPG

■児童養護施設退所者を性的搾取から守る

次に、児童養護施設退所者と性被害の関係性について、ゆずりはの高橋さんからお話がありました。
児童養護施設に入所する子どもの大半は、虐待を受けてきた子どもたちです。虐待の中には性被害も含まれます。この20年間で、虐待件数は、なんと50倍にもなっています。少子化なのに、虐待件数は右肩上がりです。

ゆずりはの高橋さんは、13年間この活動をされてきた中で、児童養護施設退所者の女性には、性産業へ従事する方も少なくないとおっしゃっていました。

児童養護施設退所者が性産業に誘導されてしまう背景には、

@就労状況の不定、生活苦から
・学歴資格が問われない
・即金、日払い、前払い
・住居提供、保育設備の完備
最低限の生活が即完備される

A虐待などのトラウマから
自己肯定感の低さ
・初めて大切にされたという実感


性産業が、彼女たちのセーフティーネットになってしまう現状。そして、性の切り売りをするということは、その分、背負うものがあります。その結果、

・更に過酷な性産業に従事する
・のぞまない妊娠
・精神を患う
・薬物依存、アルコール依存
・自殺企図、自殺
・入院
・生活保護


という状況に陥ってしまうこともあります。
その結果、性的被害に遭い、望まない妊娠となることも少なくないそうです。このような環境の中で、安心して出産できるでしょうか?子どもを健全に育てていくことができるでしょうか?

ゆずりはへは、のぞまない妊娠による中絶などの相談が多いようです。

「妊娠したが子どもを育てられず、中絶費用も払えない」
「市役所に中絶費用を相談しに行ったが、家族や彼に先ず相談しなさいと帰された。それができれば、市役所なんて行かないのに」
「誰にも相談できなくて、お腹だけが大きくなってどうしたらいいかわからない。」


ゆずりはが、家族の代わりになって、市役所や病院へ付き添うことも多いようです。

P1290351.JPG

■被害にあった子どもが社会に戻るということ

ライトハウスの藤原さんのお話によると、どのような子どもが性の商品化という被害にに遭っているかというと、「自分は大丈夫という自信」があり、援助交際をしている子を馬鹿にしているような子が、一枚も二枚も上手の大人に騙されてしまっていることが少なくないようです。

また、性搾取は女性だけでなく、男性にもあり、男性の商品の方が高く売れたり、男性被害者は女性被害者よりも声を上げにくいという現状があるそうです。

子どもたちが犯罪にどう巻き込まれないようにしていくか。巻きこまれ、被害を受けたあとに、どう社会に戻っていくか。大変むつかしい課題ですが、確かなのは、専門団体だけでなく、市民ひとりひとりが寄り添うことです。

しかし、現状は、寄り添うどころか、被害を受けた子どもたちを襲う「二次被害」というものがあります。

「彼に撮らせたあなたが悪い」
「お金が欲しかったんじゃないの?」
「自分でやったんだから」


という無理解や自己責任論が、さらに被害者を孤立に追い込んでいき、被害を大きくしている現状があります。この二次被害で、多くの子どもたちが、希望を持てず、社会に戻ることをあきらめてしまっているのではないでしょうか。

仮に何もできなくても、少なくとも、二次被害だけは出さないように心がける、それだけでも大分違うのかもしれません。

■感想

日本では性虐待は2%前後だと言われていますが、性被害・虐待というのは、安心して開示でき・ケアされる環境が整っていても開示できないものだと思うので、本当に社会の中に潜ってしまう問題だと思いました。

ゆずりはの高橋さんは、「社会問題は多くあり、優先順位を付けられることではないが、性被害を受け続けるというのは魂を奪われることだ」とおっしゃっていました。元気に見えても、何度も被害を受け続けたという傷やトラウマは、一般の人が理解できるようなレベルでは無いだろうということと、見た目では、その深刻さはわかりません

高橋さんのもとには、「リストカットをした」「死にたい」等の連絡も入ってくるそうですが、多くが生活保護を受けている女性なのだそうです。「生活保護を受けていれば、必要最低限の住まいや食べ物はあるはずなのに、なぜ?」と思うかもしれませんが、人は社会の中での役割(仕事)を持つことが、生きがいになるのだと思います。

彼女たちのような社会で生き抜く上での大きなハンディキャップを背負っている人は、フルタイムで働き続けることは難しく、毎日仕事をするというのもむつかしいであろうと、私も思います。中間的就労という言葉が適切ではないかもしれませんが、「働く」ということが画一的な社会であるため、もっと、多様な働き方が認められるようになったらいいなと思います。「働きたいけど働けない人」は、この女性たちだけでなく、若者や高齢者にも置き換えられる話だと思います。

高橋さんは、支援とは、

「その人が抱えている背景に思いを馳せる。指導するのではなく、寄り添った上で、必要な知識を与えていく。相手は大人を信じていないから、自分に攻撃的であることもある。でも、歩み寄りの一歩は私たちから。」

とおっしゃっていました。

地域のひとりひとりが、歩み寄り、寄り添っていく社会にするにはどうしたらいいか。

それは、津富さんの「静岡方式」が大変勉強になりました。今、「静岡方式で行こう!」を読んでいるので、津富さんのお話は、別途書きたいと思います。
東京都立砂川高校通信制の開かれた学校〜地域に開放する高校内居場所カフェと高校内無料託児所〜 [2015年12月18日(Fri)]
東京都立砂川高校通信制の地域に開放する高校内カフェ「砂川カフェing」に見学に行ってきました。ここは、若者支援者や地域住民がカフェ運営のボランティアとして高校内に入り、学生と交流する場です。若者支援者が顔なじみのカフェの店員となることで、学生が「大人に相談する」ハードルを下げていることが特徴です。無料ドリンクをつくり、学生たちに手渡しながら交流していきます。

NPO法人育て上げネット井村さんが高校に働きかけ、2年前にカフェが出来たそうです。最初は反対していた先生も多かったようですが、今はこのカフェの意義を理解してくれるようになり、先生と支援者との役割分担が出来ているとのことです。

■砂川カフェの特徴

@地域住民と学生との交流の場
カフェブース.JPG
※「支援者と学生とのコミュニケーションはドリンクを渡す時」というやり方が周知されている
※カフェの店員さんは、若者支援の専門家や身元が明らかで、生徒たちに有益な対応をお願いできる人々地域住民。

Aオープンな居場所
P1280562.JPG
※左手がカフェとなるフリースペース。玄関の前のスペースを使っているため、「誰もが通り過ぎる場」であり、自然と周知されている。
※砂川カフェが出来る前は、このスペースは、騒がしく、おとなしい生徒が寄り付かない場所であった。

B部活動の発表の場となることで、生徒や先生の張り合いに。
部活動の発表の場.JPG
※部活動の発表や、英語のスピーチコンテスト等の練習の場など、個人の活動の発表の場にもなっている。

C定時制の学生には、別の居場所も提供
張り紙2.JPG
※砂川カフェ以外の学校内居場所もある。校長室と談話室の開放。

D学校でサポートしきれない部分を地域が担う
P1280556.JPG
※地域の支援機関と繋がっており、カフェに貼紙などをして、地域の居場所と繋げている。

■地域の子育てネットワークを活用した託児所の開設

砂川高校には、2015年6月から無料の託児所が開設されました。きっかけは、試験のときに、学生夫婦が、1歳の子どもを抱えて、交代でスクーリングを受けていたのを見たことだったそうです。それから、門馬副校長が、学校内に託児所を開設するための勉強をし、具体的な開設に向けて動き出されたとのこと。しかし、いざ開設しようとしても、「保育士不足」という大きな課題があったそうです。そこで、砂川カフェの地域ボランティアさんに保育士の相談をしたところ、地域の子育てネットワークを紹介してもらい、地域の子育てネットワークを使って、7名の保育士さんにご協力いただけることになったとのことです。

年間の託児室の費用は年間の保険料のみで、1歳から5歳までのお子さんを預かることにしているそうです学校に通うための保育費用をねん出するのも大変なことだと思うので、この託児所は、勉強したい学生を就学から遠ざけないためにも、大事なサポートだと思います。

また、学校内で、1歳〜5歳の子どもが遊んでいるというのは、学校の雰囲気もほっこりさせるようです。たまに、子どもが校庭を走っている光景などもあるそうです。

P1280563.JPG

■地域が送り出す卒業式

今回の訪問により、公立通信制高校を卒業するということが、どれだけ大変かを知りました。にもかかわらず、卒業式の来賓や保護者がとても少なく、井村さんが最初に出席したときは、来賓がたったの二人だったそうです。それが、今は、砂川カフェのボランティアさんや地域の方等がどんどん出席するようになり、昨年の来賓数は定時制の卒業式の来賓数を超えたそうです。

卒業式では、代表の生徒が、自分の置かれた環境や卒業への思いをスピーチしますが、それが、毎年、とても心に響くものなのだそうです。私なんて、何の苦労もなく卒業し、将来も楽観的に考えていたので、卒業式で泣いたことも特別な思い入れがあったこともありません。だからこそ、自らを管理し、主体的に学んで卒業される学生に会ってみたいと思いました。先生も涙の卒業式で、井村さんが「卒業式に出て、こういう学校が必要なんだと思った」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

多くの地域の人が学生たちを送り出すことで、「自分をこれだけの大人が見ていてくれた」と、これから社会に出ていくことへの勇気や希望につながっているのが素晴らしいと思いました。3月は、私も出席させていただきたいと思いますexclamation
東京都立砂川高校通信制の教育活動@〜公立通信制高校に通う学生たちが置かれている環境とは〜 [2015年12月17日(Thu)]
12月12日に、東京都立砂川高校を訪問してきました。NPO法人育て上げネット井村さんのご紹介で訪問することができたのですが、井村さんが7年前にこちらの高校にノックをし、4年前に高校内に入ることができ、そして、2年前に、高校内を地域に開放する居場所カフェ「砂川カフェing」が出来たとのこと。参加者は、議員、教育庁 NPO関係者、学生など多様なメンバーでした。

12316129_971413626270778_5362888490053043064_n[1].jpg
都立砂川高校の校門

■砂川高校の3部制普通科+通信制とは

東京都立砂川高校は、平成17年度から、全日制課程より昼夜間定時制課程・通信制課程に学科改編しています。当初は、東京都多摩地区で唯一の通信制課程の公立学校としてスタートしたそうですが、当時は何かを行いたくても、できない現状があり、改善できるきっかけを求めて、もがいている状況だったそうです。

それが、平成24年度に野中校長と門馬副校長が着任し、通信制課程の全教員の考えや意見を聞き、「この学校として生徒にできることは何か」を問い続けたそうです。そして、同年に「学校に来させる工夫」「居させる工夫」を考える委員会を発足し、「3つのつながりをもたせる学校」としての、新しい教育活動が始まったそうです。

◇3つのつながり◇
@学びとのつながり(学習指導)
A人とのつながり(生活指導)
B世の中とのつながり(進路指導)
Cその他の改革「開かれた学校」
★砂川カフェing

12400937_974329515979189_4608871662244274998_n[1].jpg
学生に配っている「進路だより」

また、この取り組みを始めてから変わったことは何かというと

◇学校の変化◇
@生徒が多くの大人と触れ合う機会を得た
A校内で勉強する生徒の姿が増えた
B進路決定率が上がった
C教員が自信をもって穏やかに生徒対応をするようになった


生徒だけでなく、教員もイキイキと仕事をするようになったというのが、印象的でした。かつて、キリキリしていた先生は、地域の人が学校内にいると、「誰が来てるの?」と厳しい目を向けていたそうです。それが、今は、自分たちの手が届かないところをやってもらえる人なんだということを認識し、現状の改善ができず、難渋していた先生も、情熱的に仕事をするようになったそうです。これも、きっと、学生ひいては地域社会に良い影響を与えているのではないかと思いました。

12369059_971846026227538_5161243764008601992_n[1].jpg
野中校長からのご挨拶

■自分で勉強するということのむつかしさ

当日は、門馬副校長から、お話をお聞きしました。門馬副校長は、4年前にこちらに赴任となったそうですが、今までは、全日制高校の教員だったそうです。それが、突然通信制高校の副校長となり、当初は戸惑ったそうです。

通信制高校には、私立と公立がありますが、特に、公立通信制高校は自学自習が基本で、3年間での高卒資格取得には強い意志と自己管理力が求められます。自分で勉強するというのは、本来あるべき学び方ですが、受け身の勉強に慣れてしまっている人や自分で学習を進めることが苦手な学生には向いていないとも言えるのだと思います。前もって自分で勉強し、それを踏まえ、スクーリングで確認する。今注目されている、反転授業やアクティブラーニングの要素を、昔から実践しているという側面もあるのだと思いました。

また、人とのコミュニケーションが苦手な学生も多く、そのため、スクーリングでは、かつては、学生が学校に来なくなることを恐れて、「当ててはいけない」という決まりになっていたそうです。しかし、今は、学生たちに「30秒考えて」と当てているそうです。人付き合いが苦手だから、「させない」のではなく、「一個だけでもさせよう。完璧は無理だけど、少ししよう」という方向に転換されたのだそうです。

したがって、「学校に行けないから通信制」ということでもなく、「週1回通えばいいから楽」ということではもなく、一般の学校で卒業することよりも、よほど大変で、卒業のハードルは高い学校なのだと思いました。私も今大学院に通っていますが、ひとりで計画し、計画通りに勉強や研究を進めるというのは、大人でもとてもむつかしいことです。実際、都立砂川高校通信制も、卒業する学生はは、半分程度のようです。

※公立と私立の通信制高校の違い
@学費(1単位あたり)
公立:平均300円〜700円
私立:7000円〜10000円

Aサポート校との連携
公立通信制高校にはサポート校(学習や生活を支援してくれる学校)との連携はない。私立で、サポート校を利用している生徒の9割以上が3年間で高校卒業資格の取得に成功している。

B入学時期
公立:4月。前の学校を退学せざるを得ない子は、入学までの期間がブランクとなる。
私立:都度(毎月)入学可能


経済的な問題など、私立の通信制高校より、より困難な環境の学生が多いのだろうと思いました。

■通信生高校に通う学生たちが置かれている環境

通信制高校に通っている学生たちは、どのような環境に置かれているのでしょうか。
お話を聞いていた中でもった印象は、

・一般の人がイメージする勤労少年は少ない

・子どもというよりかは、社会人とみなしている。「中卒のための学校」であって、高校ではないという説明

困難を抱えた環境の中、なんとか、ここに辿りついた子たち

「限られた情報」の中でモノを判断している子が多い。
進路などにしても、教員が「これでいいんだよ」って言っても、外部の余計な言葉が入り、決断できなくなる。「彼らが信じているものは何なのか?」、がつかめない

・世の中に振り回されている子が多い
アルバイトなど、世の中に振り回される(うまく使われる)子どももいる。アルバイト先には、学業を学生の権利として認めてもらいたい。アルバイト先は、子どもたちが中卒なので安く使うが、子どもにとっては、学校の先生よりも身近な店長の発言力が高い。

「子どもたちに、良い情報が入っていない。能力が低いわけじゃないのに、情報の少なさ・質の悪さが原因で、悪循環に陥りやすく、そのため、能力を社会で活かせていない。

学生たちに、社会とのつながりを持たせる学校を目指す。たとえ、学校(卒業)がだめになっても、若者支援者のような相談できるつながりをもてれば、そこから再出発をもできる。そのような、きっかけを作れる学校を目指している」


という趣旨のお話をされていた門馬副校長。今も、その情熱的な言葉が心に残っています。

11205566_971845922894215_6665031070831410043_n[1].jpg
門馬副校長がまとめた、砂川高校通信制の教育活動についての資料
引きこもりの家族がいるということ〜「家族を支える」ために企業ができること [2015年11月29日(Sun)]
先日、困難な若者を抱える『「家族を支える」を考える』というテーマで、若者支援の専門家である、株式会社シェアするココロ/NPO法人パノラマの石井正宏さん×引きこもり状態の若者の親を支援している、NPO法人育て上げネット森裕子さんの講演を聞いてきました。

石井さん資料.jpg

■家族が「引きこもる」とは

家族が引きこもるとは、どういうことなのでしょうか。今日のお二人のお話をお聞きして、少し要点をまとめてみました。

・引きこもりは自分で支援機関には行けないので、親へのアプローチが大きな効果を発揮する
・引きこもる=親への反抗(親の期待を壊す)、というケースも少なくない

20世帯に1世帯くらいの割合で、家の中に引きこもり状態の家族がいる=「家」に帰るしんどさを抱えている人の割合
・それでも、父親は気晴らしに飲んで帰れる人が多いが、母親は逃げ場がない
・育児参加の少ない親(父親)は、自分の子どもを「分身化」しやすい→引きこもりという状態に混乱し、受け入れられない→引きこもりの長期化の要因となる。

・自分の将来を考えているモードの引きこもりは、ひたすら「待つ」。邪魔をすると、攻撃性が出てくることもある。将来を考えた結果お手上げモードになった時に、初めて手を差し伸べる。しかし、前者と後者のモードの区別は親にはわからないため、専門家の介入が必要。

・引きこもりになった原因を親のせいにすることで精神状態を保っている子ども。原因が自分(親)の責任であると「受容する」ことと、「言いなりになる」ことは大きく違う
これを間違えると、親子のパワーバランスが逆転し、親が子どもの顔色をうかがうようになり、パシリ状態となる。また、一旦逆転してしまうと、関係を回復させるのは、とても困難。

ネットでの情報収集はむつかしく、信頼性の観点から薦めない。支援団体に置いてある広告物からの情報収集が良い。

・親へ反発している子どもは家庭内でのキャラを変えられない。なぜなら、それは敗北になるから。→家族以外の支援者が介入することが必要。支援者の前では、素直な子どもに戻れる。

■引きこもる家族を支えるために、企業ができること

20世帯に1世帯くらいの割合で、家の中に引きこもり状態の家族がいる(町田市の調査)ということは、会社で考えれば、結構な人数になるかもしれません。しかし、多くの方が、自宅に引きこもりがいることは、「恥」と感じ、隠しているそうです。従って、隣に座っている同僚の家庭に引きこもりがいたとしても、知ることはほとんどないのでしょう。

でも、上記のような家庭の様子を考えると、仕事に支障がでてもおかしくないくらい、大変な状況(もしくは大変な状況になる可能性がある)だと思いました。

では、企業がそのような社員のためにできることって、何でしょうか。

ひとつは、NPO育て上げネットが提供している、スカイプを利用した、NPO(専門家)への子育て相談「結」(http://www.onlineyui.jp/)のようなサービスが、会社の福利厚生にあったらよいのではないかと思いました。

ゆい.jpg

というのも、この半年くらいの間に、何人かの忙しく働くお父さんから、雑談の流れで、子育て不安の話があったのですが、支援機関を紹介したところで、そこに行くというのは、お父さんにとってはハードルが高く(そこまでは、、という)、結局そのままの状態になってしまっていることが気になっていたということがありました。

個人的には、企業の中においては、特に、父親が動きやすい環境をつくることが必要だと感じます。そして、父親にとっては、相談のきっかけが「会社の福利厚生にあったから」という建て前をつくれることも重要なのではと思います。

家の中の話だから、なかなか人には話せなかったりするのだと思います。特に会社の人には知られたくなでしょうから、プライバシーが守られる第三者の支援機関に、会社の休憩時間などを使って、スカイプやメールで連絡できるハードルの低さって潜在的に必要としている方多いんじゃないでしょうか。子育てに限らず、介護などもそうかもしれません。

本.jpg
マンガでわかる「子どもがひきこもりになりかけたら」


八王子少年鑑別所を訪問。社会における居場所と出番(仕事)の確保を。〜NPO法人育て上げネットのスタディーツアーに参加〜 [2015年11月26日(Thu)]
ちょっと前の話になりますが、先月、八王子少年鑑別所を訪問しました。引きこもり状態の若者へ就労支援をしているNPO法人育て上げネットの友人からお声がけいただき、一緒に参加させていただきました。このスタディーツアーへの参加者は、他に、議員、大学教授、行政、NPO関係者など多様な方々が参加していました。

12247195_961558700589604_5412015991560014439_n[1].jpg

■訪問のきっかけ

私含め、一般の人は、少年鑑別所を訪問する機会というのは、ほとんどないと思います。今回、NPO法人育て上げネットの井村さんからお声がけいただいたことがきっかけでしたが、井村さんは、なんとこの7年間、毎月ここで授業(ボランティア)をされているそうです。それが、今年の夏に表彰され、今後、地域に開放した施設になるよう、今回のスタディーツアーにつながったということです。7年間も通い続けるって、なかなかできないことですよね。

■少年鑑別所とは

私は、この訪問が決まるまで、少年鑑別所と少年院の区別すら、ついていませんでした。
法務省のHPを少し調べてみると、少年鑑別所の役割として、以下が挙げられていました。

(1)家庭裁判所の求めに応じ,鑑別対象者の鑑別を行うこと
(2)観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者等に対し,健全な育成のための支援を含む観護処遇を行うこと
(3)地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行う


今回のスタディーツアーは、まさに、(3)の役割が大きいと思いました。
地域や一般の人に知ってもらわないと、「知らない=想像できない」というだけで、少年たちへの偏見はリセットされず続いてしまいますから、このような取り組みは本当に大切だと思います。

※参考※
【鑑別所】少年を社会から隔離した上での矯正教育が必要か否かを判断する施設。
【少年院】鑑別結果などから「社会生活での更生は難しい」と判断された場合に送致される矯正施設。☆刑罰ではなく、少年に健全な社会復帰をさせるための”矯正教育”を受けさせる施設
【少年刑務所】少年審判の結果、保護処分(保護観察や少年院送致など)よりも懲役や禁固などの刑罰を科すことほうがふさわしいと判断され、刑事裁判にかけられ実刑となった場合に収容される施設


■どのような少年がいるのか

当日は、八王子少年鑑別所の所長さんから、お話をお聞きました。

少年鑑別所には、どういう少年がいるのだろう?私ぐらいの年代だと、昔のような、見た目でつっぱり具合をアピールする不良少年を思い出しますが、そういう子がいるのだろうか、と思いながら訪問しました。しかし、実際は、多くの子が「ふつうの子」だということを知りました。

そして、非行名の7割が、暴力ではなく「万引き」と「自転車の横領」。この背景には、子どもを取り巻く生きづらさや、家庭内の変化(ネグレクト、虐待など)が、子どもたちからのSOSが非行として出ているのではないかとおっしゃっていました。

所長さんのお話で考えさせられたのは、非行少年の特徴でした。

(1)言語表現力の乏しさ。非行で自己表現をしている。
(2)自尊心が低い→自分を否定することが問題行動となってしまっている。
(3)大人への不信(暴力・疎外感)


印象に残っているエピソードとして、以下のようなものがありました。
・体温測るだけで、「こんなに心配してもらったのは初めて」と言われた
・お風呂に入りたくないと言う子どもで、せっかんで湯船に沈められた経験がある子がいた
・日記を書くという習慣が、子どもから評判が良い→裏をかえすと、どれだけ愛情が乏しかったのか。


また、家族の絵(顔)が描けない子が多いそうです。
・顔が描けない・・今までの大変なことを思いだしたくない(虐待など)
・親の後ろ姿を書く・・話かけてもふりむいてくれない(育児放棄など)


また、男女比は10対1で男子ですが、平成25年に初めて、女子の非行1位が「傷害・暴行」になったそうです。攻撃性というのは、「外に向くと犯罪」になり、「内に向くと自殺や自傷行為」になります。これは、環境次第で外に向き、暴行や傷害行為になるということで、女子の暴力事件が増えているという、その背景をもっと知りたいと思いました。

■「仕事」と「居場所」が再犯を防ぐ

なぜ、子どもたちが非行に走ってしまうのかと考える前に、「人はなぜ非行に走らないのか」というお話がありました。
愛情だけじゃなく、コミットメントやインボルブメント、特に、熱中するものがあると非行には走りにくくなるようです。

そして、一番大事なのは、

社会における「居場所」と「出番の確保(仕事)」

ここにいる子どもたちの特性として、近隣からも孤立した家庭に育っていることも少なくないようです。親が犯罪を犯していたり、非行も虐待同様、家族間で連鎖していきやすいのだと思いました。

また、鑑別所内では、虐待、障害などへの配慮が必要で、発達障害のスクリーニングを全ての少年に実施しているとのことでした。目的は、「生きづらさを見過ごさない」ためです。

では、このまま、誰からのサポートもなかったら、どうなってしまうのでしょうか。

このように、困難を抱え孤立した子どもは、悪い大人に利用されやすいそうです。また、良い大人は殆ど近づいて来なく、こういう悪い大人でないと近づいてこないという現状があると聞きました。

女性は性風俗産業。男性は、最近では、オレオレ詐欺の出し子など、犯罪の中でも、一番つかまりやすい仕事に利用されてしまうことが増えてきているそうです。ニュースで、オレオレ詐欺の犯人に若者を見かけることがありますが、こういう背景もあったんだと考えさせられました。

■感想

最後の質疑応答で、敢えて「子供たちにとっての反省」について、質問しました。なぜかというと、世の中は、非行少年への理解どころか、より厳しい目を向けはじめているようにも感じるからです。「最近の子は反省していないのではないか」や「少年による凶悪犯罪が増えている」という強い世論感情が、確かに存在すると私は思っています。

所長さんのお答えは、昔の子どもと今の子どもとが、大きく違うということもないし、それぞれが反省しているとおっしゃっていました。また、そのあとに、育て上げネットの井村さんが、言わずにはいられなかったように、「ここの子どもたちは、誰よりも僕の話をしみいるように聞いてくれる。だから、ぼくも毎月来たくなったし、やめられなくなった」とおっしゃっていました。その言葉が、私には、とても説得力がありました。井村さんの鑑別所での授業は、授業といっても勉強の学習ではなく、一人暮らしをするにはどれだけお金が必要かとか、どうやってお金をためるのかとか、「ハローワークへ一緒に行くよ」「困ったら若者サポートステーションというところにおいで」ということを、毎月話しているそうです。

子どもたちがここから出て、彼らを利用しようとする大人に会う前に、よい大人に出会わせたいという想いが伝わってきます。少年鑑別所が、より地域に開放され、退所後も地域に入りやすいようになるには、私たち市民ひとりひとりが、まずは知ることが大事なのだと思いました。


12243259_961558713922936_2109940225186610538_n[1].jpg

NPO法人育て上げネット 若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」に参加しました〜引きこもり状態の若者と一緒に仕事をして思ったこと [2015年11月23日(Mon)]
11月21日は、NPO法人育て上げネットさんが提供する、若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」(https://www.sodateage.net/service/jobtra/#start)に参加してきました。このプログラムは、ニート・引きこもり状態の若者を対象にした、グループ行動を基本とした就労支援です。育て上げネットが、地元企業等から仕事を請け負い、その仕事を支援者と支援を受けている若者が、実際の仕事をチームで取り組み、若者と社会とを繋げるというものです。地元企業の他に、西友のCSRと連携した低所得世帯の若者向けの「西友パック」(https://www.sodateage.net/news/911/)などもあります。

12241210_962238107188330_4614971825091258661_n[1].jpg

■一日の流れ

朝、全体の朝礼に参加し、その後、ジョブトレチームのスタッフミーティングに入りました。育て上げネットが請け負っている仕事の種類はいくつかあり、日によって内容も参加するメンバーも、責任者となる支援者も変わるようです。この日は、今日来る若者が抱えている課題の共有や、それを本人にどう伝えるか?ということが議論されていました。ある若者に対して、「先に褒めるべきか、それとも先に注意すべきか。」「誰が伝えるかも大事。何人かで、順番に伝えるとしたら、その順番はどうあるべきか」など、みなさん、その若者のために真剣に考えていたのが伝わってきました。

また、「へえ〜」と思ったのが、「マニュアルはなぜ必要なのか」という議論。若者にとってマニュアルが必要な理由は、マニュアルがあることで達成感が得られやすいそうです。自信が無い人には、マニュアルなど、自分はここまで出来るようになったと、自信をつけやすい環境をつくってあげることが大事なんだと思いました。

仕事の内容は、新聞社での折り込み作業、御用聞き、掃除、援農など。そして、21日は地元のベントがあったため、ゆるキャラ「トコちゃん」になるいう地域貢献のお仕事もありました(笑)。

午前中2時間、事務所に戻りお昼、午後3時間ジョブトレをしますが、半日だけの人もいれば、終日いる人もいました。最後は、担当の支援者と若者が個別で振り返りミーティングをし、その後、支援者だけでの情報共有ミーティングをし、解散という一日の流れでした。

■就労支援の場に参加して

実際のジョブトレの内容は、機密情報等もあると思うので、ここでは詳しく書きませんが、個人的な感想を書きたいと思います。(あくまでも、素人の感想なので、間違っていることもあるかと思いますがご容赦ください。)

スタッフミーティングの時に、支援者の方々が「社会に出る前に、ジョブトレで失敗をたくさんしてほしい。ここでは、いくら失敗してもいいんだから。」とおっしゃっていました。

一方、ジョブトレ生である若者たちからしてみると、ジョブトレは、本当の仕事と同じような位置づけにあるように感じ、失敗できる余裕はないように感じました。おそらく、若者たちにとって、ジョブトレは、自分がもっている少しの自信(自己効力感)と直結しており、そこで失敗するということは、とても大きな自信喪失につながるのかもしれません。ジョブトレをしている時の、彼らの表情も仕事も、「そこまで」と驚くくらいに真剣なものであり、その分「働かなければ」という働くことへの強い責任を感じているようにも見えました

ジョブトレにもいくつか仕事があり、人によっては、ジョブトレの仕事を選ぶ(やりたくない仕事は避ける)という人もいるそうです。それは、一見わがままなだけに見えますが、その背景には、自信が無い仕事をして失敗する勇気がないという、精神的にぎりぎりのところにいるということを知りました。

支援者の方々は、ジョブトレが、若者たちにとって、もう少し気楽に失敗できる場にと、現場で試行錯誤されているように見えました。

■みんなでお好み焼きを作る

21日は、予定よりもジョブトレが早く終わったため、夕方から、急遽、みんなで(5−6人)お好み焼きを作ることになりました。興味深かったのは、「料理をつくる」ことは、若者たちにとって「失敗できる場」であったということです。肩の力が抜け、笑顔がちらほら見え、自分から動き出す子も出てきて、会話も自然と増えていきました。

驚いたのは、半分くらいの子は卵を割ったことが無いということでした。「卵ってどうやって割るの〜?」と、みんなで、ボールの周りに集まって初めての卵割りをする(笑)。過去の経験から料理に苦手意識があったある子は、支援者の女性が、卵割り、野菜の切り方、お好み焼きのひっくり返し方などひとつひとつ丁寧に教えることで、自分でお好み焼きが作れるようになったことに、嬉しそうでした。

また、ある子は、「広島風も作ってみる」と言って、もう一つのコンロとフライパンを持ってきて、やきそばを作り始めたり、「工夫」も出てきました。

最後に、自分が作ったお好み焼きを囲んで、みんなが美味しいって言って食べている姿を見て嬉しそうでした。自然と「名前なんて言うんですか?」と聞かれたりし、会話も生まれてきました。

それを見て、仕事も基本は同じなんだけどな〜と。その笑顔が仕事中に出てくるようになるには、どうしたらいいのかなと考えました。

12289684_962238063855001_6608472147965954955_n[1].jpg

■引きこもり状態の若者の印象

引きこもり状態の若者と一日一緒にいたのは、初めての経験でした。印象は、真面目で控えめ、優しい、でも自分に自信が無い。支援者の方から聞いたのですが、本人たちは「働いていない」ということで、とても控えめに、親に迷惑・心配かけないように、散髪などの就職活動に必要なお金も節約し、生きているとおっしゃっていました。引きこもりに対して厳しい社会、それゆえ、周りの目を気にして控えめに生きざるを得ない状況が、引きこもり状態から抜け出せにくいことに繋がっているのでは、と私は思います。

話をお聞きしていた中で、印象に残ったエピソードがあります。ジョブトレに新しく来た子が、最初の飲み会でお酒を飲み、でもお酒の飲み方に慣れていなく粗相をしてしまった。一般的には、この年代の若者だったら、からかったり、「やめろよ〜」となると思いますが、周りにいたみんなが、素早く、そしてとても静かに、さっと全てを綺麗に片づけ、何もなかったような雰囲気を作ったそうです。その様子に、支援者の方々も驚かれたとのこと。優しいということと、そうなってしまう気持ち、そういうことで傷つく気持ちがわかる子たちなのかもしれないと思いました。また、お酒を飲む子も少なく(最近増えてきたそう)、それも遠慮しているんだろうと支援者の方がおっしゃっていました。

あと、ジョブトレを続けたくても、通い続けることができなくなる「交通費」の問題があるようです。ここ(立川)に来ている子は、山梨や埼玉など、遠くから来ている人も少なくありません。これは、交通費で計算したらかなりの金額になってしまいます。就職活動も、交通費だけでなく、証明写真、スーツ、身だしなみ等、お金かかりますよね。引きこもり状態じゃなくても、単純に就職活動のお金が無いという理由で、就労から遠ざかる子もいるようです。西友CSRの「西友パック」は、この交通費まで実費で支給してくださるプログラムということで、NPOによる支援が、より効果を発揮できるようにするCSRも貴重なのだと思いました。

■ほとんどが男性だという現状から思うこと

ジョブトレ生のほとんど(8〜9割)が男性でした。では、女性は男性よりも就労しているのかというと、データは確認していないのでわかりませんが、家事手伝いのような家庭内での居場所があったり、働いていなくても良いとされることが多いらしいです。その背景には、こんな時代になっても、親が、娘に期待することと息子に期待することが違う、ということが大きくあるのではないでしょうか。同年代の同じ学歴の男女の引きこもりがいたら、圧倒的に男性に厳しいのが今の日本社会なのだということも、考えさせられました。(そもそも、女性というだけで「引きこもり」と言われづらいかもしれません)

とても、良い経験をさせていただきました。現場のみなさまにはご迷惑おかけいたしましたが、本当にありがとうございました!!