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なぜ無給で働く医師が存在するのでしょうか[2019年10月22日(Tue)]
 Yahooニュース2019年6月28日付け「「無給医、少なくとも2191人」の衝撃〜医師の視点〜」から、6月28日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。今年行われていた、給与をもらえず医者の仕事をする「無給医」についての文部科学省の調査結果で、2000人以上の「無給医」の存在が明らかになりました。しかもその調査結果を見ると、この人数は氷山の一角である可能性も考えられます。彼らはなぜ無給で働くのでしょうか。
 無給医とは何でしょうか? これは、にわかには信じがたいのですが、字の通り「給料をもらえずに働くお医者さん」のことです。主に大学病院で働いています。
医師は医学部を卒業すると2年間の初期研修という立場を経て、その多くは医師3年目に大学医局という組織へ「入局」します。たとえば自分の出身大学の外科の医局に入る、という人もいますし、全く別の地域の大学の◯◯科の医局に入る人もいます。この辺りはかなり自由です。
いったん入ると、教授をピラミッドとする権力構造の中に組み込まれます。
その組織の中で、教授などが決める人事に従って「関連病院」と呼ばれるその医局が人事権を持つ病院へと出向するのです。その中には、「大学病院で医師として勤務せよ、ただし給料は出ない」という命に従って働く医師たちもいます。
 この「無給医」が生まれる原因には、この医局の権力構造が背景にあることは明らかです。医局員と呼ばれる医師たちは医局の総意のもとで人事が決まります。もちろん希望を聞かれることもありますが、いつも希望に沿った人事になるわけではありません。
そしてその中で、大学病院という業務量が多い職場では、他の病院と比較し多数の医師が勤務します。いろいろな大学病院の事情を見聞きした私の感覚では、街中の◯◯市立病院などの病院と比較して、だいたい3倍くらいの医師数がいる印象です。
 給料がつくようなポストはその人数分はありません。ですので、「君は大学病院勤務だが、給料はゼロだ」という立場になる若手医師が発生するのです。そういう若手医師の多くは大学院生という立場ですが、なぜか白衣を着て医者の仕事をしています。
これまでは「学生なので勉強の一環」などという理解し難い理由で、その権力勾配を用いてタダ働きをさせていたわけです。このような搾取を受ける医師のことを、ネット上の掲示板などでは昔から「ドレ医」などという表現がよく使われていました。今回の調査でも「自己研鑽・自己研究等の目的、又は、大学院の研修の一部という目的で、診療に従事していた」と大学側からの回答にはありました。
この点については法的な問題がある可能性は高いでしょうし、なにより「学位を取りたければ言うことを聞け」というアカデミック・ハラスメントである可能性もあります。今後厳しく追及されるべきです。
 「無給医」とは認めず、という回答の医師も3549人いたという点です。これは、大学側が「合理的な理由があるため、労務管理の専門家への相談等も踏まえ、給与を支給していない者」と回答した医師たちです。どのような「合理的な理由」があり無給で医師として働かせているのかは、今回の調査からは不明でした。精査が必要でしょう。
何十年も「医師免許を持った大学院生を無給で働かせる」ことが連綿と続いてきたわけです。いま医師は日本に30万人以上いますが、誰一人声を上げなかったのです。であるのに、教授がヒアリングを担当したところでどれほどの信頼性があるのでしょうか。外部委員が調査をせねば、客観性が保たれないのはもはや常識です。
調査を行った文科省の皆さんもおそらく把握した上での調査でしょう。
何十年も誰も切り込まなかった無給医問題で、しかも大学は文科省管轄だが病院は厚生労働省管轄であるというお役所的にはとっても手を着けづらい問題に着手した点は、非常に評価できると私は考えています。
本調査では、まず「無給医という人たちが日本に存在する」ことが初めて公になりました。 020.JPG

 なぜ人の命を守って一生懸命働いている医師が無給になのでしょうか。誰が考えてもあり得ないのではないでしょうか。立場が弱い医師だからと言って無給という現実は受け入れ端いのではないでしょうか。そのような仕組みがなぜ日本で存在するのでしょうか。大学病院の医師の数が多過ぎるのであれば、人数を減らして医師を確保できないで困っている病院や地方の総合病院に勤務することは考えられないのでしょうか。医師も首都圏や大都市圏で勤務したいという意向があるのかもしれませんが、医師の数が偏っている現実を受け止め無給の医師をなくして患者も医師も満足できるような状況を創り出すことが大事なのではないでしょうか。大学は文科省で病院は厚生労働省だから解決できないという時代ではなくなってきているのではないでしょうか。国民のことを真剣に考えて縦割り行政を解消して横断的に取り組むことが求められるのではないでしょうか。医師不足なのか、医師の偏重が問題なのか、どちらも問題だとすれば両方を一気に解決する努力をしなければならないでしょう。016.JPG
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