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10月23日千葉県人権啓発指導者養成講座を開催しました [2018年11月02日(Fri)]

毎年、風車が千葉県から委託を受けて開催している人権啓発指導者養成講座、今年も千葉県教育会館で行いました。

3講座でのべ165人の参加がありました。
集まってくださったのは自治体、教育関係、福祉関係、民間企業などで日々、人と関わる仕事されている方たち、
また興味を持って参加くださった一般の方たちです。

1講座目の講師は中川聡さん。テーマは「自分が自分であるために〜精神医療のあり方から、障がいのある人の人権を考える〜」。

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中川さんは精神科医療における人権侵害や偏見を是正し、単に専門家に任せればいいという発想ではなく、本人が主体となって問題解決が図れるよう、相談・普及活動をされている方です。

社会精神医学(社会モデル)では、精神症状を病気とは捉えず、人生の危機における正常な反応と考える。問題は本人の成育歴や環境、人間関係などが引き起こすと考える。一方、生物学的精神医学(医学モデル)では、向精神薬が脳内ホルモンを調整するとして薬物治療が行われる。問題は本人の病気であると考える。日本は後者で、人権侵害は閉鎖的な組織と支配的な縦の関係性によって引き起こされる。

というお話が印象的でした。


2講座目の講師は寺出壽美子さん。テーマは「気づいてますか?子どものSOS〜子どもの人権をどう保障するか〜」。

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寺出さんはNPO法人子どもソーシャルワーク協会理事長で、子どもの福祉の現場に長く関わってこられた方です。

印象的だったお話は…

・児童虐待・いじめ・不登校ひきこもり・少年事件は通底している。
・死にたい若者が増えている。自死願望が先にあり、それがエスカレートすると他殺願望に変わる。
・ひきこもることの利点…自殺を防ぐ、他殺を防ぐ、人格を壊さない(精神科医:高岡健)
・子どもと向き合うにはまず、自分の子ども時代と向き合う。


3講座目の講師は渡邊寛人さん。テーマは「誰も死なせない社会のために〜生活困窮者の人権〜」

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渡邊さんは生活困窮やブラックバイトの問題に向き合い、支援をされている方です。

印象的だったお話は…

低賃金でも働いている方がいいのか? 無理な就労を迫らずにしっかり心身を休めることが大切。生活保護制度を使って生活を成り立たせること自体が「自立」しているととらえることが大切。


3人の方のお話はどれも、今の日本の社会のありようが、苦しい人たちの心をさらに追い詰めているという構造がよくわかるお話でした。

風車にできることは何か、改めて考えさせられることが多かったです。
とてもいい講座を開くことができたなあと感じました。