誰のため何のためかと問い直す [2019年02月01日(Fri)]
養老孟司氏はこう述べています。
(親孝行や滅私奉公といった)≪考え方を戦後は徹底的に否定しました。その結果、自分の人生は自分のためにある、という考え方が暗黙の前提とされました。その延長線上に、個性の尊重、自分らしさや「自己実現」といった考え方があるのでしょう≫(養老孟司著「自分」の壁/2014年,新潮新書) そして、そこには誤解があると氏は言います。とにかく言うとおりにしろ、 文句をたれずにやってみろ、それが成功への近道だ、と理を説かない経験主義がはびこるか、または反対に他人の経験や自分の理解を超えたものを排除する極端な傾向が出てくるのです。 ≪「お前はお前だけのものじゃないよ」という真の意味を教えるのではなく、「とにかく親を大切にしろ。問答無用だ」という押し付けになってしまう。これがこの手の古い考え方の問題点です≫ 情けは人のためならずです。親の喜ぶ姿を見ることは自分の喜びになります。かといって親の言うことすべてに盲従すれば親孝行かというと、そうではない。要は極端に振れてしまうことが一番の問題ですね。 (水仙の花盛り。水仙は言葉は持たないけれど、そのDNAに多彩な情報を織り込んでいる) |