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慎ましい熱烈恋愛父と母 [2017年01月21日(Sat)]

fumihouse-2017-01-21T14_55_56-1-thumbnail2.jpgかけがえのない人が消えた世界からは色がなくなる。喜びも消える。「私」の母の視線から描かれたこの映画は、万人に共通する思いをもとに構成されている。原題は『我的父親母親』(私の父と母)だが、邦題では意訳して『初恋のきた道』。若き母を演じたチャン・ツィ・イーが愛おしく可憐であった。

秋の日で黄に染まる白樺の林が美しい。初恋の人となった父を遠目に追って林を歩き回るまだ18歳の母。舞台は河北省の寒村。主作物は小麦とコウリャン。町からは遠く離れて、うねる高原と山林の中の一本道だけが町とつながる。その道で、母と父は出会い恋愛をし苦楽を分かち合った。

父はこの村初めての学校の先生で20歳。二人は恋に落ちた。そして困難の末結婚したのちも、母が父を思う心は純真なままに40年続いた。母は文盲だった(たぶん)が、朴訥ではあっても端麗な容姿があり性格は慎ましい。料理は上手で貧しくても整理整頓が行き届いていた。

母は学校で父が教える様子を外から毎日欠かさず見守った。門前の小僧習わぬ経を読むというとおり母は知識を身につけただろうし、父は母の家庭教師となってくれたであろう。母と父の日々はつましい中にも豊かであった。私は大学を出て都会で働いておりめったに帰らないが、母にとって父との生活は幸せだった。しかし父の他界で母の世界から色はなくなった(1999年の今は白黒画面で、父母が若かった1959年になるとカラーに転ずる)。

町の病院で死んだ父を連れ帰り葬式を出すにあたり、村長には心配があった。母は伝統にのっとり父の棺を遺族や縁者が担いで帰るように望んだ。今時それをする遺族はほとんどいない。しかも村まではクルマで半日かかるほどの長距離だ。村には年寄りと子供しか残っておらず人手はない。村長はそれが心配だったのだ。

心配をよそに、一声かけると多くの教え子たちが馳せ参じた。先生の棺を担がせてほしいと、しかも無報酬で。母はさぞ幸せだったであろう。しかし色は戻らない。母にとって一生で一人だけのかけがえのない人・父は帰ってこないのだ。

(知らない草花の黄の色合いも慎ましやかで麗しい)