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郵便に心をこめて窓開く [2017年01月12日(Thu)]

fumihouse-2017-01-12T22_26_26-1-thumbnail2.jpg映画『山の郵便配達』の邦題は意訳です。原題は『那山 那人 那狗(ある山 ある人 ある犬)』で多分に文学的ですね。だから訳者はわかりやすくズバリ表したのでしょう。

湖南省の山奥を毎回120キロを歩いて配達してきた父親が、息子に引き継いだ2泊3日の行程を淡々と描いた物語です。監督には小津安二郎の影響があるのかもしれません。腰位置の定点からカメラを回すシーンが多用されました。優しい視線です。山川の美しさも際立ったように思えます。

父は2泊3日の出張を繰り返してきたので、父子は互いをよく知りません。敬遠してきた面もあります(よくある父子の関係)。知らなかった一面を知り、価値観が互いに違うのを知るのです。それぞれ「母さん」の姿も違いました。父の退職と息子の就職が同時に行われ、小さいながらも世界が入れ替わったのです。二人とも目を見開きました。

とはいっても山奥の郵便配達は大変な仕事です。三日間歩きっぱなしというわけではありませんが、配達だけしているのではないのです。家人が帰るまで待つ時間も長い。手紙を届けるのはもちろんですが、ポストや地域代表が集めてくれた手紙の集約。目の見えないお婆さんには出されてもいない息子の手紙を創作して読んであげたり、村に外の空気を持ちこむ窓として老若男女に囲まれて歓迎されたりもするのです。

恋もします。母さんは配達の村でかつて父が恋したのです。息子は最初の配達で少数民族の娘に恋をしました。父は頼もしい青年になった息子を目を細めて見ています。文化大革命が終わり、改革解放の流れで中国は活気づいています。引退した自分には付いていけない新時代に生きる息子をうらやましく思いつつも、そのおぼつかなさを心配する愛情深い親の姿も垣間見せてくれます。とっつきにくいとばかり思っていたのですが、父は意外な温かさがあると気づいた息子は多くを学んでいきます。

那狗(ある犬)と示されたパートナー犬の名前は「次男坊」。いい演技をしてくれました。新時代を象徴させて活躍していたのは、息子が聞いていたトランジスタラジオです。洋楽や中国のポップ・ミュージックが流れて、閉じられていた中国の窓が開かれたことを表現します。

山肌を縫うように段々に広がる千枚田。平野をうねる広大な田んぼのあぜ道。そこに実る稲穂の波。乱舞する赤トンボの群れ。心が洗われるステキな景色でした。

中国人というとマネーを求めて狂奔する現代中国を思い出しますが、それだけではないのです。もちろん、あの貧しい村々の一角には今やネット通販の拠点ができているのかもしれませんが、中国という国の奥深さを感じる映画でもありました。

(牡丹の花も開いていきます)