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夕焼けに過去を想って美にひたる [2016年09月11日(Sun)]

fumihouse-2016-09-11T13_05_33-1-thumbnail2.jpg≪(私が夕日により深く心を動かされるのは)必ずしも私が齢を取ってきたからというのではないだろう。間違いなく、夕日には遠い過去の悲しみを思い起こさせる魔的な力がある≫ (「朝日と夕日」沢木耕太郎筆,JR東日本トランヴェール2016-8月号)

山田洋次監督は、『男はつらいよ』のシリーズすべてに夕焼け空のシーンを入れたと聞く。寅さんは生真面目に過去を悲しく語る。それが傍目には滑稽なのであるが、人生の機微は悲しくも時々刻々と変化していく。一時もとどまらず悲しみに色を添えて、目を留めた瞬間に見た者を虜にして動けなくしてしまう。虜とは、魔的な魅力にがんじがらめにされてしまうこと。ひとは今日も過去の美を再現しようと、営みを続けるのだ。

(夕焼けが茄子の実を照らすと、夕焼け空と相乗して美しく美味しそうなナスになる)