戦って五輪のJUDO面白し [2016年08月15日(Mon)]
今回のオリンピック柔道は面白かった。以前はポイントを取ってしまうと守るばかりの試合も多かったものだが、今は延長戦がサドンデスとなりポイントを上げた者が即勝利。女子は試合時間が5分から4分に短縮されて緊迫感が増した。戦う姿勢を貫く様子を観戦するのは楽しい。消極的態度や偽装的掛け逃げにはシドーがあり4つで失格となる。
100s超級のフランス・リネールのように圧力をかけ続けて、原沢が伏せて逃げるよう仕向けてひたすらシドーを獲るという戦法もあった。自分から技をかけないのでイッポンやワザアリといった見せ場もない。金メダルだけを狙った戦法でブーイングは免れない。これは例外だ。 メダルの数が興味深い。7階級のうち男子は金メダルが日本2個、ロシア2個で、イタリア、チェコ、フランスが各1個。28個の全メダルを16カ国で分けあった。女子は7階級の金メダルを各国1個ずつ分け合った(日本、アルゼンチン、コソボ、ブラジル、スロベニア、米国、フランス)。28個のメダルは20カ国に広がった。 東京五輪から男女別に、メダル獲得国数、日本のメダル占有率、日本の金メダル獲得数をあげてみる。 64年東京【男】9カ国 25% 3個(4階級) 68年メキシコ 柔道なし 72年ミュンヘン【男】11カ国 17% 3個(6階級へ) 76年モントリオール【男】13カ国 21% 3個 80年モスクワ【男】15カ国 棄権(8階級へ) 84年ロサンゼルス【男】13カ国 16% 4個(東側諸国棄権) 88年ソウル【男】13カ国 14% 1個(7階級へ) 92年バルセロナ【男】14カ国 18% 2個 【女】13カ国 18% 0個(最初から7階級) 96年アトランタ【男】15カ国 14% 2個 【女】12カ国 14% 1個 2000年シドニー【男】17カ国 14% 3個 【女】13カ国 14% 1個 04年アテネ【男】17カ国 14% 3個 【女】12カ国 21% 5個 08年北京【男】19カ国 7% 2個 【女】14カ国 18% 2個 12年ロンドン【男】14カ国 14% 0個 【女】16カ国 11% 1個 16年リオデジャネイロ【男】16カ国 25% 2個 【女】20カ国 18% 1個 (注)リオ五輪の男子メダル獲得率25%は全7階級で獲得したので最高値 メダルを獲る国が増える傾向にあるなかで、日本のメダル獲得数は今回大復活した。世界に裾野が広がるということは、JUDOにとっては福音であっても、日本がメダルを多く獲れなくなるのはある面やむを得ない。日本の柔道人口は減っている。少子化が進み、サッカーや野球など球技に人気面では押される。格闘技は危ない!汗臭い!と嫌われることもあろう。 国際柔道連盟に加盟する国と地域は200を超え、JUDOは日本発の世界に普遍的スポーツと言っていい。日本にとって誇るべきことだ。かつて日本柔道はお家芸として勝って当然の立場であったが、今回は世界へ挑戦する姿勢で大勝利をもぎ取った。今後ともJUDOに挑み続けなければ、日本柔道の将来はない。 (大和撫子。ナデシコは淡いピンクて縁がこまかく切れ込んでいる可憐な花だ。子を撫でるように可愛がることからこの名前に。柔の道も大切にしよう) |