老人のハリー静かに余生過ぐ [2016年06月27日(Mon)]
教師を退職して後、ニューヨークでハリーは妻を看取った。愛猫トントとともに住み慣れたアパートの立ち退きにあう。息子たち家族と一緒に過ごす選択肢もあったが、ハリーはアメリカ横断の旅に出た。映画『ハリーとトント』は言ってみれば、老人と老猫が経験したささやかな冒険譚である。
トントは途中で寿命が尽きて死ぬ。ハリーもすでに晩年を迎えている。子供たちも孫もそれぞれが独立し、自身が寿命を迎えてあの世にいくのもそう遠くではない。そうした譚歌(バラード)でもあろう。 それでも彼新天地ロサンゼルスに到着した。トントに似た猫を海辺でつかまえて優しくなでるハリーには、まだまだ生きていくという静かな決意がみなぎったに違いない。広い米国の大地が印象深い映画であった。 (アメリカデイゴ。南アメリカ原産の派手な花。ハリーの人生はこんなに派手ではなかったが味わい深きもの) |