猫になりマウスと戦う秋の夜 [2015年10月16日(Fri)]
近ごろ私は猫になる。真に迫って猫になる。
二週間ほど前の夜中の3時。天井をカリカリ、ガリガリやる音で目が覚めた。鼠だった。どこから入り込んだものやら思案に暮れる。天井を棒でつつくと静かになる。しばらくするとまたガリガリ、ゴソゴソ。睡眠不足になった。翌夜もやはり3時。たまらない。 鼠撃退用に機具を買った。超音波と電磁波の威力で鼠を追い出せるという代物だ。時間がかかると注意書きにはあるが、一週間経ってもゴソゴソ屋根裏を駆け回り、微細な声で合図しあう様子には大きな変化がない。唯一爪でカリカリやる場所が替わってきて、頻度が多少減った程度だろうか。もう我慢ならなくて、私は猫になった。 ニァーオ ニューニュー ガャオ グァン ギャー ミャウ ミュウミュウ。 擬態を駆使して演技の限りを尽くし、私は鳴き叫んだ。すると、ピタリと鼠たちはなりを潜めた。やったっと勝どきをあげたのも束の間、翌夜にはやはり鼠は屋根裏にいた。機具と猫なで声を併用する夜が続いている。幸いに夜の早い時間に騒ぎ出し、格闘すると、夜中には静かにしてくれている。抜本的に解決してしまいたい。どんな策があるのだろう。 (今夕の仁摩の浜に沈んだ夕陽。太陽が隠れるとすぐに夜がきた。縫い針のように細い月が白い骨の色をしていた) |